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語学エッセイ集

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ことばについてのエッセイ集。外国語学習のこと、気になる言葉、好きな言葉をまとめました。また、「激論」したことをこのマガジンに含めています。
文章の書き方やテーマの見つけ方をまとめました。また、英語以外の外国語の話題も取り上げています。哲学…
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#小説

読書📖井上靖 | 氷壁

読書📖井上靖 | 氷壁

  井上靖「氷壁」(新潮社)を読みました。山岳小説でもあり、不倫小説でもあり、ミステリー小説でもあり、既存のジャンル分けでは収まりません。

 物語は小坂と魚津という男性と既婚者・美那子との恋愛感情のもつれを中心に展開していきます。
 小坂と魚津は登山という共通の趣味があり親友ですが、互いに美那子には恋愛感情を持っています。端的に言えば、親友でありつつ、恋愛に関してはライバル関係にありました。

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🎅ファンタジー小説✨💖🎄「(株)サンタクロース」

🎅ファンタジー小説✨💖🎄「(株)サンタクロース」

(プロローグ)わたしは三田交。「みたまじる」と読む。
またの名を「サンタクロース」という。
最初は「日本名の音読み+英語」を文字って「Santa Cross」にしていた。「石橋」を「Bridge Stone」としたのと発想は同じ。その後、英語名は、なんとなくSanta Clausと変えた。

わたしが「サンタクロース株式会社」を設立したのは二十歳のときだった。クリスマスに七面鳥🦃を食べる習慣を日

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短編 | 日本橋

短編 | 日本橋

 彼が上野の美術館にいっしょに行きたいというものだから、付き合うことにした。フェルメールの「真珠の首飾りの少女」を見たいという。

 東京へ行くのは久しぶりのことだから、ついでに少し日本橋辺りを歩きたいと言った。彼には詳しいことは話していないけれども、私は2年間、銀座でホステスをしていたことがある。
 
 自分でいうと自慢話みたいに聞こえるかもしれないけれども、頑張って毎日通っていたときには、店で

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 [#創作大賞感想] | 完結『漂着ちゃん』

[#創作大賞感想] | 完結『漂着ちゃん』

 4月下旬から書き始めた長編小説『漂着ちゃん』。
 昨日、ようやく書き終えて「最終話」を投稿しました。

 現在、創作大賞用に投稿した『漂着ちゃん』を「固定記事」にしていますが、
私の『長編小説マガジン』にも登録しています。

 固定記事のコメント欄か、記事として感想を聞くことができたら嬉しいです。

固定記事

『漂着ちゃん』(第1話~第50話)

長編小説マガジン
『漂着ちゃん』(第1話~第5

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エッセイ | 小説の書き方

エッセイ | 小説の書き方

 noteを始めてから、小説を書くようになった。そして、それなりに、どう書けば読んでもらえるかということを考えるようになった。

 小説は、俳句や短歌とは異なり、文字数の制限がない。だから、どれだけ長く書いてもよい。優れた長編小説も数多くある。

 しかしながら、noteで小説を書くならば、明らかに短編小説のほうが読まれやすい。もちろん、noteでも、優れた長編小説を毎日更新されている方もいるが、

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谷崎潤一郎 | 魔術師

谷崎潤一郎 | 魔術師

00:00 | 00:00

※試聴版です。オリジナル版(02:48)はマガジン購入すると視聴できます。

谷崎潤一郎(作)「魔術師」の冒頭の朗読。
怪しげな雰囲気で物語が始まる。

三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)

三島由紀夫 | 小説読本(中央公論新社)


はじめに

 最近、まともな物語がまったく書けない。「いや~あんたは前からまともな作品なんて書いてないじゃないか」と言われればグウの音も出ないのだが、少なくとも自分で納得のいくものが書けていないという意味でスランプ状態である。

 それなりに多くの小説らしきものはたくさん書いてきたが、長編小説と呼べるようなものは皆無であり、思い付いたことを、ただ何の構想も練ることなく、書き連ねてきただけに過ぎな

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詩 | 毒女に成り果てて

詩 | 毒女に成り果てて

本当は分かっている
私が生きる喜びについて語るのは
まもなく自分が死ぬということを
明確に知っているからだ

何とか抗がん剤で
繰り返し繰り返し
誤魔化してきたけれど
その効果は失われつつあることを

最初は自分の人生を呪い
次には医者を呪った
世話になっているパートナーを罵り
挙げ句の果ては関係のない
SNSの相手さえ罵倒することを覚えた

明らかに薬の効果は弱まっている
セカンドオピニオンを求

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クリアな文章の書き方

クリアな文章の書き方

 わかりやすい文章が必ずしも名文とは限らない。しかし、どんな素晴らしい意味が含まれていても、人に理解されなくては意味がない。
 今までも何度か書いているが、改めて「わかりやすい文章」についてまとめておく。

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エッセイ | 小説の読み方

エッセイ | 小説の読み方

 一編の小説を読む。簡単なようで、なかなか難しい。

 実用書を読むときは、何らかの知識やノーハウを知りたいと思って読むから、自分がすでに知っている箇所は、読み飛ばすことも多い。

 小説を読むと言っても、大人になって読む場合は、学生時代のように、決まった教科書があるわけでもないし、試験で読まざるを得ない場合とも異なる。

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