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【読書感想文】名前探しの放課後
こんにちは、歯並びです。
辻村深月さんの作品が好きなのですが、
「初期作品で唯一未読の話があるな…」
と、最近気がつきました。
それが『名前探しの放課後』です。
実は以前、図書館で借りたことがあったのですが、かなりボリュームがあって読み切れず…笑
今回は余裕のある期間に、一気読みさせていただきました。
色々と言いたいことはあるのですが、
辻村深月作品は刊行順に読むのがオススメ!!!
とにかく今日はこれだけ覚えて帰っていただけると嬉しいです。
※以下、ネタバレを含みます※
辻村ファンなら「ハッ!」とするような描写がてんこ盛りの今作。
果たして私は全部の仕掛けに気が付けているのでしょうか…?
①椿ちゃん=ふみちゃん(僕のメジャースプーン)
途中からなんとなーくですが「椿って名前じゃなくて、苗字なんじゃね…?」と疑問が浮かんできました。
それがエピローグで大当たりと分かり、ガッツポーズ。
ご丁寧にも序盤に、
「友人を苗字呼びと名前呼びで使い分けるのってなんなんだろうね」
という話が出てきます。
これも伏線だったのですね、たまげたなぁ。
ぼくのメジャースプーンでは全く口をきけなかったふみちゃんが、短歌を読んでバレーをやって、ピアノも続けて友人に囲まれて…
おばちゃん、成長に泣けてきたよ…(ヨヨヨ)
あとあんな凄惨な事件に巻き込まれても、変わらずウサギを好きでいてくれる姿勢に胸が打たれました。
(ウサギのシールを使ってるってことは、トラウマになったりしてないのよね、多分…?)
②秀人=ぼく(ぼくのメジャースプーン)
最初、大人びた彼こそ本当のタイムスリッパーなのかと考察していました。
それに巻き込まれる形で、いつかも3か月地滑りしたのかと。
ところがどっこい、秀人は条件提示の言葉に関する能力を持った“ぼく”の成長した姿でした。
ぼくのメジャースプーンの最後で死にかけていた彼も、元気に高校生になっていて本当によかった。
でも秀人が能力者であることを考えると、いつかのタイムスリップは起こっていないことになりません…?
「3か月後に自分が好きな子が死ぬという仮定」の妄想に縛られた被害者のように見えてくるのです。
実際、いつかが知っている3か月間の情報はひどく少なく、天木が指摘する通りいつかなら知っていてもおかしくないことばかり。
少なくとも、秀人視点だとタイムスリップではなく、自分がかけてしまった呪いを解く話になるのではないでしょうか。
③恩師=秋ちゃん(子どもたちは夜と遊ぶ)
秀人と夜ご飯を食べていた恩師は、彼に能力の使い方を教えた秋ちゃん先生でしょう。
いつかが「どこかで見た顔のような?」と思うのも、コメンテーターとしてテレビに出ていた彼を見たことがあったからと考えられます。
またこの時、ふみちゃんも「お久しぶりです!」とはっきり話していますよね。
自分がどん底にいた時に寄り添ってくれた大人として、いまだに交流があるのは微笑ましいことです。
余談ですが、私は辻村作品だと『子どもたちは夜と遊ぶ』が一番大好きです。
とりわけ木村浅葱という男に心を奪われてしまい、危うく夢小説を書く寸前までいきました。
時系列を鑑みるに、浅葱は30歳になるはず。
いや〜〜〜……
30歳の木村浅葱良いですねぇ……
(これは妄想です)
④美人なお姉さん=理帆子(凍りのくじら)
松永くんのお姉さんとして紹介されていたのは、間違いなく凍りのくじらの理帆子でしょう。
記憶が曖昧なのですが、通ってた病院で、理帆子は確かふみちゃんと1回だけ会ってなかったっけ…?
だとしたら、ふみちゃんと秀人のことは認知しているはずなのですが、2人と会話する描写はなかったですね。
まぁ、小学生が高校生となって数年ぶりに目の前に現れても誰が誰か分からなくなりそうですよね…笑
彼女もクズ男に振り回されず、自立した女性になっていて一安心!
⑤松永くん=松永くん(ぼくのメジャースプーン)
松永くんだけは隠れもせず、初手から本名をぶっこまれていました。
作者が好きなキャラクターなのか、ちょくちょく他の作品にも顔を出している気がします。
なんて多忙な男なんだ…!!
⑥ハルくん=トモ(ぼくのメジャースプーン)
進学校にこんな不良いる!?!?
と、思って読んでいたので、彼が本当はいい奴と知ってとても嬉しかったです笑
エピローグで秀人が“ぼく”と気がつき、改めて最初からザッと目を通した時に彼が“トモ”であることに気がつきました。
勘のいい人は最初からピンと来ていたかもしれませんが、私は2回読むまで全く気が付かず…
小学生の時に殴り合いの喧嘩をした秀人とも、友達やれてるのって凄いよなぁと感心してしまいました。
でも相変わらずメンクイなのは直ってないんですねぇ…
ここまでツラツラと書いて来ましたが、本当に辻村深月さんは自分のキャラを色んな本に登場させますよね。
クロスオーバーというのも違うのかもしれませんが「お気に入りのキャラがこんな風に生きてるんだ!」と分かるのは、ファン垂涎ものですよね。
もちろんただ「ファン向け」という言葉で片付けられる内容ではありません。
青春ミステリー恋愛家族感動もの、あらゆる要素が詰め込まれており、最終章は会社でずっと泣きながら読みました笑
おそらく舞台は山梨県の富士山付近なのでしょうが、丹念に作られた文からまるで自分がそこにいるような臨場感も味わえます。
ぜひ、一読していただきたい辻村深月作品です。
重ね重ねになりますが、刊行順に読むのがオススメです!!笑