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#映画感想文

映画レビューをnoteで書いてみませんか?お題企画「#映画感想文」で募集します。

人気の記事一覧

映画『ラストマイル』つまらなかった、微妙だったって言う人の気持ちもめっちゃ分かる

※ネタバレ 俺はラストマイルめっちゃ刺さったんですけど、ラストマイルつまらなかった、微妙だった、って人の気持ちも分かるんですよ。 そもそも、あんだけ宣伝で 「特大エンタメ!」 「日本版アベンジャーズ!」 「3つの世界が交差するシェアードユニバース!」 「ポップコーンとビール片手に観る映画!」 みたいに煽っておいてフタ開けてみたらアンナチュラルMIUメンバー全然出演してないし、最終的に物流の労働環境、やばくね?鬱の人、多くね?通販便利すぎるの分かるけど、ちょっと考えね?

グローバル資本主義に日本がすり潰されないために―映画『ラストマイル』感想

映画『ラストマイル』を見てきた。私はもうめちゃくちゃ面白かった……!! 個人的に、『ラストマイル』が描こうとしているものがわかりすぎて『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』作者としては泣きました……。 https://www.e-hon.ne.jp/bec/EB/Top Amazonを彷彿とさせる外資系ECサイト「デイリーファスト(通称デリファス)」で働く、舟渡エレナと梨本孔。彼らのもとにある報道が飛び込んでくる。デリファスで新発売となったスマホが、突然爆発したという。

¥500

誰がために働く?-映画『ラストマイル』感想 -

※以下、映画『ラストマイル』の若干のネタバレを含みます。ご注意ください。 スクリーンが暗転して、エンドロールと共にこの曲が流れ始めた時、冒頭の歌詞に強い違和感を覚えた。というより、すぐには歌詞の意味がわからなくて、頭に「?」が浮かんだ。 ふつう、「失くしても壊しても奪われたとしても」と逆接がきたら、「失われないものがあった」とか「消えないものがあった」とか、そういうポジディブな歌詞が続くだろう。実際、予告を通してなんとなく聞いていた時は、そんな風なことを歌っているんだろ

映画『ラストマイル』満島ひかりの演技力に魅了される!日本初シェアード・ユニバース・ムービー

2024年8月23日公開、映画『ラストマイル』を鑑賞しました。 この作品は、ドラマ『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界線で起きたエピソードのため、2作品のドラマのキャストが登場するシェアード・ユニバース・ムービーです。 観てきた感想をまとめていこうと思います。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想この作品の面白さは、大きく分けて3点あります。 1点目は「シェアード・ユニバース・ムービー」という点です。 シェアード・ユニバース作品というのは、同じ

【ネタバレあり】映画「ラストマイル」を観てきました

この映画は絶対に初日に観に行こうと思って、無理矢理でも仕事をどうにかして笑 初日に観に行くことができました。 観終わった感想(率直なやつ) 「………え、どーゆうこと……?(困惑)」 でした。(ああ!決してつまらなかったわけではない!!誤解しないで!) ただ、これってある意味正しいようで、終わった後にすぐスタバに駆け込んでパンフレットを熟読した結果、主役である満島ひかりさんも塚原監督も、このなんだか掴みきれない「余白」感を大切にしてる、そこが肝、的なことを言っていたので、

映画『ルックバック』上映時間わずか58分とは思えない美しくも儚い青春物語に誰もが心奪われる

映画『ルックバック』を鑑賞した。 上映時間58分とは思えない満足度。これが噂の『ルックバック』かと、SNSで話題になる理由をこの目で観た。 観てきた感想をまとめていこうと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想冒頭でも述べたとおり、58分とは思えない満足度を味わった作品だった。本作品の感想や考察記事を見ると、人それぞれ感じたものがある。私が本作品を観て感じたことをまとめていきたい。 まず、藤野の漫画に対する葛藤や喜びのシーンが、とても共感できる。私も

映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

映画『ラストマイル』を見ました。 アンナチュラルとMIU404の脚本家・監督がタッグを組み、それぞれの世界線が交差する作品。私はどちらも詳しくないのですが、十分楽しめました! 面白かった。間違いなく、面白かった。 アンナチュラルとMIU404大好き人間に連れていかれたので、特に前情報もなく。でも、倉庫の規模の大きさ、エンドユーザーの手に渡るまでの道のりと関わる人の多さに圧倒され、それぞれの信念や強迫観念、葛藤に胸が潰れそうになった2時間でした。 いやあ面白かったね〜と

記憶の森を彷徨う ―ヒッチコック『めまい』の美しさ

【木曜日は映画の日】 アルフレッド・ヒッチコックの1958年の映画『めまい』は、2000年代以降、多くの映画のベストテンで上位、しかも1位か2位を争う程の高い評価を受けています。 公開時も高い評価は受けていたものの、年を経るごとにどんどん評価は上がり、映画の古典とも言える作品になりました。 しかも、他の「上位作品」と違い、多くの作家に換骨奪胎され、思考を誘発する傑作となっています。 刑事のスコティは、犯人を追っている際、高所恐怖症によるめまいによって

映画『ルックバック』

物語としての良さは、虹雲猫さんの感想をぜひお読み下さい。 大変素晴らしく、私はここまで理解できていなかったので、世界がひろがりました。 以下は私自身の感想文です。 私はこの映画をクリエイター応援歌として見ました。 漫画家さんという職業、職人さんの矜持を見た気がしたのです。 ふだんあまり漫画を読まず、この漫画の原作も作者も存じ上げません。 勝手な解釈であることをご理解ください。 またネタバレ100%ですので、これから映画をご覧になる方は、「あらすじ」だけお読み頂き、あとでぜ

光の速さで駆ける -ラオール・ウォルシュの映画の面白さ

【木曜日は映画の日】 物語の大事な要素の一つに、スピード感というものがあります。 小説で、短い文ばかり繋げれば、(多少は読みやすくなるけれど)スピード感が上がるわけでもない。映画の場合、短いカットを繋げれば、(刺激的だけど)体感速くなるというわけでもない。 「速さ」というのは、進行が全てスムーズに繋がって、尚且つ、物語にちゃんと深みを感じられるような味わいが必要に思えます。つまり、あくまで体感であり、受け手側の意識が作るものなのだと感じます。 映画

映画『キングダム 大将軍の帰還』王騎将軍と龐煖の一騎打ちシーン撮影裏に注目

2024年7月12日公開。映画『キングダム 大将軍の帰還』を鑑賞した。 今回でシリーズ最終章と聞いていたが、最終章にふさわしい最高傑作だった。 鑑賞した後の興奮が冷めないうちに、映画を観た感想をネタバレなしで紹介しようと思う。 作品情報スタッフ・キャスト あらすじ 観た感想今回の作品の主役は、間違いなく王騎将軍だ。 大沢たかおさん演じる王騎将軍が、“大将軍”の名にふさわしい活躍を見せている。 大沢たかおさんは王騎将軍を8年間演じ続けている。王騎将軍という役どころ

映画「ラストマイル」感想 “社会が悪い”の先には何があるのか【ネタバレあり】

映画「ラストマイル」を見てきました。周りでもかなり評判がよかったことや、僕が日頃から永遠に愚痴っている「社会」の業を煮詰めたような内容だと聞いて興味を持ったため。以下、ネタバレを含みます。 シェアード・ユニバース・ムービーとかいう日本ドラマ版MCUみたいな設定だそうで、「アンナチュラル」「MIU404」の世界観を共有した物語。って聞いてたんで「ドラマ見てないから見れんかー」と思ってたら、両ドラマの人たちはいっちょ噛みで出てくるくらいで主演もストーリーもほぼオリジナルの映画だ

¥100

決断をして受け入れること -映画『ワイルド・アパッチ』の教訓

【木曜日は映画の日】 人は、様々な選択を迫られて生きています。そして、後悔など無意味と分かっても後悔してしまいます。 そんな時に背中を押してくれるのは、後悔なんて無意味だ、という言葉ではなく、その選択に意味があったと誰かに告げてもらうことのように思えます。 ロバート・オルドリッチの1972年の映画『ワイルド・アパッチ』は、優れた西部劇でありつつ、そんな選択を巡る、ある種の大人の作品です。 アパッチ族のウルザナが、ネイティヴ・インディアン居住区から脱走

映画「ラストマイル」を見ました

うわぁ…これはまた凄い作品が世に放たれたぞ 見終わってからの率直な感想がこれ。 もちろん事前情報で十分過ぎるほどに覚悟していたつもりだった…。脚本:野木亜紀子さん、監督:塚原あゆ子さん、プロデューサー:新井順子さん、この3人が揃った作品なんだもの。 あ、私の"想像力"の限界を突きつけられただけか。笑 「ラストマイル」とは、物流業界で使われる用語で"荷物を顧客に届ける最後の区間"のことを指す。3人で作品を作ろうとなった時に、ここに着目するのか、ともうこの時点ですげー!しか出

甘美な青春を踊る -ベルトルッチの映画『革命前夜』の魅力

【木曜日は映画の日】 青春とは、取り戻せない故に甘い時間です。 イタリアの監督ベルナルド・ベルトルッチの初期の映画『革命前夜』は、そんな甘美な時間を閉じ込められた稀有な映画です。 舞台は1962年のイタリア、パルマ。裕福な青年ファブリツィオは、マルクス主義に傾倒し、ブルジョワの婚約者との婚約解消を考えます。そんな彼は、貧しい労働者階級の友人アゴスティーノの葬儀の際、久しぶりに会った叔母のジーナと話し、恋仲になります。。 監督のベルナルド・ベルトルッチは、1

『PERFECT DAYS』

深夜に書かずにおれない。まずわたしは、布団を畳む動作を、自分にとって特別な段階で既視している。 無垢であることの危ういバランスが甚だしい。清掃されるトイレ同様、‘何か汚いものがうつるんじゃないか’ときれいな画面から目を離すことはできずにずっとこわいのだった。 喋りすぎると映画の価値は崩れていく。トキオとニコとモモカズの口からこぼれた説明のいくつかはまだ放り投げられる余地があるのかもしれない。トイレの向かい側で祈る誰かも、隣のベンチに座る誰かもも一言と発しない。けれどものす

大河への道と鴨南蛮そば

焼きそばについてくる紅ショウガが苦手だ。 惣菜で買った焼きそばを電子レンジて温める前に、家族の分の焼きそばに紅ショウガを移し替える儀式は、もはや欠かせないものとなっている。 2022年公開、中井貴一さん主演の「大河への道」にも苦手な食べ物を除けて食べるキャラクターがいた。 勘定奉行の手先・神田三郎(西村まさ彦)だ。 本作は現代と江戸時代を交互に描かれており、現代のパートでは、千葉県香取市の市役所に勤める池本(中井貴一)が、地元の観光促進のために大河ドラマの開発を提案す

ベイビードライバーのピーナッツバターサンド

ランチパックのピーナッツ味はトースターで焼いて食べる派だ。  こんがりきつね色に焼いてから、中身がこぼれ落ちないようやや慎重に齧りつく。  熱せられて旨味の増したピーナッツクリームの風味とパンの香ばしさを味わいつつ、ブラックコーヒーをすするのがたまらなく美味い。  ピーナッツクリームとピーナッツバターという若干の違いはあるが、「ベイビードライバー」にもピーナッツバターサンドが出てくる。  主人公、通称ベイビーは驚異的なドライビングテクニックを駆使して、警察を翻弄する強

映画『ラストマイル』感想

映画館で毎秒、魂が揺さぶられていた。 とめどなく、涙が頬を流れていた。これは紛れもなく"私達"のための物語であると感じたから。 私はメーカーに勤務する30代の人間である。社会の歯車として、無駄に真面目にそれなりに頑張って働いているサラリーマンだ。お客様の「欲しい」に応え、工場に物を作ってもらい、それを出荷するという一連の流れに携わってきた。今は別の部署におり、物流業界に身を置いているわけでもないが、それでも本作で起きる出来事、会話の何もかもがひとごとではなかった。きっと私と

【映画感想文】メディアはZ世代とか言ってるけどさ、いまの若者は70年代みたいにシラケているのが大多数かも - 『ナミビアの砂漠』監督: 山中瑶子

 話題の映画『ナミビアの砂漠』を見てきた。  監督の山中瑶子さんは27歳。19歳から20歳にかけて制作した『あみこ』という作品がぴあフィルムフェスティバルの観客賞をとったとか。そして、主演の河合優実さんは23歳。高校生のときに『あみこ』を見て役者を志したらしい。  あまりに劇的なつながり過ぎて、まるでジャンプの漫画みたい! と胸が熱くなる。そんなドラマチックな二人のタッグで撮られた本作の主人公は東京で暮らす21歳の女の子・カナ。脱毛サロンで働き、歌舞伎町に入り浸り、趣味も

【ネタバレだらけ】最後を観客に託す「ラストマイル」で私が見付けた自分なりの答え。

映画「ラストマイル」を観てきたら これはどういう意味なのだろうかと 思う部分がチラホラ出てきた。 2回目を観に行く前に自分なりに 考えを整理したくて噛み砕いてみた 感想を残しておこうと思う。 以下、本当にネタバレしかないので 見ていない人は要注意!そして、 この作品は人によって受け取り方が 違う部分も多いと思うので、これが 正解とかではないし、討論目的の noteではないのでこんな考えの人も いるんだな~くらいに受け取って 貰えたら嬉しいです。 【バカなことをした】病院に

『思惟/Speculation』

食や料理の原点として、食事という命題は「食というものは呼吸と等しく、生命の仕組みに組み込まれている」(P.156より引用)という一文は、非常に感銘を受けました。 シェーンハイマーの学説から紐解き、辰巳先生が辿り着いた‘‘食の本義’’は、これまで読んできた書物の中で今尚、余韻が残る一冊です。 「料理とは生命に向き合うこと、 そして愛すること、慈しむこと。」 『食に生きて』辰巳芳子 食や料理は私たちの日常生活において身近な存在である。 こちらの命題から食の意義を探求したい、

映画感想文 落下の解剖学

フランス映画です。 夫が3階のバルコニーから落ちて死亡した状態で見つかる。 果たして、事故なのか自殺なのかそれとも他殺なのか....... 警察は検死の結果、頭に殴打の痕があるという事で他殺と断定、 容疑者で妻のサンドラを逮捕する。 そして、法廷でのサンドラの『解剖』が始まる。 映画は法廷での検察官と弁護士のやり取りがほとんどを占める。 法廷サスペンスと言われる映画。妻のサンドラはベストセラー作家。そういった事情で傍聴人は、多い。多分、多くの人は、サンドラは、無実だと思

映画『キャラクター』さえない漫画家に生まれた連続殺人犯という”キャラクター”

劇場公開時、タイミングを逃し見そびれていたが気になっていた作品。何か面白そうな映画はないかとNetfrixの作品一覧を眺めていたところで、見つけた。 今回紹介するのは、映画『キャラクター』だ。 作品情報スタッフ/キャスト あらすじ 観た感想作品の内容を知らずに鑑賞したが、面白かった。 ミステリー漫画の犯人を描くキャラクター性に欠けていた主人公の山城は、本物の殺人犯を遭遇し、殺人犯をモデルに漫画を描き始め大ヒット作品を生む。 殺人犯役を演じたのは、今回が映画初出演と

映画「マミー」/和歌山毒物カレー事件の真相は如何に。

1998年に起きた和歌山毒物カレー事件をご存知でしょうか。 夏祭りで手作りカレーを食べた町人67人がヒ素中毒を起こし小学生を含む4人が死亡した衝撃的な事件でした。 当時小学5年生だったご長男さん、真須美さんのご主人、関係者の方へのインタビュー、監督ご自身の取材の様子などが丁寧に繋げられているドキュメンタリー映画「マミー」を観ました。 映画の公開について、老婆の日常茶飯事さんの記事で知りました。素晴らしい記事です。この映画にご興味がありましたら是非お読みくださいませ。 この

2024年の日本映画の男優賞は全て、映画キングダムの王騎役の大沢たかおに獲ってほしい!

人生を取り戻す歌 -映画『ラブソングができるまで』の幸福

【木曜日は映画の日】 人生をやり直すということは、復元することではありません。今までの駄目な自分を肯定しつつ、「これだ」と思う新しい自分を創り出すことです。 2007年の映画『ラブソングができるまで』は、ポップソングのソングライターたちのラブコメを楽しみつつ、そんな人生をやり直すことの意義を感じさせてくれる、魅力的な秀作です。 80年代に一世を風靡したアイドルロックバンド「ポップ」の元ボーカル、アレックスは、今やソロで落ちぶれて、遊園地や同窓会の営業で食

【映画感想文】お金ってなんだっけ? 貧乏夫婦が地域通貨の最前線を探る半ドキュメンタリー・半フィクションの傑作! - 『ロマンチック金銭感覚』監督: 佐伯龍蔵・緑茶麻悠

 この前、テアトル新宿へ行ったとき、気になる予告編が流れた。  和歌山の田辺・弁慶映画祭で賞をとった『ロマンチック金銭感覚』という作品なのだが、フィクションのような、ドキュメンタリーのような独特な雰囲気に心をつかまれた。  しかも、テーマはお金! インディーズ映画が見て見ぬ振りをするけれど、実際はみんな、そのことで悩み苦しんでいるど真ん中の問題に挑戦しているのだと知って、興味が湧いた。  東京の上映期間は8月23〜27日と短いけれど、その結論を確かめたくて、初日にどうに

私が変わる冒険 -映画『エム・バタフライ』の美しさ

【木曜日は映画の日】 変わった、ビザールな作品、という前情報で体験してみると、実際の作品は非常にまっとうだったということは結構あったりします。 グロテスクな映画で有名なデヴィッド・クローネンバーグ監督の1993年の映画『エム・バタフライ』は、何ともけったいなストーリーであると同時に、そのこけおどしのない端正な作りが心に残る秀作です。 フランスの外交官ルネ・ガリマールは、北京の大使館に赴任してきます。ある夜会で、『蝶々夫人』を見事に演じる京劇の女優、ソン・

「誰もが正しい」ことの軽やかさ-名作映画『ゲームの規則』についての随想

【木曜日は映画の日】 物語の面白さというのは、二種類あると思っています。一つは、結末が予測できて、それでも人を満足させるもの。 『アンナ・カレーニナ』も『ハムレット』も、悲劇と知らされていなくても、大体どういう終わりになるかは、物語の半ばで推測できるでしょう。それでも、最後まで引き込まれる名作です。 いや、分かっているがゆえに、最後まで安心して物語に入り込めると言えるかもしれません。 「どんでん返し」とか「意外な結末」と謳われる作品も、この「予想でき

多様な声を消そうとする力と戦うために|『インサイド・ヘッド2』

※作品の内容に関する記述があります 2015年に公開された『インサイド・ヘッド』の続編となる今作だが、前作を見ていなくても十分に楽しめる作品だ。 まず、この作品が面白いのは、「主人公の物語」と「主人公の脳内の物語」が同時に進行することである。主人公の脳内の物語は、ヨロコビ(喜)、カナシミ(哀)、イカリ(怒)、ムカムカ(不快)、ビビリ(臆病)という5人の擬人化された感情たちの葛藤によって表現されている。 このような表現により、主人公ライリーの行動や判断に関する迷いの過程が

「成功したオタク」を観ました

渋谷のシアター・イメージフォーラムで「成功したオタク」を観てきました。 元々自分の商業連載作品がアイドル漫画なこともありますし、先日n番部屋を燃やし尽くせをようやく読了し、韓国におけるフェミニズム問題にも興味があったので機会があればぜひ観たい…と思っていたところ。 起きた瞬間だいぶもう間に合うか怪しい時間だったのですが、数日後には上映スケジュールが変わり、さらに朝早くなるようだったので覚悟を決め、猛ダッシュすることでギリギリ間に合いました。そこそこ駅から距離あるな、イメージ

映画感想文/バトルシップ

突然のエイリアン艦隊出現から始まり、いきなりの戦闘。圧倒的に強いエイリアンに、なす術がないアメリカ軍。 しかし、最後は勝ってしまう。さすがアメリカ海軍という、アメリカバンザイの映画でした。 艦船がどんどん敵にやられて撃沈。 その様さえカッコいい! どんどんやられる戦艦に 「もっとヤレー!」って観てた。 ラストは、 「え〜こんな人情話に持っていくのか、アメリカさんも」って思いました。 真珠湾攻撃でアメリカに大打撃を与えた日本。アメリカは、予告なき攻撃に驚き激怒したと言

映画『マミー』

話題作『マミー』を観た。 1998年に起きた和歌山毒物カレー事件を題材にしたドキュメンタリー映画だ。 たまたま、新聞のコラムでこの映画のことを知り、どうしても観たくなった。 前日ネット予約をしていたが、狭い劇場はほぼ満席といってもよいほどの盛況ぶりだった。 (平日の午前10時台にも拘らず) あれから26年がたったとはいえ、世間を震撼させた事件である。 興味本位で観に行ったのだが、凄い映画を観てしまった…というのが率直な感想だ。 この映画は興味本位で観に行って構わないと思

『関心領域』(The Zone of Interest)を要約すると、、、

※超ネタバレを含むので、未視聴の方は、視聴後にぜひ。 ※見る気ない方は、気にせず読んでください>< ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 現在公開中、『関心領域』(The Zone of Interest)。 非常に良い邦題である。キャッチーかつ、漢字四文字で冷徹で怖い。 そして、この題名にこの映画の真髄がある。 映画は単調。 僕と一緒に行った相方は、映画視聴後に、「おっさんが転勤してストレスでゲロ吐いて終わった。」と独白。正解である。(何の

【感想】映画『インサイドヘッド2』

『インサイドヘッド2』を見ました。 前作『インサイドヘッド』は、この間金曜ロードショーでやっていたこともあり一番最初の作品を見てから2を見ることにしたのですが、本作は小さな子供さんや親子さんと一緒に見ても楽しめる映画だと感じました。 人間が抱く感情たちを擬人化させた世界を描き、2016年にはアカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞しています。 本作の見所はと言うと、新しい感情たちの登場にあります。 子供だったライリーは大きく成長し、高校入学へと控える。 子どもの頃から見守って

時空を超えた感動!『キングダム 大将軍の帰還』に秘められた日本への裏メッセージ【ネタバレあり】

映画公開初日となる12日に、札幌の映画館でキングダム 大将軍の帰還を観てきました。 先ず、率直にいうと、 「この映画ヤバすぎる!!!」 「今までの人類が制作した映画の内で、史上最高傑作じゃないか!?」 と、感動と鳥肌が止まらない作品でした。 ただの映画ではなく、映画の裏に隠された哲学、そして、日本へのメッセージが半端ないんです。 できるだけ、簡潔にシンプルに、本作が最高の映画である理由を考察していきたいと思います。 そもそも、なぜ人は映画を観て感動するのか?例え

ルビーより紅!「カラオケ行こ!」

閲覧ありがとうございます。 今日は、、映画コレアレを書いておこうと思います。 8月に、映画「カラオケ行こ!」を、WOWOWで観ました。原作は、漫画なんですが、実写は、綾野剛さんが出演されています。 あ!間違えた!うっかり、ジャイアン熱唱を載せてしまいました。 ストーリーは、綾野剛さん演ずるヤクザの若頭補佐が、組の一大イベントのカラオケ大会に向け、歌唱指導を男子中学生に、お願いするという、ストーリーの流れになります。 組長が、カラオケ好きで、組員全員に歌わせ、一番下手

【感想】映画『宝島』

『宝島』という作品を見ました。 ミニシアターで期間限定で上映されるということで、気になる作品ということで『Chime』を見た後に、続きで本作を鑑賞しましたが『Chime』とは明らかに対象的な作品でもありました。 物語の概要としましては、レジャーアイランド施設を舞台に、ひと夏のヴァカンスを描くドキュメンタリー映画で、本作を見た印象としてこれがドキュメンタリー映画という驚きがはじめにありました。 白鳥飼いのおじさんや若い女性にナンパする若者たち、そして小さな子供の黒人兄弟、皆、夏

ピート・ドクター監督『モンスターズ・インク』

 誰かが誰かを好きになることに、理由なんて要らない。  助けたい。  笑っていて欲しい。  あたたかいベッドで安心しきって眠って欲しい。  そんな想いに自然と突き動かされるから、自分には無理だと思い込んでいたどんなことだって出来てしまう。  仲良しの日々が永遠に続くかのように思える。  まるでずっとずっと昔から、一緒にいるのが当たり前だったかのように。  それでも、いつかは必ず、大好きなのに手を離さなければならない時がくる。  けれど、お別れの時がやって来たと

【映画感想文】夏鈴ちゃん主演の青春映画が半沢直樹なマリみてって感じで面白かった! オリジナル脚本なのがいい! - 『新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!』監督: 小林啓一

 櫻坂46の藤吉夏鈴ちゃん初主演映画が公開されたので劇場に行ってきた。夏鈴ちゃんのミステリアスな可愛さが好きなので、それを大画面で観れるだけでも十分魅力的だった。なんなら『Start over!』をスクリーンで流すだけでも見に行ってしまうだろう。  ただ、今回、その映画も普通に面白そうなので期待値は高まっていた。 人気アイドルが映画に出るとなったら、最近は原作ありのものが多い印象。少女漫画を映画化し、メインキャストの男女に若手アイドルを揃え、売り出し中のバンドが主題歌を務

【感想】映画『夏目アラタの結婚』

『夏目アラタの結婚』という作品を見ました。 前々から、映画上映の予告で気になっていた映画で連続殺人鬼をめぐるサスペンススリラーなのかなと第一印象でそう思っていましたが、予想外の結末でありラブロマンも加わる映画なのかと思った時は完全にやられたと思いましたが、作品はとても楽しめる映画でした。 物語の概要としましては、連続殺人事件の容疑で逮捕された、ピエロの格好をした品川真珠は日本中を震撼させる大事件を犯すことになります。 真珠は死刑囚として収監され、遺族の依頼で消えた遺体を探すこ

【感想】映画『カラオケ行こ!』

『カラオケ行こ!』という映画を見ました。 かなり、面白いワクワクした映画体験であり、劇場で見逃してしまったことを後悔した作品でもありましたが、純粋に楽しめたし結果としては見て良かったなと思いました。 物語の概要について簡潔に説明しますと、ヤクザの組長主催のカラオケ大会で最下位の罰ゲームを免れたい思いで合唱部の部長にカラオケで歌のレッスンをお願いするヤクザの狂児と合唱部の部長である聡実との奇妙な交流を描くヒューマンドラマでありました。 こじんまりとしたカラオケルームで繰り広げら

【感想】映画『聲の形』

夏休みの金曜ロードショーで『聲の形』を放送するということですぐさま録画した。 『聲の形』は2016年に上映された映画のようで、あれから8年も時間が経ったことに驚きであり、今こうして金曜ロードショーで見返してもアニメーションの絵やタッチはとても綺麗に描かれており新鮮な印象を受けました。 『聲の形』を最初に見たのは、上映されてから2年ぐらい経ってからだと記憶しています。 20代前半の自分が最初に見た時は原作も未読で、今も未読なのですが、後半を向かえた自分が改めて本作を見返した時

【感想】映画『きみの色』

山田尚子監督の『聲の形』を見てから、長編最新作であります『きみの色』という作品を鑑賞しました。 本作は、音楽と青春群像劇を描いた作品であり、長崎を舞台に音楽を軸に彩る映像表現や登場人物たちの繊細な心理描写などが巧みであり、前回に見た『聲の形』とはまた違ったアニメーションでかなり楽しめる作品でありました。 【参照】感想/映画『聲の形』 物語の概要としましては、高校生のトツ子という少女は人の姿が色として見える能力があり、色には楽しさや悲しさなど様々な色があってトツ子には自分の

【感想】映画『Chime』

黒沢清監督の最新作である『Chime』という映画を見ました。 『蛇の道』から数ヶ月、黒沢監督の新しい作品を見れるということで胸が高鳴る気持ちで見に行き、本作を見た感想としてましてはこれまで見てきたどのホラー映画よりも恐ろしい作品であり、余韻がいつまでも続いていき、体の芯が震え上がってしまうほどの感覚は初めてでありました。 作品自体は、45分という短めな中編映像作品なのですが、短い時間におさめられた濃度が濃いものであり、完全にロジックが崩壊している世界観が特に良かったと思いまし

【映画感想文】話題の自主制作時代劇を見てきた! 老若男女が楽しめるど真ん中のエンタメだった! - 『侍タイムスリッパー』監督:安田淳一

 低予算で作られた『カメラを止めるな!』が全国的に大ヒットし、外国でリメイクされるなど、インディーズ映画の奇跡と呼ばれて7年が経った。いま、再び、同じような奇跡が起こりつつある。  57歳の安田淳一監督が愛車を売って資金を作り、京都で米農家を営みながら、脚本や編集など裏方仕事を1人で11役も務めつつ、わずか10名ほどのスタッフで作り上げた自主制作映画『侍タイムスリッパー』の上映が口コミで各地に広がっている。  監督自ら、『カメラを止めるな!』のヒットを分析し、狙って起こし

真剣だから、面白い。『侍タイムスリッパー』

 時折、「あぁ、映画っていいなぁ」と思える作品に出会えること、あるじゃないですか。本作がそれです。これ以上は何も調べなくてもいいし、何ならこのnoteも読まなくていいです。行って、映画館に。いいから、絶対に。  それでも何とか推薦文のようなものを書くとしたら、本作は「手ぶらで観に行って笑える、万人に開けたコメディ」であることを、まずは推したい。  幕末時代の会津藩士が、雷に打たれたことで現代の時代劇撮影現場にタイムスリップし、何やかんやあって切られ役俳優として大成していく

【感想】映画『愛に乱暴』

先日『愛に乱暴』という作品を映画館で見に行きました。 『愛に乱暴』という作品は、吉田修一さんの原作であり、私自身原作は読まずに映画だけを見た印象としましては、原作未読でも十分に楽しめるほどの映画作品であり、大人のドロドロとした夫婦関係の闇を描いた作品でもありましたが、そうした部分も含めて映像として落とし込むことでより立体的に複雑な心理描写がリアリティになり、主演の江口さんの演技力が輝いていた作品だなと感じました。 『愛に乱暴』で描かれる、江口さん演じる桃子という女性の姿が環境

映画『ドミノ』冒頭15分で没入してしまう不可解な世界観がたまらない

アマプラやNetflixでも面白い映画はたくさん観れる。しかし、映画があり過ぎて、どの映画が面白いのか分からないのが難点だ。 今回は、私が最近観て面白かった映画を紹介していこうと思う。ご紹介する映画は『ドミノ』だ。 作品情報スタッフ/キャスト あらすじ 観た感想主人公が目を覚ます、目のアップ。ボールペンで本を定期的なリズムで叩くカウンセラー。娘がいなくなったときの出来事を思い出す。ゴキブリを踏んでしまう。靴を拭かずに車に乗る。見張りの車に乗り込む。 怪しい男を見つけ