お題

#わたしの本棚

あなたの本棚はどんな本棚ですか? 並んでいる本のラインナップ、何度引っ越しても手放せない1冊、並べ方や棚へのこだわり、積読になってしまっている本たち……。みなさんの本棚のことを教えてください!

人気の記事一覧

いわた書店の「一万円選書」で本を選んで貰った

北海道の砂川市にある書店、いわた書店をご存じでしょうか? 昔ながらの、いわゆる町の本屋さん。 しかし、この書店には知る人ぞ知る「あるもの」があります。 それが「一万円選書」です。 言葉の通り、一万円の予算で、その人に向いていそうな本を選んでくれる、というサービスです。 テレビで取り上げられるなど、密かに人気のサービスで、私が一万円選書を知った時は完全抽選制。申し込んで4回目の抽選となる今月、12月に当選することができましたので、その詳しい記録を紹介します。 当選から、本

本好きの"大人"へおすすめしたい絵本、続編。

昨年の6月にこんな本を紹介する記事を書きました。 この記事の最後に、同じ著者で、 「誰も知らない世界のことわざ」という絵本もあり、 そちらも持っているので、またそのうちに 紹介したいと書いたのですが、忘れたまま なんと8ヶ月が過ぎていました。笑 先日noterさんが「翻訳できない世界のことば」を 購入された記事を見てハッと思い出したのです。 もう1冊を紹介していないままだということを。 というわけでそのもう1冊を紹介したいと思います。 "大人にこそ" 読んでほしい『こと

「子育てを理由に仕事をセーブする」それは立派な最先端事業。

私のnoteのプロフィールには、一番初めにこう書いてある。 と言っても、私が収入を得ている「仕事」は子供に殆ど関係がない。 教師でも、保育士でも、政治家でもない。 だけど。 どうしたものか、子供の事が気になるのだ。 それは我が子だけではなく、日本の子供全てが気になる。 その「気になる理由」を言語化してくれる素晴らしい本に出会えた。 中川李枝子さん1月初旬、本屋散歩中に偶然発見したこちらの本を読んだ。 「ぐりとぐら」「ももいろのきりん」「いやいやえん」等、数々の絵本

正しいお正月の過ごし方、かもしれない

年末年始は実家に少し長めの帰省中のため、ついに私のnote史上初のアレをやるチャンスだと思いたち、実家のリビングからぽちぽちやってみている。 そう、わたし今スマホからnoteを更新しています!もちろんフリック入力のスキルはぜんぜん身についていないので、いつか一足先にフリック入力をマスターしたという妹に「おばさんみたいな入力www」と笑われた人差し指ぽちぽち方式で。もう今世ではフリック入力は諦めました。来世でもしも深津絵里さんに生まれ変わったらフリック入力のスキルも身に付けた

今年買った本を14冊全部並べたら、断捨離の極意が見えた。

読書が好きです。 この1年で読書熱が上昇しているので、もともと好きだった趣味よりも入れ込んでいます。「本の虫」とまではいえないけど、「読書愛好家」ぐらいは名乗れるかもしれません。 昨日、バレンタインチョコを買いに行ったついでに、書店にも寄りました。もともと私はチョコレート好き。でも今はチョコレートもいいけど、同じぐらい本が好きです。 チョコレートは家族のためで、本は自分のため。だから、書店めぐりに時間を割きました。だって、子どもの看病でずっと書店に行けなかったんだもん。そ

noteからつながる道を歩いて。"本屋とほん"さんへ。

いつか、行ってみたい場所。 いつか、見てみたい絵。 いつか、読んでみたい本。 気がつけば、そんな"いつか"ばかりが、自分の中に降り積もっている。 年が明けてすぐのある日、手帳に向かい、訪れたいお店や読みたい本のリストを書き出していたときに、そのこと気がつきました。 そして、今年は、ちいさなことでも良いから、"いつか〜したい"という希望を、叶える年にしたいと思ったのです。いつか、と思ってばかりいて、その時が永遠に訪れないこともあり得ることに、思い至ったから。 まずは、わた

鑑賞*寒燈やどこかに防犯カメラの眼

西浦 憲爾 マッチ売りの少女の火の明りのように、灯火に照らし出されたものだけが私の世界…。 そうではない。 今の世、赤外線の防犯カメラなら、闇の中のものまで撮られている恐ろしさ。 少女が見たご馳走やお婆さんまで撮れるのかも。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和六年八月号「私の好きな一句」)

書くことで今日もわたしは息をする¦「書きたい生活」

「常識のない喫茶店」があまりにも良くて、僕のマリさんに魅了されて、その興奮を抑えられぬまま、早速次の日には、この作品を手に取っていた。 僕のマリさん「書きたい生活」を読んだ。 前作では、お客様を出禁にしてしまったり、嫌なことは嫌だとはっきり言える強い女性なイメージだったけれど、今作ではその裏にある、繊細さを垣間見れたような気がして、読みながら、気づいたら泣いていた。 カフェで読んでいたのに、人目も憚らず泣きそうになるくらい、身に覚えのある感情がたくさんあって、その苦しさ

何度も読み込みたい『俺の文章修行』

著名な作家が書く文章論とは、どんなものだろう。 これは、町田康『俺の文章修行』を人から勧められたときに思ったことだ。文章のプロが書く文章論は、巷にあふれている。しかし、作家の文章論はあまり聞かないから、読んでみようと手に取った。 結論から言うと、『俺の文章修行』はこれまでの文章術本とはずいぶん違う。著者が文章力を会得するまでの道のりと、文章を書くときに考えていることをつまびらかに書いてくれた本、だと私は受け取った。文章本でありながらエッセイでもある、不思議な一冊。 私は

詩人の「あ」の密度

わたしの知っている「あ」よりか ずいぶんと深い「あ」をもって 詩を書く人は「あ」を書きます そのくるしみのにがさを そのくらやみのくらさを ぎゅうっとかじるとじゅんわりと重みのある味がして すこしの間だけおんなじ「あ」に沈みます 時には軽やかに 「あ」も「ゆ」も「ぷ」もここには、とどまらずに飛ぶようにいるの ただただながめているうちに あたしの知ってる「あ」と「ゆ」と「ぷ」も一緒にとけてゆく あくびがでて たまには詩にあきて かわいいへのへのもへ字な

本を作ったら、食べることと書くことがもっと好きになった|文学フリマ京都9頒布物に寄せて+当日のご案内

『食い意地が張っていて活字が好きなので、おいしい食べ物が出てくる本を読むと両方の欲を満たせて大変お得な気分になる。』 これはnoteを始めて2か月目に書いたとある記事の書き出しで、「こんなの書いたよ」と夫に見せたら「浮世さんの本質じゃん」と笑われ、じゃあ自己紹介代わりにしてやろうと昨年の前半ごろまでは、その記事をアカウントのトップに固定していたのだった。 書いてから時間が経ち、さすがに自分の文章も少し変わってきたので、気恥ずかしいなと思って固定記事は別のものに変えてしまっ

向田邦子 原作 『家族熱』

「どうして」ではなく「どして」 「どうしたの」は「どしたの」 「そう言ってください」は「そ言ってください」 「う」が抜けている話し言葉が書かれていて 読みながら、話し声を聞いているような気分になる 年末年始のお休みに読む用に準備していた本の中の一冊 まあまあ厚いからお休みの間に全部読みきれないかもって思ったけど そのテンポの良い会話、どんどんおこる家族の悲喜こもごも あんまりにも次から次へと続くのでコントみたいな気もしてきて 目はもう眠りたいですって懇願しているのに

句集紹介 広渡敬雄『風紋』

句集『風紋』 広渡敬雄 二〇二四年 角川書店  作者は福岡県遠賀郡生まれ。現在「沖」蒼茫集同人ほか。句集に『遠賀川』『ライカ』『間取図』。著書に『全国俳枕の旅62選』ほか。本書は平成二十八年から令和五年までの作品から三三三句を自選により収録する。  妻も吾も筑前育ち丸き餅 書名の「風紋」とは、津波で亡くなった方も含め、冥界の懐かしい方からの便りだという。  風紋は沖よりのふみ夕千鳥  その風紋はまた時を経ずして風や波で消えてゆく。作者の作句姿勢も、日常生活での哀歓、笑いも含

僕の好きな現代の日本人画家

※この記事は約4分で読めます。 現代アートと聞いてどんなイメージを持ちますか? いわゆる抽象画だと思います。 ピカソの絵が更に遠くへ行き、もはや何を表しているのかも不明な抽象的な表現。 一応絵ではあるけど政治的なメッセージを込め過ぎて、ちょっと引くような尖った表現。 そんなわかる人にしか分からない、「本当はみんな分かったフリしてるだけなんじゃね」と思ってしまうような現代アートですが、実はそんな事無いんです。 ちゃんと西洋の古典絵画や日本画からの流れを今に受け継ぐ画家も沢山

【日経WOMAN3月号掲載】我が家の本棚が、雑誌に載るまでの戦いの記録。

「当たったよ!わたし!当たった!」 スマホを見て興奮気味にしている妻。 はてお嬢さん、どうしたかねと尋ねると、 「日経WOMANに自宅の本棚を載せてもらう企画」 に応募してみたとのことで、どうやらその取材の以来が先方から届いたらしい。ほう。 「わたし、大学生の頃にやりたいことリストを書いていたの!その中に、『日経WOMANに載る』って書いてたの!叶うかもしれない!!」 なんだその願望!!初めて聞いたわ! だから毎月この人は日経WOMANを欠かさず読んでいたのか。

歳時記を旅する59〔梅〕中*梅早し家紋打ちぬく鉄扉かな 

佐野  聰 (平成七年作、『春日』) 明治二十一年、陸軍少将だった乃木希典は、赤坂の自宅に「乃木の馬屋敷」と言われるほどの煉瓦造りの立派な厩を造った。当時、明治維新の武人の心構えが失われていると嘆いていた乃木の「馬を大切にするのは軍人のたしなみである」という考えからだという。この厩の通用門の鉄扉に乃木家の家紋「持ち合い四つ井筒」が打ち抜かれている。  明治四十四年一月二十一日、学習院の院長となっていた乃木大将は、寒中の梅を詠んでいる。 「有明の月影さゆる雪の上にひとりこほらぬ

サンタの服が赤いのは

記事「歳時記を旅する57〔生誕樹〕中*踵なき紙の長靴クリスマス」で取り上げた絵本はこちら。 表紙には、三角形の紙のオーナメントが描かれています。記事ではこれが句のような長靴や靴下を模したものと書きましたが、実際にそうなのかはわかりません。  裏表紙には、暖炉の前に吊られた靴下の絵が描かれています。 絵本の詩の原作は、1822年のクレメント・クラーク・ムーアの作とされる「Account of Visit from St.Nicholas (聖ニコラス来訪の物語)」で、現在は

ことばが育む心の器と、重ねていく歳月を思うこと。

書きたい、という気持ちが芽生え、noteの下書きの画面を開きました。 真っ白な画面に、ひとつずつ文字が現れ、文章になっていくのを目で追っていると、不思議な気持ちになったのです。 そのときわたしは、美術館の展示室で、日本画と向き合っていたときのことを、書き綴ろうとしていました。 岩絵具の粒子が放つ眩さに魅せられて、その微細な煌めきを脳裏に焼き付けようとして、しばらくの間、絵の前から動けなかったこと。 それは今を生きる画家の眼に映った光景であるはずなのに、この世の外の色を帯びて

私の文章から、いい音が鳴りますように。|『いい音がする文章』を読んで

高橋久美子さんの『いい音がする文章』を読んだ。 『いい音がする文章』は、文章術の本ではない。 決め事をレクチャーする本ではないのだ。 それでも私は、この本を手に取った。 だって、最初にこんなことが書いてあるんだもの。 期待せずにいられない一文。特に、文章を音に例えるところに親近感を覚えてしまった。割と感覚的に文章を書く私と高橋さんとの間に、共通点が見いだせた気がした。思わず胸が高鳴る。この本はきっと面白い本だ。私のセンサーが知らせている。 実際、どんどん引き込まれてい

君は誰だ?私は夜に名を呼ばれなかった者。「夜の声」スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸 訳

2025年1冊目の本を、1月12日に読み終えた。 12月と1月に久しぶりにハードカバーの本を買い、 よし、今年1冊目は大きくて硬いこいつと ゆっくり向き合うところから始めてみよう、と お正月明けからゆっくりゆっくり読んだ。 文庫本とは違い、手に持っていられない大きさ、 そしてずっしりとした重み、硬い感触。 テーブルに置き、1頁1頁ゆっくりと堪能した。 その1冊は、新しい1年の幕開けと読書はじめに 相応しいものだった。 題名、表紙のデザイン、そしてマットな質感、 8つの物

最近読んだ本たち(2025年1月分)

年初はいつも、日付を手書きするときに誤って前年の数字を記入してしまう。去年も「2023年っと……、ああー! もう2024年になったんだったあー!」と騒いだことが何度かあった。 それが、今年は元旦あたりからするすると「2025年」と書き込めている。日記にもノートにも。 生きるのが上手になったのか、妙な器用さを身につけただけなのか判断しかねるけれど、修正の手間が省けるのは助かる。 『ホワイトカラー消滅 私たちは働き方をどう変えるべきか』 冨山和彦 ChatGPTの出現に驚

声に出して読みたくなる『いい音がする文章』。

ドラムのドンドンドンドンドンから始まる、チャットモンチーの『シャングリラ』は、「胸を張って歩けよ」「前を見て歩けよ」とポジティブなことが書かれているのに、「希望の光なんてなくたっていいじゃないか」と続く。 「希望の光なんてなくたっていいじゃないか」と歌われた瞬間、なぜか心が軽くなった。その理由が、高橋久美子さんの新刊『いい音がする文章』を読むとわかる。 そして、「シャングリラ」と自然に口ずさんでいたのは、「音」で聴いていたからだ。「シャングリラ」と声にだすのも心地よかった

死ぬまで生きねばならないと、だれにも教われなかった。「あめりかむら」石田千

「あめりかむら」石田千 私が2024年の最後に読んだ1冊。 表題作を読み終わったそのとき私は、 2024年の最後に読んだ本がこれでよかったと、静かにそう思った。 裏表紙のあらすじは 「あめりかむら」の主人公みっちゃんは、 大学生活や就職活動の時期に勉強会で出会った 戸田くんに対して嫌悪感や冷めた気持ちがあった。 社会人になってからも関わりは続くものの、 みっちゃんは病に冒され、戸田くんにだけでなく 人そのものに対して冷めてゆき距離を置く。 そんななかで届いた戸田くんの訃

書きたい思いと向き合うために買ったトラベラーズノート

先日、ふと手に取った本の中に書かれていた言葉に出会って、一冊のノートを買う体験をしました。 わたしにとって、すごく特別な体験だったので、noteに書き残しておきたいと思います。 その本がこちら。 そう。買ったノートは、トラベラーズノートです。 トラベラーズノートを持っていない人が読んだら、本当にトラベラーズノートを買ってしまうなんて、さすが公式本ですよね。 わたしが惹かれた言葉は、この言葉。 なぜ、この言葉に惹かれたのか。今まで書いてきたノートを振り返りました。

読書日記(2025年1月)

先月から引き続き文フリのことばかり考えていた1月。読書に関しても、ふだんそこに使うリソースのほとんどを「文フリ関連のnoteを読む」ということに費やしていた。 開催前は、他の方の準備状況や作品紹介を読み漁ってワクワクし。 開催後は、他の方のレポを出展者来場者問わず読み漁って余韻に浸り。 今振り返れば今月の3冊は、そんななかでそれでも読まずにいられなかった精鋭、という感じがする。どれも面白かった。 十戒|夕木 春央 夫に勧められて読んだ。前作の『方舟』同様、何を書いても

「お客様は神様だ」なんてもう捨てて良い¦「常識のない喫茶店」

僕のマリさんの作品を読んだ。 すごく、すっごく、だいすきなエッセイに出逢ってしまった。この本を読んだ時、気持ちが落ちていて、それはそれはもう、縋るような気持ちで読んだけど、わたしはまた、書きたいと思った。書くことを、辞めたくない。 お冷だけで何時間も居座るあの人。「いつもので」で、何故かオーダーが通ると思っているあの人。わたしもカフェ店員なので、本当に共感だらけで、時に笑いながら、頷きながら読んだ。最後にはじわっと涙を浮かべながら。 外で読んではいけないエッセイだった。

「美容中毒II 」に喝を入れてもらった

小田切ヒロさんの著書、【美容中毒II】。 文字が少なめで、一つのコラムが約1、2ページと、ちょこちょこ読みに最適な本。 「生ぬるい環境に身を置かず、変化を楽しみ、どんどん成長していきたい」と思われている方におすすめの本です。 最初に発売された美容中毒も読みましたが、IIを読んで、自分が小田切ヒロさんに惹かれる理由がわかったような気がしました。 飾らず、まっすぐで、真剣で、毒舌で、達観していて、フラット。 共感したり、喝を入れられた気分になったり。 心に響いた言葉のメモ

28歳、28冊。年の数だけ本を買ってみた

毎年恒例になってきた、年の数だけ本を買う企画。28歳になったということで、年の数だけ買っていきます。今回は買った本のご紹介と、その時の気持ちをひとこと添えています。たくさんの本に囲まれてわくわくしちゃいますね〜! 早速、28冊を見ていきます!流石に、たくさんありますよ〜 1 『すごい短歌部』木下龍也 この誕生日企画で、歌集を迎えるのが恒例になってきました。木下龍也さんの歌がとても好きなので、気になっていたこちらを真っ先にご購入。歌集を読むと自分の歌へのモチベーションも上

物語の記憶は、誰にも消せないわ「密やかな結晶」小川洋子

2025年の読書2冊目に選んだのは、 大好きな小川洋子さんの「密やかな結晶」 あまりに美しい物語に、圧倒された。 小川洋子作品を何冊か集めて紹介したいと 去年の12月に書いたのですが、それはそれでまた 何度かに分けてこれから書いてみたいと思っていて。 その時に、初めて読んだものだとかそういうことも 含めて書いてみたいなと思っているのですが、 今日はそれらとは別に、この1冊を紹介したいと思います。 ネタバレというネタバレはしていませんが 念のためネタバレタグをつけています。

歳時記を旅する59〔梅〕前*枝々のなべて天指し梅真白

※句の「天」に「そら」のルビ 土生 重次  (昭和五十九年作、『扉』)  大和朝廷の軍事を担当していた大伴旅人は七二八年、筑紫太宰府の長官となって筑紫に赴任した。  その旅人邸で、筑紫の国司や太宰府の職員たちを招いて「梅花の宴」が開かれた。  この宴会は計三十二人が眼前の梅を題材に歌一首ずつを詠み合い、万葉集に収められている。  その三十二首の「序」に旅人の作と言われる漢文がある。  大意は「天平二年正月十三日、太宰帥の宅に集って宴会を開いた。時は初春のよき月、気は澄んで快く

懲りない積読4選 2024年2月の部。

読みに来てくださり、ありがとうございます。 本を買うと、夫にしかめっ面をされるゆにです。 なんだよー! 子どもにはホイホイおもちゃ買ってるくせに! それに、そっちだってこっそり本買って、 本棚の私のエリアにこっそり置こうとしてるのも、 知ってるんだよ! 私はちゃんと自分のエリアで収めてるからね! 本ぐらい買わせろー! #挨拶文を楽しもう #ゆにやってんな というわけで、今読んでいる本やこれから読む本を紹介します。懲りずに積読紹介していきます。 やわらかなレタス 江國

歳時記を旅する58〔寒〕後*米を食ふ菌の温みや寒の雨

磯村 光生 (平成四年以前、『花扇』) 拝見したことのある宮城県の一ノ蔵酒造の金龍藏の麹室は、蒸した酒米に麹菌を振りかけて米麹を作る部屋。寒いと発育が止まってしまうので室温は約三十℃以上に保たれている。米をよく見ると周りに白い麹菌がびっしり付いている。食べさせて頂いたら甘みがあった。 寒の雨は、一年で最も寒い時期に降る雨。 句の麹菌は、米の中まで入って成長してゆく。ぬくぬくとした麹室は、お酒の子供を育てる保育室のようだ。 (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和六年十二月号「風

本棚にも新陳代謝を

本棚の整理をした。 ついつい買って、たまる一方。スペースにも、自分が読む量にも限りがあるのに。買ってから読んでない、いわゆる積読もたくさんある。このさき時間ができたとしても読むのかどうかあやしい。それを含めてもう読みそうにないものは手放すことにした。 久々にメルカリに出してみた。 最近トラブルが多いって聞いて、いやだな〜と思い使ってなかったけれど、本ならまだ大丈夫なのでは…と思って。 割高でも全部メルカリ便で匿名でやろうと決めて、出品した。 トラブルなく、売れてくれ〜。

言葉の大海原を渡る【辞典・図鑑の世界】part2

※この記事は約4分で読めます。 突然ですが、家に辞典や図鑑ってありますか? 僕はあります!沢山あります。 辞典や図鑑が結構好きで気になる物は思わず買ってしまいます。 イメージ的には辞典と言えば国語辞典のような物をイメージすると思いますが、そんな事はありません。 専門分野に特化した、辞典や図鑑が沢山あるのはご存じですか? 前回書いた、【辞典の世界】がまあまあ好評だったので今日は第二弾として、 辞典だけでなくお気に入りの図鑑も紹介して行きます。 それでは深いようで本当に深

【ほんだな】真・自己責任論

正義の味方 まじめな話。 いつの頃からか頻繁に見聞きするようになったよね、自己責任という言葉。アレ、皆さんはどう思われるでしょうか。自分はあまり好きじゃないんだけど、でも世の中はどちらかというと推進派の流れでしょ? ひとたび何かあればすぐ「自己責任」だし。 たとえば山での遭難事故ニュース。 山岳救助隊に無事保護されたと聞き「見つかってよかったね」と思うのもつかの間、「軽装で入山したため動けなくなったようです。登山計画も未提出で……」なんて聞こうものなら、「とんでもない。

【読了寸前のひとりごと】 町田康さんの『俺の文章修行』。 独特の文体だけど、慣れたらぐんぐん読み進めれた。 今読んでいる箇所が、私のnoteでの課題というかテーマに重なるので、じっくり読みたい。 だから読み切るのに時間がかかっちゃう。

「(考察ブーム)に終わりはあるか?」

石田明著「答え合わせ(SB新書)」読了。「M-1グランプリ2008」のチャンピオン、NONSTYLE・石田明が漫才、コント、そしてお笑い界を過剰に考察した1冊。 私にとってNONSTYLEは正直に言うと、数え切れない芸人の1組に過ぎなかった。「M-1グランプリ2008」以前から関東でも徐々に知名度を上げてきてはいたものの、当時は先にチャンピオンになったフットボールアワーやチュートリアルのほうが圧倒的に露出が多く、「売れているコンビ」という印象が強かった。 そして、「M-1

鑑賞*前掛の紐まで濡らし年の暮            

辻前玲子 台所で前掛をして洗い物をする。 洗濯機が止まって洗濯物を干す。 思い立って暗くなる前に買い物に出掛ける。 帰って手を洗い、夕飯の支度に野菜を刻み始める。 正月料理の買い忘れを思い出す。 あ、洗濯物が干したまま!  (岡田 耕) (俳句雑誌『風友』令和六年七月号「私の好きな一句」)

「読書の日記」という本。全6冊の分厚いシリーズ。

「食べるように読んでいる」 本を読む人と、その生活。 その365日の記録。 本を読むということが特別なもので無いのなら、 まさに食べるように読んでいると言えるし、 その内容も、言ってみれば、ほぼ日記と言える、か。 東京・初台にある、本が読める店「fuzkue」。 こういうお店が成立するあたりが面白い。 しかも、3店舗もある。(笑) その店主の、読書の喜びに満ちた圧巻の1100ページ。 って、そう。 結構分厚い作りとなっている。(笑) そもそもこの本は、「ふやすミニマリ

2025年1月、読んだ・眺めた本たち。

今月読んだ本、ぱらぱらと眺めた本を紹介します。読んだ順に書いています。 ・エッセイストのように生きる/松浦弥太郎 著 図書館でずいぶん前に予約していて、忘れかけていたころに順番がまわってきた。(よくあるパタン)読んでみたらとてもおもしろくて、何度も読み返したいと思い、数ページ読んだところで、図書館に返却して購入した。予約の待ち人も多かったしね。 わたしは、2年前にこのnoteを趣味ではじめたみた。日々感じたことをnoteにつづることに楽しさを感じながらも、書く内容・書き

地味な男が世界を駆け巡る⁈ ──そう、それが人生の目的だから

2025年2月18日(火) 「なんか最近、毎日同じことの繰り返しだな…」と思ったあなたへ。そんな時こそ、この映画『LIFE!』を観てほしい。 主人公は、写真雑誌『LIFE』の写真管理部で働くウォルター・ミティ。地味で真面目、特に目立つこともなく、淡々と仕事をこなす日々。 頭の中ではありえないくらい壮大な冒険を繰り広げているが、現実では冴えない日々を過ごしている。 しかし、ひょんなことから、彼は本当に旅に出ることになる。 ある日、雑誌の最終号の表紙に使われるはずの大事

古傷の痛みを感じながらかさぶたを撫でている

吸引力、と言っていたのは『国境の南、太陽の西』(村上春樹)のハジメくんで。12歳のときに出会った島本さんに、28歳で見かけて36歳で出会う、 吸引力、恋愛だけでない、どうしょうもないなにか。惹きつけられてしまう人、気になる人。 高校生の女の子が惹きつけられたのは77歳の犯罪者だと噂されている人だ。 彼に吸引力が働き、彼のことを語っている。 高校生、55歳の母親と30歳の母娘、40代夫婦、70代と様々な年齢の人たちの花がある。 わたしの知る花   町田そのこ 亡くなっ

『天人五衰』三島由紀夫 著

カフェ店主おすすめの一冊と、個人的に気に入っているツボをご紹介します。 今回は、ついに『豊饒の海』最終巻、『天人五衰』です。 第1巻~3巻はこちら。 第1巻から続く転生の目撃者、本多繁邦は76歳の裕福な老人で、生まれ変わりの印を持つ4人目の主人公=安永透16歳と出会います。 透は「凍ったように青白い美しい顔」をして、中でも目が最も美しく、けれども心は冷たく、「見る」ことに関して特別な執着と能力を持つ少年。 本多と透は、同じ「見る側の者」としての「悪」を備え、両者とも理知的

【感想】書籍「狼と香辛料」シリーズ

「狼と香辛料」シリーズ 支倉凍砂著 中世ヨーロッパの城塞都市を舞台にした小説を探していて見つけたのが、「狼と香辛料」です。まずはアニメを見て、その後、シリーズ全24冊の文庫を昨年の12月から一気読みしました。 行商人のロレンスが、狼の耳と尻尾を持つ少女、ホロと出会うことから、物語は始まります。ホロは豊作をつかさどる神を名乗ります。ホロが自分の故郷に帰るのを、ロレンスが手伝う旅に出る。その旅の物語です。旅の中では、いろいろな問題に出くわすのですが、2人の知恵と経験でそれを乗

『考える練習』をしたい。

悩みがあると、本が増えます。 悩みごとの答えなんてネットでも探せるだろうし、今ならAIに聞けばある程度わかるでしょう。でも私は、本を読んで答えを探したいのです。できるかぎり紙の本で、ひとつずつ確かめながら答えを探っていきたい。 現在の悩みは、もっぱら書くこと。書きたいことを書いてみると、何とも浅い仕上がりになってしまうのです。ここ最近、忙しさにかまけて書くことに手を抜いていたツケが、今、回ってきています。 何をサボっていたかというと、思考や感情の深堀りです。記事を書くと

掲載*短日の一部屋灯る保育園

岡田 耕 掲載誌:『俳句年鑑』2025年版 KADOKAWA ☆2024年の冬至は12月21日。一日の日照時間が一年で最も短くなる日です。 ☆以下にご紹介する保育士さん ジマ さんの記事の中の「わたしは保護者の方とワンチームで、育児に参加させてもらう気持ちで保育をしています!」というコメントに同感です。 (岡田  耕) 【スキ御礼】掲載*一炊の夢と崩れて霜柱

痛みを抱えて生きていく¦「白ゆき紅ばら」

寺地はるなさんの作品を読んだ。 手に汗を握るように読んだ。物語が進む度に、どんどん息が苦しくなっていく。ページを捲るたびに、手を固く握り締める。 どうか…救いがありますように…。 その気持ちは、まんまと打ち砕かれた。 この物語を絶望だと、思ってしまったのは、これがただの物語ではなく、きっといまもどこかで起こっているかもしれない…と、思ったからだろう。 行き場のない母子を守る「のばらの家」 善意と愛と優しさの世界。 そんなのは、偽善だった。中身を見てみたら、信じた

出会い、読む、そして届ける。本とともにすごす一年の振り返り。

今年の本は、今日で買いおさめ。 そう決めて、先週のある日、本屋さんに向かいました。 新刊が並ぶ一角には目を向けないようにして(目が合うと買ってしまうので)、いつもは立ち寄ることのない児童書のコーナーへとおもむきます。 今日買うのは、自分のためではなく、贈りものにするための本。 いろさんの記事がきっかけで、『ブックサンタ』の取り組みを知り、はじめて参加することにしたのです。 そして、今年もたくさんの本を買ってきたけれど、一年の最後に、自分のためではなく、誰かへ贈るための本を

歳時記を旅する58〔寒〕前*豆腐屋の湯気とめどなき寒の内

土生 重次  (昭和五十八年作、『扉』)  京都の嵯峨豆腐「森嘉」は安政年間から続く豆腐店。五代目森井源一は、一九六七年、十八歳で家の仕事に就いた。当時父がこだわっていた薪で炊く地釜についての苦労を語る。 「とにかく、地釜は、直火で焚くので炎の調整が難しいんです。お湯を沸かしたあと、沸いたお湯の中にすりつぶした大豆の呉を入れて、それを焦げ付かせないように炊き上げるわけです。それが生炊けになってしまってはダメだし、ちょっとでも炊きすぎたら焦げてしまうし、かなりシビアな作業なん

明日も明後日も生きているとは限らないから¦「ナースの卯月に視えるもの」

秋谷りんこさんの作品を読んだ。 創作大賞で選ばれた作品ということもあって、なおさら、表現力に着目しながら読んだ。 あぁ、好きだ。毎日生活していたら見えなくなってしまう日常を、切り取っている文章が好きだ。些細なことばに、優しさが溢れていて、心に温かいものが染みわたる。 ミステリーと書かれているけれど、心温まるものばかりで、泣きながら読んだ。 卯月に視える「思い残し」は、他の看護師には視えない。じゃあ、視えていない看護師は、患者さんに寄り添うことは出来ていないのか。いや、