文子著『蝶々の篆刻』といふ詩集がやうやく手元に届いた。わざとらしさが少しも無くしつくり手に馴染む体裁と造本。衒ひも虚飾も無い言葉がどの頁にも涼風の中で蝶々し、ひとりの類稀な詩人の美質が息づいてゐる。ここまで自然に沁みて、著者とひととき言葉を交はした気になる詩集は滅多に無い。感謝・