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#映画感想文

映画レビューをnoteで書いてみませんか?お題企画「#映画感想文」で募集します。

人気の記事一覧

【映画感想】ビーファーストの映画を観た話

先週の金曜日のこと。 諸々のタイミングが合い、時間の都合が良かったのと気が向いたのとで、とあるボーイズグループの映画を観に行った。 そのボーイズグループのグループ名は、「BE:FIRST」。 ビーファーストと読む。 前もって言っておきたいのだが、私は彼らの特別ファンなわけではない。 これはただの音楽好きが、気まぐれに、そして映画本編の内容について予備知識などを持たないまま、彼らを推している友人が「観てみて!」と言っていたっけなくらいのノリで、軽率に観に行って得た率直な

映画『ラストマイル』つまらなかった、微妙だったって言う人の気持ちもめっちゃ分かる

※ネタバレ 俺はラストマイルめっちゃ刺さったんですけど、ラストマイルつまらなかった、微妙だった、って人の気持ちも分かるんですよ。 そもそも、あんだけ宣伝で 「特大エンタメ!」 「日本版アベンジャーズ!」 「3つの世界が交差するシェアードユニバース!」 「ポップコーンとビール片手に観る映画!」 みたいに煽っておいてフタ開けてみたらアンナチュラルMIUメンバー全然出演してないし、最終的に物流の労働環境、やばくね?鬱の人、多くね?通販便利すぎるの分かるけど、ちょっと考えね?

グローバル資本主義に日本がすり潰されないために―映画『ラストマイル』感想

映画『ラストマイル』を見てきた。私はもうめちゃくちゃ面白かった……!! 個人的に、『ラストマイル』が描こうとしているものがわかりすぎて『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』作者としては泣きました……。 https://www.e-hon.ne.jp/bec/EB/Top Amazonを彷彿とさせる外資系ECサイト「デイリーファスト(通称デリファス)」で働く、舟渡エレナと梨本孔。彼らのもとにある報道が飛び込んでくる。デリファスで新発売となったスマホが、突然爆発したという。

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誰がために働く-映画『ラストマイル』感想 -

※以下、映画『ラストマイル』の若干のネタバレを含みます。ご注意ください。 スクリーンが暗転して、エンドロールと共にこの曲が流れ始めた時、冒頭の歌詞に強い違和感を覚えた。というより、すぐには歌詞の意味がわからなくて、頭に「?」が浮かんだ。 ふつう、「失くしても壊しても奪われたとしても」と逆接がきたら、「失われないものがあった」とか「消えないものがあった」とか、そういうポジディブな歌詞が続くだろう。実際、予告を通してなんとなく聞いていた時は、そんな風なことを歌っているんだろう

人生の日食に触れる -名作映画『太陽はひとりぼっち』の美しさ

   【木曜日は映画の日】     イタリアのミケランジェロ・アントニオーニの映画は、「愛の不毛」という惹句をよく使われ、憂鬱な表情をした女性たちが、盛り上がらないひたすら憂鬱で不毛な会話を繰り広げる、と言われがちです。   それはまあ、間違ってはいない。しかし、私は彼の映画が大好きで、観る度に元気を貰えます。そこには、決して不毛ではない、落ち着いて、時にはリリカルである、モノクロの澄んだ空気感があるからです。   彼のミューズであったモニカ・ヴィッティと、先日亡くなった美男

都市を迷宮に塗りかえる -フイヤードの映画の魅力

    【木曜日は映画の日】     どんなジャンルでも、その出来初めの頃の作品には、爛熟期にはない、勢いと初々しい魅力があるものです。   1895年にリュミエール兄弟がカフェで上映して始まった映画において、1910年代とは、まだ草創期。撮影所や、人気のあるスターはいたものの、後年の規模や洗練とは比べ物にならない素朴な規模のものでした。   フランスの映画監督フイヤードは『ファントマ』、『ヴァンピール(吸血ギャング団)』等、その後廃れてしまった「連続映画」シリーズの代表作で

神秘に浸る -タルコフスキーの映画を巡る随想

    【木曜日は映画の日】   私が好きな映画の中でも、タルコフスキーは、様々な意味で、今日もアクチュアルな映画監督です。今日は彼の映画と生涯について少し語ってみたいと思います。 アンドレイ・タルコフスキーは、1932年生まれ。父親のアルセニーは高名な詩人で、アンドレイの作品にも彼の詩が出てきます。   1954年に国立映画大学に入学。スターリン死去の翌年であり、検閲も緩和され、アメリカ文化をはじめとする西側の芸術や映画を吸収しています。   1962年、初の長編映画

今更考える「ドラゴンクエスト ユア・ストーリー」の本当の問題

昨今、ビデオゲームの映像化のトピックが再び盛り上がっている。例えば、Netflixで配信を予定している傑作と名高い『Arcane』のシーズン2だったり、一方でAmazon Primeで配信されている『龍が如く』の改悪がひどいとか、なんにしろゲームの映像化は悲喜問わず話題になっている。 もっとも、筆者にとってゲームの映像化を考える上で避けては通れないのが、恐らく多くのゲーマーのトラウマにもなってしまったであろう『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』だ。 本作は、山崎貴監督の

じたばたせずに浮いてればいい ― Netflix映画『ちひろさん』

最近ふわふわと自分が浮いてしまっている感覚があった。でもまあそんな時期もあるよなあ、とそれを受け入れて浮いていた。 そんなぼんやりした日々のなかで、ふと思い出した。なんかこういう感じの台詞があった気がする、リリーフランキーさんが渋い声で「じっとしてれば浮くから大丈夫」的なことを言ってる映画があった気がする! と急に思い出して、ひさしぶりにNetflix映画の『ちひろさん』を観返した。 なんかこの作品って、本当に好きだなあ、としみじみ思った。なにも起こらないのに胸がしめつけ

時の流れに手で触れる -映画『コッポラの胡蝶の夢』の美しさ

    【木曜日は映画の日】     映画の魅力の一つに、「時」を自由に切り貼りできることがあります。勿論、文学や音楽でもその「時」は感じられるけど、目の前でイメージが変化していくことは、何よりも「時」を強く感じさせます。   フランシス・フォード・コッポラの2007年の映画『コッポラの胡蝶の夢』は、そんな時の感触を見事に捉えた傑作です。 1938年ルーマニアの首都、ブカレスト。年老いた言語学者ドミニクは、自分の言語学体系を完成させられず、昔愛した恋人も忘れられない、後悔と

【映画感想文】友だちを買うなんて……と思ったけど、ぶっちゃけ、買うしかないんだよね - 『ロボット・ドリームズ』監督:パブロ・ベルヘル

 先日鑑賞した『ゴンドラ』に続き、セリフない系の映画が好きなので、セリフなしアニメ『ロボット・ドリームズ』を見てきた。  原作はグラフィック・ノベルと言われるジャンルの本らしく、ストーリー重視の漫画という雰囲気。日本にはあまり馴染みがないけれど、調べると名作は多々あるようで、いつかちゃんと読んでいきたい。  映画は音楽に相当力を入れていて、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『セプテンバー』がテーマ曲のように繰り返し流れていた。物語の内容にも合っているし、歌詞に出てくる

夢の川を超えて -映画『近松物語』の魅力

    ※木曜日の映画の投稿の代替です。     芸術的とは何か、というと色々定義はあると思いますが、作品に描かれている以上の何かを感じられるか、という点もあると思っています。   溝口健二の1954年の映画『近松物語』は、優れたドラマであり、そんないい意味での芸術的な香気に溢れた名作です。 ※2024年11月現在アマプラ会員無料 京都経師屋(障子やふすまを作る職人)の手代、茂兵衛は、主人の妻の「おさん」から、兄がお金に困っていることを相談されます。ふとした行き違いや欲望

【感想】映画『本心』

今月楽しみにしていた期待作『本心』という作品を見ました。 原作は、芥川賞作家の平野啓一郎先生が記したもので二年前に読んでから書評として感想も記している作品でもあり、映画を見るにあたって物語も事前に頭には入っていました。 近い将来的にも実現化しそうなデジタル社会の実態を描きつつ、 ‘‘自由死’’という自らが命を絶つことを望んだ母の本心を知ることを決意した一人の青年の葛藤を描いた物語であり、死生観や倫理観を問う複雑な感情が込み上がるものがありました。 何故、母は自由死を選んだの

映画『ラストマイル』満島ひかりの演技力に魅了される!日本初シェアード・ユニバース・ムービー

2024年8月23日公開、映画『ラストマイル』を鑑賞しました。 この作品は、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界線で起きたエピソードのため、2作品のドラマのキャストが登場するシェアード・ユニバース・ムービーです。 観てきた感想をまとめていこうと思います。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想この作品の面白さは、大きく分けて3点あります。 1点目は「シェアード・ユニバース・ムービー」という点です。 シェアード・ユニバース作品というのは、同じ

映画『破墓/パミョ』が“掘り出したもの”(元ネタに興味がある人の為のネタバレ有りの長文感想・考察)

「お前ん家の先祖代々の墓を掘り返してぶっ壊してやるからな!」 と言われたら、あなたはどう思うだろうか。 おそらく多くの日本人が嫌な気持ちになるだろうし、 「罰当たりだなあ」 「俺が嫌いなら俺とやり合えよ!先祖関係ないだろ!」 と感じるだろう。勿論ポジティブな感情を生まない暴言だ。 だがこの暴言、中国文化圏では更に数億倍の攻撃性を持つ最悪の侮辱となる。 形として宗教が禁じられた現在においても、中国文化圏では「先祖代々の墓」の大切さは単なる先祖への思い以上に、その人の一族であると

【映画感想文】それでも荻上直子は閉鎖的なユートピア世界を描き続けるし、描き続けなくてはいけない - 『まる』監督:荻上直子

 荻上直子監督の新作『まる』が凄かった。堂本剛を主演に迎え、現代アートのスタジオをクビになった画家がなんとなく描いた丸がたちまち評価されてしまって、正直しんどい状態に陥っていく不条理劇だった。  この丸は円相と呼ばれ、禅の世界では悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任されるとWikipediaに書いてあった。劇中でも、堂本剛が「あなたの円相を100万円で買い取りたい」と言われ、「……えんそう?」となりながらWikipedi

【感想】映画『まる』

有名人になりたいとか、注目されてチヤホヤされたいという気持ちは学生の頃、よく思い描いていたことがあります。 今はそうした気持ちは全然なく、会社員として平穏な毎日を過ごしながら生活出来ればそれで十分だと思っています。 もしも、自分がわけも分からず有名人になったらどうするか『まる』はそうした日常から突き放され、非日常へと変わってしまった、ある男の悲劇的な物語であり面白かったです。 だが、ある日突然、普段の生活が自分ではない日常が転がり始めたら上手く適用出来るのだろうかと思うし、自

ティム・バートン監督『ダーク・シャドウ』

 主人公バーナバスの視点で観るか?  それとも、彼と敵対する魔女アンジェリークの視点で観るか?  それによって、受け取り方が大きく変わる映画だと思います。 ダーク・シャドウ [Blu-ray]www.amazon.co.jp

【ネタバレあり】映画「ラストマイル」を観てきました

この映画は絶対に初日に観に行こうと思って、無理矢理でも仕事をどうにかして笑 初日に観に行くことができました。 観終わった感想(率直なやつ) 「………え、どーゆうこと……?(困惑)」 でした。(ああ!決してつまらなかったわけではない!!誤解しないで!) ただ、これってある意味正しいようで、終わった後にすぐスタバに駆け込んでパンフレットを熟読した結果、主役である満島ひかりさんも塚原監督も、このなんだか掴みきれない「余白」感を大切にしてる、そこが肝、的なことを言っていたので、

映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

映画『ラストマイル』を見ました。 アンナチュラルとMIU404の脚本家・監督がタッグを組み、それぞれの世界線が交差する作品。私はどちらも詳しくないのですが、十分楽しめました! 面白かった。間違いなく、面白かった。 アンナチュラルとMIU404大好き人間に連れていかれたので、特に前情報もなく。でも、倉庫の規模の大きさ、エンドユーザーの手に渡るまでの道のりと関わる人の多さに圧倒され、それぞれの信念や強迫観念、葛藤に胸が潰れそうになった2時間でした。 いやあ面白かったね〜と

リトルブラックドレスを纏う

映画 『ココ・アヴァン・シャネル』(2009) を観ました。 1883年にフランスで生まれ、第一次世界大戦から第二次世界大戦という激動の時代を生きたガブリエル・シャネル。 当時の女性は コルセットで腰を締め付け、ビーズ、花飾り、羽、レースなどをふんだんに施したドレスや帽子を纏った華美な装飾こそが高貴な特権性を表明するとされていました。 そんな時代にシャネルは、それまで喪服にしか使われなかった黒の生地、ジャージ素材、腰を締め付けない動きやすいシルエット、ポケットなどを取り

洗練された微笑みで -映画『レディ・イヴ』の楽しさ

  【木曜日は映画の日】     コメディにおいて、ギャグと洗練のバランスはなかなか難しいものです。大笑いできるものは下品になりがちではあるし、すました態度のままだと、笑えるかどうか微妙になったりします。   プレストン・スタージェスが1941年に監督したハリウッド映画『レディ・イヴ』はそんなギャグと豪奢な上品さが同居した名作です。 エール・ビールを扱う大会社の御曹子、チャールズ・パイクは、蛇や探検を愛する初心な変わり者。一年に渡るアマゾンでの調査を終え、豪華客船で帰国する

映画『まる』感想。オススメできないオススメ作品。

堂本剛さん主演の『まる』を鑑賞しました。 最近周りの知り合いの中で綾野剛さんが流行っているので、その流れで知った作品でしたが、 予告を見た印象では、人間の心理をついたミステリーのような雰囲気を感じ取ったのでとても気になっていました。 ところが実際はミステリーのような怖い印象はほとんど無く、 穏やかでポップな印象、の中に潜む怖さがあるような作品でした。 映画の3分の1ぐらいまで観て、この作品の伝えるモノ、重圧とか色々が分かってきた頃、そんな様々なメッセージを受け取る事がすごく

【マシュマロ】本当に「つまんねーもんはつまんねー」のか? 面白さ・つまらなさがどこにあるのか考える

 マシュマロにご指摘を頂きました。 ありがとうございます。 こちらは拙記事『【映画感想文】「期待はずれでクソつまらない」と腹を立てる我々もまたジョーカーであると伝えるため、巨額の予算を費やした世紀の大駄作! 素晴らしい! - 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』監督: トッド・フィリップス』についてのご指摘ですね。 これは面白さ・つまらなさがどこに存在しているか考えていくと見えてくるものがあるような気がします。 「つまんねーもんはつまんねー」という言葉から判断するに、面白

【感想】映画『ヴェノム・ザ・ラストダンス』

ヴェノムシリーズの第三作目である『ヴェノム・ザ・ラストダンス』を見た。 本作は、ヴェノムシリーズの最終章と呼ばれているみたいで、今作は絶対見る必要があると思い見ましたが、最終章に相応しいヴェノムシリーズだと実感しました。 地球外生命体の創造主である最強の敵である邪神ヌルが冒頭から登場し、かなり迫力のあるビジュアルでありました。 エディとヴェノムのバディ感は前作でも引き継がれていて、より一層団結して強力な敵と死闘を繰り広げるシーンは本作の見所でもあると思いました。 前作では、ジ

映画『ルックバック』上映時間わずか58分とは思えない美しくも儚い青春物語に誰もが心奪われる

映画『ルックバック』を鑑賞した。 上映時間58分とは思えない満足度。これが噂の『ルックバック』かと、SNSで話題になる理由をこの目で観た。 観てきた感想をまとめていこうと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想冒頭でも述べたとおり、58分とは思えない満足度を味わった作品だった。本作品の感想や考察記事を見ると、人それぞれ感じたものがある。私が本作品を観て感じたことをまとめていきたい。 まず、藤野の漫画に対する葛藤や喜びのシーンが、とても共感できる。私も

映画感想文 スージーサーチ

2024年米国 そんなにインフルエンサーになりたいんですか?注目を集めたいんですか? バズりたいんですか? 幼い頃から謎解きが好きなスージーは、謎解きのポッドキャストを始めますがフォロワーは、ゼロ。ある計画を思いつき実行します。失踪した同じ大学に通う同級生の男子学生インフルエンサー、ジェシーの行方を追うため、ひとりで追跡を始めるんです。でもね、ジェシーを拉致したのはスージー自身。 「犯人は誰か」とポッドキャストで謎解きを始め、そしてジェシーを地下室で見つけたことをポッドキ

リチャード・カーティス監督引退作品『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』

愛は時を越える。 そのような主題の映画をたびたび目にしてきたが、これほど心が温かくなる作品はほかにあるまい。2013年に公開された『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』だ。 メガホンをとったのは、ニュージーランド出身のリチャード・カーティス。2024年度のアカデミー賞では、長年にわたり映画業界の発展に尽力した人物に贈られる賞、ジーン・ハーショルト友愛賞を受賞している。 現在も精力的に映画脚本を手掛ける彼だが、実は本作で長編映画の監督業からは引退。その経緯から本作はき

疾走するエモーション -サミュエル・フラーの映画の魅力

    【木曜日は映画の日】     映画は物語を語る中で、ある一つの場面を視覚的に、効果的に示すことができます。   映画監督のサミュエル・フラーは、抜群に「面白い物語」を創ることができると同時に、鮮やかに多くの人に印象を与え、考えさせる場面を創ることができる監督です。 サミュエル・フラーは1912年マサチューセッツ州生まれ。幼い頃から新聞記者に憧れ、12歳の時にニューヨークの新聞社でボーイとして働き、偉大な編集者アーサー・ブリズベーンとも面識を得ています。やがて17歳で

『思惟/Speculation』

食や料理の原点として、食事という命題は「食というものは呼吸と等しく、生命の仕組みに組み込まれている」(P.156より引用)という一文は、非常に感銘を受けました。 シェーンハイマーの学説から紐解き、辰巳先生が辿り着いた‘‘食の本義’’は、これまで読んできた書物の中で今尚、余韻が残る一冊です。 「料理とは生命に向き合うこと、 そして愛すること、慈しむこと。」 『食に生きて』辰巳芳子 食や料理は私たちの日常生活において身近な存在である。 こちらの命題から食の意義を探求したい、

公式noteさんの注目記事に載っちゃいました

昼ご飯戦を壮大に負けて帰り道、とんでもないことが起きた話。 今日のお昼ご飯は大失敗でした。 よって、みなさまにおすそ分けできる何かは 残念ながらありません。 帰り道にふとnoteアプリを見るとたくさんの通知の中に何かが・・・・ あ、誰かがマガジンに追加してくれたんだな。 ありがたいなーと眺めてたのですが ん?なんか違う。 ん?(@v@)? ん?(@v@)? ん?(@v@)。。。。。。? 公式noteさんの注目記事じゃん!!!!!!!!!!載せていただいた記事は

異界の森で出会う他者 -映画『ポーラX』の美しさ

    【木曜日は映画の日】     人は、自分にとっての他者、異物に一体どうやって出会うでしょうか。多様性という言葉が叫ばれる時代で、自分の違う価値観と出会うとは、どういうことなのでしょうか。   レオス・カラックスの1999年のフランス映画『ポーラX』は、他者との苛烈な出会い、そしてその意味を見事に描いた傑作です。   冒頭、上記のハムレットの台詞を咳き込みながら呟く老人の声の後、異形の歌手スコット・ウォーカーの疾走するロックの旋律、空爆する飛行機と破壊される田舎の村の

【心に響く映画】「パーフェクト・ワールド」父が劇場で涙した亡き祖父への想い。〜心に響く映画特集Vol.1

あの頃、ケビン・コスナーはとてつもなく渋く、かっこよかった。 これから寒くなってくるにあたり、心が温まるような作品をお送りしていきたいと思います。題して心に響く映画特集1作品目 今回の作品は映画「パーフェクト•ワールド」です。 Voicyでも是非お聴きください♪ 「パーフェクト・ワールド」映画レビュー 父が劇場で涙した亡き祖父への想い。 あの頃、ケビン・コスナーはとてつもなく渋く、かっこよかった。 アンタッチャブル、ボディガード、JFK、ダンスウィズウルヴズ、フィー

【感想】映画『動物界』

『動物界』という映画を見た。 ビジュアルポスターを見た時に最初に思ったことは、奇妙な動物たちが登場する不思議な物語なのかなという勝手な偏見を持っていましたが、見終わった後はまったく違うものでしたし、あえて言えば正統なヒューマンドラマと言える作品でありました。 物語は、人間が様々な動物に変異してしまう奇病が発生した近未来、ディストピアを描いた物語であり、ある親子の絆を描いた物語であります。 原因不明の病により、身体が突然変異によって動物と化していく奇病が流行るという世界観はかな

【感想】映画『リトル・ダンサー デジタルリマスター版』

『リトル・ダンサー』という映画がデジタルリマスター版として上映されているということで、休日に映画館に見に行った。 旧作は普段はあまり見る機会がなかったのですが、とても良い映画を見れた感動と大きなスクリーンで見てこその映画であると実感しました。 物語は、イギリスの炭鉱町を舞台に、バレエダンサーを目指す少年の姿と家族との絆を描いたヒューマンドラマであります。 ビリーは幼い頃から母を亡くし、炭鉱労働者の父の勧めでボクシング教室に通い、日々ボクシングを練習している。 そんなある時、た

【ラストマイル】間に合っても変わらなかった絶望【感想・考察】

遅ればせながら見てきました、ラストマイル! 「MIUとアンナチュラルのオタクとして最高の映画を見せてもらったな」という気持ちと、社会人としてあ〜わかるな〜が交差していたのと、簡単に面白かったでは片付けられないビターでヘビーな部分も多く、感想と気になったことの考察とまとめて垂れ流し。 感想垂れ流し・「全部手に入れたい」貪欲なエレナと、最低限生きていけばいい無気力な孔の対比 ・エレナが赴任してから事件が巻き起こり、いきなり職場泊まり込みになったにも関わらず、指輪やピアスなど

情熱が夢を描く -名作映画『白い足』の魅力

【木曜日は映画の日】 情熱は、ある種自分の常識や人生を超えている面があります。 いや、自分の人生を超えるぐらいでなければ情熱と呼べないのかもしれない。それは滅多に出会えるものではありません。 フランスの映画作家ジャン・グレミヨンが1948年に監督した名作映画『白い足』は、そんな狂気にも似た情熱の様相が刻まれた、見事なドラマです。 (2024年9月現在アマプラ無料) 舞台はブルターニュ地方の漁村。魚商人で酒場も経営するやり手の中年男性ジョックが、若い愛人オデットをパリ

映画感想文 さがす

2022年 日本 佐藤二朗演じる原田智、佐藤二朗はこんなに深い演技もするのかと思わず見直した。私が知らなかっただけかも💦娘の楓役の伊藤蒼ちゃんも、すごく良かった。 映画は、智が金槌を振り下ろす場面から始まる。 まるで練習をしているかのように。 その智が20円足りなくてスーパーから万引きをして、楓が父を引き取りに行く。情けない親父を印象付けるかのように。 『300万円の報奨金が掛けられている指名手配犯を知っている』 そう言って智は失踪する。 楓は、必死に父を探す。ある土木

青くて痛いのは

青くて痛いのは 自分の気持ちに気付かない振りをして 傷つきたくなかったから それでも 自分の気持ちに蓋をすることができなくて ずっと心の中に抱いていた思いは 熱量を帯び 光が掘進するかのように それた方向へと注がれた 自分の気持ちに正直になったつもりだったけど それは相手に理解されるはずもなく 誰も傷つけたくなかったのに 傷つけてしまった 一番大切な人 間違っていたこと、弱かったことを伝えるため 僕は「その時もう一度、ちゃんと傷つけ」 (作品から抜粋) 平気なふりして

映画『ミッシング』石原さとみ第二章と呼ばれる迫真の演技に大注目

2024年5月17日に公開された映画『ミッシング』 主演の石原さとみさんが、髪もボサボサで唇もガサガサで、娘が失踪した母親という今までに役柄を演じることで当時から話題になっていました。 Netflixで配信が始まっているので、早速観てみた感想をまとめていこうと思います。 作品情報キャスト・スタッフ あらすじ 見た感想本作品の一番の見どころは、何といっても石原さとみさんの役にかける情熱です。 石原さとみさんは吉田恵輔監督作品に惚れこみ、約7年前に監督に出演したいと直

ある時代、その場所だけの、限られた時間|映画『ゼンブ・オブ・トーキョー』感想

 読みさしのアンリ・ルフェーヴル『都市への権利』には、都市を変化させるための都市に住まう人間の主体性のことが書かれている。近代以降、とくに先進国で急速に均質化される都市の風景のなかにあって、そこに生きる私たちもまた住人として、つまり都市の一部として同様の均質化を被っているのではないか。だとすれば、これは人間と都市の序列の逆転であり、都市によって人間という生き物がなにかしらの様態として規定されているということだ。さて、ここ何年かで東京はいよいよ「どこも同じ」と言って差し支えない

映画「ラストマイル」感想 “社会が悪い”の先には何があるのか【ネタバレあり】

映画「ラストマイル」を見てきました。周りでもかなり評判がよかったことや、僕が日頃から永遠に愚痴っている「社会」の業を煮詰めたような内容だと聞いて興味を持ったため。以下、ネタバレを含みます。 シェアード・ユニバース・ムービーとかいう日本ドラマ版MCUみたいな設定だそうで、「アンナチュラル」「MIU404」の世界観を共有した物語。って聞いてたんで「ドラマ見てないから見れんかー」と思ってたら、両ドラマの人たちはいっちょ噛みで出てくるくらいで主演もストーリーもほぼオリジナルの映画だ

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映画「ルックバック(2024年)」観ました

おはようございます。  本日未明、アマプラにて映画「ルックバック」を観ました。観たあと震えてしまってどうしたら良いのか分からず、とりあえずイラスト↑を描いて、勢いで書きかけの掌編小説を書き上げました。  今も心が揺れています。もう一度観ようと思っています。こんな作品、僕には書けないのは明白。才能にひれ伏しました。 有料掌編小説書いてます。面白いかどうかは読んでみないと分かりません。 LINEスタンプも描いてます。 かわいいかどうか、見てみてくださいませ🙇‍♂️ LINEス

20241103 映画『まる』 三万円と新しい靴

堂本剛の映画単独主演が27年ぶり、というのを聞き、そっか金田一からもうそんなに経ったのか…と月日の経つのを噛みしめつつ、『ファンタスティポ』は単独じゃなかったなと思い出したり。 今年の出演作を一つ一つ追いかけている綾野剛が出ていることもあり、絶対に観たい作品の一つでもあったのだけど、なんというか朝ではなく夜に観たくて、レイトショーで観てきました。 堂本剛演じる沢田は、人気現代芸術家のアシスタントとして生計を立てる無名アーティストで、そのアシスタント職もケガで失い、アルバイト

記憶の森を彷徨う ―ヒッチコック『めまい』の美しさ

    【木曜日は映画の日】     アルフレッド・ヒッチコックの1958年の映画『めまい』は、2000年代以降、多くの映画のベストテンで上位、しかも1位か2位を争う程の高い評価を受けています。   公開時も高い評価は受けていたものの、年を経るごとにどんどん評価は上がり、映画の古典とも言える作品になりました。   しかも、他の「上位作品」と違い、多くの作家に換骨奪胎され、思考を誘発する傑作となっています。 刑事のスコティは、犯人を追っている際、高所恐怖症によるめまいによって

【感想】映画『室井慎次敗れざる者(前編)/生き続ける者(後編)』

『室井慎次 生き続ける者』を先行上映の初日から見たのですが、この感想を書く頃ではもう上映は始まっていることに気付き、本作を見てからしばらく時間が経ってしまいましたが、色々と二部作を通して考えていたところがありました。 以前に劇場で見ました前編の『室井慎次 敗れざる者』を踏まえて、本作はテレビドラマや映画でもお馴染みの踊る大捜査線シリーズで俳優の柳葉敏郎さんが演じる、室井慎次をピックアップした作品になっています。 室井さんと言えば、警察内の組織では重要な存在と大きな立ち位置を

『きみの色』と『海に眠るダイヤモンド』が描く「長崎」と「理解されない共同体」の物語

昨日、映画『きみの色』をやっと観ることができた。作品のなかでとくに気になったのは、長崎の描写だ。というのもつい先日、長崎の島をひとつの主題に据えたドラマ『海に眠るダイヤモンド』を観たところだったからだ。 長崎という街に刻まれた歴史が、なぜか2024年になって、日本のエンタメのメジャーシーンを担うふたつの作品に登場していること、――完全の偶然の一致なのだろうが、それでも奇妙な偶然だな、と私は思っている。 『きみの色』は、長崎のミッションスクールに通うトツ子、中退したきみ、そ

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【感想】映画『若き見知らぬ者たち』

私たちは日々仕事を真面目に頑張り、誰かの為に必死に家族や恋人を守る為に何か目的を持って信念を貫き通す為に一日を精一杯生きている。 だが、努力や根性、忍耐でも無理なことがある。 『若き見知らぬ者たち』を見たのだが、これは絶望のふちに立たされた一人の青年の物語であります。 死の直前に、彼が見たもの、あるいは考えたことを脳内で色んな感情が巡る思いで見ていました。 彩人という青年が背負ったもの、それは父の残した多額の借金、難病を抱える母のヤングケアラーの問題など抱える問題が大きいし、

「ラスト・オブ・モヒカン」(アメリカ映画)

大航海時代というのは、その華やかなイメージとは裏腹に 実は、大侵略時代であったのは、周知の事実ですね。 特に南米などは、既存の文明が破壊されつくしましたし。 その時代のアメリカ。 大航海時代より数百年後、アメリカはイギリスより独立を果たします。 そして内陸部への開拓という名の侵略が始まるわけです。 文化が違うわけですから、おそらく両者共に とても異質なものを感じたに違いないでしょうし あまりの違いに恐れを抱いたことでしょう。 その恐れから、人々は武器を手にして自衛に走る

『あんのこと』は『誰も知らない』に並ぶ毒親育ちを描く名作映画

『ナミビアの砂漠』で河合優実沼に落ち『あんのこと』を観たら、ぶん殴られた私の日記 2024年9月、ナミビアの砂漠を夫が見たい見たいというので、映画館へ。いや、めっちゃよかった。河合優実の魅力と引力が凄まじく、この人の出ている映画をもっと観たい!と思って、アマプラでふと見かけたのが、『あんのこと』。 見終わった今、私のなかには、あんのことの方が、ずっと大きく残ってる。いうならば、ナミビアの砂漠は、杏がどこかで生きていて、少し成長して、ナミビアの砂漠のカナみたいに生きててくれ