創作やエッセイ、読書感想など。

創作やエッセイ、読書感想など。

マガジン

  • 旅行記

    旅行先のこと、美味しかったもの、行ったお店など

  • 読書・映画感想

    読んだ本・観た映画の紹介と、ネタバレありの感想

  • エッセイ

    私のこと、日常のこと

  • 小説

    小説・ショートショートなど

  • 発売本・自主企画

    嶋田秋の名義で出した本や、参加したアンソロジー企画の紹介・小説掲載、自主企画の報告

最近の記事

  • 固定された記事

映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

映画『ラストマイル』を見ました。 アンナチュラルとMIU404の脚本家・監督がタッグを組み、それぞれの世界線が交差する作品。私はどちらも詳しくないのですが、十分楽しめました! 面白かった。間違いなく、面白かった。 アンナチュラルとMIU404大好き人間に連れていかれたので、特に前情報もなく。でも、倉庫の規模の大きさ、エンドユーザーの手に渡るまでの道のりと関わる人の多さに圧倒され、それぞれの信念や強迫観念、葛藤に胸が潰れそうになった2時間でした。 いやあ面白かったね〜と

    • 箱根② : 美術館を巡って | 旅行記

      箱根旅行、2日目にして最終日! 大雨〜〜〜!!!!! 今日はバス移動で美術館巡りの予定。傘は晴雨兼用の小さなもの1本のみ。母親があまりに晴れ女で、一緒に旅行をするときに雨が降ったことが一度もなかったので、完全に油断していました。母親の晴れ女力を過信していた…(晴れ女力?)。 旅館で朝風呂&朝ごはん朝起きてすぐは、昨日の檜風呂とは別の石風呂へ。ここはちょうど2人用ほどの大きさです。雨の日でも綺麗だね〜〜!(やけくそ) 部屋に戻ると、仲居さんが目覚めのお茶を用意してくれて

      • 箱根① : 仙石原で料亭旅館へ | 旅行記

        9月って、なんか疲れません? 私は疲れました。そして更に疲れているのが、祖父の葬儀からなにもかもやっている母。 よし。こんなときに必要なのは、箱根です。 小田原で海鮮丼 新宿からロマンスカーで1時間半ほど、まずは小田原に到着。 9月中旬と思えない暑さです。海が近いからか風は強いけれど、日差しがとにかく痛い。急いでお目当てのお店へ向かいます。 箱根へ行くのになぜ手前の小田原で降りたのかというと、ランチで行きたいお店があったからです。 駅から2,3分のこちら『サカナキ

        • はじまりのXYZ | エッセイ

          「XYZは最後のカクテルって言われてる。アルファベットの最後だから」  最後のカクテル、と私は繰り返した。薄暗いバーで、オーナーは続ける。 「最後ってことは、また最初があるってことだろ」  それはたしか、春の気持ちのよい夜のことだった。23時半過ぎ、バーの扉を開くと客は誰もおらず、唯一の店員であるオーナーに私はカウンター席へ促された。 「きらきらした感じのやつ、お願いします」  21歳のめちゃくちゃな注文でも「はいよ」と出してくれる彼は無愛想な50代の韓国人で、不思

        • 固定された記事

        映画『ラストマイル』を観て深夜にモヤッとした話

        マガジン

        • 旅行記
          21本
        • 読書・映画感想
          15本
        • エッセイ
          23本
        • 小説
          17本
        • 発売本・自主企画
          6本
        • 美術館・展示会感想
          4本

        記事

          愛知③ : 名古屋で最終日 | 旅行記

          本日は旅行最終日。 チェックアウト後すぐに、名古屋へ向かいました。 朝から寿司!!! 向かったのは丸八寿司。 前までは24時間営業だったこのお店、今は朝10時〜朝5時営業だそう。ほぼ、24時間ですがね……。 入るのにちょっと勇気が必要ですが、オープンすぐの時間に行くと20席ほどのカウンターにもう半分ほどのお客さんが。ボロボロの色あせたメニューが壁に窓にびっしりと貼られています。 隣の方が注文していた牡蠣が美味しそうだったので、さっそく注文。 1口大に切ってくれてい

          愛知③ : 名古屋で最終日 | 旅行記

          愛知② : 蒲郡を遊び尽くして | 旅行記

          愛知旅行2日目。西浦で目覚めた朝は…。 うおおお… 朝の海って、本当にいいですね。 海なし県に生まれ育ち、東京に暮らして10年ほど。朝目覚めてすぐに一面の海が見られるというのは、特別な気持ちになります。 豪華な朝ごはんで1日スタート 朝食も、昨日の夕食と同じくお部屋で。 朝食も、豪華〜! 朝からお刺身が食べられるの、嬉しいですね。名産であるアサリのお味噌汁が最高でした。 本当は潮干狩りもしたいけれど、せっかくとれても持って帰るのが難しいので断念。朝食後は展望風呂に入

          愛知② : 蒲郡を遊び尽くして | 旅行記

          愛知① : 西浦で富豪の気分 | 旅行記

          新盆を無事に終えまして、2泊3日の愛知旅行スタートです! 名古屋といったらひつまぶし 味噌煮込みうどん、台湾ラーメン、手羽先、エビフライ…。数多くの名古屋グルメの中で外せないものといったら、そう、ひつまぶし! 名古屋駅に到着し、向かったのはこちら。 新盆の慰労会でもあるので、お疲れ様ということで。瓶ビールで乾杯です。 白焼きは脂たっぷりジューシーで、山葵がよく合います。肝焼きは結構苦めで、ビールとぴったり。う巻きは卵の部分からじゅわ〜っと出汁があふれて優しいお味でし

          愛知① : 西浦で富豪の気分 | 旅行記

          お盆を終えて | エッセイ

          5月に祖父を亡くしてから3ヶ月、新盆をあらかた終えました。大変だったけれど、学びは多かったので自分の記録として残しておきます。 (祖父を亡くしたときのエッセイは以下) とにかく、ドタバタしてたら終わりました...。事故で亡くなったこともあり、誰ひとりとして予期できなかった今回。入院経験なし、持病なし、毎日しっかりごはんを食べ(新卒社会人男性くらい)、目と耳は悪くなってきたけれど認知症の気配もなく。 私の母がずっと一緒に住んで身の回りのことをしてくれていたので、どこかで安心

          お盆を終えて | エッセイ

          日記 夫婦のこととか

          朝起きたら、熱帯魚がいなかった。 オレンジ色で人懐っこいレッドグラミー。水槽を覗いて数秒、そうだ、深夜に埋めたんだったと思い出した。容態が急変して2日、静かに彼女は息を引き取った。もう会えない。 たかが魚、と言う人もいる。 そういう人は、祖父が亡くなったときも「そのくらいで」と鼻で笑った。私の痛みは私の痛みだ、そう分かっていても、あいまいに笑い返すたびすこし胸が詰まる。 空の水槽を撫でて、弱りながらも健気に私のほうへ寄ってきてくれた姿を思い出す。最後の日、ずっとそばにいら

          日記 夫婦のこととか

          赤い宝石 | 小説

           赤、青、白、黄色のチカチカと点滅するネオン。見たことのない漢字がずらりと並ぶ屋台の看板と、あらゆるところから響いてくる聞き取れない言葉たち。怒鳴り声や笑い声、嗅いだことのない甘いような苦いような匂い。中国・彭浦新村の夜市の入口で、あの日のあなたはお父さんの手をぎゅっと握る。  夜九時を過ぎた夜市は、所狭しと立ち並ぶ屋台の電球が煌々とあたりを照らしている。こんな時間に外を出歩くのは、小学生のあなたには生まれて初めての経験だった。どこからか立ち上っている香ばしい匂いの煙や屋台

          赤い宝石 | 小説

          いまは、まだ | エッセイ

          祖父の訃報が入った。 享年88、病気もなく直前まで変わりない様子だったという。 地元で祖父と2人で住む母から祖父が救急搬送されたという連絡が来たとき、「これは、だめだな」と直感で悟った。今までも何度も搬送されていたけど、今回は母が異様に落ち着いていたからだ。 喪服のレンタルを調べ、会社の休暇制度を調べ、直近の予定を確認しながらも、頭のどこかでは「まさかね」と思う楽観的な私もたしかにいた。でも、まさかだった。最初の連絡から1時間ほど経って、亡くなったという連絡が入った。

          いまは、まだ | エッセイ

          お鮨!お寿司!おすし! | エッセイ

          私の友人は冬生まれが多い。 なので、冬はお祝いの機会がほかの季節よりもかなり増えます。 「なに食べたい?」 「お鮨!」 このやりとりが、この冬、祝う相手の全員と発生しました。なぜ……? うん。お鮨美味しいもんね、わかるよ。毎週食べても飽きないよね。せっかくだから、行ったところをまとめようね。 都内の、25,000円以下くらいで食べられるお店7店舗です。 築地青空三代目 丸の内12月にランチで行きました。 東京駅周辺で、なるべく怖くないところで、よいものをおなかいっぱい

          お鮨!お寿司!おすし! | エッセイ

          桜の伴奏者 最終話

           会社に復帰してから、カズキはますます元気になっていった。 「いまどき備品管理を手書きでやってるんだぞ。びっくりした」  復帰先の総務課は今までと業務がまったく違うが、やっぱり彼は彼だった。もともと所属していたIT部門でも手腕を奮っていたらしいが、それは持ち前の性格だったらしい。 「簡単にできるよう自動化してみたら、すごい褒められてさ、わざわざ部長も声をかけてくれたよ。この年でも頼りにされると嬉しいもんだな」  主戦力として期待され、残業ばかりだった日々を思い出す。きっ

          桜の伴奏者 最終話

          桜の伴奏者 第2話

          「違法行為ではないんですか」  カズキの病気が発覚した後、「京本・アブレイユ方式脳機能代替機器(通称・パートナー)」の説明を聞きに行った私は、京本先生にそう聞いた。記憶を外部化のデータベースに保存し、脳内に埋め込まれたチップのAIが記憶の保存と引き出しを行うというものだ。認知症のカズキが自分の記憶を保ち続けるために、試さないかと言われたのはつい先日のことだった。  小さな白い部屋は、私と京本先生しかいない。パートナーの話をひと通り終えた京本先生は、意外そうに片眉を上げた。

          桜の伴奏者 第2話

          桜の伴奏者 第1話

           白い。  最初に視界に入ったのは、どこまでも真っ白な世界だった。ぼんやりとしたそれらに徐々に焦点が定まる。なんだろう。——病院の天井、か。 「先生、目を覚ましたようです!」  女性の声がする。頭を動かそうとするが、酷く重い。吐き気と全身の気だるさとともに、抗えない眠気に襲われる。  ぼんやりとした意識の中で、遠くから何人もの足音が近づいてきた。  私が病室に駆け込むと、カズキは上半身を起こしていた。 「いま目を覚ましたところです。意識、はっきりとされていますよ」  笑顔

          桜の伴奏者 第1話

          海の君へ | 小説(「浦島太郎」翻案)

          「捨てておいたわよ」  本棚の前で呆然とする私に、母はいつものように明るく言った。 「ダメよ、あんな本読んでたら頭がおかしくなるでしょう。あなたにはもっと善いものを読んで欲しいの」  視界が狭くなる。私は黙って椅子に座った。なにかを言おうとして口を開き、でも言葉はなにも出てこなかった。いのちなき砂のかなしさよ。いつものように、心で唱える。続きはなんだっけ。 「川柳ですっけ。俳句? まあなんでもいいわ、女の子はもっと明るくて可愛らしいものを嗜むべきよ。男の人なんて結局は

          海の君へ | 小説(「浦島太郎」翻案)