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#ほろ酔い文学

お酒をテーマにした小説やマンガなどの、創作作品を投稿してください!

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短編『さらば、吉祥寺』(改訂)

吉祥寺に戻ろう 「どこに住んでもいい」という状態になるのは、初めてのことだった。 家内と別れ、やがて子供たちが巣立ち、独りになった。 身軽になったので、長く一家で暮らした世田谷の一軒家を引き払い、小さなマンションに移ることに決めた。 もともと在宅でのパソコン仕事がほとんどなので、行先の選択はほぼ自由だった。 自分は、どこへ行ってもよい、、、 しかし、過度な「自由」にはやっかいな一面がある。 「どこでもいい」となると、どこへ行くべきか、途方に暮れてしまうのだ。 こん

♡今日のひと言♡佐藤春夫

佐藤春夫(1898-1927~和歌山・小説家、詩人) 与謝野鉄幹らに師事し,《三田文学》《スバル》に詩を発表。これらは1921年の『殉情詩集』にいっしょにまとめられ,大正期の代表的抒情詩集の一つとされる。大正期にはいると,散文詩風の小説を書くようになり,1916年『西班牙犬の家』を発表,続く『田園の憂鬱』(1919)で文壇の注目を集めた。他に『退屈読本』(1926)などの随想集や中国の訳詩集『車塵集』(1929)がある。1960年文化勲章受章。

♡今日のひと言♡エラ・ウィーラー・ウィルコックス(改訂)

エラ・ ウィーラー・ウィルコックス(1850-1919~アメリカ・作家、詩人) 平明な文章で韻を踏ませた、軽快で楽観的な表現・作風で知られている。代表作は“Poems of Passion”(情熱の詩~19 c 末頃)や“Solitude”(孤独~1883)など。

♡今日のひと言(短歌)♡穂村弘②

穂村弘(1962‐ 北海道〜歌人、詩人、批評家、翻訳家) 1990年、『シンジケート』で角川短歌賞の次点となり、デビューした(俵万智『サラダ記念日』が同年の受賞)。以降、現代短歌を代表する歌人として評論、エッセイ、絵本など幅広く活躍。『短歌の友人』(2007)で第19回伊藤整文学賞、連作「楽しい一日」で第44回短歌研究賞、『鳥肌が』(2007)で第33回講談社エッセイ賞、『水中翼船炎上中』(2018)で第23回若山牧水賞を受賞。歌集に『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』(

おまえ

眠れない夜 新聞配達のバイクが一瞬窓を照らして 逃げていく 枕元の時計の蛍光素材の針… あと2時間はうとうとできるのにと 遠ざかるバイク音を うとましく 思う…… ごそごそと起きだす布団 しばらくシーンとしたあと その息は廊下歩く音に変わっている  隣の部屋に小さな明かり…   髪をとかしてパチンとくくる気配… ピッピッピッと洗濯機をセットする音 あと追うように短いメロディ ワンテンポ遅れてホースに水が流れだす 今日の洗剤はどっちだろう  さっきの電子音が どのコースのもの

つぶやき~あなたへこんな夜は~

酷暑の忘れ物の飴ひとつ バリのお土産キャンデー入れに残ってた 元職場の若いこがくれた飴入れ 少し生成りの陶器 熱中症対策で重宝したな でも 甘いもん好きの孫くんには 不評で残ってった たった ひとつ その飴はブルーの洋服をまとい 芯はお砂糖でおめかし 甘酸っぱい味なの その飴 ひとつ カップに入れて 緑茶を注ぎ 30ccくらいの黒霧島を注ぐ 吞み始めは 少し苦く そのあと ほわっとしあわせで 最後に 甘ーいあの一粒の味がする 生きてるって いろんなことあるよね でも

覚悟なんて決めない

上の人が白であれば 白 黒であれば 黒 それを白とすると決めたなら 腹を括った ということ 黒とすると決めたなら 魂は売らない ということ

ただ青い空

神楽月 心は ぽっかり 彷徨って 何にもないけど ただ青い空 photo & words by なおみ

たった、一週間の恋だった

金木犀の香りが、わたしの胸を締め付ける。街角ですれ違う、昔好きだったあの人に似ているような、そんな感じ。金木犀を香るたびに、わたしの記憶のどこかが甘く動く。初恋なんて呼べない、苦い記憶が。 * あれはたった、一週間の恋だった。 もう350ミリのビールを片手に夜じゅう散歩するなんてことはなくなってしまった。それでも、わたしは今もあの青い秋を忘れられずにいる。残り香に小さく火をつけて、煙が消えるのをゆっくり待っている。 枯れ葉が重なる音に、わたしたちは恋の心音を重ね合わせ

129回目のYouTube配信は『緑の銀杏』という短歌を朗読いたしました😊 https://youtube.com/shorts/EjIDQpDx3mM?si=3GOtoGULUG_XoRs4

サラサマルチを卒業しました

 ボールペンは、サラサ1択です。  仕事場で使って、書き心地に感動してから20年。色の鮮やかさもお気に入りです。プライベートでも、黒と赤のサラサクリップと、替芯をストックしています。それにしてもボールペンって、いつも置く場所を決めているのに、何で気づくとなくなっているのでしょう。  携帯用は、サラサマルチでした。多機能ボールペンです。黒は必須。シャープは手帳を書くときに。予定は変更になるので、消せないといけません。休みの日は赤でマル。緑は、あると何かと便利。そして、青はス

琴を弾くようにピアノを弾く

 楽器は、練習が必要な趣味です。例えば、スポーツ観戦やご朱印集めとは、この点がちょっと違いそうです。  私は、noteの世界では、大人のピアノ・エレクトーン界隈にこそっと生息しています。みなさま、お忙しい中で何とか時間を確保し、毎日練習していらっしゃる印象です。思いの外用事に時間がかかってしまったときに「ああ、この時間練習できたのにな」なんて思ってみたり。泊まりの旅行は楽しいけれど、楽器が弾けない日ができてしまうことに焦ってみたり。私も、吹奏楽部時代、1日吹かないと取り戻す

シーズンも私の恋愛も終了

ひっそりとやっているXの趣味垢があって。そこに突然メッセージが送られてきて。そこから毎日のようにメッセージのやり取りが始まった春先。 野球観戦できるお友達がいなかったから野球一緒に観に行けたら楽しいな嬉しいなって思ったら、彼がたくさん試合誘ってくれて意を決して野球観戦に行くことに。 その前に1回会うことになって、4月は毎週のように会っていて。そこからどんどん毎週会う約束ができて、毎日過ごすのが本当に楽しくて。『楽しい時間は溶けちゃいますね!』なんて話しをしていたのに今はそ

牧田オサム 五十二歳の立ち位置

#短編小説 #イヤミス #読書好 #眠れない夜のために 

あなた

「お行儀悪いですよ…」 ほんの少しだけ怒った声 盆に倒された徳利を立てながら 片方の手で すすめ肴が出される いつものことと呆れた顔に 小さな笑いがにじむ    うなじには後れ毛… 台所仕事に うっすら汗ばんでいるのが見てとれる  炭で あぶって出された椎茸も 湯気あげて汗ばんでいる 山から訪れた客からの手土産 家主の一言で急遽七輪を出した細君 せっかくの旬を台無しにしてはならないと緊張の面持ち…  いや主に恥をかかせてはならないという妻としてのプライド… 「さっきの酒

晩酌の流儀(#シロクマ文芸部)

 金色に輝くグラスタンブラーを手に入れた。  日頃は家飲みをする方ではないが、匠が手掛けた逸品を手に入れたのだ。  これはバッカス神に献杯をしなければなるまい。 「まずは日本酒にしますか?」  妻がふざけた口振りでいつも晩酌を促す。 「そうだな、では獺祭をいただこうか」  獺祭とは山口県の銘酒だ。主原料は山田錦。アルコール度数は16%と程よく楽しませてくれそうだ。  最近では海外での日本酒ブームの煽りを受けすっかり高級酒になってしまった。  ひと口飲んでみる。なめらかな口当た

【ミステリー小説】腐心(12)

▶第1話は、こちらから。 ▶前話は、こちらから。  給湯室で気の抜けたあくびをしながら、香山はインスタントコーヒーの瓶の蓋をあけた。底にわずかに茶色い粉がこびりついているだけだ。くそっ、泥水みたいに濃いコーヒーが飲みたかったのに。ニコチンにしとくか、と胸ポケットに手を伸ばしかけると、 「私が淹れましょうか、主任」   滑舌のくっきりとした声が背後からした。振り返らなくてもわかる。小田嶋がショートボブの髪を耳にかけ入り口に立っていた。  香山の返事も聞かずに、小田嶋はコーヒー

君から受け取ったメッセージ 一度瞳を閉じる 身体に流れてくる心地よい風 その風を全身で受け止め そして大きく吸い込む ゆっくりと瞳を開く 目の前には澄み切った空が広がる 視界は良好なことに気づく よし、いける 進むべき道は開かれている 目指すべき地へ、一歩先へ進め

126回目のYouTube配信は『秋灯り』という短歌を朗読いたしました✨ https://youtube.com/shorts/JxoJZ0HEGyM?si=t8XyGO6BlV5RvQWn

ヘビイチゴ

「ヘビイチゴって、知ってます?」  金曜日午後10時のバー。カウンター席で隣に座っていた女に、突然訊かれた。  週に三日はこの店に来ているが、見たことのない女だった。もし会ったことがあれば、決して忘れるはずのないような人目を引く顔をしている。左右の目がアンバランスで唇が厚い、どこか危うい雰囲気の顔をした女だった。  女は僕の右隣に座り、呆けたような顔でカウンター正面に並んでいる酒のボトルを眺めながら、カクテルを飲んでいた。ロンググラスに入った赤いカクテル。  そして、ボトルの

歳時記を旅する54〔西鶴忌〕後*秋澄むや殿の並びし寄進札 

磯村 光生 (平成七年作、『花扇』) 『日本永代蔵』(一六八八年)の菊屋の善蔵という質屋の話(巻三)。     人に情けをかけることをせず、神仏へ願いをかけることも考えそうにない男だったが、初瀬の観音を信心して急に通い始めた。菊屋は「戸帳がひどくいたんでいるので、私が寄進して新しく掛け替えましょう」と言って、古い戸帳を譲り受けた。この戸帳の唐織は貴重なもので、大切な茶壷の袋や表具切れとして売って、だいぶ金銀を儲けて家が栄えたが、後には、昔よりおちぶれて、京橋で、下り船を目

just we are

here we are Sunday night just we are Monday morning photo & words by なおみ

反則だ。午前1時に届いた「だいすき」の4文字

金曜の夜。 僕はあの人のことを思っていた。 メッセージを送ろうかなと思ってはやめ。 味もわからないくせに、 ワインを飲んでいた。 自由論も読み終わった。 次は何を読もうかな。 僕は携帯電話を手に取った。 Kindleで新しい本を探そうと思ったのだ。 すると、 あの人のためだけに入れているアプリの通知が来た。僕は既読がつかないように、注意を払いながらメッセージを読んだ。 だいすき そこには4文字の言葉が。 漢字ではなく、ひらがなで書いてある。 僕はとてもとても嬉しかった

秋の夜に

なんだろな最後に呼ぶの母のこと理屈じゃなくて遠くて近く 日常の隙間に母が見える時いくつになっても傍にいきたい いつまでも明日が続くわけじゃないふとそんなこと呟く夜よ 「母親にはずっと生きててほしかった」夜半のメールはきみからのもの 酷暑からいっぺんに風変わる 寒くはないかと母の声する 父とみた薪能の社には今もいるよなそんな気がして  元気かい? 風が冷たくなったね。 あなたは 気丈なひとだけど 大丈夫かな? かあさんって やっぱり最後の砦だね。

130回目のYouTube配信は『あの日の夢』という短歌を朗読いたしました😊 https://youtube.com/shorts/R6Fv0-JU0xg?si=nLn6QHOSnXLwFJHa

西の空は茜 

エプロンのポケットから小分けのドッグフードを取り出し、空になっていた銀皿にカラカラと音をたて入れた。 黒いマジックでリキと書かれた犬小屋からリキがのそのそ出てきて、前足、後ろ足の順に伸ばし、気怠そうに近づいて来る。リキの後ろからシャラシャラと細い金属のリードも付いて来た。 すぐそばに腰を下ろしたリキは大きくあくびをして、乾いた鼻をフンフンと伸ばし、私の首筋をペロリと舐めてから大きな尻尾をクリーム色のタイルにそっと振り下ろした。 私はリキの頭から背中までのなだらかさを確かめるよ

131回目のYouTube配信は先ほど『just we are』という英語詩をBGMなしでゆるりと朗読いたしました😊 https://youtube.com/shorts/ONWnt9a_w3E?si=B-aMAOuMptks3L2A

お酒と人生の甘やかな記憶

 お酒を極端に嫌う賢い男友達に、「酒を飲むのは自分を律することのできていない証拠だ」と言われ、何もそんな言い方しなくてもいいじゃない、と腹が立ったが、言いたいことはわかるので気持ちを落ち着かせた。  言いたいことはわかるのだ。でもどんな芸術もお酒と切り離して語れないのだから、お酒は芸術と同様、人生を豊かにするものの一つだと信じている。ゴッホは禁断のお酒によって身を滅ぼしたのだった……とよぎるけれど、それでも。  お酒が人生の豊かさに深く関係するのは、必ず記憶が付随するから

繋ぐ、知る青に私の嘘。

私が産まれたこの星で、 いつか私が愛した君は死ぬ。 丸々とした赤らんだ若い頬は、 やがて笑った回数だけ軌跡を刻んでゆき、 海風に艶やかに波打った黒髪は、 やがて絹糸のように細く白んでいく。 君へ吐く度嘘になる、 言葉の脆弱さに、私は常々恐怖を抱いている。 しかし君は疑いもせず、 私にそれを投げて、 桃のような頬に昼の陽を乗せて、 ただそこに笑っているのだ。 私は君が君を終えるその瞬間、 言葉を忘れてしまいたいと、切に願うだろう。 さすれば嘘にならずに、 ただ純粋な、私の

【ミステリー小説】腐心(11)

▶第1話は、こちらから。 ▶前話は、こちらから。  鑑識係の部屋は三階東奥の吹き溜まりのような場所にある。  刑事課も空気は澱んではいるが、常に喧噪に攪拌されている。鑑識の室内は澱みが無言で堆積している。  入ってすぐの前室テーブルに簡単な現場の見取り図が用意されていた。バックヤードの扉をノックすると、奥から紺色の作業着姿の浅田が頭を掻きながら現れた。 「あれ、グっちゃんは?」 「樋口には防カメの手配をさせてる。小田嶋さんと三人班になった」   へえっと、浅田は気の抜けた相

紙の手帳を卒業しました

 私は、ほぼ日手帳のweeks4月始まりを使って7年目でした。  weeksは、閉じた状態でスマホよりひと回り大きいくらいです。見開き2ページで、縦に1週間。月曜始まりです。左ページに仕事の予定、右ページにプライベートの予定を書きます。月間カレンダーは最初に1年分まとめてあるので、週間カレンダーの途中に月間カレンダーが入ってくるということはありません。  最初、これらの仕様が気に入って購入したのですが、6回もリピートした理由は「紙」でした。1度使うと、他の紙に書いたりめく

届かぬ想い

このあとも連絡来るタイミングが合って不定期に連絡を取り合っていて。 好きだけどこの人とは付き合うことはないんだろうな、付き合えないな、でも付き合えたら嬉しいな。なんて迂闊なことを考えていて。 だって“今の彼女と結婚しないと思う”なんて言ったから。 私の仕事を肯定してくれた初めての人で、一緒にいて落ち着くなって思った人で、私が恋人とうまくいかないときに話聞いてもらったり、“はなのこと彼氏より大切に思ってる”って言ってくれて。 あ〜早く彼女と別れないかなって思ってたら、来

wantって形容詞なの?

 国語の授業で先生に 「動詞を1つ挙げてください」と聞かれた。  その前の英語の授業で「want」という動詞を覚えたばかりだったから、僕は自信を持って 「ほしい」と答えた。  先生がニコッと笑った。 「山根くん、残念。『ほしい』は形容詞です。日本語の動詞は『ウ段』で終わります。『イ段』で終わるのは形容詞ね」  先生の指摘で「あぁそうか…」と思ったのだけど、 「でもさぁ、英語では『ほしい』は動詞だと習ったんだけどなぁ」という疑問を持った。  疑問を持ったけれども、国語の

123回目のYouTube配信は『夏の忘れもの』という詩歌を1分間朗読いたしました😊 https://youtube.com/shorts/7-vUbFHktIs?si=J2ljMWx5z52PXpaK

120回目のYouTube配信は『金色(こんじき)の雲』という短歌を朗読いたしました😊 https://youtube.com/shorts/VKA86ZmYjb4?si=wge4xiZIwE8bW08D

雨ポツポツ ノンアル飲んでも ほろ酔い帰宅

昨日の仕事帰り 久しぶりに馴染みの居酒屋さんへ 健診月間&ダイエットでお酒を控えていた身 馴染みのお店は本当にご無沙汰 ここは料理も優しい味なので お食事だけでも でも、居酒屋さんだから、やっぱり飲まないとね そんな中、ありがたいのが「ノンアルビール」の存在 一応、飲んでいるように見えます 頼んだおつまみたち 1時間と少し居てお店を出ました 天気予報通り、昨日は夕方から降り始めました 頭にポツポツと雨の雫が… 居酒屋のご主人ともゆっくりお話ししたし 酔わなくてもい

127回目のYouTube配信は10月9日(水)に、『10月の緑』という短歌を朗読いたしました。 https://youtube.com/shorts/OgPpX7xiHhI?si=We9NgIIVk5MrZMCX

121回目のYouTube配信は『Autumn Time』という詩歌をゆる〜り朗読いたしました🍁 https://youtube.com/shorts/GsQ-mbzg54k?si=G4daf-TKqCX-9Lgq

【エッセイ】酒と泪と破滅願望

 あれだけ好きだったお酒を普段飲まなくなった。  最近ではたまに飲んでもすぐに酔っ払ってしまう。おそらく内臓系がすでにいかれているのだろう。怖くて検査などはしたことがないが、日常的にお酒を抜いていればいずれ回復するだろうと楽観的でいる。  そもそも若い頃、なんであんなに毎日飲んでいたのか。お酒の味が好き、酔っ払う感覚が好きというのもあるが、お酒の場が好きだったのだろう。それは今も好きだ。誰かと熱く、そしてゆるく語ってみたり。みんなでワイワイしてみたり。 『飲みニケーショ

俳句の源流を歩く|酒折の歌(最終回)

 さて、彼女が出て行ってから九夜十日。音沙汰もなく不安ばかりが募る中、俳句を並べて気を紛らわせている。  と言ってもそれは他愛ないもの。他人にとっては、意味をなさない駄句のかたまりだろう。けれども、ある人が言っていた。 「披露する目的で詠んでは駄目だ。」  ヤマトタケル以降の日本は、柿本人麻呂も言うように、「言霊の幸はふ国」。言霊の結晶である「歌」が、一己の幸せを導くところとなったのだ。  歌をうたえば、世界が現れる。神々が歌って天下を生み固めた時代は過ぎ去り、その響きを宿

自分軸で生きる。君との局地的デジタルデトックス。

デジタルデトックスする。1週間連絡取れない。生きてるから心配するな。 僕はこんな風にメッセージを送った。 君は、少し動揺していたね。 最近僕は、 毎日のメッセージが辛かった。 やり取りが辛いんじゃない。 君からの連絡を待っている自分が惨めだった。 こういう時は少し距離を取る。 理由は何だって良くて。 僕は君に言ったの。 デジタルデトックスをするって。 僕は普段通り生きてるよ。 僕が連絡を絶ちたかったのは 君とだけだよ。

【ミステリー小説】腐心(9)

▶第1話は、こちらから。 ▶前話は、こちらから。  柳一郎の失踪は、29日か30日か。地取りで明らかにするしかねえか。とりあえず佳代子の供述を取ろう。 「失踪に気づいたのは、7 月30日で違いありませんね」 「ええ」 「時刻は?」 「晩ご飯ができたと呼びに行った7時です。さっき29日としてお話した内容は、30日のことをすり替えただけ」 「では、午後4時から『ウエステ』に買い物に出かけ、5時半に帰宅。柳一郎さんの部屋からはテレビの音がしていた。その後、あなたは夕飯のこしらえを

あの日の夢

薄紅を 纏ひ たなびく 夕暮れは あの日の夢の いのちのやうに photo & words by なおみ

大学1年生、色とりどり

いろはにほへと、散るまでに 無事に高校を卒業し、それなりに充実した春休みを過ごし、ついに私は大学の入学式という門出に立ちます。 知り合いゼロ、土地勘ゼロという状況は、物心がついてから初めての経験だったように思います。 非常に緊張し、非常に怯えながら当日を迎えました。 当時、mixiというSNSが流行っており、そこで同じ年に入学するメンバー同士の交流が行われていたようですが、私はぼんちゃんとの「浮気の一因になるようなことがあったら嫌だからmixiは辞めよう」という若々しい

【ミステリー小説】腐心(8)

▶第1話は、こちらから。 ▶前話は、こちらから。  被害者の失踪日時について夫婦で供述が異なるというのか。  樋口からの報告に香山は文字どおり耳を疑う。 「おい樋口、そっちは聴取が終わったんだな」  ――はい。 「そのメール画面を送信日時のわかる状態で写メしろ。木本和也は帰していい。おまえも、こっちに来い。二号室だ」  ――了解です。  香山は廊下の壁に凭れて二本目のハイライトに火を点け、二号室と表示されている取調室の扉を睨みつける。  単純に考えると29日に失踪したという

投資(FX)を学ぶ💵 ✅金融政策:物価や通貨の安定のために中央銀行(日本で言えば日本銀行)が行う金融面での経済政策のこと🌟 →経済情勢から「金融緩和」を行うか「金融引締」を行うかの判断を行い金融政策を実施 金融政策で決定される「政策金利」の変更によって為替レートが動くことが多い📊

122回目のYouTube配信は『金銀を織る』という短歌を朗読いたしました〜😊 https://youtube.com/shorts/m-UN5sqyfIs?si=44mK-WSBJLALbnQG

短編 | ハニワ金融道

「『ハニワ金融道』って面白いよね」  聡(さとし)が言った。真顔だった。これは冗談を言っているのか?あるいはマジで言っているのか?  彼と付き合いはじめて、まだ日が浅い。私には彼の真意を見抜けないことがある。彼は冗談を言うのが好きだ。しかし、同時にプライドが高いことも感じていた。  『ハニワ金融道』などというマンガはない。私が知る限り『ナニワ金融道』ならある。『ハニワ金融道』などあろうはずもない、たぶん。  もし聡がギャグで『ハニワ金融道』と言ったのなら、 「ははは、

弱いとこ、ダメなとこ。開示してくれたら、ぜんぶ受容したい。

僕たちのやりとりは、 とても淡泊だ。 安否確認に近い。 それでも時々タイミングを見て チャット感覚でメッセージを送りあったり、 通話したりと、僕たちなりのペースを保っている。 あまり伝わっていないかもしれないけれど、 僕は彼が好きだ。 僕は彼の幸せを願っているのだ。 今日、僕は彼にこんなメッセージを送った。 君はよくやってる。 返事が来る。 そんなことない。私はダメダメ。 僕が返す。 僕はそうは思わない。だめなところも含めて、開示してくれたら、受容したい。

119回目のYouTube配信は『9月の雲』という短歌を朗読いたしました〜😊   https://youtube.com/shorts/0yAqedz-WOo?si=nYgxliMfXpnbJqzh