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✩ 文学夜話 ✩ 好きな詩の紹介:ロベール・デスノス「サン・マルタン街の歌」



今日は私の好きな詩をご紹介します。ロベール・デスノスというフランスの詩人が残した「サン・マルタン街の歌」という詩です。

まず詩人と和訳をご紹介した後、作品の背景と、この作品に影響を受けて私が書いた詩をご紹介します。

ロベール・デスノスについて

ロベール・デスノス(Robert Desnos、1900年7月4日 - 1945年6月8日)は、フランスの詩人、放送作家、映画・音楽評論家、ジャーナリスト、ホロコースト生還者(しかし感染していたチフスにより解放直後に死去)。ダダイスム、シュルレアリスムの運動に参加し、アンドレ・ブルトンに「シュルレアリスムの預言者」と称されたが、1929年の第二宣言により離反。1933年に『ファントマ』新シリーズの宣伝のためにアレホ・カルペンティエル、クルト・ヴァイル、アントナン・アルトーと共同で制作した「ファントマ大哀歌」が成功を収めたことを機に、ラジオ番組の制作、音楽・映画評論の執筆に専念。対独レジスタンス運動に参加し、ゲシュタポに逮捕され、テレージエンシュタット強制収容所(チェコスロバキア)の解放直後に死去した。

Wikipedia

和訳ですが、私が持っている書物の訳があまり良くないので😅、ネットでもっと良い翻訳がないか調べてみました。そしてこちらを見つけました。

ロべ-ル・デスノス 「サン・マルタン街の歌」 (fc2.com)

大島博光氏という詩人・フランス文学者による和訳です。リンク先でも読めますが、勝手ながらこちらに訳者のプロフィールと和訳を転載してみます。

訳者

大島博光氏:
詩人・フランス文学者(1910–2006)。信州松代出身。戦前、西條八十の下で詩誌「蝋人形」の編集にあたる。戦後、「フランスの起床ラッパ」など、アラゴンやエリュアールらのフランスのレジスタンス詩を紹介。詩人会議創立に参加、詩集「ひとを愛するものは」で多喜二・百合子賞を受賞。「ピカソ」「ランボオ」「エリュアール 」「 アラゴン」「パブロ・ネルーダ」「パリ・コミューンの詩人たち」「レジスタンスと詩人たち」等を著す。

ロべ-ル・デスノス 「サン・マルタン街の歌」 (fc2.com)

和訳

サン・マルタン街の歌



サン・マルタン街なんか もう好きじゃない
アンドレ・プラタールが 姿を消してからは
もう サン・マルタン街なんか 好きじゃない
なにもかも ぶどう酒さえも 好きじゃない

サン・マルタン街なんか もう好きじゃない
アンドレ・プラタールが 姿を消してからは
あいつは おれの友だち 相棒だった
おれたちや パンも部屋も わかちあった
もう サン・マルタン街なんか 好きじゃない

あいつは おれの友だち 相棒だった
ある朝 あいつの姿は 消えちゃった
しょっぴかれた というほか なんにも分らぬ
もう サン・マルタン街で あいつに逢えぬ

メリや ジャックや ジェルべや マルタンの
聖者たちにきいても たのんでも わからない
丘に身をかくした 聖ヴァレリアンもご存じない
時がたっても なにひとつとしてわからない
サン・マルタン街に アンドレ・プラタールはもういない

ロべ-ル・デスノス 「サン・マルタン街の歌」 (fc2.com)


次は原文です。フランス語ができる方はこちらをどうぞ。

原文

Couplets de la rue Saint-Martin


Je n'aime plus la rue Saint-Martin
Depuis qu'André Platard l'a quittée,
Je n'aime plus la rue Saint-Martin,
Je n'aime plus rien, pas même le vin.

Je n'aime plus la rue Saint-Martin
Depuis qu'André Platard l'a quittée,
C'est mon ami, c'est mon copain,
Nous partagions la chambre et le pain,
Je n'aime plus la rue Saint-Martin.

C'est mon ami, c'est mon copain,
Il a disparu un matin,
Ils l'ont emmené, on ne sait plus rien.
On ne l'a pas revu dans la rue Saint-Martin.

Pas la peine d'implorer les Saints,
Saint Merri, Jacques, Gervais et Martin,
Pas même Valérien qui se cache sur la colline.
Le temps passe, on ne sait rien,
André Platard a quitté la rue Saint-Martin.

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