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どれも生命の何かしらが『日本文学100年の名作 第6巻 ベトナム姐ちゃん』いろいろ読めてよかった

日本文学100年の名作 第6巻 ベトナム姐ちゃん/池内紀・川本三郎・松田哲夫=編/B913.6二6』いろいろ読めてよかった。


◇どれも生命の何かしらが

1964-1973年の厳選作品は、どれも生命の何かしらが心に残った。
おさる日記/和田誠』でほっこり、『お千代/池波正太郎』で人情。戦争を感じる作品がいくつもある。『蟻の自由/古山高麗雄』『ベトナム姐ちゃん/野坂昭如』は兵士が生身でぶつかっていく苦しみの一刻一刻が淡々とつづられてるのが残酷。抜け殻になっても戦い続ける残酷。

奇妙なファンタジー妄想サスペンス妖怪ミステリー回想…それぞれに勝手なイメージわく、号泣しない爆笑はない。憂鬱もわりとさらりとしていて、どれもじわじわとくる。作家の経歴も作品と共にあって、作家自身の昭和のリアル、生きる物語だった。

◇作品12編のメモ

1964 川端康成「片腕」
1964 大江健三郎「空の怪物アグイー」
1965 司馬遼太郎「倉敷の若旦那」
1966 和田誠「おさる日記」
1967 木山捷平「軽石」
1967 野坂昭如「ベトナム姐ちゃん」
1968 小松左京「くだんのはは」
1969 陳舜臣「幻の百花双瞳」
1971 池波正太郎「お千代」
1971 古山高麗雄「蟻の自由」
1972 安岡章太郎「球の行方」
1973 野呂邦暢「鳥たちの河口」

手にとったから出会えた短編。12編の代表としてなのか「ベトナム姐ちゃん」の本のタイトルがパワーな印象、読むと苦しみの癒しを考えさせられる。

◇ザ・昭和、昭和レトロに思う

本のカバーの裏表紙の「五輪に万博。好景気に沸く時代にも、文学は実直に鮮やかに日本の姿を映し出す。」、それは昭和の記憶を指している。戦後の日本の立ち上がりは元気も憂鬱もごちゃ混ぜな力のかぎり。ザ・昭和は、今じゃレトロ。最近のニュースで滑走路の不発弾の爆発らしいに驚いた。今も戦後の引き続きなのだ。

10月になり2024年もあと3か月を切った。振り返る。読書も、メモも、自分のペース。今のところよい趣味に思える。1月~9月までにたぶん74冊を読んだ。こんなに読んだのはじめてと思う。昭和の子どもの頃にどれほども読んできていない。無垢だった頃の私は別の生きものかもしれない。何を見て何を感じてたのだろう。

歴史は文学の中でも読み手に何かしら残していく。くりかえしのありきたりだけど、それでいいのかもしれない。

ではでは

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