グローバル資本主義に日本がすり潰されないために―映画『ラストマイル』感想
映画『ラストマイル』を見てきた。私はもうめちゃくちゃ面白かった……!! 個人的に、『ラストマイル』が描こうとしているものがわかりすぎて『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』作者としては泣きました……。
https://www.e-hon.ne.jp/bec/EB/Top
Amazonを彷彿とさせる外資系ECサイト「デイリーファスト(通称デリファス)」で働く、舟渡エレナと梨本孔。彼らのもとにある報道が飛び込んでくる。デリファスで新発売となったスマホが、突然爆発したという。折しも、その日はデリファスの目玉となるセール「ブラックフライデー」初日。エレナたちは、絶対に売り上げ目標を達成しなくてはいけなかった。爆発の正体は? 新手の爆破テロか? デリファスの本社方針は? エレナと孔の戦いが始まる。
「ラストワンマイル」とは実際に物流業界の課題として認識されている用語で、現代で増え続けるECサービスの配送が生み出した課題のことだ。
エレナたちもまた、このラストマイルの配送料を切り詰め、それによって利益を得ているひとりである。しかしラストマイルの課題が大きな歪を生み出しているのだった。
とにもかくにも、私は『ラストマイル』が描いている、「なんで仕事のシステムに人間の命が奪われるようなことになってしまっているのか」というテーマが、なによりも突き刺さった。主題歌が流れてきたところでぼろぼろ泣いてしまった。
正直、この映画を観ながら頭の奥底にずっとあったのは、芦原妃名子先生のこと、そして宝塚の宙組のことだった。どちらも、自分の大好きな物語や大好きな作品をつくりあげた人たちだった。自分はそのきらめきを享受して、ひとりの人間としてたくさん救ってもらった。大好きだった。だけど、私が大好きなものは、人間の命をすりつぶしてしまった。
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