ルーブル美術館、オーバーツーリズム
つい先日、朝のNHKの番組で、ルーブル美術館の混雑ぶりが伝えられていた。特に、誰でも知っている名画(番組ではモナリザを見ようとする多くの人たちの映像が映し出されていた)の前での人だかりのすごさを強調していた。
ルーブルの一日あたりの来館者数は約2万人近いとのこと。そういえば、先日行ったモネ展は来館者数は70万人を突破、とのこと。会期中の開館日を考えると一日7千人くらいか。ルーブルの広さを考えると、モネ展のほうが人の密度は高そうな印象。
自分がルーブル美術館に行ったのは大学時代(自分にとっての初めての海外旅行)、もう35年も前、昔すぎて比べるのは気がひけてしまうのだが…
ちょうど日本はバブル景気で浮かれていた頃、フランスもそうだったがヨーロッパで見かけるアジア系の旅行者といえば、ほとんどが日本人だった。
ヨーロッパもEU圏が成立する前で、国を超えての往来は今ほど活発でなかったのだと思う。
そのせいか、有名な観光地も人でごった返している、みたいなオーバーツーリズムとは無縁だった。
ルーブル美術館もしかり。入場料が無料になる(当時はそうだった)日曜日は、入館するのに少し列ができていたが、平日はすぐに入場できた。
中が広いせいか、人がそれなりにいてもさほど混雑感は感じなかった。
名画の前も少し人のかたまりができている程度だった。あっさりと、モナリザのような超有名な絵にも対面することができた。こんな独占するような感じで絵が見られるんだ(当時も今ほどではないけれど日本では人気の美術展は混んでいた)、と感動したのを覚えている。
オルセ美術館やオランジュリー美術館、マルモッタン美術館なども同様だった。ゆっくりと自分の好きな絵を楽しむことができた。
オーバーツーリズム、世界のいろいろな人たちが手軽に国内旅行、そして海外旅行を楽しめるようになったことの産物なんだと思う。
多くの人が旅行を楽しめるようになったのはよいことなんだろうけれど、その分、得られる感動が少し薄くなっているようにも思う。
35年前のような、のんびりと楽しめた(ネットは当然なく、情報収集はたいへんだった)頃がとてもなつかしい。