見れない映画13:『セザンヌの犬』を読む(後編)②
2024年8月6日の『偽日記』で古谷自身が、『セザンヌの犬』収録のいくつかの作品の元ネタについて触れている。以下では、『ライオンは寝ている』で参照されたヴァージニア・ウルフの『憑かれた家』と、『セザンヌの犬』で参照された郡司ぺギオ幸夫の『内側から見た偶然ー仏陀の微笑』を読みつつ古谷の小説をさらに読み進める。
先に結論を言うと私は『ライオンは寝ている』は「眠り」についての、『セザンヌの犬』は「恋」についての小説だ、と私は思っている。
「眠り」とは意識について「分身=複数の場所