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パリ弾丸美術館巡り②ルーブル美術館を1時間半で連れ回される中、まさかの作品に心震え涙が出る驚き

①についてはこちらから。
顛末としては以下、①の冒頭部分を転記する。

10月、出張でパリに行ってきた。合間合間に少しだけあった空き時間を活用し、美術館巡りをすることができた。また、ルーブル美術館へは仕事の一環(お供)として訪れた。
行ったのは、時系列でいうと
・ポンピドゥーセンター
・ルーブル美術館
・オランジュリー美術館
・オルセー美術館
になる。

それらの記録、今回はルーブル美術館編。

今回の出張に組み込まれていた行程のひとつが、ルーブル美術館だった。ルーブル美術館5大作品?を駆け足で巡りますよ、というガイドツアーだ。もちろん私が選択したものではない。しかし、仕事としてお供することになった以上、その5作品だけでなくできる限りいろいろ見てやるぞ…と密かな野望を抱いていた。
抱いていたのだが・・・結論としては、館内の激混み具合もあり全く、全く時間が足りなかった。本当に「はい、これがミロのビーナスですよー」と解説を聞きながら確認しただけ、という印象。事前のアナウンスでは少しフリータイムを設けるような話もあったのだが、とにかく混みすぎて時間が足りなくなり、本当にただ巡っただけで終わってしまった。フェルメール見たかったな…

私はお供で行った身なので組まれたスケジュールに従うしかなかったのだが、ほとんどの方はそうではないと思う。時間にはくれぐれも余裕を持って臨まれることを強くお勧めしたい。中も混んでいるが、入場までも延々と待たされた。日時指定の団体チケットを持っていても、待たされる。1日ルーブルに費やすつもりでいるくらいでちょうどいいかもしれない。
実は私は、ルーブル美術館は再訪となる。以前も出張時に同様のツアーにお供したが、もっと時間的にも人の混み具合にも余裕があった。旅行会社の方が言うように「オーバーツーリズム」とやらの弊害なのだろう。再訪だったので幾分心に余裕があったといえばあったが、今回が初めてのルーブルだった同行者は気の毒に「全然時間が足りない!ありえない何このスケジュール!」と叫んでいた。私も概ね同感だ。

そんな今回、前回には出会わなかった作品に目を奪われてしまった。前回は気づかなかったのか、見ても気に留めなかったのか、展示されていなかったのか、どちらにせよ全くここで見た記憶がない作品だった。

それはアングルの「グランド・オダリスク」だ。私でも知っているくらいの有名な作品だから、もしかしたら過去にどこかの展覧会に貸し出されて見たことがあったかもしれない。しかし今回、目に入ってきた瞬間に絵の前から動けなくなってしまった。

確か、「ナポレオン一世の戴冠式」がある部屋だったと思う。私はこの作品を「絶対見たい!」というほど好きなわけではないので、無線で繋がったイヤホンから流れるガイドさんの声が途切れない範囲で少し離れ、他の作品も見ようとしたところだった。後ろを振り返ったところに、それがあった。

どれでも全部、撮影は自由

絵の中の女性と目が合った。あ、知ってるやつだ、と思う間もなく雷に打たれるような衝撃が走り、強く深く感動した時のように鳥肌が立ってくるのを感じた。全身が震え、なぜかわからないのに涙が滲んできた。絵の前でそんなふうになったのは久しぶりだ。
生で見るのは初めてだとしても、教科書や図録・書籍に載っているくらいだから全く初見の作品というものではない。それに、「すごく見たい」「絶対に見たい」と思い入れがあった作品というわけでもない。前から知ってて、そんなにすごく好きだというわけでもなかったはずなのに、なぜあんなに心が動かされてしまったのだろうか?理由は今でもわからない。
問答無用で人をそうさせてしまうのが、名作の力だということなのだろうか。これは驚きとともに、忘れられない出来事になった。

今回の私のルーブルは「グランド・オダリスク」で塗りつぶされている。ちなみに、ガイドさんが案内してくれた「ルーブル美術館5大作品」は
・モナリザ
・ミロのヴィーナス
・サモトラケのニケ
・ナポレオン一世の戴冠式
・民衆を導く自由の女神
だそうだ。これはルーブル公式の見解なのか、このガイドさんがそう思っているだけなのか、どこかに根拠となる人気ランキングがあるのか不明だが、上から3つは妥当だろう。ただ絵画は意見が分かれそうな・・・
この中では私はサモトラケのニケが一番好きで、最初に行った時は地下のショッピングモール内にあるお土産屋さんで高さ20cmほどのレプリカを買って帰った。今でも私の机の上に飾ってある。

ドラクロワはこれも好き、というかわりと全部好き

この出張自体は毎年の恒例で、お供するスタッフが年ごとに変わっていく。そのため、もしかしたら数年後にまたパリを訪れることがあるかもしれない。その場合は、ルーブルは個人でまた好きなように回ろう、と固く心に誓った。

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