【作品と私】小鹿田焼の里を訪ねて
2024年4月、世田谷美術館で開催されていた『民藝——美は暮らしのなかにある』展に足を運んだ時、展覧会の終盤で"現代における民藝"として紹介されていた地域民藝の数々の内、一際心を惹かれたのが、大分県日田市で作陶されている「小鹿田焼(おんたやき)」だった。派手な装飾や、特徴的な色遣いは無い。ただ淡々と、食卓の上で食品を盛るためだけに存在するような佇まいでありながら、それでいて細やかな意匠と柔和な温もりを感じさせるその器の製作は、なんと今でも、一子相伝で受け継がれていると言う。