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【読書メモ】『雪沼とその周辺』(著:堀江敏幸)
趣味というより(病)癖な気もしますが、昔から出張なり旅行なりで遠出をすると、ついつい現地の絵葉書をお土産代わりに買い求めていました。最近では出張の機会は減っているものの、旅行の他、博物館や美術館などを訪れた時にもつい、手を伸ばしてしまうのは相変わらずです。
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セットを買う時もあればバラを組み合わせる時もあり、意外とたまっていて、それらをたまに眺めるのも楽しみの一つなのですが、眺めながら想いを馳せるのは写真だけではなく、その切り取られたフレームの外側の風景などにも、だったりします。
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草原であれば地平線まで広がっているであろうその風景やその上を転がっている風達を、海であれば深く澄み渡る水の揺らめきやその陽光を照り返しながら泳ぐ魚達を、、そんな切り取られた、目では見えない風景までも想起させてくれるような物語だなぁ、と感じたのが『雪沼とその周辺』との一冊。
題名にも使われている「雪沼」という土地にちなんだ連作短編集、とでもいうのでしょうか。その一つ一つの物語は唐突に始まり、そして唐突に終わります。最初の1編を読んだ辺りではなんとも消化不良な感が強かったのですが、、
読み進めていくうちに、深々と染み渡るように引き込まれていきました、「雪沼」という土地に。劇的な事件が起きるわけでもなく、淡々と登場人物たちの生活が描かれている。
それだけといえばそれだけなのですが、そんな人物たちの物語では描かれていない生活まで想像してしまう、そう、絵葉書の外側の風景にまで想いを馳せたような感覚で、、なんとも不思議な魅力を感じた一冊です。
「雪沼」の絵葉書はどんな風景になるのだろうか、なんて風にも思いながら。
余談ですが、今週は少しタイトなシフトで、こんな気分だったりします。。
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