雪柳 あうこ

詩や小説、ことばをのんびりとつとつ紡いでいます。【詩】詩集『追伸、この先の地平より』(…

雪柳 あうこ

詩や小説、ことばをのんびりとつとつ紡いでいます。【詩】詩集『追伸、この先の地平より』(第72回H氏賞候補)、詩誌La Vague主宰、詩誌凪(休会中)。【小説】ノベルメディア『文活』、「ものがたり珈琲」寄稿など。ご連絡はXのDMまたはプロフィール頁にあるメールアドレスまで。

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    自作のちいさなちいさなおはなしを、まとめています。

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    これまでの短篇小説のみをまとめています。どれも読みきりで読めます。お一つどうぞ。#短篇 #短篇小説 #短編小説 #物語 #創作

  • 詩集『追伸、この先の地平より』から

    詩集『追伸、この先の地平より』(土曜美術社出版販売/第72回H氏賞候補)から、いくつかの作品をご紹介します。

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【本が出ました】『追伸、この先の地平より』

既に、前の記事やtwitterなどでもお知らせさせていただいておりましたが。 改めまして、告知です。 2021年11月、第一詩集『追伸、この先の地平より』を、土曜美術社出版販売様より出版させていただきました。 詩集の帯文は、詩人の松下育男さんに書いていただきました。 表紙の写真は、写真家の齋藤陽道さんが撮影されたものを使わせていただきました。 大型書店さんやネット書店さん、amazon、それに土曜美術社出版販売様のウェブサイトでも購入可能です。 おっかなびっくり世に出

    • 【掌編】レモンの樹【散文詩】 

      レモンから、酸っぱいのがなくなればいいのに。口をとがらせて言うと、崖の上のレモンの樹の横に立つ、年の離れた姉は笑った。姉とレモンの樹は背の高さはほとんど同じで、わたしは時々、どちらがどちらかわからなくなる。どちらからも柑橘の良い香りがしていたし、どちらもいつだって瑞々しかった。 レモンの樹は、育ち切ると手入れが要らなくなるんだって。秋の初め、祖母から収穫を頼まれた姉は、樹の高いところからぷつん、ぷつんと、まだ青い実を枝から離す。ほら、とナイフで切り分けてくれる。姉はためらわ

      • そして5年が経って、今

        「雪柳」さん、「あうこ」さん、と呼ばれることが増えました。 筆名で生きる日々が確かなものとして在ること。そのことをありがたく、うれしく思う日々です。 「雪柳あうこ」を筆名として初めて使ったのが2018年。そして2019年夏の終わり、わたしはnoteやXなどのインターネット・SNS上に現れて活動を開始しました。以降、毎年この時期に1年毎の活動を振り返っています。今年も振り返りつつ、今とこれからのことをゆっくりと考えてみたいと思います。  (※最後の方にお知らせがあります!よか

        • 夕方のひかり

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        【本が出ました】『追伸、この先の地平より』

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        • 【小説】虹色歌灯~ニジイロウタアカリ~
          8本

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          午後のひかり

          午後のひかり

          【詩】手紙には 

          手紙には 元気です とだけ書いた それだけは本当だし けれど それだけだと 嘘だった それでも、手紙には 元気です と書き記したい それだけでは嘘になってしまう としても それだけは 本当にしておきたい 七月の手紙には そんな祈りを 込めて 街角で揺れる七夕の笹の側を 足早に 過ぎ去る ・・・・・ すっかり暑くなりましたね。暑中お見舞い申し上げます。夏バテなどせず、皆様どうぞ元気にお過ごしくださいませ。 #シロクマ文芸部 の企画に参加しています。いつも素敵なお題をあ

          【詩】手紙には 

          あじさいびより

          あじさいびより

          【掌編】風薫れば【散文詩】

          風薫る季節になると、ふと思い出す人がいる。薫さんという。色の白い、大きな両目が少し離れた造作で、愛くるしい笑顔の朗らかな人だった。五月の生まれだと言っていた。真面目で、高校ではいつも教室の前方の席を希望して座っていた。歯並びがよく、いつもはきはきと喋った。 爽やかで好感の持てる人だと、誰もが言う。けれど毎年五月だけ、彼女の印象は豹変する。連休明けに、大人っぽくも初々しい教育実習生たちが高校へと授業にやってくると、薫さんは彼ら彼女らに、鬼のような量と質の質問を浴びせ続けるのだ

          【掌編】風薫れば【散文詩】

          作り続けるということ

          こんにちは。雪柳あうこです。 長編小説でもnoteの定期的な更新でもそうですが、続けるということは難しいことなのだなぁと感じる今日この頃です。いかがお過ごしでしょうか。 そんなわたしですが、昨年の春から、女性詩人たちと一緒に詩誌を作っています。 この四月、ついにVol.2(3冊目)を世に送り出すことが出来ました。 自分一人ではうまく形にならなかったり、続けられなかったりすることの方が多いですが。メンバーと一緒に歩む、ということが継続の力になっていると感じます。素晴らしいゲ

          作り続けるということ

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          ことしのさくらたち

          ことしのさくらたち

          【詩】半月  

          朧月 よく見れば 半分 光は輪郭を溶かし 実は半分であることを さりげなく誤魔化しながら 夜毎ふくらむ 花を誘う  もう半分はどこへやったの? 欠けたの? 亡くしたの? それとも これから造るの? 朧月 よく見れば 半分 夜毎ふくらむ花のひとひら よく見れば 月 ・・・・・・ 見上げた月が,ちょうど半月の朧月でした。 思わずシャッターを切りました。 月に誘われコブシも咲き出し、すっかり春の夜の気配です。 シロクマ文芸部のお題「朧月」をお借りしました。いつも素敵なお

          【詩】半月  

          【掌編】かみかくし【散文詩】

          閏年、四年に一度だけの二月二十九日。その日にだけ訪れることのできる小さな島で待っています。 爪月の端、時のあわいから届いた小さな手紙には、流れる水のような文字でそう書かれていました。岬まで迎えを寄越しますと書かれた文章を、わたしは何度も何度も指で辿って、その日その時を心待ちにしていたのです。 ずいぶん前からあなたとその日に会おうとを決めていて、わたしはそれだけを覚えていました。けれど、織姫と牽牛の四倍も待っていたせいか、あなたの顔も声もすっかり忘れてしまいました。それでもい

          【掌編】かみかくし【散文詩】

          【詩】ユキヤナギ

          雪化粧をした枝に積もる 冷たい白粉を 集めたら 蕾に 籠めておきましょう あたたかい朝 白い光のような雪が 咲くでしょうから ・・・・・・ 春先に咲くユキヤナギの花が、もう咲きかけていたのに触発されました。 今年もぼちぼち、不定期更新で始動いたします。よろしくお願いします。 小牧幸助さんの #シロクマ文芸部 からお題をお借りしました。いつもありがとうございます。

          【詩】ユキヤナギ

          【掌編】詩と暮らす【散文詩】

          詩と暮らすことにしたのは、数年前の春からです。 その春、わたしは陽気に当てられぐったりとしていました。そんな時、窓からふと、ひとひらの詩が飛び込んできたのでした。ひらひら、ひら、り。窓の内側に吹き込んできた詩を、手のひらに収めました。薄桃色の詩は、見た目の美しさとは裏腹に、少し乾いていました。わたしは硝子の容器に水を張り、詩を浮かべてみたのでした。すると、詩は楽しそうにくるくると硝子の中で回りました。こういうものと、暮らしてみようか。わたしがそう決意するまでに時間はかかりま

          【掌編】詩と暮らす【散文詩】