岡田耕

(おかだ こう) 俳人。 平成八年『扉』主宰:土生重次に師事。平成十八年『風友』(主宰:佐野聰、磯村光生)入会、同人。

岡田耕

(おかだ こう) 俳人。 平成八年『扉』主宰:土生重次に師事。平成十八年『風友』(主宰:佐野聰、磯村光生)入会、同人。

マガジン

  • 自解

    自身の句に自身のエッセイを添えたものです。結社や句会の企画で書いたものを入れます。

  • 一句鑑賞~noteの森から~

    noteを通じて出会った句の中から、心に留まった句を鑑賞しました。(不定期投稿)

  • 歳時記を旅する

    土生重次とその師系の主宰の句を足掛かりに、季語の現場を時空を超えて訪ねる旅のエッセイ。〔毎月投稿〕

  • 選評・共鳴

    自身の句に関する記事です。選評とは、結社誌で主宰から選をいただいた講評のこと。共鳴とは、結社誌や他の句会、noteなどで自身の句を鑑賞や講評をしていただいたものです。

  • 一句鑑賞

    所属する結社誌で発表した句の鑑賞文。

最近の記事

  • 固定された記事

鑑賞*冬田いま深き眠りに入りけり

辻前玲子 田は、稲を刈った後は刈田で秋。 それが冬になり冬田になる。 そこからさらにある時から眠りに入るのだという。 それは季語の「山眠る」のと同じ瞬間である。 自然の地形や生態系と人間の営みが一体なのが里山なのだから。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』平成三十年六月号)

    • 自解*立冬や水面に震ふ港の灯

      岡田 耕 海の見えるレストランで妻と食事しながら、俳句はこうやって作るものだ、と意気込んで句の素材の選定から言葉の加工の工程を実況しながら出来上がったもの。 「水面」と「港」の母音のリフレインが舌に乗せて心地良い。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』平成二十四年十二月号「自選作品集  風の足跡・二〇十二」)

      • 鑑賞*祖父の忌に晴れの日多し返り花

        島田由加 毎年のその日のことは天気までも覚えている。 その人もまたこの日を覚えている。 返り花は、忘れ花、狂い花ともいう。 でもこの日の花は、咲く時を間違えたのではない。 きっと、この日を目がけて咲いたに違いない。 (岡田  耕)

        • 歳時記を旅する56〔雪吊〕中*雪吊の藁の元結天に結ふ

          佐野  聰 (平成八年作、『春日』)  高井有一の短編小説「雪吊り」に堀切菖蒲園の雪吊りが書かれている。 「雪吊りとは言つても、雪国とは違つて庭に風情を添へるための飾りである。背丈は三米に満たず、姿が美しいとは言へない松の傍らにその倍ほどの高さの柱を立て、天辺から垂らした三十本もの縄を、枝にではなく幹の下方に大きく円形に廻した竹の輪に結ぶのである。」(『海燕』昭和六十三年三月号)   東京都では、浜離宮など都立の九つの庭園の雪吊りは、兼六園とは違い、直接枝に縄を結ばず「ブチ

        • 固定された記事

        鑑賞*冬田いま深き眠りに入りけり

        マガジン

        • 自解
          3本
        • 一句鑑賞~noteの森から~
          52本
        • 歳時記を旅する
          181本
        • 選評・共鳴
          72本
        • 一句鑑賞
          186本
        • 掲載・受賞
          10本

        記事

          共鳴*冬立つやガトーショコラに粉の雪

          ☆コメントをくださった皆様、ありがとうございました。 (岡田 耕)

          共鳴*冬立つやガトーショコラに粉の雪

          選評*父は富士母は相模野七五三

          選評*父は富士母は相模野七五三

          選評*声高に畏み申す神の留守

          ☆全国の神様は、おととい(11月10日)から出雲大社に集合して一週間くらい滞在するそうです。出雲大社からの最新レポートが届きました。   🔵神迎祭(11月10日)    🔴神在祭(11月11日) (岡田 耕) 【スキ御礼】選評*新豆腐朝の光ごと掬ふ

          選評*声高に畏み申す神の留守

          歳時記を旅する56〔雪吊〕前*雪吊の雪待つ一筋づつの張り

          土生 重次 (昭和六十一年作、『扉』)   歌誌「新歌人」の主宰者の芦田高子は、兼六園の雪吊りを「雪吊りの縄が保てる緊張の美しさみな天に統べらる(歌集『兼六園』昭和四十三年)」と詠んだ。   兼六園の雪吊りのうち、唐崎の松(高さ九m、枝張り二十m、幹回り二・六m)の雪吊は、「りんご吊り」という方法で、五本の芯柱(最大高さ十六m)を立て、約八百本の荒縄で松の枝を吊る。一本の松に五本もの芯柱を立てるのは唐崎松だけである。頭飾りは、荒縄を「飾りいぼ結び」にして巻きつける。これは加賀

          歳時記を旅する56〔雪吊〕前*雪吊の雪待つ一筋づつの張り

          鑑賞*藁を焼く煙まつすぐ柿日和            

          西浦 憲爾  遠くには、収穫を終えた土色の田んぼから、稲藁をまとめて焼く白い煙が一本の筋になって青い空に上がってゆく。 一年の仕事を無事に終えた安堵感が湧く。 近くには、そのご褒美のように実り始めた柿が色を添えている。  (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和六年五月号「私の好きな一句」)

          鑑賞*藁を焼く煙まつすぐ柿日和            

          掲載*立冬や波紋の外へ鯉逃げる

          岡田 耕 掲載誌:季刊『詩歌句』2004年 冬号  北溟社   2004年12月10日発行 「俳人 冬を詠む」に3句掲載のうちの1句 (岡田  耕)

          掲載*立冬や波紋の外へ鯉逃げる

          鑑賞*さつまいも焼けばおいしい秋の味

          岡田 みかん 焼きたてのサツマイモを二つに割る。 真っ白い湯気が焦げた匂いとともに立ち上がる。 熱いけれども我慢できなくて齧る。 サツマイモは焼くのが一番おいしい。 秋の味、とは、秋で一番好きなのは焼き芋なのだということ。 ☆作者は小学生。大人の句会に出せば、季語が二つあるだとか、月並みだとか言われそう。だけどおいしそうな臨場感にはかなわない。「俳諧は三尺の童にさせよ」、とは芭蕉の言葉。 (岡田 耕)

          鑑賞*さつまいも焼けばおいしい秋の味

          共鳴*白帯の岩波文庫文化の日

          ☆俳句の季語としての「文化の日」の本意は・・・。  以下の記事も一緒に読み合わせてくださるとうれしいです。 (岡田 耕)

          共鳴*白帯の岩波文庫文化の日

          鑑賞*雨しづく触れて桂の薄紅葉

          辻前玲子  吟行となると提出するのは吟行地を詠んだ句が集中するし、作る側も訪れた印しにここぞとばかりに当地の固有の句材を詠みこみたくなるものであるし、選句する側もご挨拶にご当地句を採りたくなるものである。  吟行地「を」詠んだ句に埋没しそうになるが、吟行地「で」詠んだ句にも目を向けなければならない。 桂の葉は丸くて小さく、雨粒が当るとピアノの鍵盤のように少し下がる。  句は雨粒が「触れて」としか表現していないが、触れていることが葉の動きでわかるのが桂の特徴で、よく捉えている

          鑑賞*雨しづく触れて桂の薄紅葉

          自解*からすやまとりのこみちのもみぢかな

           馬頭町(※)吟行の句。江戸時代の「はとうからすやまのこみち(馬頭、烏山、鷲の子(とりのこ)道)」と彫った道しるべを見た旅人が、「鳩、鵜、烏、山鳥の小道」と読んで、人の通る道ではないと思い引き返したという。  句は、まず、「から」「やま」でア音の主題から始まる。次に転調してオ音とイ音のみの旋律となり、「のこみち」「のもみぢ」で同母音の旋律の繰り返しへと展開してゆく。そして、最後に再び「かな」のア音の主題が現われて終わる。  昔人の遊び心に心を寄せながら、こちらも遊ばせてもらい

          自解*からすやまとりのこみちのもみぢかな

          鑑賞*山宿のテーブルごとに草の花〔拡大版〕

          磯村 光生                    お客様を快くお迎えする姿勢を表す日本語「おもてなし」。 似た言葉に英語のホスピタリティがあるが、ホスピタリティは存在する相手に対するもので、おもてなしは相手が存在しないときにも心を配る点が異なる。  ある年の七月に軽井沢のペンションに泊まった。 ご夫婦の経営で開業四十年を迎えたとのこと。ここまで続けられるのは、生涯現役を続けるという頑固なオーナーと、関西弁でおしゃべり好きなご夫人のお人柄がお客様を惹きつけるからなのだろう。  

          鑑賞*山宿のテーブルごとに草の花〔拡大版〕

          共鳴*能面の泣くも笑ふも秋思かな

          ☆能面作りは「彫り」と「塗り」。「塗り」は能面の化粧だそうです。  能面師 麻生りり子さんの記事です。 (岡田 耕)

          共鳴*能面の泣くも笑ふも秋思かな