『前進、もしくは前進のように思われるもの』(『号泣する準備はできていた』より)
『前進、もしくは前進のように思われるもの』(『号泣する準備はできていた』より)
江國香織著
主人公(長坂弥生)は、空港にアマンダを迎えに行く途中、夫との冷えた関係や、認知症の母親(夫の)の老齢の猫を夫が「海に捨てた」と言ったことを思い出す。かつては自信に満ちた弥生だったが、夫への不信感が募り始めている。アマンダと合流すると、彼女はボーイフレンドのジェレミーと共にホテルに泊まると告げる。そこで弥生は、心の底から「すがすがしい」と感じながら、海に捨てられたとされた猫の話をする。