パリはトイレが少ない。公衆トイレは有料で、そしてなおかつ数が少ない。 トイレがないのはルーブル美術館も同じ。ぐるぐる回っても迷宮のようなルーブルではトイレにたどり着けない。これはルーブル王宮だった頃も同じで、客人である貴族たちはオマルを持参して排泄しておったそうな。
「ルーブル美術館はもともと王様のお城だったんだけど、その前は敵が攻めてきた時のための砦だったんよ。でさ、上のあのガラスのピラミッドを作る時にさ、掘ってみたらこれが出てきたんだって。で、当時の石工たちは歩合制だったらしくて働いた証拠を残すために自分のマークを石に刻んだんだとさ」
「ルーブル美術館は予約購入必須!40分くらい並ぶことになります!」 どのサイトにも旅行本にもそう書かれている。けれども、この日のここは驚くほど空いていて、わたしたちはだいたい四秒くらいで入館できた。 サモトラケのニケは、潮風を受け、まとった生地がはためき、海の匂いがした。
中学生の甥っ子二人を連れて、マレ地区のあたりからルーブルへ向かう。サン・マルタン通りを南下してシテ島へ。そしてフラワーマルシェのあたりで甥っ子二人をまく。 不安そうな声でライン電話がかかってきたけれど、ふたりでルーブルへ来なさいと伝える。 ふたりを待つ間の夕暮れルイ14世。