見出し画像

【推薦図書】角田光代&堀江敏幸の食エッセイ『読食録』!!

奇妙な食エッセイ本があります。
『私的読食録』。

料理雑誌『danchu』で連載され、
後に新潮文庫になったシロモノで、
作者は、角田光代さんと
堀江敏幸さん。2人が交互に
食エッセイを書いていく。
 
一人、約3ぺージ。
すぐ読める。
すごく読みやすい。

毎回、食に関する魅力的な本を
紹介してくれるエッセイ。

…のはずなんですが、
とりわけ冒頭の一行目から
読者を引っ張る角田光代さんと、
しみじみとじわじわ読者を
惹きつけていく
堀江敏幸さんの組み合わせは
不思議なキャスティングだ。

堀江敏幸といえば、
もともとフラットな文体だし、
起伏のない小説を書く作家さん。
私みたいな角田さんにハマるタイプには
後から味がし始める堀江敏幸さんは
敬遠されがちではないかしら?

この二人の作家のキャスティングは
『danchu』の編集者が
決めたのでしょうけど、
もしかしたら、ミスマッチ?

ちなみに、本好きな女性の知人に
この本の話をしたら、
やっぱり堀江敏幸さんのパートは
飛ばして、角田さんのパートだけ
読んだといっていました。

逆に、なんでもストレートな
角田光代タイプは苦手で、
堀江敏幸タイプが好きな人には
角田光代さんのパートは
飛ばすのでしょうか?

でも、似たタイプの二人では
それはそれで、
二人の作家を起用する意味がない。
どうせ起用するなら、
ちがうタイプを人選する方が
いいでしょうね。

ちなみに、
角田光代さんは、
向田邦子さんや開高健、檀一雄、
江國香織、武田百合子、鴨居羊子、
吉行淳之介、太宰治、宮本輝、
梶井基次郎、田辺聖子、
ヘミングウェイ、国木田独歩などの
名作を毎回1冊、選んでは
角田さんが印象的だった場面や
料理自体をコンパクトに
語っています。

では、角田さんと対をなす
堀江敏幸さんは、私は飛ばして、
ちゃんと読んでませんが(笑)、 
どんな作家の本を選んでいるか?
というと、
内田百閒、寺田寅彦、高村光太郎、
若山牧水、吉田篤弘、尾崎翠、
庄野潤三、坂口安吾などが
取り上げられています。

角田さんのセレクトとは
傾向が明らかにちがいますが、 
たまには堀江敏幸さんのパートも
読んでみようかしら?(笑)。
 
合計100 冊の、
魅力的な料理や食事風景などが
角田光代と堀江敏幸によって
紹介されたこの本は、
読んだら、まずは
紹介された本が読みたくなり、
それから、今度は、
紹介された料理を食べたくなる。

欲望がいやが上にも高くなる
罪つくりの本ですね。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?