Hirari Matsumura

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最近の記事

「善良な女性」は「赦す」もの?|『カラーパープル』(2024)

※作品の内容に対する記述があります。 ※作中には性暴力の描写があります。ご注意ください。 雑誌「世界」で連載中の、小川公代先生による「〈小さな物語〉の復興  「フランケンシュタイン」をよむ」がとっても面白く、毎号楽しみに読んでいて、そのなかでこの『カラーパープル』について言及されていたので見てみた。 アリス・ウォーカーの同名小説を基に、スティーヴン・スピルバーグが1985年に監督した作品を、ミュージカル映画としてリメイクした今作。 20世紀初頭のアメリカ南部を舞台に、黒人

    • あの頃の自分に会いに|『はちどり』

      ※作品の内容に対する記述があります あらすじ 公開から数年が経ち、いつの間にかウニよりもヨンジ先生との年齢が近くなった私は、あらためて『はちどり』を見ながら、この映画が持つ不思議な視点に気づく。 劇場で見たときは、ウニの目から見た世界を映しているように見えたのが、今見ると、未来のウニがあの頃の自分を回想しながら世界を眺めているようにも感じられるのだった。 過去の自分に会いに行く感覚。生きることのままならなさを突き付けられ、誰にも関心を向けられず、誰からも欲しい言葉がもら

      • 多様な声を消そうとする力と戦うために|『インサイド・ヘッド2』

        ※作品の内容に関する記述があります 2015年に公開された『インサイド・ヘッド』の続編となる今作だが、前作を見ていなくても十分に楽しめる作品だ。 まず、この作品が面白いのは、「主人公の物語」と「主人公の脳内の物語」が同時に進行することである。主人公の脳内の物語は、ヨロコビ(喜)、カナシミ(哀)、イカリ(怒)、ムカムカ(不快)、ビビリ(臆病)という5人の擬人化された感情たちの葛藤によって表現されている。 このような表現により、主人公ライリーの行動や判断に関する迷いの過程が

        • 女2人 我慢と怒りの行き着く先─フェミニズム映画の今|『ロイヤルホテル』

          ※ネタバレ有り あらすじ↓ 以前レビューを書いた『アシスタント』の監督キティ・グリーンと主演のジュリア・ガーナーが再びタッグを組んだ長編2作目。 (『アシスタント』の記事こちら↓) 『ロイヤルホテル』を見終わったあと、近くの飲み屋街にあるタイ料理屋に寄ってご飯を食べていた。夜も遅い時間だった。 店についているテレビではバスケの試合の中継が流れていて、私の近くにいたグループが歓声を上げてその画面を見ていた。 するとそのうちの1人の男性が、女性店員にしきりに「コップンカー

          出演情報🌳|シバイバ演劇祭「SEED for the Future vol.1」

          6月、舞台に出演します! シバイバ短編演劇祭「SEED for the Future vol.1」 6/25~6/30 @築地本願寺ブディストホール 私が出演するのは TeamEの「巨木の森」と TeamFの「地雷を踏んでさようなら」 の2作品です! 「巨木の森」 ・あらすじ 志ある政治家として与党内改革を試みていた三浦一志は政争に敗れて政治家を辞め、現在は大学で学生たちを教えている。彼のゼミに参加する学生たちもそれぞれ志を抱き政治家を志す。目指すはパリテ、女性政治家の

          出演情報🌳|シバイバ演劇祭「SEED for the Future vol.1」

          趣向『べつのほしにいくまえに』 おかげさまでチケット販売終了しました👏💐✨ 予約してくださった皆さま、ありがとうございます!! 当日券の情報も随時趣向のXアカウント(https://x.com/shukoushukou?s=21)で発信されるので、気になる方はチェックしてみてください👀

          趣向『べつのほしにいくまえに』 おかげさまでチケット販売終了しました👏💐✨ 予約してくださった皆さま、ありがとうございます!! 当日券の情報も随時趣向のXアカウント(https://x.com/shukoushukou?s=21)で発信されるので、気になる方はチェックしてみてください👀

          趣向 演劇公演『べつのほしにいくまえに』、いよいよ23日開幕いたします🪄︎︎ おかげさまで完売間近の回もございます!ぜひお早めのご予約を🎟 劇場でお待ちしております💫 チケットご予約こちらから☟ https://betsunohoshi.peatix.com/

          趣向 演劇公演『べつのほしにいくまえに』、いよいよ23日開幕いたします🪄︎︎ おかげさまで完売間近の回もございます!ぜひお早めのご予約を🎟 劇場でお待ちしております💫 チケットご予約こちらから☟ https://betsunohoshi.peatix.com/

          出演情報🌝|趣向・演劇公演『べつのほしにいくまえに』

          5月、舞台に出演いたします!! 劇団「趣向」さんの 『べつのほしにいくまえに』 2024年5月23日(木)〜26日(日) @神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI 作|オノマリコ(趣向) 演出|扇田拓也(空 観) 監修|深海菊絵 出演(50音順) |梅村綾子(文学座) 海老根理 大川翔子(趣向) 納葉 KAKAZU かとうしんご  小林春世(演劇集団キャラメルボックス)多賀名啓太 箱田暁史(てがみ座) 前原麻希(趣向)  松村ひらり 村松えり 和田華子(青年団) 

          出演情報🌝|趣向・演劇公演『べつのほしにいくまえに』

          世界と出会い、知性を身につけること、世界を変えうる自分であろうとすること|『哀れなるものたち』

          ※本編の内容に関する記述が含まれます あらすじ あれよあれよという間にとんでもないところまで連れていってくれる映画で、「そうだこういう体験がしたくて映画を見てるんだったなぁ」と思い出したりした。あとから色々考えて、思うことがあっても、劇場を出たとき私はたしかに感激していた。 性描写が多いというのは事前に知ってしまっていて、そして実際に多いのだけど、それ以外のところ、たとえば、街を歩いたり。歌をはじめて聞いたり。タルトを食べたり。ダンスを“発明”したり。そういうシーンの一

          世界と出会い、知性を身につけること、世界を変えうる自分であろうとすること|『哀れなるものたち』

          ただ一人の人間として映す|『落下の解剖学』

          ※本編の内容に関する記述が含まれます こんな上品かつスリリングで、一瞬も見飽きないサスペンスが見られるなんて。3時間近くの拘束を忘れるほどラストシーンまで夢中だった。 妻が夫を殺したのか、それとも夫の自殺なのか、という事件の真相に映画自体が決着をつけなかったのが、上品だと感じた理由のひとつだと思う。 ここで『落下の解剖学 最悪ver.』を考えるとすると、例えば「無罪判決を受けた妻のニヤリと歪む口元のアップ」だとか、「ラスト30秒、驚きの大どんでん返し!」だとかが入ってき

          ただ一人の人間として映す|『落下の解剖学』

          物語に消費させない|『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』

          ※ネタバレあり ※性暴力の描写があります。フラッシュバックにご注意ください。 ずっとNetflixのおすすめに出てくるし、主演のアネット・ベニングとジョディ・フォスターがめちゃくちゃ格好いい予感がするので見た。 あらすじ↓ やっぱり主演の2人が格好よくて シミもシワもたるんだ皮膚も筋肉も、人の当たり前の変化として隠すことなく堂々と居て 年齢に抗って美しく見せようとしない姿勢がむしろ美しかった。 あと、ナイアド(アネット・ベニング)もボニー(ジョディ・フォスター)も、「

          物語に消費させない|『ナイアド 〜その決意は海を越える〜』

          あんたはあんた自身の強さに気付いてよ沙代|『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

          ※ネタバレあり ※性暴力の描写があります。フラッシュバックにご注意ください。 『ゲ謎』をやっと見に行った。 あらすじ↓ 太平洋戦争の傷跡を抱えた人々を描く「反戦映画」として重要なメッセージをもった作品で、そのことについては色んな人が書いてくれている。 ただ、その問題もさりながら、私が観ながら思っていたのは沙代についてだった。 沙代は龍賀一族の死んだ当主・時貞の孫でありながら、時貞の子孫を増やすために産まれた存在である。つまり実の祖父の性的道具とされていた。しかし時貞

          あんたはあんた自身の強さに気付いてよ沙代|『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』

          2024/1/4

          あけましておめでとう とはとても言えないような世界のまま 新年を迎えてしまいました。 昨年の12月には 「パレスチナに平和を緊急行動」として 国会正門前で行われたデモにも参加してきました。 しかし現在も停戦されることはなく、 攻撃が続いています。 そして年明けすぐには能登半島地震が。 私の父方の実家も石川県にあり、親戚はみんな 無事だったようですが、とても気が休まるような状況では無いと思います。 石川県では、今回の地震で被災された方々を支援する義援金の募集が開始される

          報復も赦しも超えて|『I MAY DESTROY YOU』

          ※ネタバレあり ※性暴力シーンがあります 2020年に、イギリスのBBCとアメリカのHBOによって制作されたイギリスのドラマ『I MAY DESTROY YOU』が、もうめちゃくちゃに凄い作品で、夢中になって一気見した。 今作は、製作総指揮・脚本・共同監督・主演までも務めたミカエラ・コール自身の体験に基づいているらしい。このミカエラ・コールがほんとにパワフルで、強烈な魅力がある。 あらすじ↓ 音楽、ファッション、演出、どれをとっても洗練されていて見飽きることがない作品

          報復も赦しも超えて|『I MAY DESTROY YOU』

          出演情報⚖️|『うちの弁護士は手がかかる』第2話

          金曜よる9時 フジテレビにて放送中 ムロツヨシさん、平手友梨奈さん主演の 『うちの弁護士は手がかかる』第2話 平手友梨奈さん演じる杏ちゃんに情報提供する同級生、片山菜々子役で出演させていただきました! 見逃し配信はTVerで! ぜひご覧ください!!🕊 https://tver.jp/episodes/ep652iuubm

          出演情報⚖️|『うちの弁護士は手がかかる』第2話

          時代が求めた作品 |『ステップフォード・ワイフ』(1975)

          ※ネタバレあり 前回の記事  ↓ 今回はこの続きです。 『ドント・ウォーリー・ダーリン』を見てモヤモヤッとしてしまったけど、オマージュ元の作品を見れば何かわかるんじゃないかと思い、『ステップフォード・ワイフ』(1975)を見ることにした。 あらすじはこんな感じ この作品を見て、やっと色々なことがスッキリした。 アメリカで、ベティ・フリーダンによる著者「女らしさの神話」が出版されたのが1963年。様々な分野でキャリアを築こうとしていた女性たちの多くが、いつのまにか郊

          時代が求めた作品 |『ステップフォード・ワイフ』(1975)