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#恋愛小説が好き

恋愛小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

人気の記事一覧

LINEで恋愛を成功させるためのテクニック

ラインで恋愛を成功させるためのテクニック 現代の恋愛において、LINE(ライン)は欠かせないツールです。上手に使えば、気になる相手との距離を縮めたり、関係を深めたりする強力な武器になります。しかし、使い方を誤れば逆効果になりかねません。この記事では、ラインのやり取りで恋愛が上手になるための具体的なコツをお届けします。 1. 基本を押さえる 1-1. 誤字脱字を避ける 相手に好印象を与えるためには、メッセージの誤字脱字に注意しましょう。軽いミスでも相手に不注意な印象を与

¥100
割引あり

宝石のような恋で過ぎる時 -名作小説『シェリ』の面白さ

    【水曜日は文学の日】   恋愛小説において、惹かれ合う、あるいは反発する二人の立場が違って、ドラマが大きく盛り上がるのが、いわば王道と言えると思います。   フランスの小説家コレットが1920年に出版した小説『シェリ』は、年上の女性と若い青年の恋愛を扱うそんな立場の違いを含めた、大変興味深い小説です。 49歳の高級娼婦レアは、25歳の男性フレッドを「シェリ」(愛しい人)と呼んで囲っています。美しいシェリを愛しつつ、自分の老いも薄々自覚しているレアは、シェリと若い娘エ

パリもちピッツァをどうぞ|連作小説⑦

1234字  どうしよう。いつもはほがらかな一青が顔をこわばらせ、黙ってしまった。扉がひらかれていると勘違いしてしまったのか。距離感をまちがえた?  花歩が動揺していると、魅惑の物体に思考をさえぎられる。  おせちに飽き飽きしたタイミングで、明太子マヨ餅ピッツァの登場だ。縁はこんがり、パリッサクッと小気味よい。生地はもっちり本格派。チーズとお餅がびよーんと楽しい。 「あ……っと、ヘンなこと訊いてごめんなさい」 「うん。それよりどうかな?」 「めっちゃ、おいしいです!」  

短編小説 | 曲の名は...

https://youtu.be/0xOD1rhDlgo?si=OSVwauskigjf0ew8  すこし換気でもしようかと、窓を開けたとき、ピアノの音色が聞こえてきた。どことなく切ない。しかし力強くもあった。 「あぁ、カナデさん。がんばっているんだな」  カナデさんは去年、桜の花が咲き乱れる頃にこの近所に引っ越してきた。 「カナデと申します。大学を卒業して、ここでピアノ教室を開くことにしました。なかなかグランド・ピアノを置けるような物件がなくて。音がうるさいかもしれ

甘酸っぱいごほうびタルトをどうぞ|連作小説⑥

1209字  職場に妖怪がいる。邪気をまき散らし、近づく者のやる気と生気を奪いとる『士気下げ妖怪』  口を開けば「しんどい」「だるい」「ツライ」  仕事内容、待遇、人間関係。すべてに不満があるらしく、隙をみせれば延々とグチを聞かされる。売上目標を達成しお祝いムードになっても、彼女の態度ひとつで一気に冷めるのだ。 「いやいや、あんたの言動がウザイんだが?」  面と向かって言いかねないから、花歩はありさが暴走しないよう神経を使う。 「陽子さんって名前なのにねえ」 「皮肉が炸裂

読書📖井上靖 | 氷壁

  井上靖「氷壁」(新潮社)を読みました。山岳小説でもあり、不倫小説でもあり、ミステリー小説でもあり、既存のジャンル分けでは収まりません。  物語は小坂と魚津という男性と既婚者・美那子との恋愛感情のもつれを中心に展開していきます。  小坂と魚津は登山という共通の趣味があり親友ですが、互いに美那子には恋愛感情を持っています。端的に言えば、親友でありつつ、恋愛に関してはライバル関係にありました。  そんな中、二人で登山に行ったのですが、ナイロンザイルが切れて小坂は転落死してし

サクサク海老フライをどうぞ|連作小説④

1199字 「言ったっしょー?ここはおいしいって」 「はっ。完全降伏であります」  同僚のなかでも妙に気の合う関ありさ。興味をとことん突き詰める行動派。フィギュアスケーターの推し活をしていて、シーズン中のため、鼻息が荒い。 「は~、快くん、神ってたあ。余韻に打ち震えてる~」  ウフフと変なタイミングで笑う、遠征帰りの彼女。人生楽しそうだ。 「スケート会場って寒そうだよね? 選手も演技の前後に鼻かんでる」 「カイロとレッグウォーマー、ストールで楽勝」  氷をも解かす推しへの

【特典3枚付き】ほのかの短編小説2

やっほー☺️ ほのかの短編小説がまたまたやってきた!笑 今回の小説は個人的にはね〜 40点くらいかな😅 前回の短編小説はちょっとしたコンクールに応募する用で構成から丁寧に作ったやつだったんだよね。 そして今回は即興で何か書いてみようと思って、つくった短編小説😊 なんとなくで書き出して、思いのままに物語を走らせた感じなの。 だから大体1時間くらいで書き終わったかな〜✨️ 書いてるうちにこんな人物にして、こんな行動させて、みたいに自由に書いてみた。 でも1時間で書いて

¥980

思わず配役を考えてしまう『婚活マエストロ』(宮島未奈)

『成瀬は天下を取りに行く』 が個性的でおもしろかったので、著者のその他の本を図書館で予約。続編となる本が来る前に上記の本の順番が回ってきたので読みました。 いやこれ、おもしろいです。 40歳の未婚のWebライター男性が、依頼を受けて婚活の記事に携わっていくうちに自身も婚活に巻き込まれていく?というあらすじですが、それぞれのキャラが立っています。 主人公の男性は、今の社会事情を表しているような設定です。 後半のほうでクセの強すぎる女性が登場し、電車のなかで吹き出しまし

アメジスト色の彼女|掌編小説 色見本帖

1111字 「もっと自信満々のテイでいったほうがいいと思うな」 数年ぶりに立ち寄ったラーメン屋の片隅。オレは今夜はじめて会ったその女に、説教を垂れる。 「テイですか??」 「そう。フリでもなんでもいい。鎌をかけるってやつ」 カマ?と顔にはてなを浮かべ、ぽやっとしている彼女。 ここのオヤジさんの娘だが、ニンニクくさくもなければチャイナドレスを着ているわけでもない。なんというか、森の妖精みたいなはかなさがある。 テーブルに並んでいるのは、鉱物25種類。石ころにしかみえない物体

恋愛ポエム 『あるべき告白♥』

人が人に《好き》を告げる 本来、告白は恥ずかしいことではありません 緊張することでもありません 愛は100%、ポジティブな精神活動だから。 なのになぜ? なぜ人は、告白をためらってしまうのか? 《告白をためらってしまう》 その理由は、告白そのものに 大きな価値があるからです つまり、こういうことです 恥ずかしかったり、緊張したり 言葉が出てこなくて、たどたどしかったり、 告白する姿は、人の本性の顕れであるから 表情や態度から、告白者の性格が相手に伝わる。

#青ブラ文学部 ショートショート冬の香り

この記事は山根あきらさんのこちらの企画に参加する記事です よろしお願いします 悠馬と初めて会ったのは、 大学1年の10月半ばのことだった。 悠馬はと俊哉はともに大学3年生。 田舎から都会の大学に出てきた圭奈は 入学式の日からずらりと並ぶ サークル勧誘の看板や呼び込みを ただ俯いて 逃げるように通り過ぎる二カ月間だった 妙な明るさとテンションの高さが ただただ怖かった 前期の試験もおわり キャンパスがすっかり静かになったころ 長尾悠馬と田中俊哉の2人だけが、図書館の前で

黄金の女神|掌編小説 シロクマ文芸部

                               777字 紅葉から声がすると言ったら、彼は笑った。 「ほう。なんて?」 「やっと色づいたのに、もうお別れだなあ」 言ってから、私はパッと口に手をあてる。 「ん?どした」 「言霊的にはよくなかったかも…」 そう、まさに今の私たちのよう。長い間、友人だったのが、しだいに色を変えていった。今日はちょっと遠出して、紅葉狩り。まぎれもなくラブラブデート。いや、ラブ要素は主観です。 「ああ。よくないねえ」 後ろで手を組み、並

童話 | ある騎士の物語

 1772年春のことでした。厳しい冬の終わりを告げるかのように、湖はしだいに緑が芽吹きはじめました。  名門出身の騎士・アルナスは、いつものように領地を一通り巡回したあと、湖面に浮かぶ夕陽を眺めたのでした。  美しい。世間の喧騒を離れ、言葉を忘れるひととき。この城に帰るまでの、ぼうっと出来るひとときは、アルナスが人間らしさを取り戻す束の間の時間だったのです。 「さて、少し冷え込んできた。そろそろ帰ろうか?」  そのときのことです。アルナスは、湖へつづく森の小径を歌を歌い

【#毎週ショートショートnote】誤字審査

福山雅治似のイケメン、世界的大企業勤務、資産家の御曹司・・・それでもフラれ続けていた。 でも仕方ない、難しいんだもの。 ある日、とある資産家令嬢との縁談が持ち上がった。 一体何人目だ? しかし僕もそろそろ30歳。 いい加減に結婚して世継ぎを、ということだろう。 僕は縁談を受け入れた。 そしてお見合いの日。 相手は吉岡里帆似でとてもおしとやかそうな女性だった。 僕はこの女性に一目惚れした。 話が盛り上がり、あっという間に終わりの時間となった。 そのとき、スッと

地元の秋祭りで元カノに会った

地元の商店街で秋祭りがあった。1000円あれば余裕で楽しめる小さなお祭り。たこせん、あてもん、グリーンティーはここで覚えた。 家族と行った記憶は、ほとんどない。小学校高学年になってから、友達と行って楽しんだ。お祭りの日が近くなると、誰と行こうかソワソワしていた。ただ、自分から誘うと相手に断られたときに泣きそうになるから、誘われるのを待ってるタイプだった。当日になっても誘われる兆しがないときは、表には出さないが半泣きになってた。 そんな地元オブ地元のお祭りに長女と次女を引き

中年ラブ・ストーリー

「冬の夜、寒空の下で団子なんて、と思ったでしょう」  学者の城田さんは人差し指で鼻の下をこすった。照れているわけではなさそうだ。城田さんにおいては案外自信家で、そうそう照れるなんてことはない。というより、照れるタイミングや照れ方が一般的ではない、ということは言える。  クリスマスが近づくこの時期、人気の商業施設は一層華やかさを増す。一方で、その裏手にある公園はあまり存在を知られていないのか、人通りもなくひっそりとしていた。そんな公園の中のベンチに、城田さんと私は横並びで座り

掌握小説 雪のひとひら

この小説は山根あきらさ #青ブラ文学部 #雪のひとひらに 応募作品です 山根様よろしくお願いいたします わたしたち6人は、高校の生徒会の仲間だった。 各学年から2名ずつ選ばれ 経験者1名を必ず残し、スムーズに運営ができるように 長い間受け継がれてきた運営方法だった 高校最後の年 壮太とわたしが3年生 悠馬と遥が2年生 健と陽子が1年生だった わたしも2年間役員を務めたが、 前の年よりこの6人の空気感が好きだった。 それは自分が先輩と呼ばれる立場だったからかもしれない。

創作大賞中間選考通過 ありがとう 恋愛小説部門|おべんと攻防

ほえ? 創作大賞の中間選考結果発表って今日だったの・・・? へええ たくさん応募したよなあ...( = =) トオイメ と、ひとごとだったわたくし このところ企画祭りで忙しく、やっと一段落してふぬけておりました ご報告いたします 恋愛小説部門に応募していた「おべんと攻防」が中間選考をパスしていたのです!! 教えてくださった歩行者bさんのジョークかと思いました rira女神からもご一報いただき、真実味が増してきまして マジのようです この目でたしかめてきました 「おべんと攻

言葉に響かない人たちを友人にはしない方がいいかもしれない💛少ない武器を最大限に生かすことが賢さの一つである🐼

人は言葉を巧みに駆使する動物です。その点では地球上最高の生物かもしれません。しかし、この言葉を一生懸命学ばなかった大人たちには、私たちの言葉が通じない時があります。 私の甥っ子はもうすでに2歳の頃には言葉をペラペラ話していました。その内容は大人顔負けで、正直なところFランク大学の学生の会話力よりも遥かに上でした。 ちなみに、私がそのレベルに達した時期はどんなに早くても4歳頃だったと思います。私は一時期祖母のところに預けられており、その影響で多弁になりました。ただし、その語

恋愛応援メッセージ 『恋の季節に思う♥』

 恋に生きる人が好きだ。  子供の頃から ひどくロマンティストだった。だから僕自身が恋多き男なのは、当然なんだけど。(この秋は9月に生まれたインコのヒナにまで恋をしている)  他の人たちを見ても思うのです。恋をする人、恋を叶えるために努力する人は、やっぱり素敵だなって。  人間に素晴らしいエネルギーを与えてくれる。それが恋でしょう。このエネルギーとは、生きるモチベーションや向上心のこと。  例えば恋をした乙女は活動的になり、目はキラキラと輝く。多くのケースで声のトーンが半

【#毎週ショートショートnote】釜揚げ師走

年越しは独りか。 俺は深いため息をついた。 先月彼女にいきなりフラれ、クリスマスはバイトを入れて消化した。 クソッ!! 俺は失意の底に沈んだまま年越しを迎えようとしていた。 自宅にいてもモヤモヤするからメシでも食いに行くか。 俺は街をブラブラ歩き始めたが、ふと路地裏に目を向けたとき、 「米豚製麺」 という店を見つけた。 こんなところにうどん屋なんてあったっけ? それ以上深く考えず入店してみると、うどんは無く、目の前にはガラス張りの部屋があり横に券売機があっ

自筆短編 「テラス3番席の彼」

テラス3番席の彼 ここは石畳の道にレンガの建物が並ぶ、そんな通りにあるひとつの店。 店内には小さな赤い絨毯の敷かれたステージがありそこにはグランドピアノが置かれている。 珈琲の香りと煙草の煙。 そして奏者の弾くカーペンターズのclose to youがゆったりとした時の中で流れている。 ここはヨーロッパ最古のカフェと謂われているヴェネチアのサン・マルコ広場にあるカフェ「フローリアン」をイメージして作られたそうで、この界隈では人気のあるお店だ。 ウエイトレスの咲希はテラス席

誰にも読まれなくてもあなたが小説を書くのはなぜですか?

自問自答のための設問です。 私の私による私のための記事です。 問1 誰にも読まれなくても 日記を書きつづけている人は きっとたくさんいることだろう しかし  誰にも読まれない小説を書き 投稿しつづけられる人は いるのだろうか? 問2 ひとりで小説を書きつづけ 誰にも読まれることなく まして出版されることもなく 死んでいった人の作品の中に 仮に出版されていたら 後世まで語り継がれるような 名作になり得たものは あっただろうか? 問3 有名作家であれ 没後10年経て

コミカライズ原作決定ってどうやるの?(&新作お知らせ!)

1年ぶりの新連載のお知らせです!今日は作品のお知らせと、原作決定までのお話をさせていただきますね。 まずは作品情報です。 今回は原作小説がある異世界転生恋愛もののコミカライズ白黒横読みです。 異世界転生とはいえ、舞台はけっこう近代のヨーロッパで、THEオトナの少女漫画!な感じです。 「溺愛」「じれきゅん」「両片思い」「純愛系でオトナ向け」 「筋肉男子」「眼鏡男子」「不器用純情」「初めて同士」「エロきゅん」 この辺りが好きな方にはど真ん中に刺さる作品だと思います。 原作は 冬

現代語訳 | 国木田独歩 | 星

 国木田独歩の短編に「星」という作品があります。擬古文で書かれています。このままでも十分に意味が通じますが、現代語に翻訳してみます。  「翻訳」というよりも、「翻案」に近いかもしれません。  「星」という作品はおとぎ話のようなお話です。国木田独歩は、日本の作家の中で、私が最も好きな作家の一人です。 原文はこちら(↓) 国木田独歩 『星』 https://search.app/JvvA9qrZRPtgj1qm9 国木田独歩「星」 現代語訳 |  山根あきら 都会に近い田舎に

ブリュッセルワッフル 1

 簡素なB・Bに宿泊していた。  床が石造りで壁は白く塗られていて、バスルームはシャワーのみの共用だ。支払ったpayに相反して、温水が出るのが有難かった。  木目の鮮やかなベッドフレームに、マットレスには紫色の平織りシーツがかかっていた。そしてゆで卵と冷めたトーストにジャム、サラダがついて熱々の珈琲が用意されていた。  そうしたBedとBreakfastを提供するだけの、安宿を根城にしていた。    アントワープの市街は感謝祭に向けて、やはりどこか浮かれている。  どの店も技

あの紙ヒコーキくもり空わった先に見えた僕らの春。

ユキは白い紙を飛ばした。 目が見えないユキは、折り紙は僕の手を添えてやらないとできない。 紙の手触りをひとつひとつ確かめて、 うんうんと小さく頷く。 まるで、小さい子どもだ。ウェーブのかかった くりいろの髪からは僕の好きなシャンプーの 香りがする。 紙ヒコーキが無事に折れたユキは、 満足気に微笑んだ。 飛ばす前にちらりと見たら、内側に 薄く文字が書いてあるようだ。 今まで気がつかなかった。 スマホの音声変換で、なにかいたの?と問う。 はる、だよ。 はるが、くる。

【#毎週ショートショートnote】缶蹴り恋愛逃走中

とある公園で近所の小学生5人が集まって缶蹴りを始めた。 男の子3人に女の子2人。皆、同じクラス仲間だ。 「じゃんけんぽん!」 男の子1人だけがパーで、他の4人は全員チョキだった。 4人のうちの一人が空き缶を思い切り蹴飛ばし一斉に隠れた。 「やっと二人きりになれたね!」 一緒に隠れた子の手を握り、 「今のうちに二人で別の場所へ逃げちゃおうよ!」 と言ってこっそり公園から抜け出そうとしたまさにその時、 「どこへ行くの!ダイチくんは渡さないから!」 大声で走ってき

【短編小説を募集】「すべて失われる者たち文芸賞」を開催

ふと思い立ったので、note上で個人文学賞「すべて失われる者たち文芸賞」を開催します。メディア界で二〇年以上で働き、書籍の編集も多く手がけてきた編集者兼ライター(兼小説家)が審査員を務めます。 作品のテーマは不問です。 応募条件は四つあります。忘れずに。 概要は以下のとおりです。奮ってご参加ください。概要などについて追記がある場合があります。あらかじめご了承ください。 すべて失われる者たち文芸賞 概要 審査員の作品はこちらから確認できます。

星々の屑

 日輪が傾いて、海面が黄金色に輝いている。  あたしは冷めてしまった缶珈琲を右手に持って、砂浜を歩いている。スニーカーに伝わる感触は柔らかく、雲のうえを踏むようだ。  海風は冷たくて、スカートの中を駆け回って、ふいってそっぽを向いて逃げていく。失礼なだけで、悪気はないのね。  ああ。ボトムズの選択を誤ったな、そう考えている。  でも海辺に出る女は、膝丈くらいが可愛い。そう信じているだけだけど。だから調子に乗ってる北風で裾が乱されても、指で押さえたりは、しない。    そこは硝

ショートショート 『恋に落ちるとなぜ苦しいの』

「あ、思ってたのと違う!」 何が? 「恋をしてる状態だよ。もっとポップに捉えてた。普通にめっちゃしんどい」 あれだけ映画や小説や音楽で、恋愛の辛さを描いているのに私たちは 彼/彼女たちの苦しみ方をなぜか想像できない。 ギャルっぽい友達が言っていたことがある。 「私もう本気の恋愛は無理、しんどいもん」 その子は、友達の前ではイケイケの勝気な性格で、怖いもの無しといった感じであるが、 そんな彼女がそういう弱気なことをいうので、 その時に、以前に私が誰かに恋に落ちてしまった

短編 | あなたは神様を信じますか?

「愛実、そろそろ出掛けますよ」  日曜日は、いつも母と一緒に過ごしてばかりだった。  本当は友だちの「今度の日曜日は、メグちゃんと一緒に遊びたいな」という誘いに「うん、喜んで」と言いたかった。 「お母さん、メグはね、日曜日は、お友だちと遊びに行きたいな」 「なに言ってるの?遊ぶのは学校だけでいいでしょ?わがまま言わないで。お母さんの言うことを聞いてね」  友だちと一緒に遊びたいという私の希望は、一度も受け入れてもらえることはなかった。  他の同級生たちは、日曜日はみ

ショートショート 「優しい人」

わたし、もう帰るから。 ハルカはそう言って、無表情で私の目を見ながら確かめるように頷いた。 その声は、音量の割にすぐ居酒屋のクリーム色の壁に吸い込まれて行き、 別の席から聴こえてくる匿名的な軽い喧騒によって中和された。 YouTubeで「BGM 居酒屋の喧騒」で検索したら出てきそうな、そういうノイズに彼女の決心の塊は吸い込まれて行った。 ハルカが今までディベートでサジを投げたことはなかったので、 私は、いましがた私が彼女に浴びせた子供っぽい罵声がきっかけで、 彼女が本気

ショートショート 『もすきーと』

「ルルちゃんは?好きな俳優さんとかいる?」 「私わぁ」、目を右に向けるルル。 で、バーカウンターを挟んで彼女の左前方にいる俺の方を向き、照れ笑いを見せつけてくる。 「あいみんちゃんは?」 え、私に質問してくれるの?待ってましたとばかりにあいみんが視線をよこす。 俺が、グラスを右手で持つと二人が即座に俺の手先をみたが、おそらくそれは、右手の親指以外の指4本に太めのシルバーリングをつけていたからだが、 これを二人はどう捉えているのだろうか、攻めすぎて怖い?キモい? セクシー? ま

短編 | 星の数と同じ涙

 長い間付き合った彼と別れた。よくよく考えたら、彼と付き合うのがただの習慣になっていることに気がついたのだ。いつ切り出そうと思っていたら、彼のほうから別れを告げられた。  あぁ、やっぱりあなたも私と別れたかったのね、と思ったから安堵した。こちらから別れを告げるよりも、相手から告げられるほうが諦めもつきやすしね。

¥300

剱岳でショコラバーを

 なにかの冗談かな、と思った。  梅雨の終わりを告げるような雨で、Caféで雨宿りをしていたときだった。  晴登は大振りのマグでラテを飲んでいて、映画に誘うような気軽さでいった。けれど真剣な面持ちだったので、さらに息を呑み込んだ。 「だってまだわたし、初心者みたいなものよ。剱だなんて」  富山湾からの季節風を屏風のように遮る立山連峰があって、その主峰を剱岳という。毎年のように登攀者の命を散らす山として、近寄りがたい存在だと思っていた。 「ふうん、初心者だってもう言えないよ。昨

【毎週ショートショートnote】恋のカンフル剤

 美菜と瑛士は付き合い始めて5年になる。美菜は年齢的な事もあり多少焦りがあるが、瑛士はのんびりとしており、2人の仲はマンネリ化している。  土曜日に2人で街を歩いていると不思議な店があり、変なモノがあれこれ売られていた。店の壁に“長距離恋愛販売中”の張り紙があるのを見つけた。  店主に聞いてみると、マンネリ化したカップルのカンフル剤なのだそうだ。  2人は長距離恋愛なるモノを買ってみる事にした。  美菜が週明け会社に行くと急に転勤を言い渡された。しかも来週の頭には赴任

【#毎週ショートショートnote】長距離恋愛販売中

俺は長距離恋愛については未経験だ。 正直、数えるほどしか会えない状況ってどうなんだろう。それを継続する自身は俺にはない。 そんなある日、いつも通り暇つぶしにSNSを眺めていると、あるユーザーからフォローがあった。 その際にコメントが付いており、 「長距離恋愛、買いませんか?」 どういう意味? 新手の詐欺だと思い無視しようとしたが、今は独り身だし冗談半分で買ってみようかという好奇心から、 「いくらかかりますか?」 と返したところ、 「1万円でいかがでしょうか」

葡萄の告白|掌編小説 シロクマ文芸部

                             (1175字) レモンからキウイ、グレープフルーツまで。酸味の強いものも含め、果物は郁実の大好物。なかでも、葡萄は特別な存在だ。                              だまされた。 新任教師は顧問をするものだと教頭にそそのかされ、副顧問を引き受けたのがまちがいだった。 顧問は1カ月もしないうちに産休に入り、郁実は実質的な後釜に据えられた。申請はとうの昔に受理され、決定事項だったはず。ハメられたとし

着ぐるみとロボット ⒈失恋活動 目次 全15話 連載恋愛小説 完結済み 再掲

ひとめぼれをしたその日に、忍は失恋した。 彼の名前は、ハッコくん。発酵学研究室の公式キャラクターで、もふもふの紫モンスターである。 忍の所属しているロボティクス研究室とちがって、そのラボの知名度はあまり高いとは言えない。それを挽回すべく日々奮闘している、けなげな毛むくじゃらなのだ。 中の人が誰なのかは、比較的すぐに判明した。 忍の友人、宮城しおりの先輩だった。忍としおりは、ともに大学院入試をパスし修士課程1年だ。半年経つと、さすがに右往左往することは減り、自分のやるべきこ

ショートショート 『光がとどく』

その光は、そうだな、とにかく力強かった。 光ってなんだっけ?太陽からのエネルギー? そんなことどうでもいいだろ、そんなのはただの物質的な事実だ。 オレが言ってるのは、光が自分に届いた時の内面の変化の話だよ。 気持ちがね、明るくなるんだよ。シンプルに、そう、思ってるよりシンプルな話だ。 雑誌でしか見たことないようなご馳走が目の前に並んで、 好きな女が隣で笑ってて、 一本の重たいタバコを二人で交互に吸ってさ、 そういう時って、この世じゃない感じがするだろ。 丁度

詩 | Wäre ich ein Tropfen rein

Wäre ich ein Tropfen rein, was könnte ich schon mehr hinein? In dein Gesicht, so weich und zart, mein Bild zu malen, ganz und gar. Dein Durst, er könnte stillgestellt, ein Tropfen Trost, so sanft gemeldet. Wenn Tränen fallen, schwer und kalt, so sei ich einer, klein und alt. Mein Leben, nur ein kurzer Flug, vom Himmel komm ich, ohne Zug. Dem Wind mich gebe, leicht und frei, doch zu dir, wär’s mein Wunsch dabei. Die Schwerkraft, sie zu überwinden, ein Tropfen Liebe, zu dir zu finden. もしも私が ひとつの雨粒ならば 私にできることは何だろう? 小さいながらも あなたの顔を うつし出せるだろうか ほんのわずかではあるが あなたの渇きを少しだけ 潤すことはできるだろうか あなたが悲しみに沈むとき 涙の代わりに なれるだろうか? わたしの命は 空から落ちてくる間の ほんの一瞬に過ぎない 身を風にゆだねるしかないが できることなら少しだけ 重力の法則に抗って あなたのもとへ辿り着きたい

恋人はサンタクロース❤️

 たった4年前のことなんだけど。  クリスマス当日に私の家で女子会が開かれまして。  実は35年近く続いている、佳い関係の女子の発案で、私が一番落ち込んでいる時期に、皆で盛り立てるお膳立てをしてくれました。  それ以前にも定期的に、そうだな、2ヶ月おきにこんな会があったかな。少しでも身体を動かして料理に懸命になれば、鬱状態が治まるだろうと考えてくれたのだと思う。  この時期は精神的に一番ドン底で、愛犬がいてくれて平静が保てていたのだと思う。定期的に訪問する女子たちを、こ奴は

元旦の由布

 今年の元旦は湯布院を走っていました。  もう道路には霜の降りた厳冬期でした。  まだ薄闇の中でエンジンを掛けて、温情をかけての暖機タイムを取ってシフトを1速に入れて発進しましたね。ホテルの朝食も取らずに。  それだけ由布岳にさす曙光を見たかったのです。  鶴見岳も橙色に染まってゆき、凍てついた荒れ野で撮影しているカメラマンがもうひとりいました。帰り道で、この氷点下のなか、冬季装備で踏み込んでいく登山家とすれ違いました。  湯布院は朝靄のなかで幽玄な気配の町でした。  か

これは読むカウンセリング。機能不全家族からの復活を描くライトノベル『婚約破棄された研究オタク令嬢ですが、後輩から毎日求婚されています』

とんでもないライトノベルを読んだ。 もともと本が好きで、数年前からライトノベルも読むようになった。「小説家になろう」の有名作を中心に年間300本くらい。ほのぼのするもの、スカっとするもの、普通の作品……。そのどれもが娯楽としての作品で、それ以上をライトノベルへ求めたことはない。 それなのに、突然、とんでもない作品がですね。 出てきてしまった。 『婚約破棄された研究オタク令嬢ですが、後輩から毎日求婚されています』 タイトルを見たとき、「ふっつー」だと思った。すみません。

【短編小説】コーヒーの揺れる時間に(8100文字)

カラン。 思ったよりも高く、澄んだ音が店内を満たした。 最近懇意にし始めたカフェなのだが、どうも今日は客が少ない。 今日は店内が静かだ。 たまたま今日が木曜日だから客足が遠のいているだけなのか、はたまた雨がそうさせているのか。 カフェは少しざわめいているくらいが好きだ。 普段は話し声のこだまが心地よく、薄っすらと聞こえるジャズが夕暮れのこのひとときを彩る。 今日は一人だな―― カウンター越しに見えるマスターの姿も、今日はこころなしか小さく見える。 「ホットをひとつ」 いつ

¥200

ショートショート 『ビター プロファイル』

都会の、海みたいな駅で、あなたがゆらゆらと身体を揺らしながら待っていた。 そして、その横顔を見た瞬間に空気感が変わり、鼓膜に当たる音の質も変わる。 私には、あなたと、あなたの周りを泳ぐ大量の人たちが同じ生き物だとは思えない。 なんでいつもそんな余裕そうなの。 あなたの姿を目に入れることができて、この上なく嬉しいはずなのに、 私の意識は切なさを先に捉えた。 そのせいで、あなたの視界に自分を入れるのが怖くなった。 二人の時間をこれ以上進行させることが怖くなった。

面接は🎅クリスマス🎄

 さて今週末も面接です。  次がクリスマスの当日。  年の瀬なのですが、一身上の周辺が騒がしいぞ。  その予定が差し込まれてきたので、年末の旅をバイクから、FIAT500でのツーリングに改めました。流石に10泊ものロンツーになりまして。夏場ならまだしも・・・それにスーツなんてバイクに積めませんから。  流石に今週の面接は、交通手段がなくてバイクで参りますと連絡を入れています。歴代でも最もラフな面接になりそうです。  そして両者とも「料理」がミッションに含まれているので、当然の

恋愛系コント 『もう笑わないでくれ...』

別に僕はね... バカにされたとは思わない だけど笑ってほしくないんだ ああ、そうだよ もう君に笑ってほしくない 今までに何度も... そう、確か先週も君に注意したよね そんなに笑わないでって。 ふふふっとか、 クスクスッとか、 大きな声で、とか 控え目に、とか いろんな笑い方があるけれど そういう笑い方や声の大きさが 問題ではなくて ごめん... 僕たち付き合って、もう3年になる だから僕だって  こんなこと言いたくないんだよ だけど言わなくちゃ も