夏樹

京都在住。1989年生まれ。 趣味は読書と喫茶店めぐり。 コーヒーとパンと甘いものが好き。 日々考えたことや、読んだ本の感想などを綴っています。

夏樹

京都在住。1989年生まれ。 趣味は読書と喫茶店めぐり。 コーヒーとパンと甘いものが好き。 日々考えたことや、読んだ本の感想などを綴っています。

マガジン

  • よしなしごと

    色々と考えたり、思ったりしたこと。

  • 本のこと

    本にまつわるあれこれ。

  • 働くこと

    働き方や、仕事をするなかで思ったことなど。

  • 食べること

    おやつやモーニングなど、食にまつわるお話し。

最近の記事

  • 固定された記事

ながめているだけで嬉しくなる本棚。

ここ数日、雨降りの日が続いてますね。 なんとなく気持ちが沈みがちだったので、気晴らしをかねて本棚の整理をすることに。 整理をしている途中で、そういえばnoteのお題に「わたしの本棚」ってあったなぁ、せっかくだし、写真を撮って記事を書こう!と思い立ちました。 本棚、といっても三段ボックスを横に置いて、その中に本を収めています。 なぜか引越しの多い人生なので、そこに入る分しか本は持たないと決めたのです。 手元に置くかどうかの判断基準は、繰り返し読みたいと思えるかどうか。なの

    • ゆっくりと、ひとつひとつのことに向き合って。

      夜明け前に、玄関を開けて表へ出ました。 西の空を見ると、満月が白い光を放ち、まわりの薄い雲が虹のような色を帯びています。 思わず見惚れてその場にたたずんでいると、月の下方にあった黒い雲がゆっくりと動いて月を隠していくのですが、薄雲の彩りは消えません。 月が完全に隠れるのを見届けてからその場を離れ、それだけの光景を目にしたことに、満ち足りた気持ちを抱いたのです。 自分でもびっくりするぐらい、わたしはマルチタスクが出来ません。 たとえば、音楽を聴きながら本を読む、料理をする、あ

      • ずっと本を並べていたい。〜本屋さんを開くなら〜

        本から本へと、渡り歩いていく。 読書を長いあいだ続けるうちに、そんな経験を重ねてきました。 たとえば、堀江敏幸さんの「回送電車」の中におさめられている追悼文を読んだことがきっかけで、須賀敦子さんの作品を読むようになったこと。 恩田陸さんの「三月は深き紅の淵を」の第一話では、登場人物達が思い思いに読書を楽しむのですが、その中に出てくる"森茉莉"という作家の名前の美しさに心を惹かれて、「私の美の世界」を手に取った後、彼女の父である鷗外や、妹の小堀杏奴の作品にもふれたこと。 星

        • 気ままなお散歩、出町柳。

          夜明け前、新聞を取りにおもてへ出る 澄んだ空気は冷たくて、 空を見上げればくっきりと見える星 "今日はお散歩日和になりそう" 朝ごはんを食べて 掃除や洗濯をすませたら出かけよう 柳の緑に誘われて 目指すは、"出町柳" 電車をおりたら、 まずはパン屋さんへ 柳月堂で くるみパン レーズンパン あんパン をお買い上げ 丸っこいパンが手さげかばんの中で 揺れるのを感じながら歩く河合橋 出町デルタの飛び石を渡る人を眺めるのが好き 出町橋を渡って右に折れると見えてくる "C

        • 固定された記事

        ながめているだけで嬉しくなる本棚。

        マガジン

        • よしなしごと
          37本
        • 本のこと
          29本
        • 働くこと
          5本
        • 食べること
          10本

        記事

          未来なんて無いと、思っていたけれど。

          ミキサーボウルの中で、砂糖と空気をふくんだバターが白っぽくなっていく。 それに少しずつ卵液を加えながら、乳化する様子を見つめているとき、ふと、"わたしは、どうしてここにいるのだろう?"と思うことがあります。 今、わたしは京都で暮らしていて、お菓子づくりに携わる仕事をしています。 生まれ育った大分から遠く離れた京都。 ここは、"好きだから"という理由だけで、うつり住んできた町。 そして製菓の仕事も、京都への転居にともない、全くの未経験から飛び込んだのです。 こうして書くと、

          未来なんて無いと、思っていたけれど。

          シールとペンと。愛でたい、小さなもの。

          文房具が好き、という思いを記事にしてから約一カ月。 この記事を書いたことで、自分の"好き"という気持ちをあらためて確かめることができました。 お休みの日に文房具屋さんを目的地にして出かけたり、 百均でのお買い物のついでにシールコーナーに立ち寄ったりするようになり、文房具を集めることが趣味といえるようになったかな、なんて思う今日この頃。 先日もLOFTへ行ってきたのですが、文房具売り場に気がつけば長時間滞在してしまい、ふと時計を見て驚きました。 時がたつのを忘れてしまうぐら

          シールとペンと。愛でたい、小さなもの。

          日記を書くこと、読むことの不思議さ。

          残業が長引き、ふだんよりも家に帰るのが遅くなった夜のこと。 鶏肉とピーマンを甘辛く炊いたものの上に、五香粉をふりかけたつもりが、ふわっとシナモンの香りが漂いました。 「あっ、間違えた」 思わず口にして手を見れば、握っているのはシナモンの瓶。疲れているな、と思いながら気を取り直して上から五香粉をふりかけると、"あれ?これはたいして間違えてないのでは…"という考えが浮かびます。 ひとくち食べてみて、これはむしろ正解、と可笑しくなった後、思ったのです。 "あ、これは日記だ"、と

          日記を書くこと、読むことの不思議さ。

          虹のような儚い煌めきを、伝えるように。

          先週の木曜日に記事を公開してから、今日までの一週間のあいだに、何度か記事を書こうとしたのですが、そのたびに手が止まってしまいました。 書きたくない、ではなく、書くことが思い浮かばない、でもありません。 怖い、と感じてしまったのです。書くことが。 きっかけは、先週書いた喫茶店のモーニングについての記事が、note公式マガジンの"今日の注目記事"に選ばれたこと。 このマガジンに選ばれたのは今回が二度目なので、どの程度の反響があるのか、何となく予想はしていました。 けれど、予想

          虹のような儚い煌めきを、伝えるように。

          珈琲とモーニング。心の洗濯。

          "今日は、どのお店のモーニングに行こうかな?" 数年前からコーヒーが大好きになり、時間を見つけては喫茶店やカフェに向かうようになりました。 特に、トーストやサンドイッチとの組み合わせが好きで、朝型の生活をしていることもあり、モーニングの時間帯に訪れることが多いです。 五時に起きて、あれこれと家事をしていると、十時過ぎにはおなかが空いてしまうのですよね。 喫茶店のモーニングに出会ったのは、十代後半の頃。 大分県から大阪府へ引っ越したばかりのある日、母親から、"今日は喫茶店で

          珈琲とモーニング。心の洗濯。

          書皮と鴨葱。新しい本屋さんへ。

          先日購入した「暮らしの手帖」の最新号(第5世紀32号)の中に、"書皮の心意気"と題された特集があり、各地の本屋さんオリジナルのブックカバーが紹介されていました。 ブックカバーのことを、"書皮"と呼ぶのですね。 寡聞にしてわたしは知らなかったのですが、美しい呼び名だと感じました。 特集では、新しく開店した本屋さんのカバーも数点紹介されていて、その中に『鴨葱書店』という名前を見つけたのです。 "鴨葱って、ユーモラスで良い名前だなぁ。お店の場所が京都市になっているけれど、全然知

          書皮と鴨葱。新しい本屋さんへ。

          失った煌めきを求める、物語。

          題名も作者名もあらすじさえも知っているのに、読んだことのない小説。 ふだんの読書では、国内の作品を読むことが多いので、海外文学の、いわゆる"古典"と呼ばれる作品の中には、そんな小説がたくさんあります。 フィッツジェラルドの「グレート・ギャッツビー」も、その中のひとつだったのですが、myさんの記事を読んで心を惹かれ、手に取りました。 myさんの記事にコメントを送った後で思い出したのですが、わたしも二十代の頃に読もうとして、一度挫折しているのですよね。 翻訳された作品を読むと

          失った煌めきを求める、物語。

          忘れたいこと。忘れたくないこと。

          自分の年齢が、芥川龍之介の享年に追いついたことに、先日ふと気がつきました。 気がついた瞬間に思い出したのは、高校2年生のある日の出来事。 放課後の教室で数人が集まり、問題集を解きながら、お互いにわからないところを教え合っていました。 問題文を読むのに集中していたところ、 「いいなぁ。わたしと違って記憶力が良くて。  うらやましいなぁ」 という声が聞こえてきたのです。 級友からそんなことばをかけられたのは、聡明で快活なクラスの中心的存在の子。 英語の発音がとても綺麗だった

          忘れたいこと。忘れたくないこと。

          やっぱり、"文房具"が好きだから。

          仕事中に使っているボールペンのインクと、ノートがもうすぐなくなりそうだったので、文房具屋さんへ足を運んだときのこと。 ふだんなら、"いつもと同じもの"を選ぶのですが、その日は、"せっかくだから、今まで使ったことのないものを選んでみようかな?"という考えがふと浮かび、売り場をぐるりと一周してみることにしました。 以前からなんとなく感じていたのですが、ひとつひとつの商品をじっくりと眺めていると、文房具の種類はとても豊富になっていて、使い心地が良いものも増えているのだな、と改め

          やっぱり、"文房具"が好きだから。

          ページの上に、ひろがる色彩。

          先日も本についての文章を書いたばかりではあるのですが、実は、このごろ思うように本を読むことができていません。 職場でちょっとした環境の変化があったせいなのか、とにかく、すぐに眠たくなってしまいます。 眠る前に本を読もうとしてページを開いても、いつのまにか船を漕いでしまうのですよね。 以前はそんなときでも無理をして読み進めようとしたものですが、今は体の声に耳を傾けるように心がけています。 "のんびり、ゆっくり読んでいけば良いよね" そんな気持ちで、先日購入したばかりの長田

          ページの上に、ひろがる色彩。

          好きなもので、継いでいく心

          米油をひいたフライパンのうえで、細く切ったエリンギのふちから徐々にこんがりと焼き目がついていくのを見ながら、"食べものに焼き目がついていく様子を見るのが、好きだなぁ"と思った今日の朝。 この頃、自分でも知らなかった"わたしが好きなもの"、に気がつくことが増えました。 それはたとえば、窓から景色を眺めること、急須でお茶を淹れること、書き心地の良いペンで手帳に文字を綴るとき、お皿を洗っているときにふいに現れるシャボン玉を見る瞬間。 ことばにしてしまえば、ほんとうに何でもない

          好きなもので、継いでいく心

          風が吹き抜けていくような、本への思い

          先日、本屋さんで手にして、思わず笑みがこぼれてしまったのが、高山なおみさんの「日々のことこと」。 題名を目にしただけで、台所に広がっていく美味しそうな香りと、湯気のあたたかさを感じられます。 水縹色にうすく翠を溶かし込んだようなカバーの色。 散らされた模様も白かと思いきや、目を凝らせば黄色や桃色がほのかに滲んでいるのです。 小さな判型、天アンカット、バーコードの無い本体。 すみずみまで製作に携わられた方々の愛情に満ちていて、こういう本が読めるのはやっぱり幸せだと感じます。

          風が吹き抜けていくような、本への思い