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「ととのえる」って何? 健康長寿の視点で見たサウナの秘められた可能性とは

「サウナに入っている人って、こんな幸福感を感じていたのか!!これまでなんてもったいないことをしていたのか…」

今まで温泉やスーパー銭湯などに幾度となく足を運んでいましたが、サウナの本当の価値を知らずに利用していました。先日、サウナ愛好家の友人、いわゆる「サウナー」の方から、サウナの作法を教わり、その魅力にどっぷりつかってしまいました。

サウナ愛好家の中で広がる「ととのった」という境地はどういう状態なのか。そしてサウナがもつ健康寿命につながる魅力について考えます。

サウナの効能とは

「ととのう」話の前に、そもそもサウナにはどんな効能があるのでしょうか。一般的には以下のメリットがあります。

肩コリ、腰痛の解消
肩コリは仕事や勉強などで長時間にわたる同じ姿勢、パソコンやゲーム、スマホによる眼精疲労、そして運動不足などによる血行不良などが原因で起こります。サウナで体を温めることで、血流が良くなることで、血行不良が改善され肩こりや腰痛の改善につながります。

自律神経が整う
自律神経は、大きく交感神経と副交感神経に分けられます。これらは体内の臓器をコントロールしているので、どちらかに偏ることなく両方をバランスよく刺激することが大切です。サウナは水風呂と交互に入るのが基本ですから、温と冷の刺激によって、交感神経を活性化させることができます。また、その後のリラックス時間で副交感神経優位になり、自律神経が整います。結果、快適な睡眠にもつながります。

免疫力が高まる
「ヒートショック・プロテイン」という言葉があります。 これは、体がストレスを受けたときに細胞を修復しようとするタンパク質のこと。身体の細胞にサウナの熱が加わるとタンパク質が損傷しますが、同時にヒートショックプロテインが生まれます。 タンパク質の損傷を修復する性質があるため、細胞の再生を活性化して免疫力を高めることができます。

 美肌効果
サウナで温まると、身体中から汗が出てきます。体温が約38℃を超えてくると全身の汗腺から汗がふき出ます。同時に皮脂腺からはあぶらが、アポクリン腺からは嫌なニオイのもとが排出されます。サウナに入ることでシャワーで落としきれない老廃物を綺麗に除去しスッキリとしたお肌に戻ります。

血圧の正常化
血圧は年齢を重ねると気になる数値。サウナと冷水の温冷交代浴をすることで血圧が正常化するといわれています。サウナで血管が拡張されるので、最高血圧・最低血圧がともに低下します。サウナを習慣的に生活に取り入れることで、血圧の正常化が期待できます。

サウナの真の価値(長寿への効果)

上記の効能は即時的な効果ですが、何より大切なのは若返り遺伝子であるサーチュインが活性化することです。先日、下記の記事で老いについて考えました。この記事の中で、老化を抑制するためにはサーチュインを活性化する必要があり、そのためにはサウナが非常に効果的であるとまとめました。

若返りのキーとなるサーチュインを稼働させる工夫として以下が挙げられます。食事や運動については先の記事を参考ください。

・食事の回数を減らす(1日3食は多すぎる)
・適度な運動(10分〜15分の軽い運動)
・サウナ(温冷交代浴)

サウナは100℃近い環境で汗をかき、その後16℃程度の冷たい水に入るのが一般的です。これは「カラダを非日常の環境に置く」ということです。こうした、カラダにとって「危機的な状況」に身をおくことで、SOSが出てサーチュインが稼働し始めます。これを日常の生活に取り入れることで、サーチュインのトレーニングができ、いつまでも若々しい体を維持することができます。

肩こりや免疫、美肌といった効能はサウナの表層的な魅力に過ぎません。本当の価値は「老いないカラダに近づける」ことです。こう考えるとサウナを見る目が変わってきませんか。

「ととのう」ためのステップ

最近サウナの入り方を研究し、私も「ととのう」という境地にたどり着きました。ただ、これは自分の中で感じる「感覚」なので、これが正解というものはありません。自分なりにたどり着いた「ととのう」ためのステップを整理したいと思います。

STEP1 サウナに入る前にタオルで体を拭く
水分が体についたままサウナに入ると汗が出にくくなってしまいます。汗が出にくいということは、つまりは疲労物質が出にくいということ。サウナに入る前は必ず体の水分を拭いておきましょう。

STEP2 サウナに入る(約10分)
90-100℃のサウナで8-12分程度しっかり体温を上げます。指先の毛細血管までジンジン脈打つ感覚を感じれたら体内がしっかり温まったサインです。

STEP3 汗を洗い流す
サウナから出たら汗を洗い流します。水風呂の前にある桶で数回カラダに着いた汗を流します。もしくはさっとシャワーで流します。これは水風呂に入る前のエチケットですので必ずしましょう。

STEP4 水風呂に入る(約3分)
水風呂に入ります。16℃程度の水風呂は慣れていない人は「そんなの無理!」と思うほどの冷たさです。私もはじめは無理でした。しかし、実は本当に冷たいと思うのは初めの5秒程度です。入った後姿勢を維持すると、体の周りの水が体温で少しあたたまり冷たさが和らぎます。これをサウナーは「天使の羽衣をまとう」と言います。体感すると言いえて妙ですね。水風呂に入ると上半身から下半身へじわじわ体温が下がっていくことが体感できます。足のつま先までピンと冷たさが集中できたタイミングが出るタイミングです。私はだいたい2分程度でその状態になります。入り過ぎると低体温症になるのでご注意ください。

STEP5 しっかり体を拭く
水風呂から出ると、体に着いた水滴を拭きます。ここで水滴がついたままだと次のステップの「ととのえ」で体温が戻らずにととのえることができません。

STEP6 いすに座って「ととのえる」(約10分)
イスに座ってリラックスします。サウナーの中ではこのイスのことを「ととのえイス」と呼んだりしますが、このイスに座って10分程度休息します。実はこのSTEP6が最も心地よい時間で、このためにSTEP1-5があります。イスに座っているとカラダがリラックスされやがて「ととのった」という特殊な感覚にたどり着きます。

STEP7 水分補給
次のセットに行く前にしっかりと水分を摂りましょう。水分補給と休憩をとり、脱水症状になったりのぼせたりしないように気をつけましょう。

以上のSTEPを3セット程度するのがサウナーの一般的な作法です。

これまで、温泉やスーパー銭湯に行った時に、イスに座ってぼーっとしている人を見て「何をしてるんだろか。暇な人がいるもんだな」と思っていたのですが大間違いでした。彼らは「ととのえていた」ということです。

「ととのう」とは何なのか?

そもそも「ととのう」というのはどういう状態のことでしょうか。私の体感的には100℃近いサウナで急激に上昇した体温が、16℃程度の冷水で急激に冷やされ、その後に室温でじわじわ元の体温に戻っていく過程で「何とも言えない心地よさ」を感じるという感覚です。

血液が指先の毛細血管まで元気にどくどくと流れ、酸素が脳を駆け巡り、体全体がディープリラックス状態となります。この感覚がとてつもなく気持ち良く、溶けていくような恍惚とした快感に達します。これをサウナーは「ととのった!」と呼ぶのです。

これは一説では、普通は切り替わるはずの交感神経と副交感神経が共存した「特殊な感覚」だと説明できるといいます。「ととのう」の正体はこの普段は交わらない2つの感覚が共存している非日常の時間だということ。

ととのえ中の休憩の中では副交感神経が優位になります。一方でサウナと水風呂の影響で交感神経のアドレナリンが残っている状態でもあります。この両者が共存するタイミングまでの猶予は水風呂を出て2分程度と言われています。その後はどんどんアドレナリンがなくなり、純粋なリラックス状態になってしまうので、2分以内に座るのが良いです。

自律神経はなかなか自分でコントロールできないもので、もともとは環境変化に合わせてカラダが自動的に調整する神経です。サウナ→水風呂→ととのえ、というプロセスを経ることで自分でコントロールすることなく自律神経が自動的に働きます。

ととのった時の脳は「瞑想後の状態」に似ているとも言えます。脳にはDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という、ボーッと何かを考えているときに活性化する領域があります。そのエネルギー消費量は通常の脳の活動の70%とも言われており、何もしていないように見えても脳はしっかり動いており、しっかり疲れています。ととのえている時間は外部の情報を遮断して内なる自分と向き合い、集中する時間でもあります。こうすることで脳もリフレッシュすることができます。

未経験の方にはピンとこないかもしれませんが、上記の1~7のステップでやればきっと、ととのいます。そしてどのサウナにもサウナーの方がいますので、その人のやり方を見て見様見真似でやってみても良いかもしれません。

まとめ

サウナは誰もが知っていますし、誰もが利用したことがあると思います。しかし、「ととのうためのサウナの入り方」は知らない人も多いと思います。私もそうでしたが、これを知ってしまうと、「なぜ今まで知らなかったのか?」という後悔の念と、「宝物を手に入れた!」という悦びを同時に感じることになります。

サウナとは、日々の健康効果としての効能、そしてサーチュイン遺伝子を活性化させ老化しないカラダに近づけること、さらには日常感じることができない「ととのう」というディープリラックス状態も体験できる、そんな魅力が詰まった場所です。

「ととのう」という言葉は体感するとなるほどと理解できる言葉で、普段は荒れ狂っていた波が、しんと静まり返って全く波のない凪の海の状態になる感覚。この非日常の感覚を「サウナトランス状態」という人もいます。はまると病みつきになってしまいます。

今回はサウナでの「ととのえ方」として7つのステップを紹介しましたが、決まったルールなどはありません。自分の体に合った利用時間、サウナ温度、水風呂の温度、休憩スペースなどを自分で探すのも楽しいものです。その先に自分だけの「最高のサウナスタイル」「最高のととのえ方」が見つかった時は何にも替えがたい宝物となると思います。

サウナとの出会いが、自分の寿命を延ばすターニングポイントになるかも知れません。心身ともにリラックスするためにもサウナに足を運び、「ととのえ」に行かれてはいかがでしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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やわらかメガネりょう
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