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「なぜ労働は読書から人々を疎外するのか」という話
はじめに:時間がないから本が読めないのか? 書評家、三宅香帆の新著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』が話題となっている。表題から「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」と問われているが、そんなものは労働に時間を奪われ、本を読む時間がないからだ。そう答えるだけで本書の問いに答えることが出来そうに思われるかも知れない。
だが、この回答は不充分である。というのも、日本の平均年間総実労働時間は
「理性の目覚め」という話
まえがき:メランコリックな世界 欲望にまみれた資本家たちによる労働者への搾取に抗ったはずの共産主義が、ソ連の崩壊とともに非現実的なものと思われるようになっていきました。左翼たちは共産主義という資本主義に代わる制度を失い、現代でも資本主義に代わる制度を打ち出せないままでいます。こうした状況を見て、哲学者のスラヴォイ・ジジェクは「左翼の敗北」だと語っています。
ジジェクと思想家フレドリック・ジェ
「知識なき正義は無力なり」という話
まえがき:有権者は政治を理解したふりをする ロシアウクライナ戦争が長期化し、9カ月経ったことに驚きます。SNSでは、ほぼ毎日のように誰かがロシアウクライナ戦争について評論しているのを目にします。ロシアウクライナ戦争について、ある程度、政治的な主張を誰もが持っているのでしょう。
しかし、政治的な主張を持つのは良いとして、それらの主張をしている人たちはどれくらいロシアとウクライナについて知っている