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ベイビードライバーのピーナッツバターサンド

ランチパックのピーナッツ味はトースターで焼いて食べる派だ。

 こんがりきつね色に焼いてから、中身がこぼれ落ちないようやや慎重に齧りつく。

 熱せられて旨味の増したピーナッツクリームの風味とパンの香ばしさを味わいつつ、ブラックコーヒーをすするのがたまらなく美味い。

 ピーナッツクリームとピーナッツバターという若干の違いはあるが、「ベイビードライバー」にもピーナッツバターサンドが出てくる。

 主人公、通称ベイビーは驚異的なドライビングテクニックを駆使して、警察を翻弄する強盗の運び屋だ。

 両親は彼が幼い頃に交通事故で亡くなっており、今は耳の聞こえない年老いた黒人の養父と二人で暮らしている。

 借金返済のためとはいえ、犯罪絡みの仕事をする息子を心配する養父の渋い表情から逃れるべく、食事の提案したベイビーが作ったのが、ピーナッツバターサンドだった。

 両親の事故のトラウマから耳鳴りが鳴り止まないベイビーは、耳鳴りを誤魔化すために終始音楽を聴いており、自宅のキッチンでも音楽に乗って踊りながら養父の食事を作る。

「(パンの)端っこまで塗れ」「OK」

 ベイビーの特性上、常にBGMが流れている所に、養父との手話での会話を入れてくて辺りがなんともにくい演出だ。

 借金返済も終わり、ガールフレンドも出来たということで、犯罪組織から抜けピザ屋の配達バイトをたベイビーだが、組織のボス・ドクは、ガールフレンドと義父の存在を脅しの材料として、運び屋を続けさせようとする。

 可愛いガールフレンドのためにカタギになろうとするも、手を切ったはずの裏社会のボスに脅されてやむなく犯罪を続けるくだりは、青春クライムモノによくあるパターンだが、主人公が有線イヤホンで聞いている音楽とカーアクションの会わせ技が文句なくかっこよく、その新鮮さの方が際立つ。

 ベイビーが疾走した先に見たものはピーナッツバターサンドのように甘く幸せな世界か、ブラックコーヒーのように苦いものなのか、あるいは・・・・・・?

ランチパックをかじりながら鑑賞するのがおすすめです。

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