福田尚弘

西東京在住。放送→教育→出版業を経て、早めの老後をさまよう放蕩おやじ。主に文学のことなどを気ままに書きます。著書→「サクサク身につく 大人のための語彙力」(リベラル社)、「10才までに覚えておきたい、ちょっと難しい1000のことば」他。

福田尚弘

西東京在住。放送→教育→出版業を経て、早めの老後をさまよう放蕩おやじ。主に文学のことなどを気ままに書きます。著書→「サクサク身につく 大人のための語彙力」(リベラル社)、「10才までに覚えておきたい、ちょっと難しい1000のことば」他。

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    日本の作者たちによる作品解説や名言、俳句、短歌、詩などです。

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  • 作家たちの「入口」

    国内外のとっつきにくそうな作家や難しそうな作品の、分かりやすい「入口」をご提案します。

  • ROCK & POP CLASSICS 今日の一曲

    1960~70年代を中心に、熟成されたロック・ポップスの名曲をそろえました。

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『ライ麦畑でつかまえて』(The Catcher in the Rye)J.D.サリンジャー ~ここは、「勝ち負け」を決めるための場所なんかじゃない!                                      

今回は、昨今では村上春樹氏の翻訳でも知られる、「ライ麦畑でつかまえて(キャッチャー・イン・ザ・ライ)」(1951)を取り上げます。 すでに多くの評論や解釈が行なわれてきた作品なので、ここでは特に個人的に印象に残った人物や場面などを挙げ、感想は末尾で少し述べるにとどめておきます。 尚、記事内の日本語訳の一部は、野崎孝氏版(白水Uブックス)をベースに少し調整を加えさせていただいております。 クリスマス前夜、ある少年の孤独な三日間 まず、作品の概要をまとめておきます。 主

    • ♡今日のひと言♡寺山修司(改訂)

      寺山修司(1935‐1983~青森・歌人、詩人、劇作家、演出家、映画監督) 俳句を中心として文学活動を始め、短歌に転じて1950年代後半には前衛短歌の代表的歌人となった。1960年頃より演劇に進み、1967年には横尾忠則らと劇団「天井桟敷」を結成し、市街劇など多彩な実験演劇を展開した。代表作は、放送劇「山姥」(1964)、戯曲「毛皮のマリー」(1967)、叙事詩「地獄篇」(1974)、映画「田園に死す」(1974)など。

      • 短編『さらば、吉祥寺』(改訂)

        吉祥寺に戻ろう 「どこに住んでもいい」という状態になるのは、初めてのことだった。 家内と別れ、やがて子供たちが巣立ち、独りになった。 身軽になったので、長く一家で暮らした世田谷の一軒家を引き払い、小さなマンションに移ることに決めた。 もともと在宅でのパソコン仕事がほとんどなので、行先の選択はほぼ自由だった。 自分は、どこへ行ってもよい、、、 しかし、過度な「自由」にはやっかいな一面がある。 「どこでもいい」となると、どこへ行くべきか、途方に暮れてしまうのだ。 こん

        • ♡今日のひと言♡佐藤春夫

          佐藤春夫(1898-1927~和歌山・小説家、詩人) 与謝野鉄幹らに師事し,《三田文学》《スバル》に詩を発表。これらは1921年の『殉情詩集』にいっしょにまとめられ,大正期の代表的抒情詩集の一つとされる。大正期にはいると,散文詩風の小説を書くようになり,1916年『西班牙犬の家』を発表,続く『田園の憂鬱』(1919)で文壇の注目を集めた。他に『退屈読本』(1926)などの随想集や中国の訳詩集『車塵集』(1929)がある。1960年文化勲章受章。

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          ♡今日のひと言♡オスカー・ワイルド(改訂)

          オスカー・ワイルド(1854-1900~アイルランド・詩人、作家、劇作家) ヴィクトリア朝時代を代表するイギリス文学作家の一人。耽美的・退廃的だった19世紀末を体現した彼の作品や生き方は、日本を含め世界中の作家たちに影響を与えた。主著「幸福な王子その他」(1888)、「ドリアン・グレイの肖像」(1890)、「サロメ」(1893)など。

          ♡今日のひと言♡オスカー・ワイルド(改訂)

          ♡今日のひと言♡太宰治~「トカトントン」より

          <参考> 最後の抜粋箇所は、読解しづらい部分かと思います。また、本編においての解釈も様々かと思います。個人的なとらえ方としては、以下です。 ・十指の指差すところ、十目の見るところの、いかなる弁明も成立しない醜態を、君はまだ避けているようですね。 →「君は臆病やプライドに邪魔されて、冷めたポーズをとることで大切なことから逃げているようですね。」 さらに、聖書からの引用部分は特に読みづらいのですが、ざっくりと言い換えると、以下のようなことかと思われます。 ・「身を殺して霊魂

          ♡今日のひと言♡太宰治~「トカトントン」より

          ♡今日のひと言♡エラ・ウィーラー・ウィルコックス(改訂)

          エラ・ ウィーラー・ウィルコックス(1850-1919~アメリカ・作家、詩人) 平明な文章で韻を踏ませた、軽快で楽観的な表現・作風で知られている。代表作は“Poems of Passion”(情熱の詩~19 c 末頃)や“Solitude”(孤独~1883)など。

          ♡今日のひと言♡エラ・ウィーラー・ウィルコックス(改訂)

          「ほら話」の突破力~『ふくわらい』西加奈子(ほぼネタバレです)

          今回は、西加奈子の長編小説「ふくわらい」を取り上げます。 グロテスク、猥褻、とされる場面が多い作品です。 ですので、好き嫌いがはっきり分かれることと思われます。 短くまとめると、 「異端な生い立ちの主人公(少女)が、様々な体験を通し、自我を確立させてゆく成長物語」 、、、なのですが、この小説は、設定・登場人物・展開の全てにおいて、他に類を見ることができないほど世間一般の「常識」や「倫理」を突き抜けているのです。 目を覆いたくなるようなシーンがこれでもかと出てくるので

          「ほら話」の突破力~『ふくわらい』西加奈子(ほぼネタバレです)

          ♡今日のひと言♡ミシェル・ド・モンテーニュ(改訂)

          ミシェル・ド・モンテーニュ(1533- 1592~フランス・哲学者) 16世紀ルネサンス期を代表する人文主義者です。 16世紀以降のフランスは、「モラリスト」と称される思想家を輩出しました。 彼らは人間性を鋭く観察し、「人間とは何か」「人はいかに生きるべきか」を短い箴言や散文で表しました。 その一人モンテーニュは「エセー」(1580)の著者として知られています。 「随筆」というジャンルを創始し、シェークスピアや後のパスカルらにも影響を与えたと言われています。  

          ♡今日のひと言♡ミシェル・ド・モンテーニュ(改訂)

          ♡今日のひと言♡ブレーズ・パスカル(改訂)

          パスカルは数学者、自然科学者として早くから「パスカルの三角形」「パスカルの原理」「パスカルの定理」などの発見で功績を残しました。 その一方で彼は、ルネサンスを経た「科学・理性の時代」にあって「キリスト教を信仰すべき」と人々に説得することを使命としたのでした。 それを著書にまとめる前に、パスカルは39才の若さで病死してしまいます。 「パンセ」(1670)は、その準備段階として思いついた事を書き留めた数多くの断片的な記述を、遺族らが編纂し刊行したものです。 第一部では、人

          ♡今日のひと言♡ブレーズ・パスカル(改訂)

          ♡今日のひと言♡尾辻克彦(赤瀬川源平)

          尾辻克彦(赤瀬川源平) 1937‐2014~神奈川・美術家、作家、随筆家 50年代末より「赤瀬川源平」の名で前衛芸術家として活動を始める。 70年代にはマンガ・文学などのジャンルに活動を広げ、81年、短編小説「父が消えた」で芥川賞を受賞。「超芸術トマソン」(1985)、「老人力」(1998)などの話題作を世に出した。

          ♡今日のひと言♡尾辻克彦(赤瀬川源平)

          虚無のパノラマ「楢山節考」~深沢七郎(ネタバレ有)

          深沢七郎の「楢山節考」(1956年)は、日本に古来から伝わる「姥捨伝説」を題材として書かれた短編小説です。 古くからの民話としてはいくつかのバージョンがありますが、捨てられることを回避するために老婆が知恵をめぐらす内容のものや、「人道的」「敬老的」な立場から、この風習に対する批判がこめられたものが主なようです。 しかし、「楢山節考」では、この「姥捨」(口減らし)というしきたりは疑念をはさむ余地もない善行として肯定されているのです。 そして、リアルで残酷な世界が情容赦なく

          虚無のパノラマ「楢山節考」~深沢七郎(ネタバレ有)

          ♡今日のひと言(短歌)♡俵万智

          俵万智(1962~大阪・歌人) 1986年に作品「八月の朝」50首で角川短歌賞を受賞し、歌壇の話題をさらった。第一歌集「サラダ記念日」(1987)で現代歌人協会賞を受賞。口語短歌の斬新な手法が「ライトバース」(なるべく平易な言葉で豊かに情調を表現しようとする短歌)と称された。この歌集が空前の大ベストセラーとなり、国民的歌人となった。他に「チョコレート革命」(1997)、「愛する源氏物語」(2004)、「プーさんの鼻」(2007)など。

          ♡今日のひと言(短歌)♡俵万智

          ♡今日のひと言♡バーナード・ショー

          バーナード・ショー(1856- 1950~アイルランド・文学者、政治家) ヴィクトリア朝時代から近代にかけて活躍、53本もの戯曲を残し、「他に類を見ない風刺に満ち、理想性と人間性を描いた作品を送り出した」として1925年にノーベル文学賞を受賞した。 代表作「ピグマリオン」(1912)は、オードリー・ヘップバーン主演の映画「マイ・フェア・レディ」の原作として知られている。

          ♡今日のひと言♡バーナード・ショー

          ♡今日のひと言♡アニエス・ヴァルダ(改訂)

          アニエス・ヴァルダ(1928‐2019~ベルギー・映画監督、脚本家、写真家)1954年にアラン・レネらとともに発表した実験的映画「ラ・ポワント・クールト」がヌーヴェルヴァーグ※の先駆的作品として脚光を浴び、「幸福(しあわせ)」(1965)で監督としての評価を決定づけた。その後、「歌う女、歌わない女」(1976)がイタリアの国際映画祭でグランプリを受賞、「冬の旅」(1985)でベネチア国際映画祭金獅子賞を獲得した。 他に「落穂拾い」(2000)、「アニエスの浜辺」(2008)、

          ♡今日のひと言♡アニエス・ヴァルダ(改訂)

          ♡今日のひと言(短歌)♡石川啄木(改訂)

          石川啄木(1886‐1912~岩手・詩人、歌人) 中学中退後に上京、処女詩集「あこがれ」(1905)で将来を期待されたが、生活に恵まれず職を求めて北海道他を放浪。再び上京後、歌集「一握の砂」(1910)を刊行し、近代短歌に新領域をひらいた。後に社会主義に目ざめるが、貧窮のうちに結核により26歳の若さで死去した。死後に歌集「悲しき玩具」が出版された。

          ♡今日のひと言(短歌)♡石川啄木(改訂)