綾野つづみ
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【読書コラム】指摘しにくいハラスメント未満の失礼「インシビリティ」が会社や組織を破壊する! 挨拶をしないとか、不機嫌な顔でいるとか、礼節のなさは経済的にもマイナスだった - 『Think CIVILITY(シンク シビリティ) 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』クリスティーン・ポラス(著),夏目大(訳)
別にサラリーマンをやっているわけではないけれど、人事というものに興味があり、そういう動画をつい見てしまう。先日もリハックで「ミドル層のキャリア塾」で中間管理職の辛さを議論する動画が上がっていたので、立場が違い過ぎて基本的には共感できないけれど、そうなんだぁと感心しながら楽しく視聴した。 その中で元DeNAの坂井風太さんが気になる言葉を紹介していた。「インシビリティ」という単語で、直訳すると「礼節の欠如」を意味するらしい。 (動画内29:44〜) ここだけは共感でき
【映画感想文】友だちを買うなんて……と思ったけど、ぶっちゃけ、買うしかないんだよね - 『ロボット・ドリームズ』監督:パブロ・ベルヘル
先日鑑賞した『ゴンドラ』に続き、セリフない系の映画が好きなので、セリフなしアニメ『ロボット・ドリームズ』を見てきた。 原作はグラフィック・ノベルと言われるジャンルの本らしく、ストーリー重視の漫画という雰囲気。日本にはあまり馴染みがないけれど、調べると名作は多々あるようで、いつかちゃんと読んでいきたい。 映画は音楽に相当力を入れていて、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『セプテンバー』がテーマ曲のように繰り返し流れていた。物語の内容にも合っているし、歌詞に出てくる
【短歌】選者に認められる短歌とは? その謎が岡井隆『今はじめる人のための短歌入門』を読んで、あっさり解けた! +毎日短歌 10月28-11月6日分
最初は短歌の詠み方を知りたくて、短歌の入門書を読んでいたのだけど、次第にそこで書かれている考え方の面白さに惹かれて、短歌入門書マニアのようになってきた。 考えてみれば、入門書って、一流の歌人が己の経験やノウハウを体系的に示してくれているわけだから、当然、そこにはとんでもない知見が含まれている。短歌って、そんなにも凄いものだったんですね! と毎回感動してしまう。 今回は塚本邦雄や寺山修司と並ぶ前衛短歌三雄の一人、岡井隆の『今はじめる人のための短歌入門』を読んでみて、こ
【読書コラム】玉木雄一郎の不倫スキャンダルをめぐり、田山花袋『蒲団』のモデルにされた女弟子の声から「書かれることの暴力性」を考える - 『岡田(永代)美知代著作集』岡田(永代)美知代(著)
国内国民民主党代表・玉木雄一郎代表の不倫スキャンダルが話題になっている。すぐに記者会見を開き、投票してくれた有権者の期待を裏切り申し訳ないと述べると同時に、政策実現のために頑張れと家族に叱責されたと語る姿は誠実と映ったようで、役職を降りずに済んでいる。 もちろん、国の舵取りをする人間が不倫をしているというのは微妙なところで、玉木さんは総理大臣にはなれないんだろうなぁという意味で国民民主党の追い風は止まった感がある。ただ、現状、榛葉幹事長や伊藤たかえさんに玉木さんの代わり
【映画感想文】コロナ禍の東京でおむすびが新たな縁を結んでいく! みんなで「絆」を信じてた2010年代の空気が懐かしいほっこり美味しい作品でした - 『ココでのはなし』監督:こささりょうま
予告編で見た山本奈衣瑠さんと吉行和子さんのキュートな雰囲気に心をつかまれ、『ココでのはなし』を見てきた。 コロナ禍の東京。オリンピックは開催されるも、予定と違って人の流れが完全に途絶えてしまった下町のゲストハウス・COCOが舞台のヒューマンドラマ。そんな時期でも、いや、そんな時期だからこそ、泊まりに来る人たちはそれぞれにそれぞれの悩みを抱えている。 ひとむかし前の邦画にはよくあるタイプの構成で、COCOを中心にお客さんの物語がオムニバス形式で展開していく。そして、最
【読書コラム】大正アベンジャーズ! 竹久夢二も谷崎潤一郎も芥川龍之介も菊池寛も斎藤茂吉も! みんなヤバくて、みんないい! - 『菊坂ホテル』上村一夫(著)
先日、俵万智さんと一青窈さんの『短歌の作り方、教えてください』を読んだのだが、その中に印象的な一節があった。 穂村弘さんを交えて東大を中心に本郷三丁目のあたりで吟遊会を行った際、一青窈さんがこんな短歌を詠んでいる。 なんだけ不気味な雰囲気漂う一首。リュックの男はなにを背負っているのか、どんな前髪をしているのか、病の香りってどんな感じなんだろう? などなど。イメージが膨らむ。 なお、俵万智さんと穂村弘さんがこの作品をどうすればブラッシュアップできるか、様々にアドバ
【映画感想文】セリフはないけど愛嬌たっぷり! 人類がはじめて映画に出会ったときの感動って、これなんだと思う! 奇跡みたいなジョージア映画 - 『ゴンドラ』監督: ファイト・ヘルマー
セリフのない映画が好きだ。学生時代、自主制作で映画を作っていたときも、わたしはセリフのない作品にしようと頑張っていた。 でも、試写で意見をもらうとよくわからないと言われてしまうので、泣く泣く、字幕を加えて誤魔化していた。やってみるとわかるんだけど、セリフなしで物語を紡ぐのってめちゃくちゃ難しい。普段、我々がいかに言葉で世界を構成しているのか気付かされる。 なお、これについては構成主義的情動理論という考え方で説明がつくらしい。わたしたちは感情を言葉にしているようだけど