ふと開いた本の中、本との邂逅をめぐる一編に出会う。遠藤周作『切支丹の里』の一節を引きながら詩人は、頁を開かずとも「影響」される本があることを語る。本との生活を好む者の書架にある、手付かずの本。その本が後にもたらすものについて。 偶然か、必然か。真摯な言葉を綴る人の問いが過る。
若松英輔著『悲しみの秘義』を読んだ。ひさびさにゆっくりと読書ができたというところ。これは名著ですよ。人生で素通りしてしまいそうなポイントにしっかりと光を当てて、考えのヒントとなる引用もしつつ丁寧に語っていく。タイトル通り悲しみについての話が多いが、それらを突き抜けての希望がある。