子供のためのルーブル美術館(164)パンがなければお菓子でいいんじゃない?/シャルダン・ブリオッシュは新年のデザートに
パリのパン屋さん、バターのいいにおいがしてきました。どれもおいしそう。
だけど今日は、ブリオッシュ!
このツヤツヤはどうでしょう。フランスで生まれたブリオッシュってパンだと思っていたら、
フランスの王様ルイ15世やマリー・アントワネットのお姫様の時代から、ブリオッシュはお菓子だったのです。
ノルマンディで作られたバターと卵がたっぷり!贅沢でとびきりおいしいデザートでした。
シャルダンが描いたブリオッシュは、金の縁取りのお皿の上に、2階建てみたいに大きくふくらんだブリオッシュ。
小さな白い実をつけたヨーロッパヒイラギがさしてありました。
そして、バラの花がついたあのシュガーポットの砂糖をさらさらっとかければ、ブリオッシュは雪の山になるのです。
300年も生きる聖木と言われるヒイラギを飾って、ブリオッシュはクリスマスや新年のお祝いにぴったりのお菓子になりました。
あそこの金色に輝く瓶は食後のお酒、これはきっと甘いデザートのポルト酒です。
あれ?グラスがないけど、どこに?
ああ、ここに。
もう1枚の果物の絵にありました。シャルダンはこの2枚の絵を左右組にして飾るように、描いたのです。
シャルダンの絵は、三角のピラミッドの位置に置かれた果物や食器でバランス良く、
並んでいる物の中から、クッキーやさくらんぼのジクがちょっとだけ机からはみ出して、こっちに向かって絵から飛び出てくるように見えます。
シャルダンのもう1枚の絵にもピラミッドがありますね。飛び出しているのもあるかな?探してみてください。
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Jean-Siméon CHARDIN
La brioche 1763 Pendant de Raisins et grenades.
ジャン=シメオン・シャルダン
ブリオッシュ 1763 (葡萄と柘榴のための組の絵)
Jean-Siméon CHARDIN
Raisins et grenades 1763 Pendant de La Brioche
葡萄と柘榴 1763 (ブリオッシュのための組の絵)
お読みいただきありがとうございました。
(全くの濡れ衣ですが)マリー・アントワネットの言葉として有名な「お菓子」を食べればいいじゃない、は、マカロンのようなお菓子じゃなくてブリオッシュだったのですね。
シャルダンのブリオッシュは、いかがだったでしょう。ルーブル美術館でもひっそりと、その上品な美しさをゆっくり楽しめます(展示室は混んでいません)
当時、どのジャンルよりも下に見られていた静物画、シャルダンは多くの貴族たちにその良さを認めさせてルーブル宮殿に住み、そこにアトリエまで持ちました。この絵は、1763年のサロンで展示されすぐその年、ルイ15世下で閣僚の長寿記録を持つ国務大臣のラ・ヴリリエール公爵が所有者になったと記録がありました。
今回、この絵に出てくるクリスタル瓶の中身がなんのお酒なのか調べてもわからなかったので、フランス菓子に詳しい友人お菓子研究家の大森由紀子さんに伺いました。「デザートのポルト酒かあるいは、もしかしたら18世紀にロレーヌを治めていたレクチンスキー公が、硬くなったクグロフにマラガワインをかけて柔らかくして食べていたと記載している文献があるので、マラガワインかも。どちらの国と交易が盛んだったかによる」とのこと、お菓子の世界も深い!(彼女とは出席番号順席を前後していた女学生時代の友人なのです👯) 次回は近くマリー・アントワネットの本を出版だそうで、たまたま話題が重なりました。彼女のフランス菓子の本はたくさん出ていますが、フランス人にも忘れられているお菓子を再生、美味しく作られて大人気です。今月出版の美しい本↓
クリスマスを終え、日本はお正月に向けての準備でお忙しいことと思います。こちらのツリー🎄は、まだまだ、新年明けてもずーっと飾ったままですから気楽です😆
この慌ただしい年の瀬、ブリオッシュとコーヒーでひと休みもふた休みもしながら、どうぞお大事にお過ごしください。