金田一耕助のすすめ
横溝正史はおもしろい。
kindle Unlimited(本の読み放題)の
サブスクに入っているぼくはさいきん
時間が空きさえすれば横溝正史の書く
「金田一耕助シリーズ」を読んでいる。
これがまたおもしろい。
どこがどうおもしろいかというと
やはり時代背景が最高なのである。
なんせ名探偵金田一耕助が
初めて世に出たとされる作品
本陣殺人事件が発表されたのは1946年。
これは昭和21年のことなのである。
(第二次世界大戦が終結したのが1945年)
ええと、いまから約80年前!どひゃー!
こんなに昔だったのか!
と自分で調べておどろいてしまった。
いま、昭和21年の日本を
リアルに想像できるひとが
どれだけいるであろうか。
なんせ、戦後間もない時代。
そうそう記憶しているひとはいないと思う。
でも安心めされい。
金田一耕助シリーズを読めばたちどころに
不安と希望と激動が入り乱れるあの時代を
わずかながらに知ることができるのである。
(しかも、たのしみながら!)
たとえば通信手段。
現在ではスマホをみぃんな持っているので
スイッスイッっとかんたんに連絡ができる。
だが当時はスマホなんてない。
スマホどころかガラケーもない。
ガラケーどころかポケベルもない。
ポケベルどころか固定電話すらない。
あ、いや、さすがに固定電話はあったけど
共同電話と言って、個人ではなく
みんなで使うのがふつう、という時代。
一応、電報というシステムはあったので
遠方に住む人への緊急連絡手段としては
電報を使ったり、新聞広告を使ったりと…
そうそう、当時はテレビすら、なかった!
(1958年で白黒テレビ普及率約10%)
要するに今とはまったくちがう時代なのだ。
・・・
気軽に他人と会えない時代。
情報も乏しく生活も安定しない時代。
みんながみんな、生きるのに必死な時代。
警察の対応だって現代とまったくちがう。
そんなとき不可思議な殺人事件が起こったら?
恐れるだろう、ふしぎだろう。
祟りだと信じるひとも大勢いるだろう。
そこに名探偵、である。
警察と協力し、理路整然と。それでいて
情を含みながら「ふしぎ」を解き明かす。
これを神様ともいえる読者視点で見て
ワクワクしないほうがどうかしている。
現代風のスマートな「探偵」も素敵だが
貧相で小さくどもりがちな金田一耕助も
まったくひけをとらない魅力を持ってる。
時代がまるっと変わったいまだからこそ
新鮮な気持ちでたのしめる、金田一耕助。
ためしに一読、いかがでしょうか。