あるくたび赤血球が壊れていく。 水辺を泳ぐたび血液が流れ落ちてゆく。冬が近い空気にひとつの灯りを求めて夜の僕は主が住む古い洋館の外灯に居るコウモリの目の中に居た。 厳格な主はどこか浮ついたように毎夜森に出かけるのだ。僕はそれが気になってずっとずっと見ている。彼がなにを大切にしているのかそれだけが気になっている。 やがて彼が森に咲く薔薇をただ眺めに行ってるのだと知ったんだけど、どうしてわざわざ森に雨の日も風の日も雪の日も嵐の夜も行くのか理解できなかった。 そうして僕は魚眼レ
4月1日エイプリルフールに嘘みたいなニュースが世界に流れた。 来年の4月1日に世界が崩壊するという。人々は1年の余命を宣告された。 信じるものと信じないものに分かれたが何個も予言を的中してる未来人と名乗る胡散臭い占い師が断言したのだ。 そしてそれを阻止できるのは桜のアザがある鹿だけだと言うこと。 僕はその春呑気に目玉焼きを食べていた。世界が終わるなんて絶対嫌だと思った。目玉焼きが美味しいのも僕のためのものだし、これから出かけて桜を見るのも僕の楽しみだ。そんな世界が終わるなんて
黒猫を飼いはじめた。 実りの果実が落下したところ美しい亡霊舞い降りる形而上的な移ろい。 もう秋真っ只中のはずなのに昼間はめちゃくちゃ暑い。秋晴れなんて日とは程遠くどんより曇り空。 俺は何時もの道すがら気だるげに煙草を吸いながら派遣バイトへ向かう。年々物価も上がり仕事も上手くいかず続かない。その日暮らしの毎日に屈折した感情を持つものの鬱憤をぶつけるところもそんな勇気も無く、四面楚歌に感じるこの世の中にやさぐれた目をして歩いている。 行き交いすれ違う人の群れ。あいつらもあいつ
深夜に他の家族が寝静まってひとりで映画、漫画、小説、アニメを観ると昼間より入り込める。 なんで?よりひとりだと感じるから?時間の概念が無くなり現在もなくなるから?単に夜が好きだからかもしれない。 時計の針の音だとか、人のイビキも雨音も心地よいBGM。次の日のやる事の心配とそちらへの意識がない状態。現実感が希薄な状態が大事。最近だと本当に無駄にお金を使えないので漫画は殆ど読まなくなってしまった。休日にネカフェへ夫婦で行く事があるが漫画にもうなかなか入り込むって出来ない。なぜか?