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#家族の物語

人気の記事一覧

てんやわんやだったけど、娘が楽しめてよかったお正月。

年末年始は、大晦日に息子が発熱したことから始まった。 「部屋からでてこんといて」 食事を息子の部屋へ運び、隔離してもらうことにした。 娘は元旦に来るという。 家の状況を話したが、それでも来るという。 幼なじみに会う約束もあるらしい。 次の日、夕方には駅に着く娘を迎えに行く用意をしていると、とんでもないことが起こった。 義姉一家もやってくると、夫の携帯に連絡が入った。 こちらにも、家の状況を話すもそれでも来るという。 それも、甥っ子が近々結婚を予定する彼女を連

マイダイニングテーブルダイアリーズ

間違いなくNEW N.O.T.E家の主役である深緑の天板がかっちょぶーなダイニングテーブルの前に座ったボクは食後のコーヒーをズズズと啜りながら、自分なりにいい感じにまとめ上げた新居のリビングをぐるりと見回していた。 すると、テーブルを挟んで右斜め前に座る妻が 「お父さんって典型的な和室顔だよねー」 とか抜かし、いや、言い始めた。 自分のインテリアにご満悦なボクの姿が癪に触ったのか、それとも、単に、そのときの頭に浮かんだことをそのまま口にしたのかは定かじゃなかったけど、

馬子にも衣装と子育てゴール💄

おはようございます、ほっしーです。 わしの娘は、現在短大の2年生です。 この短大、なんでか3年間通うらしいので、まだ卒業ってわけではないんやけど。 まあ、一応真面目に通っとるみたいで、食卓を囲みながら何を勉強したとか話しを聞くわけですわ。 経済や金融関係の授業の話しなんかは、テキストを持ってきて教えてもらったりして。 そういえばこの前は、なんか教授の講義の助手のバイトやるとか言うとったな。 何やねん、そのワクワクの宝石箱みたいなバイト❗ ちくしょう… 知能指数が低くて喋り下

夫のありえない勘違い~私がのびてるラーメンを好きなわけがない

先日、夫のありえない言動に驚いたので消化させてください。 夫の愚痴を聞いてください在宅ワークの昼休憩中の話です。 その日は私も夫も家で在宅ワークをしていました。 夫と2人でカップラーメン食べることになり、夫がお湯を沸かしてくれていました。 お湯が沸いてカップラーメンにお湯を注いだ直後、夫が「妻ちゃんのカップラーメン、待ち時間3分って書いてあるけど5分くらい待ったほうがいい?」と聞いてきました。 私が「え、何で?3分でいいよ!」と言うと、夫は「妻ちゃん、のびたラーメンが

【物語】何もなかった日

「ただいま。」 玄関を開けたら、小学5年生の息子が正座していた。ぎょっとして、思わず入ったばかりの玄関から一歩下がった。 息子は、お気に入りの黒いパーカーを着て神妙な顔をしつつ玄関の前に座り込んでいる。 何が起こっている? 最近息子には反抗期がきたらしく、俺が説教しても聞かなくなっていた。 ゲームばかりで宿題をしない息子に、「しっかりしなさい!」と怒ったことがある。すると息子はこう返してきた。 「親父だってしっかりしてないじゃん。この前母ちゃんに『靴下裏っ返して洗

最近の日記みたいな感じ。

久しぶりにnoteを開いたら、最終更新が春だった。 もう今は冬なのに。随分サボってしまっていたみたい。 思えば3月は転職、4月から5月は引越し、6月からは家を整えたりと、いろいろと忙しかった気がする。8月はGFXも買ったし。いや、それは忙しさと関係ないですね。 9月から12月までは、あっという間に時間が過ぎていった。 気づけば今年も終わってしまう月だった。 普段は理学療法士をしているけど、担当しているおばあちゃんに、「1週間早いね、もう今年終わるね!」って毎回話してる。

岡田監督が起こした、もうひとつの小さな奇跡|想像していなかった未来

阪神タイガース岡田監督が2024年シーズンをもって勇退する、というニュースが飛び込んできた。岡田監督は私たちファンに、38年ぶりの阪神日本一という奇跡をもたらしてくれた。と同時に、我が家にも奇跡と、想像もしていなかった未来をもたらしてくれた。世間から見たら小さくてありふれたことかもしれないけれど、私の人生にとっては間違いなく大きな奇跡。岡田監督への感謝を込めて、綴ってみたいと思う。(このためにnoteを立ち上げたという……笑) ※記事中、敬称略 涙の退団会見にハッとした小

言葉や文化が違っても、書くことの基本は同じらしい

わたしはアメリカ人と結婚している。 夫の祖母は、ある地方紙の記者だったらしい。インタビュー記事やコラムを書いていたそうだ。 結婚したときにはもう亡くなっていたので、会ったことはない。古い写真で何度か見たことがあるだけだ。 長らく、わたしにとって、この人は夫側の家族の系譜に登場する一人物に過ぎなかった。彼女が書いて暮らしていたことについては、数年前まで知らなかった。 わたしが書くことに喜びを見出すようになった頃、夫が祖母のしていた仕事の話をしてくれた。 小さな地方紙で

腐らずに自分の気持ちを言える大切さ

ある日のこと。 息子(4歳)が、私のiPadの標準メモ帳アプリ&Apple Pencilでお絵描きをしていた。 iPadの標準メモアプリには、定規(ツール)というものがあって、それを使うと、実際の定規のように直線を引くことができる。 息子が、iPadのメモ帳の定規ツールを使って、直線を書けることを発見したようだ。角度も自由に変えて線をかけたので、お母さんのところに見せに行った。この投稿のヘッダ部分の画像である。 しかし、そもそもiPadをそんなに使えないお母さん。メモ

あなたの「こえ」のその先で、会えたら|短編小説

四十九日を終えても、私の体はあの人がいない世界に慣れやしない。 この手は米を2合研ぎ、 この目はあの人に合う新しい服を探し、 この耳はあの人の低くかすれた声を求めた。 ――あの人のところに、いきたい。 この心の叫びを消化させるための無心の掃除の最中。 ふと、リビングの飾り棚にあった巻き貝の貝殻が目に入る。 ――すごい。この世のものじゃない『こえ』がするよ。 ふたりきりの、目的地が海しかなかった、なんでもない旅行の果てで。彼はその貝殻を耳にあてて言った。 なに、ばかな

玄関物語

今まで自宅玄関でたくさん写真を撮ってきました。 「玄関物語」として、まとめても面白そうです。 20年の月日、玄関だけでもいろいろなドラマがあります。

「親になる訓練」をあなたは受けてきましたか?

最近は、もっぱらYOUTUBEで 素朴で自然に囲まれた暮らしをする人を見て、 癒しを得ているりょーやんです。 いつか、 作物を育てて、 ちょっとでも自給自足の生活をしてみたいの~ 笑 共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨ 教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌 どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。 共育LIBRARYりょーや

出かけてきたよ⑨(博多・門司港)

(この夏の思い出をゆっくり綴っています) 長崎から、リレーかもめに乗る。 「皆様で座れるよう、コンパートメント席にされますか?」 と、駅員さんから席を予約時にたずねられた 「ありがとうございます、お願いします✨」 どのようなものか、わからないままお願いした。(ワタシあるある) 車内に入り、自分たちの席を見つけ、歓声を上げた。 モダンで、どことなく和風な空間。 恵みの雨打つ車窓の眺めを楽しんだ。 博多に到着。この街にも、お浄めの大雨。 駅構内は、大勢の人々でごったがえしてい

ジュリー。オカンのこと、よろしくね。

けして、サイコパス小学生ではないことは最初にお伝えしておくが。 小学2年生のクリスマス。 サンタさんにお願いしたのは、 「おっきいクマのぬいぐるみ」と 「キッズ包丁」だった。 あくまでも「お友達として」ぬいぐるみを求め、 「お母さんといっしょに料理をしたくて」キッズ包丁をお願いした。 クリスマスを前にした私は、「これが手に入れば、私は料理が見事にできるようになり、お母さんも私をほめてくれるだろう、助かることだろう」と思い込んでいた。 小学2年生の私よ。なんと無邪気なこと

家族の「最期」を書いていた

当たり前のように訪れると思っている明日には、意外と、案外、手を伸ばしても届かない。 そんな誰しもがたどり着くけれど、ふとしたときに忘れてしまうような、たしかな真理にわたしも思いを馳せる瞬間が生まれた。今から一年前、2023年が終わりを迎えようとしていた頃のことだった。 2023年12月11日、大好きだった祖父が他界した。10月の末に、とある病が見つかり、入院してから約一ヶ月と少し。あまりに早い別れだった。入院の二週間ほど前までは、車を運転して、孫であるわたしや娘である母に

息子氏 正社員登用となりました

本当は11月半ばに決まっていたのですが 今年は悲しい別れや夏以降の自身の記憶障害など 暗い話題しかなかったので 年の締めくくりは明るいニュースを😀 息子氏 年明けより契約社員→正社員となります✨  ☆(゚∀゚ノノ"パチパチ☆ この日から3年8ヶ月 長かった(=TェT=) でも寄り添い・向き合うことで わたしたち親子にとって とても充実した時間でもあったし 息子の苦しみの根源に気付けたこと 本当に良かったと思っています たくさんの福祉の方やお医者さまにもお世話にな

映画「天使のくれた時間」は死ぬ前に湧き上がる感情を、失ってはきっと後悔する大切な何かを教えてくれる史上最高のヒューマンラブストーリー映画だ💞

切なさが心のど真ん中を貫くラストが忘れられない。 寒くなると必ず見たくなる最高の映画だ。 「天使のくれた時間」映画レビュー映画「天使のくれた時間」は死ぬ前に湧き上がる感情を、失ってはきっと後悔する大切な何かを教えてくれる史上最高のヒューマンラブストーリー映画だ💞 是非、Voicyでもお聴きください♪ 【あらすじ】 優雅な独身生活を謳歌していたビジネスマンが昔の恋人との"もうひとつの人生"を体験することで本当の幸せに目覚める姿を描いた大人のファンタジー。 成功を夢見

おへその上の男

1️⃣  腹上死。この言葉を初めて聞いたのは、小学四年生のとき、父の葬儀の日だった。 「ジョーさん、ふくじょうしだったらしい」    曖昧な記憶を辿り寄せると、葬儀場の薄暗い和室に私はいる。  部屋の左端には、その日の主役である死んだ父が布団の上に横たわっており、その周りに人はいない。  部屋の右端には、親族に取り囲まれた母が座っていた。母は泣いてはいなかったけれど、周りの人々は小声で何かを言いながら、母の背中を撫でたり母の手を両手で包んだりしていた。彼らは、ときおり部屋の反

結婚報告した日に◯物中毒者だった母の話を聞く

一昨日、私は家族に結婚報告をしました。 親族皆、オーバーリアクションはなかったものの、そうかそうかと受け入れてくれて。 いやー本当によかった、ひと安心。 だけど、1番伝えなければならない父親は絶賛インフルエンザにかかってしまい、実家に寄ることはできなかった。 そんな日の夜は、同棲している部屋に私の弟が夕食を食べにきた。 そんな弟の手には、黒い無地の箱があった。 「マイブラザーよ、その箱はなんだい」 「知らん、おとんに渡された」 どうやら私への贈り物らしい。

My Daughter's file〜娘の記録|#家族のかたち

 娘とは、友だち母娘で、昔から趣味嗜好がぴったり合う。  例えば彼女は美術系の高校を卒業してから、ほぼ洋服を買っていない。私のお下がりから、気に入ったものを組み合わせて着ているからだ。  この娘、小さい頃から様々なことをこなす。絵画、歌、ジャズダンス、茶道、着附け、日本舞踊、等々・・・  文章も上手い。何と言うか、アーティスト気質なのだ。  その一方で、時折奇想天外なこともする。  小学生くらいの頃―――以下のnoteの頃だったと記憶している。 ↓ ↓ ↓  夫

【向田邦子】人間は、大事なことはひと言も言葉にはしないものだ?

「おとなは、大事なことは、 ひとこともしゃべらないのだ」 これは向田邦子の小説『あ・うん』に 出てくるナレーションです。 向田邦子といえば、 にぎやかなテレビドラマの シナリオを手掛けた名人だから、 このナレーションは ちょっと虚を衝かれる思いがする。 いや、でも、 おとなは肝心なことは やすやすとは口にしないことを 知悉していたからこそ、 家族ドラマのシナリオを描けたに ちがいない…気もする。 作家の関川夏央は、 『家族の昭和〜私説昭和史』で このナレーションについ

【物語】楽しみは今

海に連れて行ってくれるって言ったのに。 僕は、うきわや水着が準備された自分の部屋の中、ど真ん中で体育座りをしてふてくされていた。雀がちゅんちゅんの機嫌よさそうに鳴いている声さえうっとうしく感じる。 そう。 僕は今、盛大に拗ねている。 今日は、海へ出かける約束をお父さんとしていた。 お父さんはまだ35歳なのに、みんなに慕われてこの村の村長をしている。お父さんは優しいから、困っている人がいると必ず手を貸す。 優しくて頼もしいお父さんは、僕の憧れであり、自慢だ。 でも、今

「冬の月のこころ」―詩―

冬空の 月は 春の カステラ色の衣(ころも)から ペールブルーの衣(ころも)に 様相を 改め 冷たい頬をして 人の心を 照らず 月の周りには 供(とも)の 星たちが 静かに またたき 月の 癒しの光の ばら撒きを 手助けしている 道に迷っている 人には 蒼い光で 暗い行手を 照らし 北風は やさしく 背中を押し 立ち止まらずに 歩き続けるように 勇気づける 最愛の人を 亡くした人は 月を 仰ぎ眺め 蒼い月の スクリーンに いとしい人の シルエットが 映し出されるのを 両

「母さんの白い嘘」―詩―

母さんは 時折 嘘ついた 嘘つく時 目が細くなるので ボクには すぐ解かった 「母さん 坊やがいなくても ちっとも 寂しくないわよ 楽できるから うれしいわ。。  あっ 坊や おやつ食べ過ぎると  ご飯 たべれないわょ メロンは 好みじゃあないの。。 匂いが 強すぎる 坊や 大好きだったね どうぞ 食べて 母さんには バナナの方が 似合ってる 父さんが 外国土産に買って下さった スワロフスキーの ブレスレット 母さんの シワシワ手首じゃあ 似合わないわ。。 きっと お姉

タトゥーを入れたくなった、この上なく普通の日

3時。授乳用に使っているランタンのほのかな灯りの中で、伸びてきた爪を眺める。外も内も静寂が濃すぎて、鈍く響く心臓の音が聞こえる。どくんどくんどくん。この上なく普通の日が始まる合図だ。 老いは確実に進行しているのに、視認できる変化は爪の伸びくらい。中身は何か変わっているのだろうか。よき大人へと、成長しているのだろうか。金太郎飴のような変わり映えのない毎日で、よくわからない。 睡眠時間を稼ごうと、羽毛布団をかぶり眠った。 6時。「うわーーーーん」と、上の子が寝ぼけてうなりだ

【#毎週ショートショートnote】ジンジャークッキーイブ

「今夜0時になったら、絶対に目を開けちゃダメだからね」 クラスメイトの優香ちゃんからそう言われて、私はゴクリと喉を鳴らした。 小学校の教室でいつものように優香ちゃんの語りが始まり、みんなが興味津々に聴いていた。 目を開けちゃダメと言われてたら逆に気になってきちゃうよ。 私はそういった話をされると気になって仕方なくなってくる。 その晩、母親にそのことを話したところ、 「ジンジャークッキー焼いてあげるからそれ食べて寝たら大丈夫よ」 そう諭され、晩ご飯後にジンジャーク

「父さんの悲しい笑い顔」ー詩―

懐かしい 歌謡曲を聞くたびに 天に召された 父さんの かすれた 歌声が 耳に帰ってくる ボクを 膝にのせて 雨の つぶやきのように 歌ってくれる 普段は 仕事が忙しくて ほとんど 顔を合わせることがなかった いつか 僕が 「父さんは いつも いないじゃないか!」と 言ったら とても 悲しそうに フッと 笑ったね 今 自分が 子供から 同じ言葉を 言われて 父さんと 同じ悲しい笑顔を 鏡に映る 自分の顔に 見つけてる 戦争に行ったことは あまり 話してくれなかった たまに

例外的な年末年始には学びがあった①

この年末年始、次女の出産という一大イベント?もあり、あっという間の毎日だった。 次女の出産 命を授かることはそれだけで奇跡だ。 そのうえ、妊娠期間中何事もなく過ごせることができれば、それはもう、ただただ有難いことで。 だけど。 5月頃、次女夫婦から妊娠の報告を受けた時、120%嬉しいのはあたりまえなんだけど、聞かされた予定日には正直びびった。 えっ、大晦日?、マジで? 12月31日が予定日なんてハードすぎる、、、 私の正直な気持ちだった(笑) でも。 次女だって、次

晩秋の栗と山の家

今、日本は栗の季節で、このnoteの記事やSNSでも栗ご飯や栗スウィーツの話題、写真が満載だ。 栗を食べる習慣もなく、栗の木も育たない国に暮らす私は、それらが羨ましく、ただ指を咥えて見ている(悲) 栗というと思い出す情景がある。 まだ息子が1歳を迎えたばかりの幼児の頃、久々の一時帰国を父の山の家で過ごした、日本での記憶だ。 街の中心部から1時間ほど車を走らせ、曲がりくねった山道をぐんぐん登ってゆくと、深い谷に囲まれた山奥の僅かに開かれた土地に、その古民家はあった。 打ち捨

一生ボロアパートでよかった①〜⑩まとめ

① 私が幼稚園の年長になった頃、両親は家を買いました。新築の白い家です。よくある40坪程度の分譲住宅の一つでしたが、私にとって自慢の家でした。それ以前はボロアパートに住んでいました。ボロアパート時代の父は毎日きちんと仕事に行って、休みの日は家族サービスもする"良い父親"でした。母も私にとって"自慢の母親"で、よく美人と褒められました。両親は新築の家に引っ越してから兄弟のいない私に犬を買ってくれました。白いフワフワの毛をしたマルチーズで、ハナと名付けました。ハナは私が小学4年生

こんばんは🌃 年末年始の予定は決められましたか? その前にクリスマスですが、娘たちが「お母さんは性格悪いからサンタはこない‼️」とお母さんがいない間に陰口を叩きまくっているので、妻が気の毒です🥹 きっと自分がいないときに「お父さんは〜(略」とか言っているとは思いますが(笑)

おしくらまんじゅう #シロクマ文芸部

 冬の夜気はきんと音がしそうなほどに冷えていた。  昼は晴れていたが、午後三時過ぎにみぞれ交じりの雨が降った。雪になるかと思われたが、また晴れて星が見える。息が白い。  ベランダに置き去りのタオルが半ば凍って風に震えているのを見つけた。拾い上げ、二重サッシを閉め、薄いカーテンを引き、さらに厚いカーテンも閉めた。  洗面室に戻り、タオルをもう一度洗濯かごに入れる。汚れは見えなかったが、そのままストーブの上に干すのは憚られた。  北国の家には、石油ストーブがある。ファンヒーターや

三姉弟が織りなす令和のホームドラマ/新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』

野木亜紀子さんが脚本を出がけ、松たか子さん、多部未華子さん、松坂桃李さんが三姉弟を演じた新春スペシャルドラマ『スロウトレイン』を観た。 ある程度年齢を過ぎた独身の三人姉弟。今では珍しくないが、家族というくくりではシビアな問題がけっこうある。観ていてちょっと考えさせられる。自分に置き換えるとほっこりできないんじゃないかなあと一瞬ひるんだが、そうではなかった。なんだろう、こういう家族のあり方でいいんだよなと思える内容だった。 彼らには一度に家族を失うというヘビーな背景があり、

絵描きが年末年始に実家に帰省して、大晦日に一晩で描き上げた1枚の絵

「さて、今年も寒い北海道に帰るか!」 クリスマス前に冬休みに入る子供たちは私の実家のある北海道への帰省を心待ちにしていて、私もいつまで会えるかわからない両親と老犬との再会を楽しみにしていた。 息子たちに帰省するときに何が楽しみかと聞くと、気を使ってか「おじいちゃんたちに会うことと、マルちゃんとマメ(どちらも犬の名前)と遊ぶこと!」と言ってくれる。本心だと思うけど、冬の北海道には子供たちにとっては普段なかなかできない雪遊びと、お年玉、クリスマス&お正月の胃がもたれそうな特別

大福の前でも取り繕ってしまうわたし

午前3時。寝ぼけ眼でぷくぷくの大福を前にして、私はなんとか、どこかにあるはずの自分のスイッチを入れる。 「はーいおむつ替えますよー!」 深夜に似合わない妙なテンション。 大福はぽやぽやと、いかにも寝起きですみたいな顔をしながらどこか遠くを見つめている。 一体何を考えてるんだか…… 娘と生活し始めて早2ヶ月。小さかった生命体はどんどん顔がしっかりしてきて、身体はぷくぷくになり、なんとなく「大福丸」と呼びたくなるフォルムをしている。 そんな彼女は家族ではあるけれど、ま

思い出の味

どうやら私は何歳になってもママの子どもらしく、実家に帰るとママはいつも張り切って料理を作ってくれる。 この間はピーマンの肉詰めと鯖の味噌煮が同じ食卓に並んでいた。主菜がセンター争いをしている。 そしてなにかと私の好物を覚えていて、豚肉を細かく切って甘じょっぱく炒めたものや、キャベツを甘じょっぱく炒めたものを、毎回といっていいほど作ってくれる。 アイス大好き星人の私のために、冷蔵庫にアイスの用意も欠かさない。甘いものだけではなくお酒のほろ苦さも知ってしまった24歳のために、お酒

心の中へのお引っ越し

霧の朝 私の扉を叩く音が聞こえた 今までありがとう 大好きだよ どうしたの? 急に お別れしにきたの どうして? え……だって 知ってるでしょ? 住む所がちょっと 変わるだけじゃない 住む……ところ? 今まではね お家に住んでいたでしょ? うん これからはね みんなの心の中に住むの 心の中? ほら 今私のドアを叩いたでしょ? ここが私の心 ここに住んでいいの? 当たり前じゃない ずっと居ていいんだよ でも そしたら他の人と 会えなくなっちゃうね

わかりづらい愛の表現

夏、久しぶりに父方の祖母の家を訪ねた。祖母は長男(つまり私の父の兄)と二人で暮らしていて、祖父は五、六年前に他界していた。私の両親と妹、父と一回り歳の離れた叔父とその妻と子どもたちが集まった。 祖母は少し、というかだいぶ変わっている。どう説明すれば伝わるだろうか。祖母の家には時計が五つくらいあってすべてが違う時刻を指しているとか、白い猫を五、六匹飼っていて見分けがつかないというのでそのうちの一匹の額に緑の油性ペンで眉毛を描き足しているとか、そんなことを言えば伝わるだろうか。

クリスマスの朝、私にもサンタさんが来てくれた話

こんにちは、ママノスケです! 数ある記事の中からお立ち寄りいただきありがとうございます。 さてさて、今回は先日のクリスマスのお話。 あえて明言はしませんが… 親になると、クリスマス…特に平日のクリスマスは忙しいものですよね。笑 そんなクリスマスの朝、 起きたら私の元にもサンタさんが来てくれていたというお話です。 クリスマスは忙しい 子どもの頃のクリスマスといえば、 サンタさんからのプレゼントですよね? サンタさんとしては、 子どもたちの欲しいものを調査し プレ

心の写真〜記録と記憶

スレッズでなにげにつぶやいた。息子が小学校2年生のときの宿題の画像が少しだけ賑わっている。 小2の頃、息子が書いたシンプルな文章 そこには「生まれたときのエピソード」というものが宿題に出されており、本来ならそれはお家の方に聞いて、インタビューの結果をそこに書くと宿題だった。 ところが息子は私にインタビューもせず(私が仕事で忙しいのを察して言えなかったのかもしれません涙) 「泣きながら生まれてきました」 その短い文章に 私はなぜか心を強く打たれました そしてそれがスレ

作ってみた。終活レポート📚少し長い話になりそう✨❶

#つくってみた 終活レポート 少し長い話になりそうだ とてつもなく不器用で 人とは違う物差しで けれど、我が家ならではの 特別な幸せのカタチ ここまでよくぞたどり着いたと思う 羅針盤もなく 望遠鏡もない 頼れるのはひとえに 人の温かみと自分の勇気 世界で🌎一つしかない 答えを探す🔍 自分だけの旅 月日は百代の過客にして 行きかふ年もまた旅人なり 松尾芭蕉が旅に誘われたように 私もまたワクワクしている! なぜなら これまでの人生で出会った 全ての人に 思い出の旅の中

新車選びの裏側:面倒くさい私とワクワクの夫

近々、車を買い換えることになりそうです。 今の車は13年ほど乗っているホンダ。 自分で言うのもなんですが、きれいに乗っているので、それほど古びた感じはしない…と思っています。 とはいえ、さすがに年月が経っているのは否めません。でも、不満は特になく、愛着もあったので、まだまだ乗れる気持ちでいました。 そんな私が今回車を買い換える理由は、息子のため。 息子の車がかなりボロボロなので、私の車を譲ることになったんです。息子のためなら仕方ないかな、なんて思っています。 実

明日で祖母が退院することになりました!

よかった〜結構長かった、二週間ちょっと。年末年始は家で過ごさせてあげたいなあと家族みんな思っていたから、ちょっぴり無理やりだけど帰ってくることになった。 今もシーンとした自分の部屋でこのnoteを書いているけれど、隣の部屋に祖母がいないのはやっぱり寂しい。おやすみ〜と一声かけて寝るだけのやりとりがこんなに大切だったとは。 両親と3人で囲む食卓ももちろん楽しいけれど、祖母と4人のときとは全然違う。わたしは祖父母の存在に小さい頃からずっと支えられて生きてきたので、いなくなるの

【妊娠32週〜33週】子を持つ選択をした私ができること

妊娠32週に突入した、先週の私が書いた文章がこちら。↓ 妊娠32週に突入し、とうとう逆流性食道炎であろう症状が出てきました。とにかく食べたものが喉まで上がってきやすくて。切迫早産で自宅安静中の私にはほんのちょっぴり不快だけど、「おほ〜胃が圧迫されてるとこんなことになるのか!はっはっ!」と、なんだかニヤニヤしてしまう私。そして寝る前には、みぞおちあたりが熱くなって身体を起こしてしまう。こんなことは人生で初めてで、この症状に対しても不快感というより「おぉ〜これが噂に聞くやつ!!

70代になった両親との小さな変化。

「わたしが運転するよ」 いつものようにそう言ったら、この日は母が 「お父さん、お願いしたら?」と父の顔を見た。 父が少し逡巡したのち、素直に車のキーを渡してきた。 先週末、久しぶりに両親と出かけた、2024年11月17日のことである。 わたしは心の中でこの日を「ハンドル記念日」と名付けた。 実は長い間ずっと、心のどこかで気になっていた。 年老いた両親と、寄りかかる側、そして寄りかかられる側の役割をバトンタッチするのは一体いつなのだろう。と。 ここでいう役割というの

母が大好きな父を持つ娘って、幸せだってこと

はじめまして!やまざきめぐみです。 noteをやりたい、やろう、やらねば…みたいな三段活用が頭をめぐって数ヶ月。。いやたぶん1年以上。このままじゃもぐらみたいに穴ほって出てこなくなりそうなので・・・ 友達からの紹介で「自慢の家族」というお題を頂いたタイミングで、自己紹介も後回しにして、さっそく書いちゃいます! 父について 77歳になる私の父は、家族大好きで特に母への愛情がだだ漏れな人 現役時代は小学校の教員から教頭、校長と教育畑を歩んできた人ですが、とにかく 帰宅が早か

「死にたい」と考えていた私がキャリアアドバイザーとなり未来に思うこと~家庭崩壊から上京するまでの10代の記録~

突然の重いタイトルに、衝撃を受ける方も多いと思いますが(笑) まず誤解なきよう皆さんに最初に伝えたいのは、私は今「最高に幸せである」ということです。 ただもちろん、表題の通り、現在に至るまで散々な日々があった訳です。 でも、こうして今はキャリアアドバイザーとして人生を豊かに過ごすためのご支援をしながら、自身も未来に想いを馳せつつ生きているわけですから、人生って長いんだな、不思議だな、と思うんです。 ぜひこの大前提を理解した上で、過去の私の紆余曲折を読んでいただけたらと思い

私の夢をカミングアウト

夢のはじまり 私はそれをずっと隠していた。 ファンタジーが好きだったので、魔法使いや異世界のお話しを読む度、 これを書いている人はきっと不思議な体験をしたことがある 特別な魔法使いのような人なのだと信じていた。 自分の頭に浮かぶ物語を誰にも見られないように ノートに書いてはいつか自分も不思議な体験に出会いたい。 そう思っていた。 昔ながらの慣習が生きる家に育ち いつでも、小さなノートと本を抱えた女の子は 本と現実の境があいまいなまま大人になった。 大人になると、本と

【短編小説】昼間の満月⑤

外観は誰が見ても、北海道の短い夏を満喫しています!を全体から醸し出している白いオープンカーであったが、車内は北海道には存在しないどんよりした梅雨のようだった。 例のコンビニからしばらく走らせ小さな町を出た後、両側が田んぼに挟まれた郊外に出てもまだ、久美子は助手席で身を伏せたままであった。 この状況に耐えられなくなった葵は咳ばらいを1つして 「あのー、気まず過ぎですし、訳が分からな過ぎなんですが、もうそろ、立ち直ってそんで解説してほしいのですが、よろしいでしょうか?」 とあえ

あいまいな喪失

この季節は 毎年こんな感じではあるのだけど 出逢いがあれば別れもある 生き別れもあれば死別の場合も 恋人・夫婦・親子・友達 その関係性で別れのパターンも様々で 立場が変わればその苦悩も変わる 突然に旅立ってしまった中山美穂氏 離婚してフランスに残っていた辻氏と息子さん 子の親権を譲った時 「子を捨てた」とかなりのバッシングを受けた美穂氏 そんな母親に会いたがらなかったという息子さん だけどどうだろう… それは父親を慮る気持ちもあったのかも知れない なにぶん