仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力をもらっています。種々の雑感と、たまに古典のコラムです。さて、どんな音を奏でることが出来るか?

仁の音

大分在住の、人生の秋を迎えた翁です。今は、非常勤講師として中学生・高校生から刺激と活力をもらっています。種々の雑感と、たまに古典のコラムです。さて、どんな音を奏でることが出来るか?

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六十路の手習い

人生の秋の今頃になって、ささやかなブログを開設。 すべて息子の手引きによるもので、感謝一入です。 終活には少し早いので、せめて脳活・脳シャンのつもり。 「仁の音」とは「仁note」のダジャレです。スミマセン。 どんな人生の音を紡いで行けるか、私にとっても未知数。 お暇な時に、覗いていただける部屋にしたいと思います。 【翁のプロフィール】 1953年(昭和28年)大分県杵築市山香町の生まれ。山香中学、日田高校を卒業。1972年(昭和47年)日本大学文理学部国文学科

    • No.1429 小さな農家の大きな問題

      時代は変わっても、時は糸車のように廻ります。繰り返しながらも進んでゆかねばならない農業従事者後継問題は、我が実家も避けては通られない状況を迎えています。 70年以上も山村農家で米作りに人生をかけてきた松宇じいちゃん(マッサン)が、44年前に亡くなりました。 「カラスの鳴かん日はあってん、マッサンが田んぼに出ん日はねーのー!」 と感心(揶揄?)されるくらい稲作に没頭しました。それでも、悲願だった2等米を1等米にすることは叶いませんでした。 その間、父(長男)が爺ちゃんより先

      • No.1428 それは、わたしです。

        自慢にも何にもなりませんが、子供の頃からの「机の上が片付けられない症候群」に益々磨きがかかっています。綺麗に整ったり、整頓し過ぎたりすると「あの世からお呼びがかかってしまう」ように思われてしまうからです。   「そう言えば、棚や箪笥が、きれいに片付いていたわ。」 「何年もかけて、全集ものを仕上げちゃったからね。」 などと、故人に口さがない事を言う人もいるものです。片付け過ぎが、却って不安をあおってしまうのです。ただただ、億劫がりの、片付け下手の言い訳上手でしょうか?   尤も

        • No.1427 揺るがるる心

          『日本国語大辞典』(小学館)の「あそび」の項の⑧には、 「機械の連動作用がすぐに伝わらないで、多少のゆとりがあること。」 とあります。   そういえば、車やバイクや自転車のブレーキも、すぐに利かずに、いくらか踏み込んだり絞ったりする事で、その能力を発揮します。ゆとりがなくて、いきなりブレーキが利けば、かえって危険です。もう40年も前のお話ですが、新婚旅行の時のレンタカーのブレーキの利きが良すぎて、非常に運転しづらかったことを思い出してしまいました。「あそび」は、まことに重要な

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          No.1426 平和の種

          定年退職後3年目の2018年(平成30年)9月5日付の毎日コラム「秋山そ我は」に、そんなことを書いていました。あらま、私の前立腺問題は、この頃すでに始まっていたのか!と思いがけない発見をしてしまいました。コラムが、役に立つこともあるようです。   さて、その後、コラムで紹介した和歌山県みなべ町のUME―1フェスタ「やにこい種とばし」は、2021年2022年とコロナ禍のために中止となり、2023年は「種とばし大会」は行われなかったようです。 スイカの種のように小さすぎず、モモ

          No.1426 平和の種

          No.1425 奇跡のランナー

          「邂逅」とは、このようなことを言うのかと思いました。 昨日が「墨輪九州交友展」(6日間開催)の最終日だということで、書家の若き同僚から頂いていた案内状を持ってアートプラザ2階のアートホールに向かいました。 「会派を超えて同世代の仲間と親交を深めよう」 と九州の書家たちが開いた交友展だそうです。10時開場なので、一番乗りしたいなと考えて家を出ました。 車を市内の有料駐車場にとめて、9時55分に大分県庁辺りまで来ました。大勢の人だかりでした。今年で第43回目を迎えた大分国際車

          No.1425 奇跡のランナー

          No.1424 大根大好き!

          寒くなると「おでん」が卓上をにぎわせますね。 その「おでん」の由来ですが、室町時代に豆腐を串に刺して焼き、みそを塗った「田楽」が発祥と言われているそうです。もっとも、我々一般人の口にもなじむようになったのは、江戸時代末期以降のお話で、地方色豊かな具材や出汁を用いた「おでん」が、綺羅星のように輝いて(?)います。その「おでん」の呼称は、昔の宮中言葉で「御田(おでん)」と呼んでいたことに由来しているのだとか。ヘーボタンです。 私の好きな具は「大根・こんにゃく・ちくわ」というオ

          No.1424 大根大好き!

          No.1423 みをつくし

          「元始、女性は実に太陽であった。真正の人であった。 今、女性は月である。他に依って生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である。(以下、略)」 今から113年前の1911年(明治44年)10月、文芸誌「青鞜」創刊号に掲げた平塚らいてう(1886年~1971年)の歴史的宣言の初めの言葉です。   しかし、原始どころか現在でも、女性は実に太陽のような輝きを発しています。しかも、太陽は一つではなく、様々な個性をもって光を投げかけて下さる温かい存在であることを、私は「ひき

          No.1423 みをつくし

          No.1422 何やら行(ゆ)かし?

          選挙があるたびに、読み返す新聞のコラムがあります。2015年(平成27年)6月18日の「編集手帳」の記事です。 2001年(平成13年)7月から「編集手帳」を担当した竹内正明氏の筆になるコラムです。大好きなコラムニストです。しかし、2017年(平成29年)に体調不良により一線から引退されました。その2年前の記事です。   今年、10月27日投票の衆議院議員総選挙前の授業で、高校3年生に「投票の通知が来た人?」と訊いたら、3分の1ほどの生徒が遠慮気味に挙手しました。もちろん、

          No.1422 何やら行(ゆ)かし?

          No.1421 よねあらた

          一昨日、実家の兄から新米(玄米)を頂きました。 「ながらへよとて今年米今年酒」(鷹羽狩行 1998年11月) 去年、故郷の新米が好評だったので、今年も知友にお裾分けしようと精米しました。ところが、米の粒がそろっていません。中には白濁したものや、米の形が崩れたり、変色したりしたものも混ざっています。皆さん方の今年のお米の出来は、いかがでしたか? 今年の米の作柄は「平年並み」か「やや良」とありますが、精米してみるまで米そのものの出来具合は分かりにくいと思います。その結果、今年

          No.1421 よねあらた

          No.1420 おそれ多くも生きています

          昨日、午後7時からの「世界ふれあい街歩き 南部の歴史とおもてなし チャールストン/アメリカ」(NHKBS 再放送)を観ました。滝藤賢一さんと平野ノラさんの軽快でノリノリなナレーションのお陰で、すっかり旅の同伴者の気分です。私には、2つの印象的な場面がありました。   チャールストンは、アメリカ東海岸南部にある港町で、人口は約15万(2020年時点)ほどです。ヤシの木々のある港町には、3千もの歴史的建造物が大事に残され、時間空間を超越したような街並みです。人々は、観光客や訪問者

          No.1420 おそれ多くも生きています

          No.1419 ゆれる心

          放課後、部室前や校舎内のトレーニング室前に部活生が靴をそろえ、踵を部屋の方に向けて脱いでいるのを見ると、気持ちよく思います。   指導者の教えで、そうするようになったのか、自分たちで率先してそうするようになったのかは分かりませんが、整然と並んだ靴に、平生の心がけというハッキリとした意思を見るからです。   先に紹介した、増田れい子さんの『独りの珈琲』(三笠書房)「靴のぬぎ方」で、こんなお話を綴っておられました。 この本は、1981年(昭和56年)刊です。今から43年も前のお

          No.1419 ゆれる心

          No.1418 大自慢機?

          「CO2を食べる(吸収する)自動販売機」(アサヒ飲料)の実証実験が2023年6月から始められているそうです。「都会の中に森を作る」というユニークなコンセプトのこの企画に大いに共感します。自販機が森林のような存在になるだけでなく、吸収したCO2は、肥料やコンクリートの原料となると言います。まさに「一石二鳥」の効果があります。   その仕組みは、意外なほど単純です。商品取り出し口の裏側にCO2を吸収する粉末状の特殊材(吸収材)が設置されており、これが大気中のCO2を吸収します。1

          No.1418 大自慢機?

          No.1417 泣き虫王

          「王」の字源の一説として、「一」でもって「天・地・人」の「三」を交えて貫通させるのが「王」であると漢和辞書にありました。「天」(神)の声を「地」で受けて「人」(民)に知らしめ、正しく行うのが「王」の務めということなのでしょうか?   「大切な人を守るため、私は王になる――ヨ・ジング主演! 王の影武者となった男の、禁断の愛と数奇な運命の壮大な史劇」 これは、2012年に公開された韓国映画を元に2019年にテレビドラマ化された作品「王になった男」のキャッチフレーズです。 狂気に

          No.1417 泣き虫王

          No.1416 正座するもの

          新聞の「おくやみ」欄を見ます。80代から90代の方が多いようですが、中には60代、70代の方もいます。私は71歳です。今まで人生の季節は「秋」だと考えていましたが、むしろ「冬」を迎えているのだぞと教えられるような気がします。 物忘れに磨きがかかります。台所で、鍋ややかんに火をつけたら、それが出来上がって火を止めるまでその場を去ってはいけないことを肝に銘じています。ついさっき点火したことも忘れてしまうからです。冷や汗の出る体験を一再ならずしている懲りない男です。 頭のてっぺ

          No.1416 正座するもの

          No.1415 二重の味わい

          11月6日の朝、富士山では山頂付近にうっすらと雪が積もっている様子が確認されました。 観測が始まった1894年(明治27年)だそうですが、富士山の初冠雪は、それ以降、最も遅かったのは1955年(昭和30年)と2016年(平成28年)の10月26日だそうです。今年は、さらに遅れること11日、甲府市の気象台で確認できれば、この130年で最も遅いというニュースでした。   富士山の冠雪が遅れたのは、平年より気温の高い日が続いたことが要因とみられています。具体的には、10月の富士山

          No.1415 二重の味わい