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「読書会の思い出」&「人生に疲れている人へオススメの一冊」
大学時代、同じ国際交流サークルのメンバーから一枚のチラシを渡されました。記されていたのはこんな文言。
「読書会をやりましょう!」
スケジュールは不定期ですが、土曜の午後というのは決まっていました。場所はカフェテラス。参加者は彼と彼の友人、そして私の三人。
第一回は彼が選書しました。課題図書は夏目漱石「こころ」です。
細かいやり取りは忘れました。でも「この本の題は『こころ』じゃなければいけな
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑪
↓を読了しました。
アルベルチーヌと結婚すると宣言し、同居を始めた途端に「もう愛していない」と言い出す。やがて探偵みたいな猜疑心で倍加させた裏切りのイメージに苛まれ、苦しむなかで「愛している」と翻す。
かつてスワンとオデットの関係性が綴られた際も「手に入らないからこそ燃える」という趣旨の描写が何度となく見られました。あとは想像(多分に妄想を含む)の価値。実際に知り合い、話をして距離を縮めること
ハードボイルド書店員の「八冊本屋」
「#本屋さん開店します」
メディアパルさんの募集企画です。参加させてください。
都内某所のチェーン店で働く、現役の非正規書店員です。起業の予定はありません。ただ職場では様々な事情でできないことが多いゆえ、この場を借りて「こういう本屋をやりたい」を形にさせていただきました。
いまの仕事を続ける前提で考え、開店は週に一日。置く本はすべて新刊で八冊のみ。売り上げや諸々の状況に合わせ、不定期に入れ替
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑩
↓を読了しました。
巻末の訳者あとがきに「全巻読破をめざす読者の多くが挫折する難所」と記されています。確かに。
一方で、同性愛者のシャルリュスが美貌のヴァイオリン奏者・モレルに振り回される姿が生々しく、気づいたら没頭していたのも事実です。一緒に過ごせると楽しみにしていたのをすっぽかされて涙目になり、怒りに震えながら手紙を書くくだりとか。
いまならLINEだろうし、私の学生時代はメールでした。
「予期せぬ形で叶うこともある」と教えてくれた一冊
まさかです。
新日本プロレスの社長兼エース、棚橋弘至選手が2026年1月4日で現役を引退すると発表しました。あと1年2か月。
年上である彼の奮闘から「俺も頑張ろう!」という活力をいただいてきたひとりです。何度かnoteでも取り上げさせていただきました。
ずっと固定されていた「プロレスラー=馬場か猪木」みたいなイメージはかなりアップデートされ、いまでは棚橋選手の名前を真っ先に挙げる人も多くなっ
某少年マンガを読み返したら「経済」に関する教訓を得られた
都内某所の本屋で働いています。
だからというわけでもないのですが、様々な書籍を読んできました。
読了した本のなかには二度三度と挑み、ようやく何かを掴めた名著がいくつかあります。海外の古典文学や哲学書など。今年の頭に再読したドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」もそうでした。
以前にも書きましたが、ニーチェ「ツァラトゥストラはこう言った」は下巻で挫折したままです。「永劫回帰」という結論をいいと
ハードボイルド書店員が「大学生の頃に夢中になった」一冊
読み終えた本をなかなか手放せない人間です。
書棚はとっくの昔にパンパン。床や机に積み、ダンボール箱へ詰め込んでいます。
そのなかの一冊を久し振りに再読しました。↓です。
刊行は93年。91年に出た単行本の文庫版のようです。
日本社会及び日本人の問題点を指摘し、毒舌でぶった切るコラムを集めたもの。大学生の頃に出会い、真実を見抜く眼力に打ちのめされ、夢中になったのを覚えています。
しかしいま
もし「一冊の本だけを売る」ならどれにする?
少し前に↓が発売されました。
小学館文庫の「銀座で一番小さな書店」です。
著者の森岡督行(もりおか よしゆき)さんは、神保町の古書店で修業を積み、茅場町に自身の本屋を開いた方です。2015年5月に「一冊の本だけを売る」を新たなテーマに掲げ、銀座の鈴木ビルへ移転しました。
お店の広さは五坪。一冊の本を一週間だけ販売するのが基本コンセプトのようです。つまり翌週に来たら違う書籍と出会える。さらに、
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑨
↓を読了しました。
全14巻の後半戦へ突入です。
今作の重大なテーマのひとつである「同性愛」が出てきました。
訳者のあとがきによると、小説の舞台となっている19世紀末のフランスでは、同性愛は差別と迫害の対象だったようです。イギリスでは1886年から男性同性愛が非合法とされ、1895年に逮捕されたオスカー・ワイルドは2年間の獄中生活を余儀なくされました。
プルースト自身も公には認めていなかっ
本を読む時間のない方はぜひ「パン」と「スープ」を
↓が店頭に並んでいます。
出版社はKADOKAWAで著者は柴田ケイコさん。待望のシリーズ第6弾です。
去年も同じ時期に「パンどろぼうとほっかほっカー」が出ています。2年前の「パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち」も9月8日発売でした。
「9月といえばパンどろぼう」が定着してきた印象を受けます。ぜひ継続してほしい。どれか買ってみようかな。
ところで、少し前に「なぜ働いていると本が読めなくな
いま紹介したい「佐々涼子さん」の名著
お会いしたことはありません。
著書の内容や文体から「この人は熱いし信用できる」「末端が日々接する理不尽の実態をわかっている書き手だ」と感じていました。実際、読む前と後で世の中や人間(己も含む)に対する見方が一変する名著ばかりです。
最も印象深いのは、2014年に発売された↓でしょうか。
出版社は早川書房。2017年に文庫版も出ています。
初読時に読書メーターへ記したレビューを紹介させてくだ
ハードボイルド書店員の「すべての始まり」になった一冊
来月13日に↓が出ます。
収録作は八篇。オススメをひとつ挙げるなら「女の決闘」でしょうか。斬新なものを書こうとしていた初期の太宰の意向に、中期に至って磨かれた技巧がようやく追いつき、生まれた前衛芸術です。
6月に発売された↓も気になって仕方ない。
処女短編集です。にもかかわらず「晩年」と名づけた事実が当時の苦境を物語っている。
多くの人がそうであるように、私が太宰に夢中になったきっかけは「
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑧
↓を読了しました。
巻の大半を占めるのは、ゲルマント侯爵夫人邸で催された晩餐会。なかなかの苦行でした。
本を読み慣れていない頃だったら、確実に投げ出していたはず。「魔の山」や「白鯨」で味わったことのある感覚だったゆえ、どうにか最終ページまで辿り着くことができました。
「なぜこんなに響かないのか」と悩み、己の無知に原因を求めてしまう部分もなくはない。当時の文化やフランス史に詳しくないのは事実な
「2025年大河ドラマ」の予習にオススメの二冊
早いものでもう8月中旬です。
9月になると来年用の手帳やカレンダー、家計簿がごっそり入ってきます。おそらく全国の書店員が「今年もそろそろか」と感じるはず。
来年用といえば、NHKの大河ドラマ関連。2025年は蔦屋重三郎が主人公を務める「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」です。
NHK出版のドラマガイド前編は、例年12月下旬の発売です。しかしそれまでにも各出版社がいろいろ出してくるはず。
前から