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エッセイと論文

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記事一覧

志賀直哉は僕の推しなのか?

志賀直哉は僕の推しなのか?

3年前に志賀直哉のエッセイ「国語問題」についての論考をnoteで上げてから、沼にハマっている。

志賀直哉の「国語問題」についての論考

ここで書いた内容は長年あたためて来たもので、かなり力を入れて書いたのであるが、なかなか満足のいくところまでいかない。

書き上げた後の3年間で、本文に手を加えたのは若干で大意に変化はないが、その分補足で注を加え加えしていき、38個もの注をつける事になってしまった

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いいね(スキ)を沢山するのは悪いことなの?

いいね(スキ)を沢山するのは悪いことなの?

僕は割と色々なものをいいと思い、素直にいいね(スキ)をするので、いいね(スキ)をする数は多い方かもしれない。
それを特に悪いと思っていなかったので、最近になって「いいね合戦」とか、やたらといいね(スキ)をするのを良く捉えない言い方があるのを知って、そうなのか!とそっちに驚いている。
(一定の記事にいいね(スキ)が集まる事を特に合戦と表現するようだが、何かこの言葉にはいいね(スキ)を多くする事そのも

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志賀直哉「国語問題」について書いて3年

志賀直哉「国語問題」について書いて3年

志賀直哉のエッセイ「国語問題」に関する論考を書いてからちょうど3年が経った。

志賀直哉の「国語問題」についての論考 

これを書いた時、僕は49才という歳を迎えたていた。
僕の周りには50歳の前後の数年、49歳から53歳の間に亡くなった人が多くいる。
その事もあって、人生50年というのは、決して昔の話ではないとう感覚が、僕にはある。
僕もその歳にさしかかり、いつ何時どうなってもおかしくはないとい

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「三島由紀夫・坂口安吾・志賀直哉」「三島由紀夫と反教養主義」

「三島由紀夫・坂口安吾・志賀直哉」「三島由紀夫と反教養主義」

以前書いた志賀直哉のエッセイ「国語問題」ついての論考の注で、三島由紀夫について書いた2つを大幅に加筆しました。
これは自分でも中途半端なものになっている気がしていたので、とりあえずまとめられて良かった。
(まだ十全とは云えないでしょうが)
三島由紀夫生誕100年の年始にて。

注 xv 「三島由紀夫と大正教養主義」

注 xxi 「三島由紀夫・坂口安吾・志賀直哉」

志賀直哉「国語問題」についての

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トイレキャンセルと鬱状態について

トイレキャンセルと鬱状態について

最近、お風呂に入ることを面倒臭いと感じキャンセルする人々を風呂キャンセル界隈というらしい。
これについては昨日の投稿でも触れた。

昨日の記事

この風呂キャンセル界隈と鬱とを結びつける記述を note などでもまま見受ける。それは確かにうなづける部分もある。
鬱病であるか、ほんの一時的なものであるかの区別はあるとしても、鬱状態になる事は誰にでも起こりうる事だろうから、ある程度共感も得やすいのかも

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4ヶ月ぶりのセルフヘアカットと風呂キャンセル界隈について(2024.12.1に追記)

4ヶ月ぶりのセルフヘアカットと風呂キャンセル界隈について(2024.12.1に追記)

先週の日曜日、伸びきった髪を自分で散髪しました。およそ4ヶ月ぶり。これで22回目。散髪前の写真も撮りました。21回目の時は投稿するのを怠ってしまったので、前回の散髪の記事より、7ヶ月ぶりです。

掛かった時間はいつも通り1時間ほど。すっきりしました。後ろは、何度も調整しながら切ったので、だいぶ短く刈り上げたようになってしまったが、なんとか形にはなりました。

最近、お風呂に入ることを面倒臭いと感じ

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占領下の抵抗 / 志賀直哉のエッセイ『国語問題』をめぐって

占領下の抵抗 / 志賀直哉のエッセイ『国語問題』をめぐって


はじめに

志賀直哉の随筆はどれも面白い。その中には「フランス語を日本の国語にする」と主張した『国語問題』 [1]も含まれています。これがなんともいい。含蓄に富む文章です。

「フランス語を日本の国語にする」とだけ聞いた時と『国語問題』を通読した後とでは、印象は全く違います。そこには志賀直哉独特のアイロニーがある (ⅰ)。
しかしこれは単なる皮肉(cynicism)ではありません。志賀はフランス

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志賀直哉「国語問題」について書いて2年

志賀直哉「国語問題」について書いて2年

志賀直哉のエッセイ「国語問題」に関する論考を書いてからちょうど2年がたちました。

これは長年考えてきた内容で、多くの人に読んで欲しかった。しかし込み入った内容だし、ポップな話題でもないから、アクセス状況のビュー数2000〜3000を目標としました。

いろいろと工夫をして、それは1年目で達成したのですが、ビュー数はTLに上がった数なども入り、能動的なアクセス数ばかりではないことを知って、それでは

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「資本論」冒頭のマルクスの姿勢

「資本論」冒頭のマルクスの姿勢

カール・マルクスの「資本論」には大きな影響を受けました。といっても、その影響の殆どは第1巻第1節の短い冒頭の文章によるものです。
長い幾つかの序文が続いた後の本文の冒頭を読んだ時、私はどきりとして、その文は私の記憶に刻まれました。

「資本論」冒頭の多様性その文章は向坂逸郎訳 (岩波書店) ではこのように訳されています。

そして、私が最初に手にした新日本出版社の訳がこちらです。

どちらも良い訳

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マサチューセッツでの友と私

マサチューセッツでの友と私

こんなアメリカ人の友人の言葉を紹介するところから、江藤淳の『アメリカと私』は始まります。

20代にアメリカで2年半を過ごした僕にとってこの言葉は、とてもしっくりと来ます。確かに自分の中の何かが変わったと感じます。
2〜3年ほど外国で暮らして帰ってきた人の感覚には、独特のものがあるのではないかと思います。
10年過ごしたならば、変わるのは当たり前です。しかしたった2〜3年ほどの生活が自分を変えてし

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忘れえぬ上司の思い出

忘れえぬ上司の思い出

「あんたの面倒はもう見切れん」と言われたことがある。皆がんばったのに、それをまず労らわずに重箱の隅をつつくような事を僕がした時に、上司が発した言葉だった。皆の前では決して声を荒げる人ではなかった。この時も後で呼び出されて言われたのだった。

尊敬する人だっただけに、僕は動揺した。そして自分がした事を悔いて、次の日に謝りに行くと、彼女はジロリと僕を睨み「本当に分かったのか?」と言い、僕がうなづくと「

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死へといざなう心

死へといざなう心

死人に口なし。死んでしまった人はもはや何も語ることはできない。だから誰かが自死した瞬間のことを誰も知る術がない。自殺した後で、その人について語られることをどう捉えたらよいか、僕には分からない。

僕は自死の危険を感じたことが 2度ある。それは「死にたいと思った」というのとは少し違った。
僕の経験がどの程度、他の人にも当てはまるのかは分からない。とにかく書いてみようと思う。少し客観的に見れるようにな

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小説の滑稽さと切なさと

小説の滑稽さと切なさと

先日、Tomato_soup_Library さんが、芥川龍之介の小説「河童」が実にユーモラスであるという事を書いているのを見つけ↓

同感するところが多かったので、それならばとコメント欄で、ユーモラスな小説として井伏鱒二の「山椒魚」と太宰治の「貨幣」と夏目漱石の「吾輩は猫である」をお勧めしたのですが、さっそくその三作品について、感想を書いていらっしゃる。↓
行動的な方だと感心しました。
どうやら

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