創作に通じる自分を膨らませる作業は同時に「人生一番の醍醐味」でもあると彼女は言います。「最後まで自分に付き合ってくれるのは自分の頭でしょう。頭の中に残るいろんな思い出は、最後まで私と一緒にいてくれる。だから、思い出を増やし続けていくことが人生の豊かさにつながるのかなって思います」
井戸川射子さんや青柳菜摘さんの詩を読んでいると、これが詩なのかと思ってしまう。 ただ、また彼女たちの詩が気になりだす。 そして自分が「詩」を書こうとしてしまう事に落ち込んでいる。
井戸川射子『この世の喜びよ』を読む。芥川賞受賞作。社会人と大学生、2人の娘を持つ「あなた」が職場のショッピングモールで出会う客や同僚から自分の子育ての日々を想起し、淡く苦い思いを噛みしめる。静かな余情ある文章は魅力的だが、二人称で書く理由や必然性は何だったのだろうか。(1/2)