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【感想】映画『愛に乱暴』

先日『愛に乱暴』という作品を映画館で見に行きました。
『愛に乱暴』という作品は、吉田修一さんの原作であり、私自身原作は読まずに映画だけを見た印象としましては、原作未読でも十分に楽しめるほどの映画作品であり、大人のドロドロとした夫婦関係の闇を描いた作品でもありましたが、そうした部分も含めて映像として落とし込むことでより立体的に複雑な心理描写がリアリティになり、主演の江口さんの演技力が輝いていた作品だなと感じました。
『愛に乱暴』で描かれる、江口さん演じる桃子という女性の姿が環境の変化に伴い、少しずつ狂気的になっていくところがとても見応えがあり面白かったです。
不審火や愛猫の失踪、不倫アカウントなど様々な事柄が積み重なり、夫婦の愛は乱れ、桃子の心を蝕んでいく様子は特に注目すべきところだなと感じました。
生々しいまでの狂気性と恐怖は圧巻であり、桃子を取り巻く周りの人たちもまた、桃子の調子に飲み込まれ、家族関係も崩壊していく。
そして『愛に乱暴』において、桃子の夫を演じた小泉孝太郎さんの冷めきった態度は、夫婦関係のコミュニケーションをバッサリと断ち切るクズな夫ぶりは本作では特に注目すべきところなのではないかと感じました。
本来の夫婦というのは、日常生活や共同生活の中で、些細なことを楽しく話したり、家事や仕事のことなど今日あったことなど話したりしてお互いの関係性を深めていくことがコミュニケーションにもかかわらず、夫の‘‘桃子と生活していても楽しくない’’という発言はかなり衝撃的な発言とも言えます。
桃子と夫との日常生活の様子は物語が進展していく度に違和感と不穏さが際立ってくることが窺えます。
桃子の抱える夫との距離感の問題、桃子を拒絶する夫の冷めた態度はやはり、桃子にとっては、はかりしれないほどのストレスを感じるものがあるなと本作から感じられました。
桃子の奇行は、桃子自身の心の叫びであり、衝動は桃子の内面が深く傷つけられた証でもあるとそう思いました。

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