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#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

急上昇の記事一覧

【読書コラム】お金のために無理して働いて体壊してその治療代にお金を払うなんて何か違いますよ - 『しあわせは食べて寝て待て』水凪トリ(著)

 好きな漫画の新刊が出た。『しあわせは食べて寝て待て』の第五巻。帯にドラマ化決定と書いてあり、「やっぱりね」としたり顔になってしまった。  わかっていたよ、そうなることは。なんなら遅いぐらいだね。みたいなことを考えてしまう。お前はどの立場から言っているんだって感じだけど、それぐらい第一巻を読んだときから様々な媒体に展開していくのがありありと見える面白さで、たちまちファンになってしまった。  まず、持病が理由で正社員を続けられなくなったアラフォー女性が週四勤務のパートに転職

【読書感想文】天気売りさん

いしいしんじという作家の『ポーの話』を読んだ。何を間違えたか、エドガー・ポーにまつわるミステリーのつもりで買ったら、中身はおとぎ話風で、小学生後半から読めそうな感じだ。(ちなみに後で知ったが、いしい氏は新聞の人生相談の回答をされており、私は同性愛に関する回の彼の回答を読んで泣いたことがある。) 人間も出てくるが、ヘンな生物である主人公ポーとか、うなぎ女とか、ちょっと意味不明で、でもそれらは人間と共存しており、ダマされたつもりでとにかく読み切った。 要はポーの生活、ポーをと

「ばにらさま」を読んで|読書感想文

アイスを食べた時、ふわっと冷たさが口の中に広がり、しばらくして身体の温かみがゆっくり戻るような感覚の小説でした。 6つの話からなる短編小説。なかでも「ばにらさま」がいちばん気に入ったので感想文を書きます。 まずは、簡単なあらすじから。 あらすじ図体ばかり大きくて、さえない20代前半のひろしにも初めての彼女ができた。彼女の名はみずき、バニラアイスみたいに肌が白くてつめたい女の子。 服装もメイクも完璧。ザ・可愛い女子の代表みたいなみずきから交際を申し込まれたひろし。なんで

人生観が変わった漫画本「しあわせは食べて寝て待て」

仕事でうつ病になってから、毎日、自分を責めていた。わたしのせいでみんなに迷惑を掛けている。早く治さなければ。わたしなんていなければ… その頃、藁をもすがる気持ちで読んだ本に自己肯定感をあげると良いと書かれていて、その日のありのままの自分を受け入れる為に思ったことを書く日記を始めた。 6月◯日 ・次男のトラブルを減らしてあげたい→OK ・家族と向き合う時間が取れる仕事がしたい→OK ・お金は大事だけど時間はもっと大事→OK ・グリーンを毎日見て癒やされたい→OK ・近場で働き

著…CHIKO『Eternal Five CHIKO チコっと冒険2 チコちゃんに叱られる! ビジュアルファンブック』

 チコちゃんとキョエちゃんのお出かけ写真集。  一緒に海へ行ったり、グランピング中に恋バナをしたり、バドミントンをしたり、釣った魚を塩焼きにして食べたりと、とっても仲良し。  二人の様子を見ていると、自分も旅を楽しんでいるかのような気分になれます。  わたしが特に好きなのは、P84〜95に掲載されているキョエちゃんの京都一人旅。  キョエちゃんは「のぞみ」に乗って京都まで行ったそうです。  それを見てわたしは「あれ? カラスなのに自分の翼で飛ばなかったのかな?」と、

2024年おすすめ本③

「ずっとお城で暮らしてる」シャーリィ・ジャクスン 〈あらすじ〉 あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。姉のコンスタンスといっしょに、他の家族が皆殺しにされたこの屋敷で、ずっと暮らしている……。惨劇の起きた資産家一族の生き残り。村人から忌み嫌われ、外界との交流も最低限に止める彼女たちは、独自のルールを定めて静かな生活を送っていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに、美しく病んだ箱庭世界は大きな変化をむかえる。“魔女”と称された異色作家が、超自然的要素を排し、無垢な

著…伊藤美佐季『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』

 普段着のように毎日着けられるジュエリーの選び方が紹介されている本。  ⭐️Kindle版  ⭐️単行本版 そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったらwww.amazon.co.jp1,600円(2024年11月24日 13:17時点

「どこでもない空間、いつでもない時間」(「物に立たれて」を読む・08)

*「転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)」 *「客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)」  古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。      *  引用にさいしては、古井由吉作の『仮往生伝試文』(講談社文芸文庫)を使用します。      *  まず、前回の記事をまとめます。  では、今回の記事を始めます

著…岡田実子『顔タイプ診断®︎で見つかる本当に似合う服』

 ●キュート  ●フレッシュ  ●フェミニン  ●クール  ●アクティブキュート  ●クールカジュアル  ●ソフトエレガント  ●エレガント  の8タイプに顔の特徴を分類し、それぞれのタイプ別に魅力を引き出しやすい服のテイスト・ディテール・柄・素材の選び方を紹介している本。  ⭐️Kindle版  ⭐️単行本版 顔タイプ診断®で見つかる本当に似合う服www.amazon.co.jp1,500円(2024年11月24日 0

『これからの世界をつくる仲間たちへ』

落合陽一さんの著書です。落合さんの本は、はじめて読みました。 恥ずかしながら、落合さんのこと全然知らなかったんですよね。TV見ないので。さすがに、顔と名前は知っていました。 現在37歳と、私よりも全然お若いわけですが、この本を書いたのが8年以上前というがまたまたびっくりです。 で、その落合さんがこの本を通して何を伝えようとされているのか? 一緒に学びましょう!💪 「仲間」を育てたい思いタイトルから想像できるとおり、メインターゲットは子どもたちです。サブとして、その親

著…サンドウィッチマン『敗者復活』

 諦めたくない夢があって長年頑張ってきたけれど、ちっとも芽が出なくて、ついに挫折してしまいそうな方におすすめしたい本。  結成から9年。  全然売れなくて、芸人としての収入はほぼゼロ。  とにかく慢性的にお金がない。  バイトを幾つも掛け持ちした。  全くウケず、笑い声がクスリとも聴こえないステージもあった。  ギャンブルにはまり、借金を抱え、何度も解散の危機があった。  二人で暮らした狭くて日当たりも悪いアパートは、鬱憤が溜まるのと共にゴミも積もっていった。

著…ギャル曽根『ギャル曽根の大食いHappy道 〜食べても食べても太らない〜』

 ギャル曽根さんのお母さんがいかにお子さんたちを愛して育ててきたかが伝わってくる本。  この本には、お母さんについての話が頻繁に登場します。  ギャル曽根さんのお父さんと離婚した後、頑張って働いて借金を返しながら子ども三人を学校へ行かせ、沢山ご飯を作ってくれて、躾もちゃんとしてくれて、とても褒め上手だった、と。  なかでも、  というくだりに、読んでいてハッとさせられました。  子どもにとっては、お父さんもお母さんも親。  だから、もしもどちらかがもう一方のことを

ひみつの本屋【見つけられるかな!?】

どこにある!? 見つけたけど中に入れない!? 今回の旅先、熱海市(静岡)にはそんな不思議な本屋『ひみつの本屋』があります。 この本に入るためには、お店のカギを見つける必要があり、ちょっとした探検気分を味わうことができます。 皆さんは見つけられるでしょうか? ○ひみつの本屋

【絵本感想】『 たまごのはなし 』

「 静かなキッチンに眠る、シュールなたまごの物語 」 👑第27回 日本絵本賞 大賞受賞の絵本👑 著:しおたにまみこ 出版社:ブロンズ新社 《 読書感想 》 シュールな絵本が読みたくなることありませんか? この『たまごのはなし』は、たまごとマシュマロのやりとりや冒険がユーモラスに描かれつつ、読み手にそっと問いかけてくれる物語です。 動くことの大切さ、話すことでつながる温かさ、多様性を認めることの難しさ。それらが優しく、だけど確か

小説の執筆をライブで観る

 今回は、以前に投稿した記事を加筆および再編集してお届けしております。長い記事なので、下の目次をご覧になり、興味のあるところからお読みください。盛りだくさんな内容になっています。 *小説の執筆をライブで観る  小説はどのようにして書かれるのでしょう? ただし、書店や図書館に置かれている小説に話を限定します。  作家さんが原稿用紙に向って、またはパソコンの画面に向って手と指を動かして書いているに決まっています。今のところはそのようです。これから先はわかりませんが。  作家

読書記録#7

休日、読書にかかりきりになっていると、かなりの物事を忘れる。食事はもちろん、着替えやお風呂も後回しにしてページを繰り続ける。読むペースは遅いので三日に一冊程度ではあるが、その日はずっと本の中にいる。休日、わたしは本の中に逃避している。 最近は琴線に触れた部分に付箋を貼っているので、読書記録をより詳しく書けると思う。長くなるだろうが、自分のために書いてみる。 『封印再度』森博嗣 森博嗣「S&Mシリーズ」の五作目。毎回のタイトルの英訳や、扉にある引用がとても面白い。ミステリに

読書感想文 | 夜と霧①

重たいテーマだったけど、思っていたより後味悪くなくて正直拍子抜けした。 むしろ、人によってはこの本は救いになってるだろうなという印象。 予備知識0に近い状態で読んだから、最初は収容所の恐ろしさや悲惨さについて書かれた歴史書であると思ってた。 けど、それだけじゃなくて、 本質的でないもの以外は全て苦痛に焼き尽くされた結果、見えてきた『人間の精神の自由』が描かれていて興味深かった。 少し長くなりそうなので、2回に分けて投稿します。 1.我々は人生に試されている とても、胸

読んで、張り巡らせるこころの根

サルスベリ 都わすれ ヒツジグサ ダァリヤ … 目次を眺めているだけで、草花に親しんでいた子どもの頃の記憶が呼び覚まされます。 オシロイバナで作る色水の透明感、種から出てくる粉の白っぽさ。 吹けば飛ぶたんぽぽの綿毛の軽やかさ、つくしを手折るときに耳にしたかすかな音。 ひろい集めた松ぼっくりや、どんぐりが並ぶ光景。 ヘビいちご、茱萸の実を口にした瞬間の、青い味。 そんなことを思い浮かべながら、この頃、眠る前に少しずつ読み進めていたのが、梨木香歩さんの「家守綺譚」です。

一語の宇宙 | winter(v)

 ニコラス・スパークス「きみに読む物語」(The NOTEBOOK)、講談社英語文庫、p118に次のような文が出てくる。 Some of the geese may winter here, but the swans will go back to Matamuskeet.  「winter」はここでは動詞(自動詞)として使われている。  リーダーズ英和辞典で調べると、 「冬を過ごす、越冬する、避寒する、冬眠する、冬をしのぐ」と出ている。  では、「summer」に

著…高橋拓也『仕事がはかどり暮らしが整う おうちワークの文具術』

 溢れんばかりの文具愛が伝わってくる本。  特に、自宅の一角を仕事や勉強のスペースにしている・したい方におすすめ。  文具を縦や斜めに収納することによって、使いたい時に「見つけやすい」「出し入れしやすい」デスク環境を整えるアイディアが載っています。  「会社のデスクまわりの参考にしたい」という方にもおすすめです。  ⭐️Kindle版  ⭐️単行本版

【読書感想文】ほぼ免疫のはなし。

 犬は猫よりネギ中毒になるって知ってました?私は知りませんでした。本を読むといろいろな発見があります。 「真夜中に猫は科学する」 エクレア教授が語る遺伝や免疫のふしぎ  猫じゃないので、理屈が難しくて理解出来ないところが多々ありました。しかし、全体的に科学の話が猫の語り口で軽妙にされており、読み進めることはなんとか可能でした。いちいち質問して真面目で積極的な猫さんばかりで、キャラクターが破綻しているのも味があります。 猫から学ぶ感染症予防  飛沫感染と、空気感染の違い

ユックリとジョジョニ

その朝、ウサギは目を覚ますと、夢の余韻を感じながら静かにカーテンを引いた。今にも泣き出しそうな空を見て、彼女はもう一度ベッドに戻ると、温かい毛布にくるまった。 その時、部屋の隅に置かれた小さな本棚が、なぜか自分を呼んでいるように感じた。気づけば足がそちらに向き、青い背表紙の絵本に手を伸ばしていた。 「こんなお天気の日は、物語の世界に旅しなさいってことね」ウサギは部屋着をふわりと羽織り、窓辺の椅子に腰を下ろすと、ゆっくりと最初のページをめくった。 森に住むその男の子の名前

監修…二間瀬敏史『理系脳をきたえる! はじめての相対性理論と量子論 タイムマシンって実現できる?』

 宇宙には、「ワームホール」と呼ばれる時空の抜け道があるかもしれません。  もし人間が通れる大きさの安定したワームホールを用意出来て、二つの出入り口を作り、その二つに時間差を作れたら、遠く離れた場所へ一瞬で移動したり、未来へいけるかもしれません。  まるで『ドラえもん』の『どこでもドア』や『タイムマシン』みたいに。  これは、そんな可能性について古今東西の科学者が行ってきた研究や、SF小説や映画について紹介している本。  相対性理論や量子論について、なるべく噛み砕いて

チ。地球の運動について@読書感想文

アニメになったとかで話題になっている上に、体調不良で寝込んでいる時に暇だったので、一気全巻に読みました。本屋に行かなくて済む電子書籍は素晴らしいです。 感想としては、「なかなか良かった」です。 まず、何がいいって8巻で終わっているところ。 僕はそこまで漫画をたくさん読んでいるわけでは無いですが、漫画に長期連載が多すぎる気がします。 正直、ここで終わっておいたほうがいいんじゃない?みたいなことが結構あります(今買って読んでるので言えば、不滅のあなたへ、とか、グラゼニ。H

辻村深月さんの『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』を読んだ感想・娘と母の永遠の悲しいすれ違い

『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』 『すべての娘は、自分の母親に等しく傷つけられている』 この小説を読んで一番印象に残った言葉だ。 あなたは友達のお母さんの方が自分の母よりもいいな、と思ったことはないだろうか? 『あの子のお母さんが私のお母さんだったら良かったのに』と思ったことは? 先日、私は高校時代の友人とたまたま母親のことが話題になった時に驚いたことがあった。 私の母は昔からしつけや しきたりにとても厳しい人だと彼女に話した時に 『きっちりしたお母さんで うらやま

【おすすめ本】偶然は子どもが石を蹴るように(コルタサル/石蹴り遊び)

今回紹介する本はとにかく変わった一冊。まずは書き出しをどうぞ。物語のふくらみが見事な、大好きな書き出しです。 アルゼンチンの作家フリオ・コルタサル(1914-1984)の「石蹴り遊び」。とにかく変わった構成のせいで、テーマが話される機会が珍しいほど。一言でいうと、これは二つの読み方がある一冊の本なのです。 今回は本書を「読み方」と「テーマ」に分けてご紹介します。長いけど(約3,000字)、文章がすごく良いので、引用部分だけでもぜひ。 ▼▼今回の本▼▼ 1. 読み方につ

対話がもたらす癒し『夜明けのすべて』(水鈴社)感想

瀬尾まいこさんの『夜明けのすべて』を読みました。今日は読書感想文。 一言で説明すると、困難さを抱えた若者ふたりのお話。 藤沢さん(女性)はPMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなってしまう。山添くん(男性)はパニック障害で電車に乗れないなどの悲しみがある。 そんなふたりが同志のようになっていくお話。 僕はメンタルダウンして3年間休職して、その後復職しました。でも、「とりあえず仕事はできているけどなんだか苦しい」という気持ちがしばらく続きました。 だから、病気

私は見たい。不登校の隙間にかかる虹を。

「え、ママ、私がいつどれだけ学校行ったか、そんなに厳密に把握してるの……?」 新たに記録を取り始めたノートを開く私に、少し警戒したような長女の反応。 ごめんね、きっと「管理」だと思ったよね。 あるいは「プレッシャー」だとも。 でも、違うんだ。 私が「虹」を見逃がしたくないからなんだよ。 我が家には、いわゆる不登校児がいる(念のため言っておくと、この事実は本人の了承を得てここに書いている)。いよいよ本格的に学校に行きにくくなって1年が経った。 だいぶ市民権を得た不登校

人生に対する最期の自己評価──『クヌルプ』読書感想文

私が10代の時に好んでいた小説は、「切り抜き」の物語が多かった。 大衆エンタメを意識した作品は、主人公の人生のハイライト場面にフォーカスして「切り抜かれた」ものが多い。 その主人公の生において、一番輝かしく劇的な一幕を切り抜くのは、受け手の心を躍らせ、喜ばせる物語を創造する上では当然だ。 当時、そういう話を好んで読んでいて、たまにふと思っていたことがある。 物語の中で大団円を迎えた主人公の晩年や死に際は、どうなんだろうなと。このきらめきがすっかり失われているのかな、と。 誰

感想 人生は地獄よりも地獄的である。芥川龍之介  地獄の2コマ名言集芥川龍之介が作品の中に残した名言を、動物たちの2コマ漫画とともに紹介しています。

芥川龍之介の名言集です。 本書の紹介のかわりに、作中の刺さった名言を紹介します。 阿呆(あほう)はいつも彼以外のものを阿呆であると信じている。 『河童』 我々の行為を決するものは善でもなければ悪でもない。ただ我々の好悪(こうお)である。あるいは我々の快不快である。 『侏儒の言葉』 どちらがほんとうの「正義の敵」だか、滅多に判然したためしはない。 『侏儒の言葉』 人間は、時として、みたされるかみたされないか、わからない欲望のために、一生を捧げてしまう。 『芋粥』 人生

読書感想文〜「書店員は見た!」

「書店員は見た!本屋さんで起こる小さなドラマ」 森田めぐみ・著(大和書房 2024) 書店で、店員さんにおすすめ本を尋ねたことはありますか? この本は、書店で働く著者が、お客さんにすすめた本を、そのエピソードとともに、書かれているブックガイドで、 雑誌「サンキュ!」の連載(2018年ー2023年)を、まとめたものです。 で、これ、本好きな方に、最高におすすめです! 全59話で、各2冊ずつ紹介されているので、ザックリ100冊くらいの本が選ばれていますが、その紹介されてい

作・絵…宮西達也『おまえうまそうだな さよならウマソウ』

 たとえ姿かたちは違っても、仲良しになれる。  家族になれる。  愛しているからこそお別れをしなければならない日がきたとしても、決して忘れることはない。  そんなことを教えてくれる、心あたたまる絵本です。  とても素敵な絵本ですが、読むタイミングにはくれぐれも注意が必要です。  「この後、人と会う予定がある」という時は読まない方がいいです。  なぜなら、目が赤くなってしまうから…。  わたしはこの絵本がこういう結末を迎えることを望んでいませんでした。  愛ゆえ

じんわり温かなお話でした。この世には気の合う人も合わない人もいるけれど、それは国や年齢や性別で区別するものじゃない。なんのラベルもなく、ただその人と向き合いながら生きていける世界にいたいなと思う。まずはわたしの目から、差別や区別や思い込みを無くす努力をしていこう◎

話半分、腹八分

読んでた本にあった一節。 上手い話、と言うより私はどちらかと言うと、文句とか愚痴とかマイナスの話をよく聞く。 自分の行いに対して叱られたり文句を言われたりしたら、「ああ、私だめだな。この人私のこと嫌いなんだな。もうこの人に会いたくないな。」って落ち込む。 誰かの愚痴を聞けば、「ああ、あの人はそう言う人だったのか」と鵜呑みにしてしまいそうになる。 こう言う時に私は「話半分」を思い出したいなと思った。 言われた側はずっと引きずってしまうのに対し、言った側は大抵すぐに忘れ

追悼・谷川俊太郎の「詩ってなんだろう」から学ぶ詩の魔法

はじめに  谷川俊太郎が亡くなって淋しい。ずっと生きているような気がしていた。寂しがってもしょうがないので谷川俊太郎の詩を読み返した。  谷川俊太郎の詩は子供から大人まで老若男女を問わず楽しめる。 その理由が、谷川俊太郎の「詩ってなんだろう」の本の中にあった。  この事は、音楽や絵画、映画や写真、エッセイや小説などのすべての表現に通じる事のように思える。良質の表現に出会うとは、心が広がり、身体が喜び、私たちは生きる力を得る。  だけど、どのように作れば、作品がそのような

隼雄っちに学ぶ、闇とたましいの話。

河合隼雄先生。 「隼雄っち」なんて、軽々しく呼び捨てにしてしまい、すみません。 お会いしたこともないのに、なんて失礼なんでしょうか。 でも、〜っちと親しみを込めて呼びたくなるくらいには、自分の近くにある(と言うよりは、居る?)、と思い、呼ばせていただきました。 けいさんの記事で、河合隼雄先生を語るマガジンの存在を知りました。 私も隼雄先生の『こころの処方箋』を手に取り、久しぶりに読み返したいなと思っていました。 先日、やっとページをめくり、読むことができたので、感想や

2024年おすすめ本②

「カラマーゾフの兄弟」ドストエフスキー 亀山訳 読むのに2週間要したが、読んで良かった!と心から思える本。 光文社古典新訳だけあって、思いのほか読みやすかった。 読書ノートを振り返ると11ページ分になっていて驚き。 この本に関しては、 ぜひ読んでみてほしい、以上!としか言いようがない。 哲学的に考えると、どこまでも難しくなる物語だが、「父を殺したのは誰か?」という大きな謎があるので、つい先が気になってしまう。 登場人物も主役はもちろん、脇役に至るまで皆生き生きとしているの

<つぶやき読書> 「耳に棲むもの」小川洋子著 耳と補聴器セールスマンとのお話。 音楽のようにゆっくりと心に染み入るお話。 小川先生じゃないと描けないかもしれない独特の 世界観 表紙がキラキラしていてステキです! ~読書感想をショートでつぶやく~

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』13 第二編「七 出世主義者の神学生」

ここは、ぐったり疲れて休んでいる長老の傍にいたアリョーシャが、促されて家族のいる場所に向かう途中に、「出世主義者の神学生」であるラキーチンにあれやこれやと言われて、辟易していると、ひと悶着あった家族が出て来て、ありゃりゃー、となる節である。 ラキーチンのことを私はあんまり好きではないのは詮索好きで介入好きのように感じられるからである。ほっとけよ、と思うけど、この人は、おせっかいというかいっちょかみしたいのか、あれやこれやとアリョーシャに言って来る。こういう人がちょっと苦手だ

言葉がとめどなくリアルを伝えたがるんだ|ハリケーンの季節|Review

うるわしき30代の一時期、ラテンアメリカ文学にハマっていたことがある。図書館の海外文学コーナーにあるラ米の小説を全部読み、集英社文庫の「ラテンアメリカの文学」シリーズを何冊も集め、古本屋で関係書を見つけると財布と相談して買うといった具合に、結構な数を読んだ。野谷文昭の半分思想書のような解説書も買ってフムフムと読んだ。 何を言わんとしているのかよくわからない本もまあまああったが、総じてラテンアメリカ文壇はバイタリティ豊かで、いろんな記述の挑戦を受け入れる先鋭的な風土があったと

ビザンツの鷲(著:斉城 昌美)【読書紹介よ、どのみちお前に生き残るすべはないのだ「元より承知の上」ならなぜ戦う「一人でも多く道連れに地獄へ落ちるまで」ぐっ】

東ローマ帝国もといビザンツ帝国。 そのイケメン貴族が、仲間たちと共に、 東方世界に旅に出た。 ロードス騎士団の流れ者に守られたり、 カラコユンル(黒羊朝)の一門と知り合ったり、 謎の宗教団体に狙われたり。 そんなこんなしながら、 ティムール帝国第3代皇帝シャールフの都にまで行く。 まあしかし、時は歴とした中世であるので。 皇帝というより、お殿様とか将軍様とかの方がイメージが近い。 帝都といっても殿様のいるところが帝都だ。 (シャールフの都はヘラートだ) ともかく、イス

何度も読み返したい本①

リーダーを目指す部下の心構え勇気づけられた言葉 何度も読み返したい本①は、 岩田松雄(2021)『「君にまかせたい」と言われる部下になる51の考え方』 である。 私は幸いにも著者の講義を聞く機会があり、 そこで聞いた一言が、今でも忘れられない。 迷いや悩みは決してマイナスのものではない 51番目に書かれている最後の考え方だ。 この言葉を聞いた時、 心がスーッと軽くなった! 目標に到達できなくて、 悩み苦しんでいる自分は、 間違っていなかったんだ、と思えた。 この時

自分が考えていたことが本に書かれていると嬉しい!

今、オースティン・クレオンの『クリエイティブと日課』を読みながら新幹線に揺られているのですが、 まだ読み終わっていないけれど既に人生のバイブルにしたいくらい良いことがたくさん書いてあって興奮しております。 クレオンの違う本の読書レポはこちら▼ それから、それに影響を受けた話はこっち▼ 今読んでいる本の何にそんなに感動したのかというと、 自分がまさにここ数ヶ月悩んで、色々考えた末に実践していることを全部肯定してくれるようなことが書いてあったからです(笑) その言葉とは、

今週読んだ本ランキングBEST7。【11/18-11/24】

小説も映画も、金のため?売れる小説。  ここ最近は、ベストセラーと言われる小説を中心に読んでいる。なんとか大賞とか、そんなやつ。つまらない。本当につまらない。どんでん返しとか伏線回収とか、わかりやすい面白さだけを詰め込んで、読者を依存させているようにしか思えない。  例えるならジャンクフード。確かに美味しいんだけど、それは刺激があるだけで、深みも繊細さもあったもんじゃない。そういう小説ばかり売っていると、短期的にはいいかもしれないが長期的には酷い目を見る気がしてならない。

「13歳からのアート思考」を読んで|読書感想文

著者の末永幸歩さんは美術の先生である。わたしがこの本を読みたかった理由はサブタイトルに惹かれたからだ。 自分だけ、自分さがし、自分らしさ、とかの言葉に反応してしまう。 感想鮮やかなクロードモネの睡蓮のページではじまる。 美術館にいるつもりでご鑑賞くださいと書かれている。 4歳の男の子は絵をみて「蛙」がいると答えた。実際のところ、モネの睡蓮の絵には蛙は描かれていない。 男の子はそのあと、蛙は水にもぐっていると答えた。 小学校では図工が人気科目の第3位だそうだ。しかし、

【ブックレビュー】杉森くんを殺すには

 中学生向けの読書感想画コンクールの指定図書になった一冊。  いわゆる児童書である。  なるほど、確かに読みやすい文体であった。軽い文体に刺激的なタイトルなので、ライトノベルよりの作品かと思ったが、いやいや内容の方は自分と他者、主観や客観と言った普遍的なテーマを扱っていた。 あらすじ  それにしても、読書感想画というのは私の時代にはなかったものだ。本を読んでその感想やイメージを絵にする課題なんて、絵の苦手な私からしたら難題そのものである。  苦手ではあるが面白い試みだと思

【感想】書籍「黒猫を飼い始めた」

「黒猫を飼い始めた」講談社編 会員制読書クラブ「メフィストリーダーズクラブ」の有料会員コンテンツ「MRCショートショート」で公開された26編の作品集。一作品3000文字ほど。 つまり、上記会員になれば、この本を購入しなくとも、全作品読めるわけです。私は会員ではないので、本を読みましたけどね。 全ての作品が書籍タイトルである「黒猫を飼い始めた」で始まります。 黒猫のモチーフのせいか、メフィストの作風からか、ミステリーが多い印象でした。あと、ホラーもちらほら。このところ、

『虐げられた人びと」 ドストエフスキー  感想文

今、この長編を読み終えて放心状態だった。テレビの画面からMVPに選ばれた大谷選手ご夫妻が満面の笑みで映し出された。大変なご苦労の上の栄誉であると思われるが、そこには全ての幸福が集約されているように目に飛び込んできた。 この小説の準主役とも思われる孤児ネリーが、母の死を前に祖父を呼びに全力で走るシーン。杖をつきながらおぼつかない祖父と共に懸命に急ぐ。馬車に乗りたくても二人ともお金がないというそのあまりに貧しく切ないシーンに心抉られた。 読み終えてすぐ見た目の前の幸福な映像と小

著…エドワード・ゴーリー 訳…柴田元幸『青い煮凝り』

 無名のオペラ歌手。  彼女に恋焦がれた男性・ジャスパー。  これは二人の悲劇の物語。  出逢ってはいけない二人が出逢ってしまったから…。  ※注意  以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。  …と言っても、彼が一方的に片想いをしていただけ。  彼女にとって、彼はファンの一人に過ぎません。  少し、『オペラ座の怪人』を彷彿とさせるストーリーですよね。  しかし、あの怪人とは違って、彼には憧れの歌手を支える音楽の才能はありません。  お金も

【読書】世にも美しいエッセイ集『詩と散策』ハン・ジョンウォン

「わたしは11月を偏愛している」そんな素敵な一文で始まるエッセイが掲載された本、『詩と散策』をいただいた。 ところで11月を愛する人は、わたしもそうなんだけど、ほぼ間違いなく11月生まれなんじゃないかと思う。 だって他の月に生まれて、11月が好きだなんてことは、まず思わないような気がする。11月にはこれといった行事もなくて、地味で、なんだか寂しい印象のある月だから。 他の月なら違う。3月生まれじゃないのに3月を好きな人はいそうだし、薔薇が咲き誇る5月がいちばん好きという