月星真夜(つきぼしまよ)

夜明けって素敵だと思いませんか? 新しい一日が始まるあの瞬間、目覚める世界の音を聞くの…

月星真夜(つきぼしまよ)

夜明けって素敵だと思いませんか? 新しい一日が始まるあの瞬間、目覚める世界の音を聞くのが大好きなんです。なにげなく過ごしている今日を、優しい物語に出来ますように🍀.*

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ウサギの自己紹介

こんにちは!元気いっぱいのウサギです。 いつも読んでくれてありがとうございます。ここで自己紹介をさせてくださいね。 私はいつも何か新しいことを見つけては、ワクワクしながら飛び込んでいます。「退屈」という言葉は私の辞書にはありません。時に人は私をちょっと無謀だと思うかもしれませんが、私にとって毎日は楽しい冒険なんです。 夜明けって素敵だと思いませんか? 新しい一日が始まるあの瞬間、世界の目覚める音を聞くのが大好きなんです。その時、今日一日に何が起こるのかなんて、誰にもわから

    • 地球に舞い降りた宇宙猫

      その日、ウサギとカメは銀座で見た「宇宙猫」に導かれ、岡本太郎記念館へ向かっていた。洗練された表参道の街並みを後にし、館内に足を踏み入れると、瞬く間に異世界への旅が始まった。 展示室に入ると、「BIG CAT BANG 宇宙猫の大冒険」と題された映像が目に飛び込み、二人は思わず立ち止まった。ウサギはその映像に目を奪われ、カメもゆっくりとその世界に引き込まれていった。 「始まりは爆発だ。爆発のあと、無数の宇宙船『LUCA号』が宇宙のかなたへと散っていく。その宇宙船に乗っている

      • 備えあれば憂いなし

        「おはようございます!『ウサギのティースプーン』の時間です」小さなラジオブースの中で、ウサギはいつものように元気な声で番組を始めた。 「次の質問は、ラジオネーム『備えは万全のカメさん』からです。『ウサギさんは日頃から災害に備えていますか?』という質問をいただきました」 「防災のことなら私におまかせあれ! 実は先日、『気象科学館』に行ってきました」ウサギは目を輝かせながら、待ってましたと言わんばかりに話し始めた。 「まず大切なのは、災害の本質を知ることです。これが分からな

        • スースーとネルネル

          その夜、ウサギはベッドの中でじっと天井を見つめていた。窓から差し込む月明かりが、部屋全体を柔らかく包み込むように照らしている。彼女の瞳はいつの間にか暗闇に慣れ、静かに夜の静寂を見つめていた。 今日も一日、精一杯やり遂げたはずなのに、なぜか今夜はまぶたが重くならない。体は疲れているはずなのに、頭の中は何かを探し続けているようだった。 彼女は深く息をついて、そっとベッドを滑り降りた。足音を立てないように小さな本棚の前に立つと、一冊の絵本に手を伸ばした。 「眠れない夜にはこの本

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        • ティースプーンのお部屋
          9本
        • アスリートのお部屋
          12本
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          43本
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          33本
        • 図書館のお部屋
          15本

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          月明かりと魔法の夜

          「十五夜のお月さまを見るなら、一番高いところがいいわね。」ウサギが楽しげに言うと、カメは少し遅れて視線を上げた。そこには、煌めく東京タワーが静かに佇んでいた。 「えっと、一番高くはないよね?」カメが呟くのを、ウサギは聞こえないふりをして、真っ直ぐ外階段に向かった。 「今日だけ、十五夜限定で外階段から登れるのよ。逃すわけにはいかないわ!」ウサギは、宝物を見つけた子どものように満面の笑みを浮かべていた。 お月さまを見上げながら、二人はゆっくりと外階段を登っていった。メインデ

          二つの月に願いを込めて

          その日、ウサギとカメは下北沢の古着屋を訪れていた。ウサギは「そろそろ長袖が欲しいの」と呟きながら、鏡の前で自分の姿を確認しては、眉をひそめたり、口元に微笑みを浮かべたりしていた。 ウサギは、買ったばかりのシャツを抱え、浮かれた気分で街へ飛び出した。軽やかな足取りの彼女は、ふと、風に揺れる案内表示に目を留め、自然と足を止めた。 「ムーンアートナイトって何かしら?」 彼女は眉を寄せ、まるで秘密を探るみたいに首をかしげた。 さらに歩を進めていると、ウサギは、ふと違和感を覚え足

          二つの月に願いを込めて

          真夜のお誕生日

          その日、ウサギとカメは新宿の街をふらりと歩いていた。「ここだよね?」ウサギは隠し扉のようなエレベーターを見つけて、上に行くボタンをそっと押した。 アクアリウムダイニングに入ると、青い水槽がいくつも並んでいて、その澄んだ水の光が二人を静かに包み込んだ。 いや、二人ではなく、この場にはもう一人、少し場違いな雰囲気を纏い、落ち着かない様子でそわそわと座っている人がいた。二人の間に挟まれた真夜は、普段とは違うよそ行きの服を着て、どこか緊張した面持ちだった。 「真夜さん、お誕生日

          おすしが ふくを かいにきた

          夕陽が差し込む窓際の閲覧席でカメが静かに物語を読んでいると、笑顔のウサギが息を弾ませてやってきた。 「やっと借りられたわ!」 ウサギが胸に抱えていたのは、「おすしが ふくを かいにきた」という絵本だった。彼女はカメの横にちょこんと座ると、そっとページをめくり始めた。 「このお話、『おすし』さんが服を選びにお店にいくのよね。『思い切ってトロにしようかな』って言ってたと思ったら、『やっぱりいつものタマゴにする』って。めっちゃ笑える!」 「しーっ。図書館では静かに…静かに…」

          おすしが ふくを かいにきた

          きっと未来の友だち

          その日、図書館の閲覧席で、ウサギは一冊の本にすっかり夢中になっていた。「いいなぁ、私もロボットとお友だちになりたいわ」 ウサギがふと口にした言葉に、隣で本を読んでいたカメが顔を上げた。「あ、『ロボット・カミイ』だね。カミイって、人間っぽいところがあって、つい好きになっちゃうよね」 カメは読んでいた本を閉じ、少し考えを巡らせると、微笑みながら立ち上がった。「ロボットに会える場所なら、心当たりがあるよ」 神谷町駅で電車を降りると、二人は「みなと科学館」へ向かった。館内に入る

          ふしぎな500のぼうし

          ウサギは部屋の窓越しに、ぼんやり空を見上げていた。空は灰色の雲で覆われ、風に乗って細い雨が線を描くように降り注いでいる。「今日は雨なのね…」彼女はそっとつぶやきながら、長い髪を指先で掬い上げた。 「こんな日は、心が動かされる不思議な物語が読みたいわ」彼女はそうつぶやくと、部屋の隅にある小さな本棚から一冊の絵本を手に取った。 古びた帽子をかぶった少年、バーソロミューが「つるこけもも」を売りに町にやってきたところから物語は始まる。その時、突然王様の護衛隊長が現れ、「みんな、帽

          変幻自在なコラボの世界

          「ねえ、見て! あれ金魚だよね?」 その日、ウサギとカメが国立新美術館に到着すると、ウサギは興奮した様子で、目の前に現れた大きな金魚を指さした。 「まだ展示場に入っていないのに、もう圧倒されちゃうね」キラキラと目を輝かせるウサギの隣で、カメはゆっくりと顔を上げて、その大きな金魚を見つめた。 ウサギとカメが飛び込んだのは、「田名綱敬一 記憶の冒険」の世界。プロローグの間で飾られた「百橋図」を目にした時から、絵が放つ強烈なパワーの前に、二人はただ立ち尽くすしかなかった。

          変幻自在なコラボの世界

          優しい恐竜に会える街

          図書館の閲覧席で、ウサギは絵本をめくりながら大粒の涙を流していた。「宮西達也さんの『あいしてくれてありがとう』…もう、なんて切ないの。恐竜がこんなにも優しいなんて知らなかったわ」 ウサギはハンカチで目頭を押さえながら、隣に座っているカメの袖を引っ張った。 「ねえ、ティラノサウルスに会える場所って、どこかにないかしら?」 「恐竜の本なら、たぶん分類番号457.8のところにあると思うけど…」とカメが言いかけると、ウサギはぷくっと頬をふくらませた。「私、本じゃなくて本物に会いた

          優しい恐竜に会える街

          ぼくを探しに

          薄い雲が広がり、気持ちが少ししっとりしている昼下がり、ウサギは本棚から一冊の絵本を取り出した。久しぶりに手にした感触に微笑みながら、表紙を細い指でなぞりつつ、ゆっくりとページをめくり始めた。 絵本といっても、それは、白いページに黒い線で「まる」が描かれているだけのシンプルなものだった。 しかし、よく見ると、その「まる」には目があり、体には隙間が空いている。「まる」である「ぼく」は、その隙間を埋める「かけら」を探すために旅に出るのだった。 「旅を始めたときの『ぼく』の気持

          未来のかけら

          図書館の静かな閲覧席で、カメは本の世界に入っていた。ふと気配を感じて顔を上げると、ウサギがそばに立っていた。彼女の瞳はいつものように輝いていて、しかしどこか不安げだった。 「私、未来がどうなるのか知りたいの」 カメは少し驚いたものの、やがてその表情が柔らかい微笑みに変わった。「未来が知りたいなら、占星術の本があったと思うよ。確か分類番号148.8の書架に…」 ウサギはカメの言葉に首を振った。 「ううん、そういうのじゃないの。これからの世界がどうなるのかが知りたいの」

          仮面舞踏会

          その日、カメが図書館に足を踏み入れると、ふと目に留まったのは、書架の陰で真剣な表情で本のページをめくるウサギの姿だった。 カメは足音を立てないようにそっと近づき、静かに声をかけた。「ウサギさん、分類番号798の書架で何を読んでいるの?」 ウサギは顔を上げ、少し驚いたようにカメを見つめた。「あ、今度、謎解き検定を受けようと思ってね。それで、その問題集を探していたところなの」 カメは少し迷った表情を浮かべた。 「実は、ここに謎解きの絵本があるんだけど、忙しそうだからまた今度

          地下都市を走る風

          図書館からの帰り道、ウサギは駅へと急ぐ足をふと止めた。見慣れたはずの街並みが、いつもと少し違って見えたのだ。 「なんだろう、この感じ。今まで全然気にしてなかったけど、マンションの形とか、お店の看板とか、街全体にデザインが溢れているように見えるわ」 ウサギの言葉を聞いて、隣を歩いていたカメも足を止めた。「公共の空間をアートの舞台に変えた展覧会があるんだけど、今からちょっと見に行ってみない?」 二人は外苑前で電車を降り、ワタリウム美術館へ足を向けた。館内に足を踏み入れると、