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✩ 文学夜話 ✩ 中原中也の手書きと詩風


私がもっとも影響を受けた詩人は、ゲオルク・トラ―クルというヨーロッパの比較的知られていない詩人なのですが(日本で全集が出ているほどには有名です!)、日本の詩人のなかで私が一番好きなのは中原中也です。

中原中也は人気のある詩人ですから、彼の詩が好きなことは、もしかしたら「普通」に聞こえるかもしれません。ですが、数多くの詩人の作品群に目を通した上で、やはり彼の詩が良いのです。

その理由は、客観的に彼の詩が良いのもあるでしょうけど、主観的にもその感性に共感できる部分があるからかなと思います。詩も、小説も、映画も、音楽も、客観的にどうかというよりも結局は好みで評価が分かれるところが大いにありますよね。

もちろん、自分と感性が近いといっても、別の人間ですから、まったく同じではないので、彼の詩の中で共感できるものもあれば、個人的にあまりピンとこないものもあります。ですが、トータルで見ると、いちばん(こっちから勝手に)親しみを感じる詩人なのです。

先日、佐々木幹郎(2005)『中原中也 悲しみからはじまる』という本を図書館で読んでいたのですが、本に載っていた中原中也の手書き原稿の写真をじっと眺めていたら「彼の感性と、手書きのスタイルと、詩風は相関があるかも・・・」と思ったので、その話をします。

まず、その本に載っていた彼の原稿の写真を見てみましょう。上と下は、違う時期に書かれた別々の原稿です(画像が小さくて分かりづらいと思いますが、ご興味のある方はブラウザーのズーム機能で拡大してみてください)。

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