【本】堀江敏幸「雪沼とその周辺」。雪沼という町に住む人たちを描く連作短編集。ボウリングのピンが跳ねる音など感覚描写の豊穣さが素晴らしい。誠実な人たちの穏やかな生活を描いているようだが、死や不幸が物語を動かす要素になっている。それが淡い小説に不穏な影が差すのだ。