野鳥が番いで飛び立ち 白米の湯気に引き戻された 吐いた息の凍るお勝手へ入り 沸いた湯にそっと 鰹節を没めていく 立ち上る湯気がまたたく間に広がり 壁を湿らせ 居間へ伝う 鼻歌に混じり、汁椀と茶碗の音が止み つららから 雫が落ちる 汽車の警笛と ネギの香りに まどろんでいた
昭和の情景