【短歌】#140 はっとするよく似た背中人混みにいるはずのない君の幻
事故の後からだろうか、苦しみの中の毎日に実感がない。まるで、自分を後ろから眺めているようだ。毎日、重労働で体が痛むが、何故だかそれも心地いい。今は思う。愛なんて幻なんだと。そして、そのうち私も幻となる。
40歳と30歳が対談で「上の世代が見ていたレールという幻」と。ああ、もう根本的に同調と繁栄の時代は終わったのだ。レールは消えたけれど、かつて人はそこにほぼ無理やり乗せられ、乗れなかった者は憚りなく脱落者扱いされた。乗れたら生涯安泰。途中下車は許されない。あの特殊時代。