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老いと家族。 ~ 舞台 鯨よ!私の手に乗れ ~

チケット、どうしようかなぁと考えてゲットを保留にしていた舞台でしたが、ラジオの「にちてん」に作・演出をしている渡辺えりさんが出演されている回を聴いている途中で、素早くゲット!
出演者の案内に弱い自分です(笑)

これから観劇予定の方は後日お読み頂けましたら幸いです!


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とある介護施設に、桑原裕子さん演ずる演劇を仕事にしている神林絵夢がやってきます。介護施設に三田和代さん演ずる母・生子が入院しているのです。


生子のお世話は弟の公男こと土屋良太さんと妻の美代子こと広岡由里子さんが毎日のように施設に通っていますが、生子は二人が誰か分からない認知症を発症しています。
絵夢が演劇を長い間続けていられたのは生子と亡き父のおかげなので、晩年は素敵な生活を送って欲しいと思って施設へやってきたのですが・・

家では高級漆器を使っていたのにプラスチックのコップでお茶を飲まされ、絵夢が送った絵夢が楽屋で使うお揃いの絨毯は片付けられ、絵夢が出演した数々のサイン入りポスターは寄りによって美代子に捨てられていると判明。
絵夢は生子が質素な生活をさせられていることに腹を立てて「こんなところ収容所じゃないか!!」と相手構わず暴れ倒します。
そんな絵夢に「お姉さんが好き勝手に生きて来られたのは、自分達が犠牲になったことも考えて欲しい」と美代子がキレて、絵夢はハっとします。


介護施設には看護師のように振る舞っているけど実は施設利用者の北村岳子さん演ずる涼子や、木野花さん演ずる元美術教師だった佐和子、ヘルパーとして働く深沢敦さん演ずる貴子など生子と同世代がたくさんいます。
これらのメンバーが実は40年前に解散した劇団メンバーと判明。
さらに主宰者が行方不明になってしまい開幕出来なかった演目があり、台本があることも判明。
しかしその台本を読んだ介護士のひとりが「認知症の患者が認知症の老人を演じる」という内容であり悲しいラストでもあったため、この場所にそぐわないからと捨ててしまっていたのです。

これに絵夢は「わたしが台本を書くからみんな演じてちょうだい!!」っと、俄然張り切り、仕事と家族の世話に明け暮れていた公男や美代子も自己を解放すべく参加を表明。ブラック企業で心身ともにクタクタで家に帰って来た黒島結菜さん演ずる美代子の娘もなんやかんやで巻き込まれます。

既にある台本を演じていくと、むかしのことを思い出して急にセリフを言えたり、アグレッシヴな動きを見せる面々。
絵夢もみんなの頑張りに応えるため、何とか台本を書き上げようとしますが、徐々に台本の内容を思い出したみんなの記憶は、それぞれが実際に練習をしていた戦後の辛い子ども時代をも思い出し始め・・・


絵夢は古希を迎えた渡辺さん自身であり、昨年亡くなられた介護施設におられたお母さまの状況などをベースにした舞台です。
開幕早々に介護士さんや弟夫婦に悪態を付きまくって大暴れしたシーンは、どうもホントのことが混ざっていたようで、他人事としては大笑いでしたが、現場にいた方々はたまったもんじゃないだろうと思いました。

生子さんたちが子どもの頃は戦後であり、夫を戦争で失った妻である女性が生きて行くには過酷な環境下でありました。
さらにその庇護下にいる子どもは自分自身でどうにか出来ることもなく、親の意向に沿った悲しい境遇に見舞われるといったことも描かれていました。

さらに高齢化社会に伴う認知症については、介護施設で見られるであろう出来事がちょこちょこと描かれていましたが、実際はもっと過酷な出来事もあるんだろうなぁと思いました。
まだらな記憶は、自分が今年50の大台に乗ることもあり、忘れっぽさと認知症との境目の曖昧さも他人ごとではありません。

今回はたまたま、先月に引き続き家族を題材にした舞台観劇となりました。
年末年始でやや重です(笑)


自分は去年父親が体調を崩したことにより、8050問題にリアルに直面しています。母は割としっかりしてくれていますが、両親ともに認知症に近いような言動があります。
先日は母の口から介護認定について頼まれたりもしました。
たった数か月で凄いスピードの衰えを見ている気もして、色々と考えることが増えています。
今回の舞台の延長が上記の『て』になっていくんだろうと理解はしていますが、なにぶん現在進行形な訳で、目の前のことを取り敢えずゲームのクエスト的にこなすことで面白おかしくやることにしました。
たまたま仕事の融通をかなり利かせられて、困った時に専門的な方へシレっと聞けるポテンシャルにより(自画自賛)、イライラしなくて済んでいます。

今回の舞台のような認知症や高齢であろうが無かろうが、何かしらの生き甲斐や仲間、家族がいることで、辛いことも緩和されることが多いと思います。
自分は傍から見るとかなり忙しいと思われているようですが、舞台を観に行ったり息抜きをする時間を作り出せているので、煮詰まらずに済んでいます、今のところ(笑)

舞台の設定はかなり深刻だったりしますが、「やりたかったことをやる」「楽しい人生とする」ためには「演劇」がそれを体現していました。
自分を含めて今現在色々ある方、小さなことでも楽しみややりがいを感じて行けるように過ごして参りましょうね!
新年ですし♪
あ、抱負なのか、これは?




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