子供のための「はじめての美術館」おとなの教養、美術館初心者の皆様にも/パリの美術館から1回1作品
子供のためのルーブル美術館の記事をマガジンにまとめました。 他ブログから移行した記事がある為、通し番号がまだ揃っていません。
子供のためのオルセー美術館の記事をマガジンにまとめました。
子供のためのオランジュリー美術館の記事をまとめました。
子供のためのプチ・パレ美術館の記事をまとめました。
2023年のオランジュリー美術館企画展から 1930年代のマティスの危機とその転換 切り絵誕生までのお話 全5話
パリ・ルーブル、オルセー、オランジュリー美術館から1回1作品、日本では紹介されていない作品も楽しいおはなしでお伝えします。 noteの掲載は7年前に考えていたのですが度々の病気療養などもあってやっと再開、noteに発信できるなんて!今まで皆さんの記事を拝読するばかりでしたのでとても嬉しいです。 私は、在欧35年、美術館関係の夫の帯同で渡欧、以来日本での仕事だった楽器指導をヨーロッパに住む子供たちに続けてきました。その子供たちも社会に出ていくようになり一段落したので、楽器を
むかしむかし、中世の時代から、ピエロの格好をした道化師は宮殿に住み、いつも王様のすぐそばにいました。 ユーモアと皮肉のまじったおもしろい話をしてはチクリチクリと、王様にとって耳の痛いアドバイスもすることができる機転のきく賢い道化師が宮殿にいたのです。 とがった帽子に、不気味な顔がついた杖を持ち、 服につけたたくさんの鈴をシャンシャン鳴らしながら、道化師は王様の前に現れます。 あ、ガーデンパーティーにも! そんな道化師は、シェイクスピアの有名なお話にも登場しました。
今から380年前、フランスにはルイ13世という王様がいた時代です。 ル・ナン兄弟はとても仲良しの3人兄弟の画家。農民や家族が集まる食卓の絵を描きました。今日は兄弟の真ん中、ルイ・ルナンの絵です。 見たことのない色の絵 めずらしい色の絵はみんなを驚かせました。 曇り空に照らされた灰色、黄土色、レモン色。 そしてルイはそこに、赤と緑を子供達の服の色で散らばせます。 昔からの古い小屋、使いこまれた荷車もすっかり灰色です。 積まれた黄色い干し草はたくさんの収穫で屋根より高く
いつものノルマンディの海峡とは全然違う海 ガリガリとがった岩、ぶつかって泡になる波。 ブルトン諸島の島に初めて行ったモネはびっくりしました。 今まで見たことのない海だったのです。 岩と岩との隙間にも海は容赦なく入り込んで。この勢い、このぶつかりあいはどうでしょう。 絶えずしぶきをあげる波を、モネは幅広い筆で短くぐいっぐいっとキャンバスにぶつけていったのです。 モネの前にはもうこの海があるだけで、いつもの広い空は全然見えません。 嵐が来るぞ! 島はあっという間に灰
水の上の白、土の上の白 今日は静かなセーヌ川に出よう! カイユボットは大好きなヨットを細長いキャンバスに描きました。 ヨットの帆は、 少しの風でも帆の先がピンとして、真っ白のとがった三角になりました。 まぶしい白! するととたんに水の上に、白いしましまがいくつも重なって、ゆらゆら向こうのほうまで流れていきました。 カイユボットの三角の白色は、青の水に飛びこむくらい元気な白です。 さて、ここはアルルの遊園地のはじっこ。 ゴッホは、ボヘミアンの旅人たちの絵を描きました
美しいものたちがいる洞窟 おでこに目玉がついている! 三つ目の巨人ポリュペモスは、人を食べてしまう恐ろしい怪物です。 ところがどうしたことか、今日のポリュペモスはなんだか悲しい目をしています。いったい何があったのでしょう。 実は、大好きな妖精ガラテアが洞窟に入ってしまって、会うことができないのです。 赤いサンゴの髪飾りをつけた真珠のように美しいガラテアは、海の底の小さな洞窟にいました。 薄暗い洞窟にやっと届いたお日様の光で、海の底まで届くくらい長い金色の髪の毛がキラキ
新しい町になっても ルーベシエンヌに広がる野原、ここはまだ道もできていないけれど、茶色の土の筋が向こうの方まで続いています。 あそこの家は建ったばかり、きっと暖炉があります。屋根には新しく煙突がいくつもできているから。 この町でも工事が始まったのです。 野原には木材がいっぱい。 パリからすぐのルーベシエンヌに住んでいるピサロは、町の開発が進む中、まだ昔の姿が残っている田舎を描きました。 昨日の雨で地面はちょっとしめっていたけれど、今日はお日様でふかふか、土はすっかりあ
パリの劇場にスター誕生 今から300年前、劇団コメディ・イタリアンが作った劇に、ピエロ、という名前のキャラクターが生まれました。 優しくて純粋でおとなしい性格のピエロは、みんなにどんなに笑われても、何を言われても、舞台でまっすぐ立ったまま。それがまたおもしろくて、大変な人気者でした。 画家のワトーは、そんなピエロが大好きでしたから、たくさんのピエロの絵を描きました。 ピエロの衣装はいつもこれです。 白いフリルの襟、新しい真っ白なスーツに下までつづく白いボタン。 頭の
おはよう まだぐっすり寝ている子犬のいる休日の朝。 朝の日差しはまだやわらかくて、カゴの中の子犬は小さな寝息をたてながらときどきピクッと耳をふるわせます。 ゴンザレスがパステルで描いたピンクは、パールグレーとホワイトで、ふんわりますます透明になりました。 そして、子犬のタオルとリボンの青色は、朝のひんやり冷たい空気のよう。やわらかすぎるピンクの絵をひきしめます。 そういえば、ゴンザレスのあの油絵にも、青とピンク、ありましたね。 びっくりするくらい力強くてダイナミック
このブドウのおいしそうなこと! 手に取ったらちゃんと重さが伝わってきそうです。 まるで本物そっくり、生き生きと果物を描いたルイーズ・モワヨンは、まだ20歳になったばかりの女性でした。 モワヨンは、フランスで初めて、果物や野菜の静物画に人を一緒に描いたチャレンジャーでした。 これ、熟しているかしら? マルシェに買物に来た女の人は、かごからあふれそうなたくさんの桃を持った売り子に聞いています。 いい絵を描こうと野心のある若いモワヨン。 黒い影や暗い縁どりを描いて、絵から浮き
今日も雨、ひと雨ごとに冬が近づくパリ。マドレーヌの街かどから、 サン・ラザール駅の坂を上のほうまで歩いていくと、ここは新しくできあがった道路。 傘をさして先を急ぐ人たち。あそこには馬車も走っています。 カイユボットは、この雨が降る駅裏の新しい通りを描いて印象派の展覧会に出しました。この大きい絵にはみんなが驚き、話題になりました。 石畳の通りはどこまでも続いているように見えるし、遠くまでいっぺんに見渡せるくらい広く見えるのです。 新しくなった石畳は雨に濡れて光っているけ
いったい何が? こんなさびしい場所にたったひとり。後ろにはお墓が見えます。 この少女にいったい何があったのでしょう。 冷たく薄い色のドレス、首の暗い影。少女の左わきに見える黒い土まで悲しい色をしています。 動こうとしているのに、だらんと置かれた手は全然元気がないし、 いっぱいに見開いた目には涙があふれて、どこを見ているのかもわかりません。 少女の住む島は、ギリシアとオスマンの戦いでめちゃめちゃになってしまったのです。 少女はひとり逃げ出したのでしょうか。もう誰もい
ノルウェーの女性画家バッケルは、窓から光がさすアパートの部屋を描きました。 バッケルはこの絵で、青を描こうと決めていたのです。 さあ、どこに青色があるか見てみましょう。 今から150年前のパリのアパート ぶあついカーテンを開けると、暗い部屋は、ぱあっといっぺんに明るくなりました。 植木鉢の植物もお日様を浴びて葉っぱを広げます。 窓ぎわに美しいシルエットの椅子があります。 日があたっている椅子は青色が光って、もう一つの椅子とは違う青です。 あそこで針仕事をしているのは、
今日のリボンは何色で? パリオペラ座のバレリーナはこれからリハーサル、リボンをきゅっと後ろで結んで出番です。 あっちにもひらひら、こっちにも。 踊り始めたリボンは白いチュチュのバレリーナといつも一緒。つやつやのサテンのリボンは、するりひらりと舞台を飛びまわるのです。 ドガはそんなリボンを、パステルで描きました。 結び目は2度きゅっと。 黒と、あと薄い青が光ります。 このリボン、斜めに描いてあるけれど。バレリーナはどんなかっこうをしているんでしょう。 ああ、あそこに。
ここはパリのチュイルリー公園、この前までオリンピックの気球があったところです。 パリ14区で八百屋をやってるジュニエおじさんは、新しい馬、ローザがお気に入り。 日曜日には、馬車に乗って公園に散歩に出かけます。今日は姪のレアも一緒です。 みんなの顔は、ちょっと誇らしげでしょう?なにしろ新しい馬車なんですから。 なんて気持ちのいい道! ここはパリでも人気の公園だから、 自慢の馬を走らせるジュニエおじさんは、どんなに嬉しいでしょう。 アンリ・ルソーは、こんな楽しい不思議な
空飛ぶ白馬と 昔のお話に出てくる白馬は、空を自由に駆けまわってどこにでも飛んでいけます。ほら、こんなふうに。 ルドンは神話のお話を、夢の中にいるようなきれいな色のパステルで描きました。 白馬たちは、その背に光を受けて浮き上がり、 まっすぐ上へ行けば行くほど、空は晴れやかな色になります。青やエメラルドの緑はきらきら輝いてまぶしいくらい。 けれど、下の方では暗い不気味な闇に、なにかうごめいています。 あの黄色いしましまの丸いものは、いったいなんでしょう。 ルーブル美