お題

#読書感想文

本を読んで感じた気持ちや考えたことを、言葉にしてnoteに残してみませんか?おもしろかった本の感想や学びを「#読書感想文」で教えてください!

人気の記事一覧

『それでもなぜ、トランプは支持されるのか―アメリカ地殻変動の思想史』が面白かった話と家族制度について考える(最近考えている話・後編)

このnoteでは、『虎に翼』が今描いている結婚制度の是非について書いた。今回はその続きである。 「国が家族ごとに戸籍を与えるのがおかしい、欧米では個人で戸籍管理しているのだから日本もできるはず」という意見は至極全うだと思う。実際、マイナンバー制度は戸籍(家族単位で管理)から個人番号(個人単位で管理)に移行するためのものであるはずだ。だとすれば、日本的な家族共同体単位社会から、欧米的な個人単位社会(結婚はあくまで個人間の契約であり、家=先祖や親は関係ない)に移行するのが良い、

¥500

レイモンド・チャンドラー「待っている」読書感想文

ハードボイルドの大作家とは知っている。 現代の作家にもお手本にされていて、あちこちの本の作中で紹介もされている。 1回は読もうとは思っていたけど、今までに読んだハードボイルドって、それほど好きにはなれなかったので躊躇させていた。 しかしながら。 期待してない読書のほうがおもしろい場合が多々ある。 試しに読んでみた。 この本には、5編が収められている。 4つの中編と、1つの短編。 終わりにある短編の題名が『待っている』となる。 感想テイストがちがう。 今までなんだった

瀬戸内晴美「女の海」読書感想文

瀬戸内晴美を読まなければ。 のちの瀬戸内寂聴の『いのち』を読み終えて思った。 それを著す95歳の瀬戸内寂聴は、体の不調で書くこともできなくなりつつある。 ラストには自嘲する。 今まで400冊以上書いたがベストセラーがない。 もう片目が見えなくなっているし、ペンを持つ指も曲がっている。 それでも断筆することなく未練がましく書いていると、3ページほどとりとめもない。 が、最後の一文だけは力強い。 あの世から生まれ変わっても、私はまた小説家でありたい。それも女の。 こ

大岡昇平「野火」読書感想文

読書をしているうちに大岡昇平を知る。 あちこちの本の巻末の解説に “ ケンカ大岡 ” の異名が登場してくる。 海音寺潮五郎には「史実を曲げている」と突っかかり論争になったとか。 井上靖も「フィクションが過ぎる」と突っかかられて、気の毒なことに論争になったとか。 松本清張にもだ。 ほっとけばいいのに「推測が浅い」と突っかかり論争になったらしい。 めんどくさそうな人、という印象があった。 それほどに言うのだったら、さぞかし史実に忠実で、フィクションも過ぎなくて、推測も深

【少しだけ昔を語っても?】初のペーパーバックを出版してみて分かったことと気付いたこと、そして伝えられること。

やぁ、いらっしゃい。今日も来てくれてありがとう。 先日、初めてペーパーバック出版が完了しました▽ ※ペーパーバックとは電子書籍ではなく、リアルの紙本。教科書のように表紙が印刷された別紙を圧着した仕様。 触った質感などもしっかりと"本"になってます▽ 本書は私がnoteを始めるまでの数年間を遡った内容。 最近でこそnoteに転がり落ちてきた話をする機会も減ったけど、初期の頃から仲良くしてくれている方や、最初の記事を読んでくれた方は御存知の通り。人づてに引用されて知ってく

¥300

浅田次郎「天切り松 闇がたり 第1巻」読書感想文

天切りとは夜盗の手法。 深夜に大屋敷のてっぺんに上り、風に吹かれて腕を組んで、ズイッと仁王立など決めるのが劇的。 そして、瓦4枚を外して入り込んで盗る。 闇がたりとは、盗人の話法。 6尺四方から先には声が届かない。 松とは村田松蔵。 老齢の元夜盗。 9歳で盗人の一家に入った大正6年から大正12年頃までの、見たこと聞いたことが語られる。 「鼠小僧のそのまた昔、富蔵藤十郎が大内山の御金蔵からかすめ取ったる四千両。江戸の華てぇ荒芸を今日の今日まで伝えてきたこの松蔵が・・・」

【書評】藤本タツキ『ルックバック』-凡人として生きるということ-

はじめに3度目の正直 私が藤本タツキの『ルックバック』を読んだのはこれで3度目である。最初に読んだのは読み切りとして初めて掲載された時。当時『チェンソーマン』が話題になっていたため、この作品も大いに注目されていた。初読の感想は「面白い」であった。それ以上でもそれ以下でもなく、なぜ面白いと思ったのか追求するほど心が揺さぶられた訳でもない。 次に読んだのは『さよなら絵梨』が掲載された時である。その頃世間の注目は藤本タツキそのものに移行しつつあった。その時流に乗り、読み返そうと

輝く季節を旅する -フォークナーの小説『八月の光』の美しさ

【水曜日は文学の日】 光あるところに影があるように、物事には、二つの対照的な側面があります。 しかし、例えば一つの小説の中で全く対照的な物語を進めることは、案外困難で、少ないように感じます。 アメリカの小説家ウィリアム・フォークナーの1932年の長篇『八月の光』は、二つの異なった物語を合わせた傑作であり、しかも、驚くべき後味のよさを持つ作品です。 物語は、リーナ・グローブという少女の話から始まります。身重の身の彼女は、お腹の子供の父親であるルーカス・バ

✩ 文学夜話 ✩ 佐藤究『テスカトリポカ』および直木賞選評の感想

✩ この記事は本の紹介がメインなので、定期購読されていない方も全文が読めるように設定しました ✩ 2021年発売の小説なので今さらかもしれませんが(文庫化は今年の6月)、この度、佐藤究さんの小説『テスカトリポカ』を読んだので、その感想を書いてみます(ネタバレはありません)。あと、この作品に対する直木賞の幾つかの選評についての感想も書いてみます(辛口です)。 小説の感想 まず、読んだきっかけですが、以前から読もう、読もうとは思っていました。本屋さんに行けばよく見かけたし、

【英語の処方箋】 読書#132

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、英語についてです。 最近は、何かと並行して英語関係を読むようにしています。 ヘッダーは、だいもんさいこさんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報ジェームス・M・バーダマン (著) 筑摩書房

シンプルなメッセージが心に刺さる文章本:『読みたいことを、書けばいい。』

とんでもない良書を発見! それが『読みたいことを、書けばいい。』です。 自分の文章をみなおしたいと思い手に取りましたが、参考になる点ばかり。 著者のウィットにとんだ語り口もクセになります。(著者は電通の元コピーライターの方です。) 書くことについて悩んでいる方、とくにブログやエッセイを書きたいと考えている方にとって、本書は新たな気づきをもたらしてくれるはず! 今回は、本書から学んだ3つの視点をご紹介。 1. 何を書くのか?それはエッセイ本書では、インターネット上で

又吉直樹「火花」読書感想文

読んでみると、おもしろいの一言しか感想が浮かばない。 それでは読書感想文にならないので、もっと考えてみた。 まずは、文章のテンポがいい。 読んでいて気持ちがいい。 登場人物のセリフが、文章のアクセントになっているように感じるし、これは話すことを仕事としている人の成せる技なのかと思わせる。 148ページという短い物語の中に、20歳から32歳までの12年間の場面が、テンポよく流れるよう書かれて収まっている。 あとはなんだろう。 以外なおもしろさ、というのはある。 ギャップ

『鳥と港』

書きたいと思えば思うほど、私にはもう小説のことがわからない。けれど佐原さんの書く小説を、この先もかならず手にとって読まなければいけないということはよくわかる。 みずみずしい。とにかくこれだ。いつまでも幼い私(たち)は、この一連の青春小説の形をしていなければ、ちりばめられる示唆をまずもう受けつけられないだろう。 この本は『重版出来!』『虎に翼』と同じゾーンに漂う一冊だ。ちょうど今仕事をしていて、そして何年も何年も仕事をしているということをまだ信じられないのだけれど、一寸先は

『九十歳。何がめでたい』 佐藤愛子

わたしが初めて佐藤愛子作品と出会ったのは、遥か昔の学生時代のこと。 直木賞受賞作『戦いすんで日が暮れて』でした。 ベストセラーになった『血脈』は上中下巻で、かなりのボリュームがありました。 佐藤家のファミリーヒストリーとして、きっかけは興味本位でしたが、あまりの面白さに貪るように読みました。 父は小説家の佐藤紅緑、兄は詩人のサトウハチロー、一見恵まれた家庭の内幕が赤裸々に描かれていて、一族が共存共栄というわけでもなく、影の部分もあったことを知りました。 母が佐藤愛子さん

書いて私を発見する -ジッドの小説『狭き門』の魅力

【水曜日は文学の日】 なぜ私たちは書くのか。勿論、人によって様々な理由があります。 しかし、書くという行為には、根本的に「信仰告白」のようなところがあって、自分が生きて信じているものを、何かの形にしたいという欲望が込められているのは、間違いありません。 フランスの小説家、アンドレ・ジッドの小説『狭き門』は、そうした信仰告白を、捻れた形で凝縮して小説にした名作であり、書かれている事柄は古くても、今とてもアクチュアルに読める作品に思えます。 語り手のジェロ

【QOL爆上がり】私の人生を変えた本ベスト5

突然ですが、皆さんは本を読む習慣はありますか? 私は学生時代の頃は全く本を読む習慣がなく、自堕落な日々を送っていました笑 就職活動を始めてから、 「やべぇ!自己研鑽しなきゃ!本読まなきゃ!」 と思い立ち、本を読み始めました。 読んでいて「面白い!」と思う本がたくさんあったので、今でも読書する習慣は続いています。 そこで今回は、私の人生を変えた本を5冊ランキング形式で紹介していします。 第5位 第5位は 「人生が充実する」時間のつかい方 UCLAのMBA教授が教

去年の夏は何を読んだかな

世間一般は夏休み。 独り身の僕も今年は9連休という長期お盆休みを頂いたものの、バカンスに行く恋人もいなければ、フェスに一緒に行く友だちもいないので一人アパートにいる。(すみません。明日から札幌行きます) 時折、読まないといけない本を持って図書館に行き、帰り道でスタバ以外のカフェでアイスコーヒーを飲み、高校らしきカップルの会話を盗み聞きしながら何かのネタで使おうかなとストックしている。 壁に耳あり障子に目ありではないが、一人で飲食店にいると付近からえげつない内容の話が聞こえ

『ともだちは海のにおい』読んだ本 ご紹介!

たくさんの星が見える以外何もない静かな海で出会った、くじらといるか。友達となった二人のほのぼの温かい暮らしが、詩人の工藤直子さんの詩のような、童話のような文章と長新太さんのかわいらしく、味わい深い線画で綴られた本です。括りとしては児童文学になるでしょう。子供にも分かりやすく、くじらといるかの物語を追うだけで楽しいです。でもこの本はそれだけのものではありません。読む人にいろいろな思いを抱かせ、想像が広がっていくような、一人一人その広がり方が違うんじゃないかと思うような本です。

流れ出す美の夢 -谷崎潤一郎『春琴抄』の魅力

【水曜日は文学の日】 谷崎潤一郎は長いこと活躍し、名作も多数ある文豪中の文豪です。以前『痴人の愛』や、芥川龍之介との「競作」も取り上げたことがあります。 『春琴抄』は、そんな彼の作品の中でも、指折りの美しさを持ち、しかも短く、謎めいた名作です。 冒頭、作者が江戸末期の三味線の名手、春琴の墓を訪れる所から始まり、「鵙屋春琴伝」という伝記を手に入れて、紹介して語っていくという形で進んでいきます。 春琴は、幼い頃失明し、三味線を習得して師匠格になります。そ

司馬遼太郎「草原の記」読書感想文

空想に付き合っていただきたい。 という書き出し。 次に1行が空く。 モンゴル高原が天に近いということについてである。 と続く。 それからの語句のチョイスがいい。 天、空、馬、草、という語句が、モンゴル高原の様子を目に浮かばせる。 なんか詩的だ。 今回の司馬遼太郎は。 この本を目にしたときから、絶対におもしろいだろうなと思ったのは当たりだった。 というのも。 司馬遼太郎は、大阪外語学校で蒙古語を専攻していた。 作家になるずっと前から、モンゴルに興味を抱いていた。

辻村深月著「傲慢と善良」/他人軸を捨てた時人生は変わるかもしれない。

noteのお友達 しんちゃんさんの記事を読んで、私も読んでみました。 ネタバレを含みますので、これから読む方はスルーしてくださいませ。 辻村深月さんの著作は3冊位読んだと思うのですが、最初に読んだ「朝が来る」が面白くて、ドキドキして夢中で読み進めた事を覚えています。 あらすじ しんちゃんさんは、この小説を読んで何度も鳥肌が立った と書いておられます。それは、 人が人を選ぶというプロセスが 恐ろしいぐらい言語化されていたからだと。 私は、自分が結婚に至った経緯を思い返すと

読書感想文が楽に書ける方法(全国コンクール入賞経験あり)

♦自己紹介3児の母、38(Saya)です。 読書感想文での受賞歴はゼロ。 作文は苦手でした。 夏休みの宿題はもらったら即開始し、 夏休み開始数日後には ほぼ終わらせるタイプです。 しかし 読書感想文だけは別。 本を読むのも作文を書くのも面倒で どうしてもやりたくなくて… 夏休み終了一週間前、母に相談すると 「映画借りに行く?本で読んだことにしたら?」 「それなら2時間で見終わるしいいやん!」 ・・・今思い出すと、酷いですね〜(笑) 当時はナイスアイデアだと思っていました

¥2,000

ニュータイプの時代が来た!

本日は 山口周氏の『ニュータイプの時代』をご紹介 私がこの本と出合ったのは出版された2019年10月ごろ ちょうどそのころ、私は仕事に悩んでいた。 悩んでいた内容を いまつらつらと 書こうとしたが100%愚痴になるので 只今消した(笑) 以前から、どうしたものかと、ビジネス書を検索していたときに この本を見つけた 私たちの世代ではニュータイプと言えばガンダムしか連想できず、 どうしてこんなところに・・・ガンダムネタが転がってるんだ、 と思った。 さては、私と同世代の人が

✩ 文学夜話 ✩ ドリアン助川『太陽を掘り起こせ』の読書感想

✩ この記事は私の分析よりも本の紹介がメインなので、定期購読されていない方も全文が読めるように設定しました ✩ ドリアン助川さんの小説『太陽を掘り起こせ』(2024年3月発売)を読み、心に残る作品だったので、具体的なストーリーにはあまり触れないで(今後読まれる方のために)、最初の部分と構成と推測される作品の意図についてお話ししたいと思います。 この著者をご存じない方もいるかもしれないので、簡略に紹介しますと、小説家・エッセイスト・詩人であり、歌手(叫ぶ詩人の会)でもありま

【本当の学力は作文で伸びる】 読書#134

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、作文についてです。 というか、そこから鍛える学力について。 ヘッダーは、Sumiko Kさんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報芦永 奈雄 (著) 大和出版 出版 2004年3月6日 第

文章がまとまらない… プロの文章術を盗んで、伝わる文章を書こう!:『知的生産の技術』梅棹忠夫

以前、『知的生産の技術』という本について、「カードの使用法」と「読書法」についてとりあげました。 一般的に、カードにアイデアを書き出すだけでは、それらがまとまった文章になるわけではありません。 そこでは一体どうするのか? 本書には、まとまった文章を構築するための、具体的な手法「こざね法」が紹介されています。 ですので今回は、その「こざね法」についてご紹介します。 1. 小さな紙きれに、テーマに関連するものをすべて書き出すまずは、小さな紙きれを用意します。 著者は、

甘いノスタルジア -小説『お菓子とビール』の魅力

【水曜日は文学の日】 文字は書かれた瞬間に過去になるのですから、全ての小説は、回想だとも言える。 私が好きな回想は、プルーストの『失われた時を求めて』のように、一人の語り手が、ゆったりとした語り口で過去を紐解くように語る小説です。 もっとも、プルーストの小説は、単なる回想とは言い難い、「語り手の知りえないこと」を含む、かなり複雑で曖昧な語り口です。 それが魅力的でもあるのですが、時折その長さと相まって、読むのに疲れてしまうこともあります。 その点

三島由紀夫の長編小説すべて読んだので感想を書く

2021年の夏の終わりから三島由紀夫にハマりました。 三島由紀夫はおそろしく多作な作家で、小説・戯曲・評論など膨大な量の作品を遺しているのですが、2022年ようやく長編小説だけは読み終えることができました。 ぜんぶで34作品! 熱心な読書家とは言えなかった自分が、これほどたくさんの小説を短期間で夢中になって読んだのは生まれて初めてのことでした。 ので、せっかくだし、感想をまとめて記事にしてみました。 評論でもなんでもなく、感想というにもばらばらとした、感じたことの破片のよせあ

【熱血経営者キャリア形成のための読書術】覚悟の論理 

どうもVISION合同会社、熱血経営者植田仁です。 同志社大学を卒業し、味の素株式会社に入社、26歳で起業しました。 キャリア、経歴を積んでいく中で、読書は本当に大切だと感じています。 石丸伸二氏の著書「覚悟の論理」は、 彼の安芸高田市長になるに至った経緯や、その際大事にした 哲学やリーダーシップの信念を詳細に綴ったもので、読み応えがありました。 明確なビジョンと使命感「覚悟の論理」は、石丸さんの強いビジョンと使命感に満ちています。 彼は、市長としての役割を単なる職業

ページの上に、ひろがる色彩。

先日も本についての文章を書いたばかりではあるのですが、実は、このごろ思うように本を読むことができていません。 職場でちょっとした環境の変化があったせいなのか、とにかく、すぐに眠たくなってしまいます。 眠る前に本を読もうとしてページを開いても、いつのまにか船を漕いでしまうのですよね。 以前はそんなときでも無理をして読み進めようとしたものですが、今は体の声に耳を傾けるように心がけています。 "のんびり、ゆっくり読んでいけば良いよね" そんな気持ちで、先日購入したばかりの長田

スマホでビジネスチャンスをつかむ!ショート動画時代のSNSマーケティング

インスタグラムが伸び悩んでいます… 動画が主流のいま、ショートムービーに挑戦しようかなぁと思いはじめました。 そんな時に出会ったのが、『新世代のビジネスはスマホの中から生まれる』という本。 本書から得た3つの視点を通して、SNSマーケティングの新たな可能性を探っていきたいと思います。 1. インスタグラムと𝕏:異なる世界観SNSは、ユーザーがどのように情報と向き合っているかによって、大きく性質が異なります。 インスタグラムは、まるで個人の部屋に招き入れられたような、

世之介に会いたくて、ただ会いたくて。

「世之介」は、実在する人物ではない。 井原西鶴の「好色一代男」の世之介でもない。 吉田修一氏の小説「横道世之介」の主人公、横道世之介のことだ。 「横道世之介」は毎日新聞の連載小説で、2009年に単行本化されている。 もう20年も前に、友達に薦められて、吉田修一氏の「パレード」や「パーク・ライフ」を読み、それから出す作品を追いかけて読み続けていた。 私の個人的な意見だが、吉田修一という作家は、現代作家の中で天才と呼ばれてよい人の一人だと思う。 文學会新人賞受賞でデビューしてか

「文章で伝えるとき いちばん大切なものは、感情である」を読んで|読書感想文

まずは表紙をみてほしい。サブタイトルの文字は小さい。よく見ないと見落としてしまう。 読みたくなる文章の書き方 29の掟 つまり文章の書き方について書かれている本。 著者patoさんの強いメッセージがガツンと視界に入ってくる。 * * * まず結論から 読了後 noteを書いていると著者patoさんが私の脳内に話しかけてくるようになりました。 え、どうゆうこと?(あなたの声) つまり、こうです。 本の感想文を書くとき、いつもpatoさんが私に問いかけて こう言

【他者の靴を履く】 読書#133

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、なんて表現したらいいんだろう。 深くて広くてわからないが、とてつもなく勉強になった。 ヘッダーは、優谷美和(ゆうたにみわ)さんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報ブレイディみかこ (著)

【あたたかい花をみんな持っている】 読書#136

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、なんて表現したら良いのでしょう。 人生についてです。 ヘッダーは、マリコ*女性の生き方冒険家さんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報大井 浩平 (著) デザインエッグ株式会社 出版 20

東野圭吾「手紙」読書感想文

ほとんどの受刑者が読む本ではないのか? 差入れ本の中では、この『手紙』がダントツに多かった。 1週間に1冊か2冊は、差入れされてるのを見かけていた。 2年目からは図書係も兼ねていたから、この本を目にする度に『また “ 手紙 ” が入っている』とずっと思っていた。 受刑者は、差入れされた本は必ず読む。 好きじゃないから読まない、なんてことはない。 本とは、これほどうれしく感じるものなのか。 力が沸くものなのか。 いつも手にする度に思っていたし、皆の様子もそうだった。

「兵諫(へいかん)浅田次郎さん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

難しかった。 「珍妃の井戸」「蒼穹の昴」 「中原の虹」「天子蒙塵」 を読んできたのに、 なお難しい。 浅田さんの頭の中は どんな歴史図があるのか、 もしくは、登場人物一人一人に 憑依して、史実を書いているのか。 ジャーナリスト云々の話は ともかく、あの、散髪屋 前髪こと、陳一豆が 身を呈して(裁判で) 張学良を守った。 一豆といえば、どさくさに 紛れて兵に入れられ、 たぶん、銭湯で白虎張が 裸の敵を抹殺したときに 居合わせた少年。 春児、50後半、一豆も40才。

銀色夏生さんの「力をぬいて」を読んで

図書館で、一つの棚を端から端までじっくり見て目に止まった銀色夏生さんのエッセイ。 昔、銀色夏生さんの詩集をよく読んでいました。透明なようでしっかりと軸があるような、やわらかだけどしっかり芯が通ってるようで、読んでると背筋が伸びるような。 初めて読んだ銀色夏生さんのエッセイ。 日常の出来事が書かれたエッセイではなくて、大事にしている考え方が書かれたエッセイ。 誰でもきっと、いろいろな経験を重ねていくと、自分なりの大事な考え方や生き方が作られていくのだなぁと。 私にもきっとこ

稲垣栄洋著「生き物の死にざま」/立ち読み中落涙しそうになった本。

書店にて、 タイトルに惹かれ手に取り 立ち読みしながらうるうるしてしまいお持ち帰りせずにいられなかった本です。 虫の話題は苦手だけど(虫だけでなく動物や魚やいろんな生き物全般出てきます) 読んで良かった。 私が書店で落涙しそうになった話を少しご紹介します。 子に身を捧ぐ生涯ーハサミムシ 石をひっくり返すと慌てて逃げ出すハサミムシがいる一方で、 ハサミを振り上げて威嚇はするものの 絶対にそこから動かないハサミムシがいる。 そんなハサミムシのかたわらには、産み付けられた卵が

今さらですが、宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』読了。 ~大純はるのメンバーシップ【白鳩会】「今さら図書館 小説書き方掲示板」より

今さらですが、宮島未奈『成瀬は信じた道をいく』読了。 こんな言い方は、彼女にとって適切でないのかもしれませんが、大学生になってすっかり美しく成長した成瀬あかり。 主にびわ湖観光大使としての活躍が描かれる本作では、ついに日本の年末を象徴するアレにまで登場します。 今回も【主人公を周りの人が見ているよ形式】が炸裂し、最終話では帰還した親友島崎を中心に、今までのキャラクターが総出演。 前作の最後にあった主人公視点も今回はなく、それがかえって良かった気もします。 つくづく思うの

【学校を改革する】 読書#135

みなさん、いつもお世話になっております! 本日は、私の投稿の軸とする一つ「本」「読書」に関して書かせていただきます。 自己紹介に書いたマイルールを守りながら、私の大好きな本について書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします! 今回は、学校についてです。 かなり刺激的なタイトルですね! ヘッダーは、Koimizu Shioriさんの作品を使わせていただきました! ありがとうございます!! 目次 基本情報佐藤 学 (著) 岩波書店 出版 2023年5月9日 

「面倒くさい人のトリセツ」を読んで

榎本博明氏「面倒くさい人のトリセツ」読了しました。タイトルからしてすごい本で、手に取るのも躊躇した1冊です。躊躇しつつも「読んでおいた方がいいよね」と思いつつ、恐る恐るページをめくりながら読みました。 どこの職場もコミュニケーション力が求められ、中にはチームであたるお仕事もあります。社内が一人作業でも、対外的な電話応対でやり取りする人間関係もあります。 そんな職場において、やりとりに困難をきたす相手の傾向性ごとに、対処方法を紹介しています。 なんで恐る恐る、かというと、

職人に学ぶ失敗力!生きぬくためのリアルな教訓:『学校の勉強だけではメシは食えない!』

今回は「学校の勉強だけではメシは食えない!」という本をご紹介。 この本は、世界トップの職人と称される著者が、読者の質問に答えていきます。 学校で模範的とされる「お利口さん」では、社会で生きていくのは難しいという現実を突きつける一冊。 それぞれの質問に対して独自の視点を提供し、社会で成功するためのヒントを与えてくれます。 今回は、本書を読んで得た3つの視点について、ご紹介します。 失敗する全体をとおして語られるのが、「失敗」がどれだけ重要なのかということ。 著者は、

【読書コラム】あえてドストエフスキーの短編を読んでみな! 頭おかし過ぎて飛ぶぞ! - 『可笑しな人間の夢/ボボーク』フョードル・ドストエフスキー (著), 西周成 (編集, 翻訳)

 先日、この人生で読むことがないと思っていたトルストイの『戦争と平和』を読み切ったという記事を投稿した。  きっかけは今月、トルストイとドストエフスキーについて話す機会を頂いたから。スライドを作っていく過程で、それぞれの代表作を読んでいかなきゃなぁと頑張っていたのだ。  その中でドストエフスキーの短編が凄いという情報を手に入れた。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』を読み、神なき世界でいかに人間たり得るかの苦悩に心を打たれ、すっかり長編小説の人だと思い込んでいたので、ちょっ

ご報告のみ

『百年の孤独』 噂には聞いて来ましたが、やはり手に余る難敵でした。 白状すると、ここ数年、翻訳ものからすっかりご無沙汰していて、アンソニー・ホロヴィッツの『カササギ殺人事件』以来でした。 横文字の人名を覚えることに苦手意識があります。 ましてやこの物語は、同じような名前の人物が繰り返し登場してきて… 端的にいえば、一族のファミリーヒストリーです。 ファミリーヒストリーといえば、一世を風靡した『ルーツ』を思い出します。 日本のものなら、山口瞳の『血族』、佐藤愛子の『

途中で読むのを投げ出したくなる作家たち・・・舞城王太郎

ご訪問ありがとうございます。 今回はいつもの食レポではなく、 本好きおっさんのちょっと変わった 読書レポにお付き合いいただければと思います。 本屋大賞2024の作品を最近読んだ 「成瀬は天下を取りにいく」 うわっ めちゃくちゃ読みやすい それが私の正直な感想だ 主人公の成瀬に感情移入し、夢中になる あっという間に読んでしまった 読みやすさで言えば東野圭吾 正直拍手喝采したくなるほどのうまさだ 文章が自然にすっと頭に入ってくる これもまたあっという間に読んでしまう 売れ

「悪人」㊦ 吉田修一さん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

一番の悪人は、 人殺しではないけど、増尾圭吾。 人をバカにしまくって、 佳乃を峠に置き去りにしたバカ野郎。 二番目は、祐一の実母。 自分勝手すぎ。 最後は、石橋佳乃。 祐一をバカにして、男に こびるバカ。殺される。 でも、佳乃の両親の思いは 本当に痛かった。 あとは、全員、被害者だと思う。 佳乃を殺した祐一も被害者。 可哀そうで孤独な人。 静か過ぎる優しさが裏目に出てる。 祐一の祖母もかわいそう。 スカーフのくだりは、泣けた。 人殺しが、必ずしも一番悪人かと いえ

【読書コラム】この本を知らずに生きてきた自分が信じられない! 中国文学をもっと読んでいかなきゃいけないと反省 - 『結婚狂詩曲』銭鍾書(著)

 先日、中国にルーツがある友だちとどんな本を読んできたかという話をする中で、『結婚狂詩曲』というタイトルが出てきた。なんでも名作らしい。ネットで調べたら銭鍾書が書いたものと載っていた。  ぶっちゃけ、作品名も作者名もさっぱり知らなかった。というか、中国文学について、自分が全然知らないということに気がついた。『三国志』とか『水滸伝』とか、杜甫とか李白とか、古典はなんとなく把握しているけれど、近代以降の小説に関して言えば、魯迅ぐらいしか読んだことがなかった。もちろん、教養として

創作大賞感想 ホラーであっても、静森あこを読みたいと思った。

ホラーだなんて予想していなかった。人間が暗がりを歩くようでいて、切なくとも心灯る文学が来ると予想していた。受け入れるしかない。 私は、静森あこさんの文章が好きである。これは単純に好みの問題だけなのかも知れない。しかし、彼女が表現の一言を突き詰めて戦っているのが読めるから好きなのだ。彼女の表現はとてもキレイなのにどこか棘がある。退廃していそうで光っている。人間を信用しているようでしていないのかも知れない。そういう人が書く文章を読むのが好きなのだ。彼女の作品を読むのにいつも深呼

ことばでえがかれた世界への旅

読んでいるあいだ、その文章の中に深く沈み込んでしまい、読み終わったあとも、現実の世界になかなか戻ってこれないような物語。 そんな小説に出会えると、嬉しくなるのと同時に、少し寂しくもなります。 なぜなら、読み終えたくない、この物語の世界の中に長く居続けたいと思うのに、どうしたって本というものは読み終わってしまうものだから。 川上未映子さんの「愛の夢とか」を読みながら、そんなことを感じていました。 短編集なのですが、どの物語も最初の一文を読んだ瞬間から、その世界の中に引き込ま