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桜紅葉。の第百九十七首

第百九十七首
こさめふる桜紅葉の雨化粧
春の宴は現世うつしよの夢
─── 音無桜花

2024.11.01. 深夜詠


暦は『霎時施(こさめときどきふる)』の候。
暦の上では秋もそろそろ終わりの時期です。

ここでいう『霎(こさめ)』は小雨ではなく、短時間で上がる時雨しぐれの意味だそう。
明日はどうやらまとまった雨になるそうですが、ここ最近は「雨・曇・晴間・晴れ」の変わりやすい秋空が多く、暦通りの季節の深まりを感じさせてくれます。

そんな『霎(こさめ)』のなか、葉っぱの色を赤・黄・茶・紫に変えた堤桜が雨に煙っていました。
雨に打たれながらも艶やかに濡れた桜紅葉が脳裏に浮かびます。

けれども人々が集った満開の春と違って、冷たくなってきた雨の中ではそぞろ歩きに見上げる人もいません。
春の賑わいが、まるで幻のようです。



そのうち桜紅葉も落葉すると、いよいよ季節は冬の訪れ。

─── そして冬の間の銀色がかった硬い樹皮がほのかに桜色に変わるころ、再び私達に春の足音を聞かせてくれるのです。



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