2024年おすすめ本③
「ずっとお城で暮らしてる」シャーリィ・ジャクスン
〈あらすじ〉
あたしはメアリ・キャサリン・ブラックウッド。姉のコンスタンスといっしょに、他の家族が皆殺しにされたこの屋敷で、ずっと暮らしている……。惨劇の起きた資産家一族の生き残り。村人から忌み嫌われ、外界との交流も最低限に止める彼女たちは、独自のルールを定めて静かな生活を送っていた。しかし従兄チャールズの来訪をきっかけに、美しく病んだ箱庭世界は大きな変化をむかえる。“魔女”と称された異色作家が、超自然的要素を排し、無垢な少女の視点から人間心理に潜む悪意が引き起こす恐怖を描く代表作。
(BookLiveあらすじより)
〈感想〉
幻想的で中毒性のある世界観を味わえた。
毒殺事件を起こした疑いをかけられ、古びた美しい屋敷に身を潜めて暮らす姉妹。
俗世間との関わりを排除して生活しているからか、姉妹は実年齢より幼く感じた。
特に妹のメアリ・キャサリンは異常行動や妄想が目立つ。
姉妹の甘やかな狂気と村人たちの排他的悪意が対をなし、じわじわと毒に侵されるような恐怖感がある。
作中では村人たちが姉妹を囃し立てる歌が何度も登場する。
「メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん
とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット」
この言葉と姉妹の密やかな笑い声が、読了後しばらく脳内にこだましていた。