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著…サンドウィッチマン『敗者復活』
諦めたくない夢があって長年頑張ってきたけれど、ちっとも芽が出なくて、ついに挫折してしまいそうな方におすすめしたい本。
結成から9年。
全然売れなくて、芸人としての収入はほぼゼロ。
とにかく慢性的にお金がない。
バイトを幾つも掛け持ちした。
全くウケず、笑い声がクスリとも聴こえないステージもあった。
ギャンブルにはまり、借金を抱え、何度も解散の危機があった。
二人で暮らした狭くて日当たりも悪いアパートは、鬱憤が溜まるのと共にゴミも積もっていった。
若さもなければ、コネもない。
そんな中、『M-1グランプリ2007』で、なんと大会史上初の敗者復活枠から優勝。
これは、そんなサンドウィッチマンの軌跡を綴った自伝です。
この本から、二人の苦悩や努力はもとより、周りの人たちの応援のあたたかさも伝わってきて、胸が熱くなりました。
わたしは特に、二人の出会いをそれぞれの視点で描いているところにグッときました。
伊達さん目線はこう。
(中略)ラグビー部の仮入部の日。
同じ1年生だった富澤の隣に立った。
これが、富澤に会った、最初の瞬間だ。
同じクラスじゃないし、まったくの初対面だった。ちなみに僕と富澤は、高校の3年間で一度もクラスメートになったことはない。
第一印象は、僕と似たような体型の男が1年生にいるなぁということ。
そしたら、あいつがいきなり肩を組んできて、
「なあ、スパイクを一緒に買いに行こうよ」
って馴れ馴れしく言ってきた。初対面なのに、なんだこいつ? と思ったけど、
「ああ、いいよ」
と、さらっと答えた。それが、富澤と交わした最初の会話だ。
このときから、僕を誘うのは、いつも富澤だった。
富澤さん目線はこう。
第一印象は、「体格はがっちりしてるけど、よく見ると可愛い顔してる男だな」。
簡単に言えば、僕より弱っちく見えた。こいつなら僕より下に見ても大丈夫だろうと、僕の〝本能〟がそろばんを弾いた。
それで、僕の方から、偉そうな感じで伊達に肩を組んで、
「なあ、一緒にスパイク買いに行こうぜ」
って言った。そうしたら伊達は、偉そうな僕に、
「ああ、いいよ」
とサラッと答えた。
僕の中から、いろんな若い頃の記憶が消えていってるけど、このときの会話と光景だけは、はっきり覚えている。できることなら、消えてほしくないと思う。
…この二つを読み比べたら、思わずウルッときました。
お笑いの本なのに、涙が出るなんて、なんだか不思議な感じ。
きっと、二人が同じ高校に入ったことも、隣に立ったことも、たまたま。
けれど、その偶然の出会いが、一生の絆に繋がったのですね。
〈こういう方におすすめ〉
諦めたくない夢があって長年頑張ってきたけれど、ちっとも芽が出なくて、ついに挫折してしまいそうな方。
〈読書所要時間の目安〉
3時間くらい。
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